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蘭寿とむ・蘭乃はなコンビの魅力全開『長い春の果てに/カノン』宝塚歌劇花組全国ツアー

蘭寿とむ・蘭乃はな
蘭寿とむ・蘭乃はな(公演プログラム)

蘭寿とむ・蘭乃はなトップコンビ主演の宝塚歌劇花組『長い春の果てに/カノン』全国ツアーを5月20日(日)に神奈川県民ホールで12時の部を観劇してきました。

ちなみに5月20日は蘭乃さんの誕生日(さらに野上浩太郎議員の誕生日)でした。

『長い春の果てに』は、フランス映画『世界で一番好きな人』(監督:アレクサンドル・アルカディ)をミュージカル化し2002年に月組(主演:紫吹淳・映美くらら)で上演された作品の再演。また、『カノン』は1月から3月まで上演されたレビューを全国ツアー用に再編した作品です。

『長い春の果てに』

裕福な病院の跡取りである天才脳外科医ステファン(蘭寿とむ)は、手術の失敗により女優の命を奪ってしまったことで、生身の患者を観ることが出来す、研修医を相手に死体解剖しかできなくなり、自堕落な生活を送っていた。

そこへピアニスト志望の14歳の家出少女エヴァ(蘭乃はな)が転がり込んでくる。彼女は幼い頃にインターンだったステファンを王子様として憧れていたのだった。

思春期のエヴァに翻弄されながらも二人は惹きつけられていくが、実はエヴァは手術が困難な脳の病気を患っていた。エヴァの命を救うために、己のトラウマと戦うことを決意したステファンは...

笑いあり涙ありの実に温かい作品でした。

蘭寿さんはトップスターに就任以来、重厚な作品が続きましたが、彼女のもう一つの持ち味である、いかにも主人公らしいカッコいい明るいキャラクターを伸び伸び演じていました。

特にトップ就任後初の現代モノということもあり、おしゃれなスーツに白衣、しゃれたメガネに地毛の金髪とくれば、蘭寿ファンの萌えポイントをストレートについてくるキャラクターは、蘭とむ(蘭寿さんの愛称)パワー炸裂でした。

また、ヒロインの蘭乃さんも、思春期の少女のいじらしさと、大人になってからの落ち着いた女性の魅力の演じ分けが抜群で、蘭ちゃん(又は、蘭はな。蘭乃さんの愛称)ファンの萌えポイントにストレートに訴える好演でした。

ダンサーのイメージが強い蘭乃さんですが、実は演技もかなりのもだと認識。

宝塚で演技派のトップ娘役と言えば宙組の野々すみ花さんがまず浮かぶのですが、野々さんの演技は職人ぽい印象があるのですが、蘭乃さんの演技はナチュラルな素人ぽさな印象ですが、実はかなり研究して作り込まれたものではないかと、今回の舞台を見て再認識。

『ファントム』の公演評で「大化けする可能性を感じた」と偉そうに書きましたが、とっくに化けていたのですね。

また、ステファンを敵視するライバルの同僚外科医クロード役の壮一帆さんも、実に渋い演技で、オペ服姿のダンスシーン(宝塚ではこういうのもありです)は痺れました。あらためていつでもトップスターになってもおかしくない2番手(本当に何故、壮さんをトップにしないのかが不思議でなりません)がいるというのは花組の強みだと思いました。

その他の配役では、ステファンの元恋人ナタリー役の桜一花さんも、花組の娘役で最上級生とは思えないキュートな大人の精神科医を好演。小柄な彼女が、ステファンを助ける長身の医師アルノー(朝夏まなと)と背伸びしてキスをするシーンが印象的でした。

次の公演から宙組へ組替えとなる朝夏さんも将来のトップスター候補らしく、爽やかで華のある演技で魅了してくれました。

友人ブリス役の望海風斗さんも、演技派らしく(歌も上手い!)コメディエンヌぶりを発揮。客席へ降りての熱演でした。

それから、ステファンの母親イボンヌ役の花野 じゅりあさんの発散振りは驚きました。笑いを独占していました。あんな母親がいたら亭主も息子も逆らえないだろうな...

研修医ヴァール役の月央和沙さんも、出る場面出る場面で気の利いた小芝居がいい味出してました。

『カノン』

バウホール・日本青年館で公演する『近松・恋の道行』チームと別れる関係上、人数が少なくなるので、どんなふうになるのかと心配しましたが、大劇場版と比較してもひけを取らないどころか、更にパワーアップしていました。

『近松・恋の道行』チームのタカラジェンヌや前トップスターの真飛聖さんんも観劇していたせいか、客席に降りての踊りもヒートアップしていました。

好きな場面はたくさんあるのですが、まずタンゲーラという場面での蘭寿とむ・蘭乃はなコンビ妖艶で息の合ったダンスはこのレビューの最初の大きな見せ場。

次に、燃える月という場面の蘭乃さんのキレのある激しいダンス。そしてパシオン・ネグロというこれぞ蘭寿とむ率いる花組男役のダンス全開というパッショネイトな場面。そして、祈りという場面の男役・娘役入り混じっての優しくそれでいて強い希望を感じるダンス。

それにしても蘭乃さんのダンスは好きだな(もちろん蘭寿さんのダンスはいまさら語るまでもなく最高です)。

ベテランの一花さんやじゅりあさんのようなしなやかさはまだあまり感じられないのだけれど、芝居でみせる幼さや可憐さから想像できない、ちょっとボーイッシュだったり妖艶だったりするキレのあるダンス。

蘭寿さんが花組でトップになると決まった時は、大人の魅力が売りの蘭寿さんには、正直幼すぎる相手役だと心配しましたが、全くの杞憂でした。

本当に、蘭寿とむ・蘭乃はなという踊れるトップコンビがいる花組のレビューは見ごたえがあります。そしてまわりを固めるジェンヌも素晴らしいダンサーばかりです。

(そうそう、月央さんは芝居とは真逆ののカッコいいダンサーぶりを今回も発揮していて、ファンになりました。)

花組全国ツアーと、日本青年館はまだしばらくありますし、9月13日(木)には、星組が『琥珀色の雨にぬれて/Celebrity』全国ツアーで富山市オーバードホールにやってきます。トップ娘役の夢咲ねね(富山市出身)さん2度目の凱旋公演です。

みなさんも一度お近くの会場に足を運んでみませんか?

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