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『アル・カポネ ―スカーフェイスに秘められた真実―』

アル・カポネのポスター
アル・カポネのポスター

宝塚歌劇団雪組のシアター・ドラマシティー公演『アル・カポネ ―スカーフェイスに秘められた真実―』を観劇。

主演は、歌唱力が抜群の"だいもん"こと望海風斗さん。

花組から2番手として雪組へ組替えして最初の主演作品で、最近めっきり少なくなったダークヒーローがよく似合う実力派スター。

単純な悪役じゃなくて、どこかにダークヒーローなりの良心や正義が感じられるのは、花組時代の『オーシャンズ11』のベネディクト役でも実証済みで、物語に深みを与えてくれます。

そして、決してスタイルに恵まれているわけではないのにスーツがよく似合う事。特に、背中で男役を演じられるのは貴重な存在かもしれません。

望海さんのサイン入り樽
望海さんのサイン入り樽

禁酒法時代ののシカゴを舞台に、貧しいイタリア移民からたたき上げ、全米を震え上がらせた実在の大物ギャング、アル・カポネを描いた本作品は、当時のアメリカ社会の闇の部分を描きつつも明るさを失わないよい脚本でした。

学生時代にギャング同士の抗争に巻き込まれたところをアル・カポネに助けられ、やがて彼を追うことになる数奇な運命の捜査官エリオット・ネス演じる月城かなとさんも、爽やかな演技でこのところ実によい芝居をしていて、雪組若手の熾烈な争いの中でめきめきと頭角を現しています。

ヒロインは、大湖せしるさん(先日大劇場のエレベーターで大湖とすれ違いましたが、本当にお綺麗で、宝塚の娘役というより大物女優の風格でした。)演じる妻メアリーなのですが、事実上はアル・カポネとエリオットの物語でした。別格娘役の大湖さんの使い方としては大成功だったように思います。

主役のアル・カポネの存在感を際立たせることにも成功していると思いました。これが、トップ娘役が相手だと成立しにくかったかもしれません。

最後にどんでん返しもありダイナミックな展開の作品でしたが、場面場面の描写にあまり深入りせずにすっきりとした作品に仕上がっており好感を持ちました。

それにしても、望海さんの存在感は凄かったです。いつでもトップになる準備が出来ているようでした。

次回作はそろそろダークじゃない役が観たいですね。

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