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初めての東宝版『エリザベート』観劇記その1(蘭乃はな)

帝劇ロビー
帝劇ロビー

初めての東宝版『エリザベート』を帝国劇場で観劇しました。ダブルキャスト公演なのですが、今回はエリザーベートに蘭乃はなさん、トートは城田優さんと井上芳雄という2パターンを観ました。

この作品は、オーストリア帝国最後の皇后エリザベートを主人公にしたウィーン発のミュージカル(脚本・歌詞/ミヒャエル・クンツェ、音楽/シルヴェスター・リーヴァイ、オリジナル・プロダクション/ウィーン劇場協会)を、小池修一郎が潤色・演出し宝塚歌劇団が日本初演をはたした名作。

蘭乃はなさん
蘭乃はなさん

主役の蘭乃はなさんは、昨年11月にこのエリザベートで退団されたばかりで、退団後最初の舞台が大作ミュージカルの主演。

宝塚版はタイトルロールとは言え、主人公は男役であるトップスターが演じるトート(「死ー黄泉の帝王」)であります。

城田優さん、井上芳雄さんがいかに存在感のあるトートであったか観劇した方ならよくお判りでしょうが、それでもやはり東宝版はエリザベートが主人公の物語として構成されています。

そしてダブルキャストのもう一方は、宝塚版の(というより日本版の)エリザベートを初めて演じた花總まりさん。かつ、蘭乃さんが一番憧れたと公言する伝説のトップ娘役だった方です。

元来がダンサーであり、歌は得意ではなかった蘭乃さん、しかも退団公演で演じたエリザベートを今度は主人公として演じるということで、かなりのプレッシャーもあったかと思いますが、蘭乃さんは宝塚版とは全く別のエリザベート像を演じていました。

一言でいうなら、枯れないシシィー。

少女時代から老いて暗殺され昇天するまで一貫してみずみずしいのです。

娘役の集大成としてすべてを背負った退団公演より力みが無く伸び伸びとした感じがしました。

トート、夫フランツ・ヨーゼフ皇帝との恋愛要素が物語の鍵であった宝塚版とは大きく異なり、大好きな父親のように、ただひたすら自由を求めて生きることがすべてのエリザベート(愛称シシィ)は、暗殺者ルキーニにナイフで刺され死を司るトートの待つ黄泉の国へ行く瞬間までも、己の道を歩み続けます。

宝塚版とは歌のキーが異なり、これまでの娘役独特の歌唱が通じず歌に荒さもありましたが、一本筋の通ったエリザベート像は蘭乃さんの個性を十分生かしたものでした。

来週にはもう一度観劇するチャンスがあり、花總まりさん出演の回もあわせて観られるので、ふたりの違い・個性を充分堪能してきたいと思います。

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