議会レポート

富山市議会平成27年3月定例会一般質問(原稿)

この記事は、読み上げ原稿を掲載したものであり、公式の議事録とは異なる場合があります。

1.浸水対策について

 明日3月11日で、東日本大震災が発災してから四年となります。

地震防災対策特別措置法の3月末の適応期限切れが迫るなか、法律の延長への働きかけをお願いしていた野上浩太郎参議院議員から「どうにか議員提出法案にめどがたち、全会一致で可決の見込みです」と連絡をいただき安堵していた矢先のことでしたので、発災したその瞬間に議員控室のテレビから流れて来た映像を直ちに受け止める事が出来ませんでした。

あらためて犠牲となった皆様へのお悔やみと1日も早い復興をお祈り申し上げます。

火防水路事業について

 平成27年度予算に計上されている火防水路事業については、市街地における防災機能の向上や浸水被害の軽減を図るため、老朽化が著しい火防水路を再整備するとされています。

老朽化した水路を整備して浸水対策にも活用するとの事であり、火防水路には市街地での集中豪雨時の雨水排水路として、これまでになかった機能も期待されるところです。

しかしながら、これまで指摘してきた通り、豪雨時に水門操作を行ったにもかかわらず図面上には記載されていない経路で水路に雨水が流入し溢水するなど、地元でも把握されていないような複雑な水路網が市街地に存在し、豪雨時の水路管理は十分とは言えない状況です。

今後は、水路の改修などの際に、上流域を含む面的な水路の調査を計画的に実施する必要があると考えます。そうすることで水門の自動化や貯留施設のハード整備と水門操作によるソフト的な対策が効率よく進められると考えます。

水路調査の実施について見解を求めます。

浸水対策事業について

 平成27年度予算に計上されている浸水対策事業について伺います。

この事業のうち測量設計を行う藤木排水路、月岡東緑町排水路、宮田川の三つの地域については、かねてから地元と協議を重ねての事業計画です。

例えば、宮田川流域では浸水対策としてコンサルタントを交え地元と市が浸水対策について協議し、公園での貯留施設整備を含む計画をまとめ、ボーリング調査も実施しながら、より効果的な対策も模索するということで、なかなか事業着手に至っていません。早期の事業着手が望まれています。

これら事業の概要について答弁を求めます。

2.子ども・子育て支援新制度への移行について

 幼稚園の認定こども園への移行について本市では平成27年度に移行を希望する園はないとのことですが、それぞれの幼稚園においては今後の移行をにらんで準備を進められていると思います。幼稚園から認定こども園への移行については給食施設の整備が課題の一つであります。

12月議会でも私立幼稚園に対する助成が決定されましたが、引き続き認定こども園へ移行を検討している幼稚園が行う施設整備に対し支援を行うとともに、本市が開発した給食業務を支援する保育園給食システムの利用解放など、ソフト面についても支援し、認定こども園への移行が円滑に進むようはかっていただきたいと考えます。答弁を求めます。

 今ほど述べました保育園給食システムの利用のように、幼稚園側の持っている情報不足や本市側の認識不足など、移行作業を進めていく過程で細かな点であらたな課題も見えてくるかと考えます。さらには県との情報共有なども必要と考えます。

どのような課題がありどのように富山県と連携して解決されるかについても、答弁を求めます。

 子ども・子育て支援新制度への移行については、これまでも同僚議員のみなさんと教育機関が実施するセミナーや、国のワーキンググループに専門委員として参加された専門家のもとを訪れ勉強会に参加するなどしてまいりました。様々な課題がありながらようやく新制度への移行に向けてスタートすることになりました。

とは申せ、課題のうち幼児期の教育と保育については十分議論がなされたとは言い難い面もあるように感じます。新制度の下で暫く時間をかけることでやがて収斂されていくことかもしれませんが、この根本となる問題は、幼児期以降の健全育成と学童保育にもつながるのではないかと考えます。

そこで、そもそも幼児期の教育と保育とは何かについて、市長の答弁を求めます。

3.福祉施策と医療について

(1)地域包括ケアに係る公共施設について

 訪問診療を中心としたまちなかでの地域包括ケア体制の構築施策のうち、在宅医療支援施設について、施設が出来ることでどのような医療が受けられるか利用者側からみたモデルを示すことで、都心地区にこのような施設整備を進めることに対する市民の理解と、医療体制を維持する上で重要な市民の医療への信頼感と安心感の醸成にもつながると考えます。

病児・病後児保育などについてはこれまでの議会で市長から、想定される具体的な利用形態について利用者にとって理解のしやすい答弁がありました。

在宅医療支援施設についても、利用者側から見てどのような施設になるのか答弁を求めます。

(2)市民病院について

 昨年、同僚議員の皆さんと東京の民間医療法人グループの実施する在宅医療についてのセミナーを受講してきました。そこでは着目した点が二点ありました。

一点目は、介護予防を重視する考えを改めなくては在宅医療がもたなくなるという点。この点については、都市部の抱える介護や医療体制の課題と地方都市が抱える課題の違いなどを検証する必要がありますのでこれ以上は申し上げませんが、もう一点目は、民間の医療法人グループが主催するセミナーにもかかわらず、医療や介護の専門家とこうした分野の医療関係者や介護事業の従事者だけではなく行政の福祉保健、医療分野の担当者、住民などが受講していることでした。

さらには、セミナーの形をとりながら、その医療法人グループの今後の経営方針を発表するプレゼンテーションの場でもあったことでした。

在宅医療で連携している医療関係者や行政担当者、住民に対して在宅医療の課題とその課題を解決するための医療法人グループが目指す経営方針が非常にわかりやすい形で示されていました。

株主だけではなく消費者に向けて経営方針についてのプレゼンテーションを行うことは民間企業ではよく行われていることですが、医療法人で行うところがあることに驚くとともに、行政でも取り入れていただきたいと考えたところです。

そこで、富山市民病院においても経営計画と実績をわかりやすい形で市民に広報し、富山県、富山医療圏における市民病院の位置づけと目指す方向性、他の医療機関、開業医との連携強化などで、市民が受けられる医療体制の現状と将来像を示す必要があると考えます。

経営方針をプレゼンテーションすることのついての見解を求めます。

4.文化施策について

 富山市民文化事業団によるプロデューサー全国公募に応募され、平成21年4月1日、プロデューサーとして正式に就任。平成23年3月グランド・ミュージカル「回転木馬」の成功を受けて同年4月に芸術監督に就任し、12日からオーバード・ホールで上演される「ショウ・ボート」をはじめとする名作ミュージカル上演シリーズの成功などの功績を残された奈木隆氏がこの3月末に任期を迎えられ芸術監督を退任されます。

奈木監督に対する労いと評価について、市長の答弁を求めます。

 4月から芸術監督に就任される須藤晃氏は音楽プロデューサーとして、故尾崎豊さんなど著名な歌手のプロデュースに関わってこられた経験と実績をお持ちで、これまでの奈木監督とは異なる経歴・専門分野を持った方です。

一方で、平成27年度には奈木監督が制作された、私も大好きな「ミー・アンド・マイガール」の再演も予定されていることから、これまで築き上げて来たミュージカル資産も活かしながらの船出となるのでしょう。

新芸術監督に期待することについて、ミュージカル資産をどのように位置付けていかれるのかも含め、森市長の答弁を求めます。

 本年8月にガラス美術館・図書館本館を含む複合施設が開館をいたします。

そこで、ガラス美術館をはじめとした文化施設の連携が必要と考ますが、見解を求めます。

 これまで議会で提言してきた通り、富山市民文化事業団とオーバード・ホールは、利害関係者たる市民すべてにむけ他の部局とも連携して事業展開をする必要があると考えています。つまり、入場料を払う観客だけではなく、税を納める市民すべてを対象として事業を提供する義務があるということです。

すでに、ウィークエンドコンサートなどの事業がありますが、こうした事業を介護分野、教育分野などで担当部局と連携した事業の柱のひとつとすべきと考えます。

オーバード・ホールについては検討会議で今後のありかたが議論されているところですが、このような、幅広い市民を対象として他部局と連携して事業を進めることについて見解を求めます。

5.まちづくりについて

(1)中心市街地活性化について

 新規出店サポート補助金について、補正により前倒して予算計上されましたが、これまでの利用状況について答弁を求めます。

 この補助金については、平成25年6月定例会で外部の目を入れてはどうかと提言させていただき、中小企業診断士の関与などの制度改正を行いましたが、制度改正後の評価について答弁を求めます。

 あわせて、創業者支援資金融資制度など、他の部局と、関連する施策との相互連携を図る必要があると考えますが、見解を求めます。

(2)公共交通について

 公共交通利用促進のため、「とやまレールライフプロジェクト」に取り組んでいますが、自家用車の保有台数、通勤通学の自動車利用について目標数値とスローガンを掲げ、公共交通の利用促進につなげる必要があると考えますが、答弁を求めます。

 改正地域公共交通活性化再生法の可決を受けて、本市の公共交通施策に関わる諸計画と、法案に定める地域公共交通網形成計画などとの関係について質問します。

昨年11月21日成立した改正地域公共交通活性化再生法については、平成26年9月定例会でも質問しましたが、改正法案の成立を受けて改めてお尋ねいたします。

今回の改正については、個々の施策が変わったというよりも、やる気のある地方公共団体を重点的に支援することで、限られた予算を有効に配分するように制度が変わったと認識しています。

具体には、国の基本方針において、まちづくりとの連携を明確化され、市町村が事業者との協議のうえ協議会で策定する地域公共交通総合連携計画が廃止され、これにかわり『地方公共団体』が事業者との協議のうえ協議会で策定する地域公共交通網形成計画を策定することとなり、これまでの連携計画に、コンパクトシティの実現に向けた『まちづくりとの連携』と地域全体を見渡した『面的な公共交通ネットワークの再構築』を追加することとなりました。また、地域公共交通特定事業のうち乗継円滑化事業が廃止され、あらたに創設された地域公共交通再編事業に組み込まれました。

本市では、平成19年から20年間の計画年次で策定された富山市地域公共交通総合連携計画、富山市公共交通活性化計画のほか、上位計画である富山市総合計画、富山市都市マスタープラン、富山市総合的都市交通体系マスタープランがありますが、改正地域公共交通活性化再生法におけるそれぞれの位置づけについて答弁を求めます。

 協議会の開催が市町村ではなく都道府県も開催できるよう地方公共団体と改められましたが、公共交通網はすでに市域を超えて公共交通機関を跨いで、バスからあいの風とやま鉄道への乗り継ぎなどを考えると県の果たす役割も重要です。また、県が策定する公共交通網形成計画と本市の公共交通網形成計画との連携も重要となります。

県と本市の役割分担と連携をどのように考えているかについても答弁を求めます。

本市がすすめているコンパクトなまちづくりについては、お団子と串の関係で説明されますが、都心地区を離れても、鉄軌道の駅から500メートル圏内や運行頻度の高いバス停から300メートル圏内は用途地域の指定があることなどの条件はあるものの、公共交通沿線居住推進事業の助成が受けられるお団子であるのですが、残念な事に未だにお団子とは富山駅を含む都心地区だけだとの誤解もあるようです。

ご自身の近くのバス停がお団子の一つであるにもかかわらずです。これは、コンパクトなまちづくりが道半ばであり、まだ実感が伴わないからかもしれません。

実感が伴うと途端に施策に対する理解が深まります。

例えば、まちなか居住推進事業についても、「そんな事をしても無駄だ、高齢者ばかり住むマンションだらけになる」という声が多かった都心地区でも、実際に子育て世代などが住み地域社会に関わり始めると、施策の効果に実感が持てるようになるようです。

年末から都心地区の町内行事に顔を出させて頂きましたが、忘年会、新年会、餅つき大会、総会などで「昨年末に引っ越してきました、よろしくお願いいたします」と若い世代の方が挨拶をされている場面を多くの地域で見ることが出来ました。

地域で永く暮らす方々からは「10年前は考えられなかった」との声も多くいただきました。

一方、新聞は「都心地区のマンション6割が50代以上」と報道していました。

私からすれば「何を馬鹿な事を言っているのだ、4割も若い世代が住んでいるっていう事じゃないか」と思わずツイッターに書き込んでしまいました。

公共交通から話が随分それましたが、まちづくりというのは気の遠くなるような長期的な施策であり、その効果を市民が実感出来るのは早くても10年はかかるのだという事です。

質問に戻ります。先ほどのお団子のことについてであります。

富山市公共交通沿線居住推進事業の対象地区の地図を見れば、お団子が沢山並んで連なっていますが、そろそろ次のまちづくりを見据えて、お団子を機能別、階層別に整理をする必要があると考えます。

例えば、富山駅周辺や中心市街地の鉄軌道やバスの結節点が第一階層のお団子、南富山駅周辺や、運行頻度の特に高いバス系統沿線にある拠点に第二階層のお団子を設定し、ハブアンドスポーク化する。その他のお団子を第三階層とし、第二階層のお団とハブアンドスポーク化する。

ハブアンドスポークは、過疎化が進む地域での公共交通施策と思われがちですが、市域全体でお団子を再定義してまちづくりをすすめていくことが必要と考えます。答弁を求めます。

 コミュニティーバスのありかたについては岡本議員からの質問に対して再編スケジュールの答弁がありました。

私からは別の観点からコミュニティーバスのありかたについて質問をいたします。

昨年から今年にかけて、イーグルバスやみちのりホールディングスといった、地方公共交通の再生を手がけてきた事業者に話を伺ってきました。

その中で指摘されたのは、バス事業の特異性としは、運行経費の約半分が運転手の人件費であり、車両を小型化したからと言って経営効率化に直結するものではなく、また、すでにバス運転手の人件費は全産業中の賃金ベースでも低水準にあるため、今後は賃金などの処遇改善をしなければバスが運行できなくなる事態になるとの指摘もありました。

このようなことから、顕在化しているバス運転手の確保の問題や助成金など、民間事業者とコミュニティーバスの経営資源の奪い合いが将来問題になってくるのではないかということでした。

そこで、経営資源の奪い合いにならないように、行政、事業者、市民(地域)の役割分担をもっと明確にし、地域公共交通網形成計画に盛り込むべきではないか、答弁を求めます。

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