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セントラム発車!市内電車環状線開業

  • 鋪田博紀

セントラムの発車式

天皇誕生日の今日、市内電車環状線の開業式が13時から市民プラザで、発車式が14時から大手モールで開催され、多くの市民が、新型LRT車両(愛称:セントラム)を一目見ようと集まりました。

また、15時からは無料体験乗車が出来るとあって、大手モール電停には1時間以上前から市民が列を作っていました。

全国的にも注目を集めているようで、讀賣新聞・朝日新聞も取り上げていました。

セントラム登場、路面電車環状線36年ぶり復活 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 富山市の路面電車環状線が23日、36年ぶりに復活する。

 環状線を循環するのは次世代型路面電車(LRT)「セントラム」。白、黒、銀の3編成のおしゃれな車両は、にぎわいを取り戻したい同市中心部の新しい顔となる。かつての環状線を走らせていたベテラン運転士も感慨深げに、この日を迎える。

 「待ったかいがあった。車両は静かで本当に素晴らしい」。セントラムを運行する富山地方鉄道(富山市)で、路面電車運転歴44年の藤野松雄さん(65)は今月、セントラムを試運転し、胸がいっぱいになった。引退を1年延長し、開業の日を待っていた。

 運転士になったのは21歳の頃。当時の環状線は、一度乗務すると、1周20分強のルートを5周し、30分の休憩を挟んでまた運転し、多い日でこれを4回繰り返した。

 「同じところをグルグル回って、まるで動物園のクマ」と冗談まじりに振り返るが、当時、行き交う人でにぎわっていた繁華街を循環する環状線乗務は楽しかった。通常、同じ場所を走っていると刺激がなく、注意散漫になることもあるが、「環状線は人や車の流れがその都度違うので、精神的につらくなかった」という。

 特に夏休みの頃は、西町近くの中教院前に夜店が並び、夜遅くまでにぎわいが絶えなかった。「終電も満員ですごかった。みんな夜遅くまで楽しんでいた」と懐かしむ。

 富山市中心部、丸の内周辺の生まれで、子どもの頃から環状線が生活の足だった。だから、車社会に押される形で1973年に環状線が廃止になったときには寂しさが募った。

 60歳で嘱託社員となり、本来は65歳となった今年1月に満期となり、一線を退く予定だった。しかし、環状線を復活させ、新型車両を走らせる計画を知り、「元気だから、もう1年と会社にお願いした」。嘱託期間を1年延長した。

 ただ、23日の開業以降、本番の環状線運転はしない予定だ。自ら指導した若手に委ね、静かに引退するつもりだという。「私は試運転で十分満足。若手が育っているから。あとは大丈夫ですよ」。そう言って笑った。
(2009年12月23日10時33分 読売新聞)

asahi.com(朝日新聞社):街を囲む路面電車、36年ぶり復活 富山、高齢化見越し - 環境

2009年12月21日15時0分

 車がなくても暮らせる街づくりを進める富山市で23日、中心市街地をぐるりと回る路面電車が36年ぶりに復活する。かつての環状線は、車社会の発達で1970年代に、一部路線が廃止されてしまった。それが今回、少子高齢化や地球温暖化を背景に、これからの街の交通手段の中核と期待されて「再登板」することになった。

 富山市中心部を走るのは3両の次世代型路面電車。JR富山駅を発着点に、公園や百貨店がある中心市街、県庁や市役所周辺の約3.5キロを反時計回り方向に20分間で結ぶ。愛称は「セントラム」。車両は、旧来型と比べて乗り降りしやすい低床で、都市型路面電車の先進地・ヨーロッパで走るのと同様のモデルだ。料金は1回につき200円で、昼間は10分間隔、朝夜は20分刻みのダイヤで運行する。

 市内では、73年まで、ほぼ同じルートを路面電車が走っていた。高度成長期に急速に道路整備が進められたことに伴い、乗客数が激減。路面電車は都心と郊外を結ぶ路線だけが「U字」の形で残っていた。今回、中心市街地にあるホテルや会議場を通るように延長約1キロの線路を造り直し、欠けていた「輪」をつないだ。総工費は約30億円。

 富山県は現在、1世帯あたりの自動車保有台数が1.72台と、全国2位のマイカー王国だ。一方、人口は郊外に広がり、市街地の人口密度は30年で3分の2に減っている。

 市は将来の高齢化を見越し、「脱自動車」に向けた施策に乗り出した。2006年から市北部で全国に先駆けて次世代型路面電車を運行。衰退した中心市街地で住宅を購入する人に50万円を補助する。来春には今回の環状線と連携して、パリを手本とした自由に乗り降りできる自転車レンタル事業を始める。これで、路面電車の電停から離れた場所でも自転車に乗り継いで出かけられ、公共交通で日常の用を足せるようになる。

 森雅志市長は、開業する路面電車をコンパクトな街づくりの象徴と位置づける。「郊外に造ってきた施設も、路面電車の周辺に集約する必要がある」と話す。(久保田一道)

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