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全国学力・学習状況調査の目的外利用について

  • 鋪田博紀

全国的に子供たちの学力状況を把握するために、小学6年生、中学3年生全員を対象に、平成19年度から実施されている、全国学力・学習状況調査(所謂、全国学力テスト)を内申に活用するとの報道がありました。

呆れておりますが、この調査の目的なにか?

ここを正しく認識しておかないと、この調査の前身である全国テストが中止になったときと同じ過ちを犯すことになるのではないかと危惧しています。

富山市教育委員はこの調査をどのように活用しているのか、また、目的外利用などについてどのように考えているか?、参考までに平成25年の富山市議会での教育長答弁を掲載しておきます。

 次に、短期的な取組みとして、1つには、最後の問題までやり通すことや、できる問題からやってみることなど、日ごろのテストから無解答をなくすよう指導すること、2つに、学力調査の結果を活用する学校が少ないことから、学力調査の問題を授業に取り入れて活用することなどを指導しました。

 中期的な取組みとしては、授業改善に取り組むこととし、例えば、必ず授業の初めに「学習課題の提示」をすること、授業の最後に「まとめの確認」をすることなど、子どもたちにとって「わかる授業」を展開するよう、具体的に示しました。

 長期的な取組みとしては、1つには、文章を読む力や自分の考えを書く力などを身につけさせていくための言語活動を継続的に授業で充実させていくこと、2つに、子どもたちが元気で安心して学校生活が過ごせるように、自己肯定感を高めるため、例えば、1日1回は全ての子どもたちに声をかけたり、褒めたりすることなどを指導したところであります。こうしたことを全ての学校で取り組むことにより、学力向上に努めてまいりたいと考えております。

 次に、学校別の平均正答率の公表について教育長の見解を問うにお答えいたします。

 市教育委員会では、全国学力・学習状況調査の結果について、市民とともに受けとめ、現状に即した教育に努めるため、市全体の平均正答率とその分析結果、それを踏まえた改善策を、県内の他市町村に先駆けて平成19年度より公表してきております。

 学校名を明らかにした公表は、保護者や地域住民に対して調査結果をより詳細に説明できるメリットがあります。しかし、学校名を明らかにすることは、1つに、児童・生徒の学力や学習状況を把握し、教育指導の充実・改善を図るために活用するという学力調査本来の狙いから外れ、学校間の競争をあおるおそれがあること、2つに、学校の序列化につながるおそれがあること、3つに、複式学級がある小規模の学校などでは、個々の子どもの成績を公表することになるおそれがあることなどが懸念されます。

 また、地域の事情によって、それぞれの学校の状況が異なるという問題もあります。例えば、塾に通っている児童・生徒の割合が6割を超える学校もあれば、塾に通いづらい地域の学校もあります。また、35人を超える学級が複数ある学校もあれば、先ほど傍聴に来てくれた学校のように、1学年10人程度の学校もあります。こうした地域の事情や学校規模などそれぞれの学校の状況を考慮せず、平均正答率の点数という尺度だけで学校評価がされることにも大きな課題があります。

 このように、懸念されることが多いことから、学校名を明らかにした公表については、市教育委員会としましては現時点では考えていないところであります。

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