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宝塚歌劇団月組を初めて観劇 - 『アルジェの男/Dance Romanesque』

アルジェの男
アルジェの男

宝塚歌劇団月組の東京宝塚劇場公演『アルジェの男(作:柴田侑宏、演出:大野拓史)/Dance Romanesque(ダンス ロマネスク 作・演出:中村暁)』を観劇してきました。

星組が、1974年に鳳蘭さん、1983年には峰さを理さん主演により上演した作品の再演とのこと。

月組を見るのは初めてで、正直言って主役の霧矢大夢(きりや ひろむ、愛称きりやん)さん以外はあまり知識がなかったのですが、東京で働く友が一度宝塚を見てみたいとのことで準備していたのが、互いのスケジュールが合わなくて、一人で観劇することになりました。

霧矢さんのトップになる前の舞台はビデオでは何度も見ておりましたが、現トップスターの中では一番の歌い手だと改めて実感。そしてダンスも素晴らしく、お芝居も本当に素晴らしいです。

ミュージカルである『アルジェの男』の主人公ジュリアンの演技もよかったのですが、ショー『Dance Romanesque』のノートル・ド・パリの場面のカジモド(せむし男)演じるシーンは醜いカジモドの哀れさと悲しみの中にかくれた、心の麗しさ美しさに心が揺さぶられました。

娘役トップの蒼乃夕妃(あおのゆき、愛称まり)さんは初見でしたが、圧倒的なダンスの力強さに圧倒されました。ミュージカルでは出番が少なかったもののダンスシーンは圧巻、ショーでは出ずっぱりで踊る踊る。お芝居も存在感があって、欲を言えば歌唱力が物足りないのですが、歌は現娘役トップ共通の課題ですね。

『アルジェの男』は名作の誉れも高いのですが、1時間半という短い時間の中で主役以外の生徒にも見せ場を作るという宝塚の特徴ゆえ、一人一人のキャラクターがぼけてしまう弱点もあります。今回の主人公ジュリアンも野望を秘めた少年の成り上がりの過程と悲しい結末を描いているのですが、野望を感じさせるシーンが無く、台詞と歌でそれを説明する形になっていて、演じる側は大変だったと推察。

逆にその分、わきを固める、明日海りお(あすみりお、愛称みりお)、青樹泉(あおきいずみ、愛称もりえ)をはじめとする次世代のトップを狙う若手にいい場面が用意できたり、娘役でも、彩星りおん(あやほしりおん、愛称りな)、花陽みら(はなひみら、愛称みく)らにも重要な役を演じさせることが出来ました。

ですから、初見の月組だったので、どんな生徒がいるかわからない私にとっては、とても収穫でした。

ただし、2番手スターの龍真咲(りゅうまさき、愛称まさお)は、ミュージカルのほうではやや扱いがかわいそうにも思いました。

主人公のライバルで登場場面もとても多いのですが、救いようのないチンピラ悪党のまま死んでゆくのは2番手のやる役なのか?少し疑問に感じました。その分、ショーでは素敵でしたが...

ちなみに『アルジェの男』の結末はかなり衝撃的。映像的な手法で、あれを舞台でやるには勇気のいることです。雪組の『カラマーゾフの兄弟』(2008年)のようなあきらかに映画のような終わり方のほうがわかりやすかったかもしれませんが、それだと予想の範囲内で面白くないからか...

さて、『Dance Romanesque』では、先ほどのノートル・ド・パリの他、SKY DANCEというカモメの群れをダンスで表現したシーンも圧巻でした。

とにかく、ミュージカルもショーもテンポが良くてあっという間の3時間でした。面白くて興奮してしまい夜眠れなかった位です。

そういえば、男二人で観に行く予定だったせいでもないでしょうが、なんと男子高校生の集団。尋ねてみると男子校の修学旅行で、館林から来たそうです。うむ、この旅行決めた先生は凄いかもしれない。

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