活動レポート

市町村合併その3

はじめに

前回は地方財政の行方について書きました。今回は山田村を加えた「富山地域合併協議会」(以下「協議会」)がいよいよ具体な協議にはいりましたので、これらの議論のポイントについて触れてみたいと思います。

富山地域合併協議会

6月25日に「第3回富山地域合併協議会」が開催され、富山市、大沢野町、大山町、八尾町、婦中町、細入村に山田村を加えた7市町村による協議がスタートしました。それに先立ち、6月6日には「第1回市町村建設計画策定委員会」(以下「委員会」)が開催され、本格的な協議のスタートラインにたちました。

これらの協議の中で注視しているのは、富山市とそれ以外の町村の、合併に対する微妙な温度差です。

新聞報道にもありましたし、私自身6月議会でも取り上げましたが、「委員会」に提出された「新市建設計画の策定方針(案)」中の「(前略)・・・中心部だけではなく周辺部にも配慮した・・・(後略)」という文言をめぐって激しい議論が交わされました。

また、議論の前提となる「協議会発足にあたっての確認書」に盛り込まれた、「どの事業に合併特例債を活用するかは・・・(中略)・・・『富山市以外の地域の均衡ある発展に資するために重点的に充てることを基本とした公共的施設の整備事業』・・・(後略)」という文言をめぐっても、富山市とそれ以外の町村との綱引きが始まっています。特に、「合併特例債については、富山市以外の地域で使うというのが既定路線であるがのごとく主張する風潮」に危惧を抱いています。

下の表は、合併特例債を総務省のページで試算した結果ですが、合併後の、市町村のまちづくりのための建設事業として合計約669.2億円の事業が行えることに対して、「95%の借金が出来ますよ。そのうち70%は後々交付税で面倒見てあげますよ。」ということです。

逆にいうと、約669.2億円の事業が、約31.5億円の自己資金で出来ますが、残る借金は約597.7億円。このうち70%は国が面倒を見るといっても、そのもとになる交付税特別会計が借金で火の車になっているという事実。

表1.合併特例債の試算(※事業費ベース・・・標準全体事業費と標準基金規模の上限の計)
標準全体事業費 約 629.2 億円 合併から10か年度間の事業の合算額
起債可能額 約 597.7 億円 標準全体事業費の95%が起債できる
普通交付税算入額 約 418.4 億円 起債可能額の70%が交付税措置される

確かに富山市以外の町村からみると、今回の合併は事実上の吸収ではないか?という不安もないわけではありませんが、かといって住民を納得させる材料として、合併特例債をアメとして使うという風潮には到底納得できません。市町村合併の目的の一つである行財政改革から大きく外れてしまいます。

合併特例債は、やがて国民・市民の負担となっていきます。今だけのことを考えるのではなく、将来的にも真に住民のためになる事業のみに限定して使わなければなければなりません。

結び

せっかく地方のシステムが大きく変わる、より良い方向へ変えることが出来る大きなチャンスである合併。正しい方向へ導けるように、議会では勿論のこと、県内の若手市町村議員でつくる「政策フォーラム34」など幅広い場所で、議論・情報交換をおこなっています。今後も的確な情報をお伝え出来るよう努めてまいりますが、皆様からも忌憚のない意見を頂戴いただければ幸いです。

参考市町村合併に関するリンク

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