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新生花組プレお披露目公演『ベルサイユのばら - フェルゼンとマリー・アントワネット編』

ベルばら公演ポスター
ベルばら公演ポスター

明日海りお・蘭乃はなの新トップコンビのプレお披露目公演、宝塚歌劇団花組中日劇場公演『ベルサイユのばら-フェルゼンとマリー・アントワネット編-』 を観劇しました。

生まれて初めてのベルばら観劇です。

なお、9月の宙組全国ツアーで富山で上演されるのも、このフェルゼンとマリー・アントワネット編です。

明日海りおさんは、蘭寿とむさんの卒業を受けてこの公演から花組トップスターとして主演されますが、蘭乃はなさんは次の本公演『エリザベート』で卒業が決まっていて、二人が主演をつとめるのは2作のみです。因みに、二人ともに月組からの移籍です。

明日海さん演じる主人公フェルゼンは実在のスゥエーデンの有力貴族で、革命戦線の拡大を恐れるヨーロッパ諸国が企てた国王一家の国外脱出劇の首謀者の一人と言われています。

革命政府は、立憲君主制を目指す一派もいて、国王ルイ16世の処刑までは考えていなかったようですが、ルイ16世の優柔不断により国境を目の前にしながら脱出劇は失敗に終わり、このことで逆に国王への怒りが増して、処刑に繋がったと言われています。

ベルばらの中ではマリー・アントワネット、オスカル、アンドレに比べ地味な主人公であることが否めませんが、明日海さんは宮廷服がよく似合うとても瑞々しく、そして繊細なフェルゼン像が印象的で、最近演じた雪組の壮一帆さんが、かなり強引に力技でねじ伏せて演じたフェルゼンとは対照的でした。

花總まりさん(レディ・ベス)
花總まりさん(レディ・ベス)

蘭乃はなさん演じるマリー・アントワネットは、自身の娘役のキャリアを感じさせる王妃でした。系統としては彼女が尊敬する花總まりさんが2001年宙組版で演じた、知的で思慮深く、一見するとフェルゼンと禁じられた恋に落ちそうにないアントワネットか。

対照的なのが、2006年星組版で白羽ゆりさんが演じた、只々純粋が故にフェルゼンとの恋に落ちてゆく真っ直ぐなアントワネットで、最近演じた雪組の愛加あゆさんもこのタイプでしょうか。

オープニングは、アントワネットとフェルゼンが出会った舞踏会の様子を仮面をつけたパペットのダンスで表現。そして、アントワネットのパペットが仮面と白いドレスを取ると真っ赤なドレスを着た蘭乃さんのマリーアントワネットが登場。なかなか憎い演出です。

さて今回は、王子を拐わられ革命派に足蹴にされ罵られながらも懸命に立ち上がってゆく場面が新たに書き加えられていました。

何の能力もない平凡な少女が政略結婚によって何の覚悟もないまま王妃となってしまい、フランス王家の没落の一因ともなったアントワネット。

国王が処刑され、王子たちが連れ去られたときに初めて、王妃として、そして母としての尊厳を守ろうと決意する。その演技と歌には凄みさえ感じました。

歴代のアントワネットで初めて人間臭いアントワネットがそこにはいました。もちろん彼女の演技だけではなく新たに書き加えられた脚本・曲そして演出によるところが大きいのですが、今回のアントワネットの花總さんバージョンとの違いでしょうか?

中日劇場前で
中日劇場前で

もう一人の主人公といっていいオスカル役には、芹香斗亜さん。

花組全体の芝居がとても上手いのでやや浮き気味の感もありましたが、そこがまたみずみずしい芹香さんの魅力でもあります。有名なバスティーユ攻略の場面では、存在感を発揮していました。

そして、アンドレ役は望海風斗さん。

新体制では2番手なのだと思いますので本来はオスカル役でもよかったのでしょうが、バウホール組と別れての公演ゆえ、懐の深いアンドレ役は彼女しかいなかったのかも。

パリ市街で銃撃されて死んでゆくシーンは、撃たれ方に定評のあった前トップスターの蘭寿とむさんにも負けない芝居でした。今回は少ない出番でしたが、芝居、歌ともに安定感が抜群で存在感があり、早くトップになってほしい男役スターです。

新キャラクターのド・ブロイ元帥を演じるのは、今公演から専科からの特別出演となる華形ひかるさん。本公演と違って人数が少ないため群衆の芝居にもちょこちょこ出ていて、フィナーレでも普通に花組男役そのものという感じで踊っていて、専科というよりまだ花組のスターという感じで大活躍でした。

このド・ブロイ元帥がベルナールらとの会話で、フランス革命の実態を語るくだりがあって、革命政府側が貴族の権力争いに利用されたことや、革命政府側の内部抗争や粛清の厳しさなど、史実について少し理解を深めることが出来ました。

ルイ16世は、花組組長の高翔みず希さん。ルイ16世が登場すると場面が落ち着くから不思議です。何故だか、『小さな花が開いた』の同心、中島様を思い出してしまいました。

ベルナール役は大河凜さん。可愛い系の男役さんなのですが、独特の存在感がすごく大きくなっていてちょっとびっくり。

ロザリーと小公女を演じたのは、次期娘役トップともうわさされる、組替えでやってきた花乃まりあさん。正直、小公女はあまり似合っていなかったけど(失礼)、ロザリーの芝居は上手かった。抜擢の理由がわかります。

間もなく千秋楽。

この公演の後はいよいよ『エリザーベト』で、本お披露目となります。

結びに、フランス革命について考察したわかりやすいブログを見つけたのでリンクを貼っておきます。

【2014-06-30 追記】
華形ひかるさんは7月6日付で専科へ異動でした。

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