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僕が生まれる60年前 - 「〈満洲〉の歴史」を読んで

  • 鋪田博紀

真珠湾攻撃があったのは1941年12月8日(現地時間12月7日)で昨日のこと。我が国は米国を相手に戦争をはじめました。

ところで、日清戦争は1894年(明治27年)から、日露戦争は1904年(明治37年)からはじまっていて、それぞれ、私が生まれる(私は1964年生まれ)70年前と60年前です。70年前というと歴史のかなたのように感じます。しかし、日露戦争となるとそうでもありません。私が生まれるわずか60年前にバルチック艦隊と連合艦隊が日本海で戦い(明治38年)、203高地をめぐり死闘が繰り広げられたとは。

そして今から60年前というと1948年。F1撤退を表明したホンダが創業し、ジョン・ボーナム、ロバート・プラントや井上陽水、糸井重里、毛利衛さんらが生まれた年でもあるそうです。

突然こんなことを思いついたのは、たまたま、 「〈満洲〉の歴史」 (小林英夫著/講談社現代新書) という本を読んでいるからなのですが...

著者の小林英夫氏は早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の教授でアジア経済論が専門の経済学者です。

Wikipediaによれば左派の立場で近現代日本の社会経済史を研究しているそうですが、私は、近代史・現代史に関するものは、両方の立場の本を読むことにしています。いわゆる「南京大虐殺」をあつかったもの、靖国神社をあつかったもの‥

この本でも、第6章の『満洲に生きた人たちの生活と文化―「五族協和」の理想と現実』あたりは、当時の憲兵隊に没収された手紙を紹介しながら、そこに暮らした人々の視点から当時の満洲の実情をあきらかにしています。

しかし、比較的客観的に当時の列強と日本の置かれた立場を描きつつ、日本が満洲で何を実現しようとしていたか、また、さまざまな人々が同床異夢を見ていたかが描かれています。

経済学者ということなので、もう少し経済的な面からの切り口があってもいいのではないか?と思いましたが、入門書としては読みやすい本です。

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