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市街地における高さ規制検討委員会

  • 鋪田博紀

私が昨年6月議会で提案した高層建築の高さ規制が具体的になってきました。

1月9日、「市街地における高さ規制検討委員会」の第2回検討委員会が富山市役所で開催され、平成18年12月に実施された「建物の高さに関する市民意識調査(市民アンケート)」についての報告、建物現況調査の報告、マンション紛争事例の調査報告、他都市の高さ規制の調査報告が行なわれ、これらをふまえた高さ規制導入の基本的考え方が示されました。

意識調査は、絶対高さの規制がある第1種低層住居専用地域と工業地域を除く都市計画区域内に住む市民6000人を対象に無作為抽出で行なわれ、2251人の回答がありました。

高さ規制については、「規制すべき」・・・30.4%、「ある程度の規制は必要」・・・58.4%で、88.8%が規制は必要と回答。規制すべき高さについては、「2から3階建て(10m程度)」・・・58.4%、「4階建て(15m程度)」・・・24.7%、「6階建て(20m程度)」・・・10.3%、「8階建て(25m程度)」・・・3.5%となっており、現在紛争がおきている高さをはるかに下回る高さでも規制すべきとする意見が多いことに驚きました。

また、規制の方法(主体)については、「高度地区等により市が中心となって規制案づくりを行なう」・・・66.1%、「地区計画等により地域住民自らが中心となって規制案づくりを行なう」・・・33.9%となり、その理由として「地域住民が主体では規制案をまとめることが難しい」・・・44.2%、「規制案作りには専門的な知識が必要」・・・39.2%と回答。

これまで関わったケースでも「地区計画」、「建築協定」による地域主導のルール作りの困難さを見てきていますので、妥当な結果だと思います。

今後は、3月頃に第3回検討委員会が開かれ、高度地区による高さ規制の素案(規制する街区、高さなど)について検討され、パブリックコメントを経て5月頃に第4回検討委員会が開かれ、規制案のとりまとめを行い、都市計画決定の手続きに入る見通しです。

この規制は全市一律というわけではなく、用途地域毎に高さ規制の地区が設定され(例えばA用途地域は高さ10m、B用途地域は15m、C用途地域は20m・・・など)ることになりますし、設定範囲についてもこれからの議論です。

いづれにしても、規制をかける場合に相当な市民合意の形成が必要ですし、経済的合理性も求められますので、2階建てが多い地域だからそこはすべて10mという訳にも行かないでしょう。

もっと強い規制を求める地域ではやはり地区計画の策定などが必要なケースも出てくるでしょう。そうした場合のフォローやアドバイスを行なえる体制は残念ながらありません。そのあたりの強化も検討していかなければと思います。また、高さはここまでは認める代わりに緑化率を何%にしましょうというようなデベロッパー側も参加しやすいようなまちづくりの仕組みも整える必要があると思います。

また、規制が必要な地域もあれば、建ぺい率や容積率を緩和して住宅を建てやすくしたり、オフィスビルを誘導するために商業地域では容積率の緩和をするなど、メリハリが必要ですし、用途地域の見直しも今後は必要です。

今回の高さ規制を契機にまちづくりや景観のことをみんなでしっかり議論しなければなりません。

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