議会レポート

平成14年3月議会・一般質問

1.中心市街地の活性化について

(1)市街地の整備改善方針

 平成14年3月定例会に当たり、一般質問を行います。

 1月の補欠選挙では「人がまちをつくり、まちが人を育てる」というまちづくりの観点と、「育ち盛りの子供を持つ親として、子供たちに何を伝えられるだろうか」という教育の観点から政策を訴えました。それらの点について、今回、私なりの提言を含め、質問させていただきます。

 初めに、中心市街地の活性化についてお尋ねいたします。

 中心市街地の活性化あるいは再生といっても差し支えないと思いますが、これは地方都市共通の課題であり、決定的な方策がなかなか見当たらないのが現状です。国においても、これを喫緊の問題としてとらえ、都市再生特別措置法の制定や都市再開発法の改正、建築基準法の改正について、今国会で議論されようとしています。

 そのような中、ミニチャレンジショップやコミュニティバス運行事業など、官民が一体となったこれまでの取り組みは、他の地方自治体からも注目を集めているところでございます。 そこで、中心市街地整備改善活性化法を受けた中心市街地活性化基本計画が平成11年9月に策定され、この基本計画に基づき、先ほどの事業を初め、さまざまな方策がとられていると思いますが、この計画の中にあります「市街地の整備改善方針」についてお尋ねいたします。

 第1に、「公共施設の中心市街地への立地誘導」について、具体的にどのような施設を想定されていますか。また、城址公園整備にあわせて移転改築予定の図書館、中央児童館以外にも、中心部には県を初めさまざまな関係機関の公共施設が点在をしています。これら関係機関との調整を図る必要があると思いますが、連絡・協議体制は、現在どのようになっていますか、お尋ねします。

 さらには、財政状況にかんがみPFIなどによる民間との共同事業、あるいは集積度を上げるため、複合施設への入居なども検討される必要があるのではないでしょうか。

 第2に、「都心居住のための住宅供給の推進」については、これまでのような公共賃貸住宅によるもののほか、民間による分譲形態も考えられますが、今後どのように推進されるのか。また、福祉施設や商業施設、さきに上げました公共施設との複合開発は考えられないか、お尋ねいたします。

(2)TMOとインキュベーター・ショップ運営事業

 続きまして、TMOとインキュベーター・ショップ運営事業についてお尋ねいたします。

 株式会社まちづくりとやまが事業主体となって、インキュベーター・ショップ運営事業が実施され、ミニチャレンジショップとして、「フリークポケット」「まちなか西遊房」の2カ所が現在営業されております。

 先ほども申し上げましたとおり、これらの事業は、中心市街地活性化に取り組む他の市町村からも注目をされているところであり、また、評価されるべき事業と考えています。
しかしながら、独立をしようとする経営者の方からは、中心街での出店を希望しているがなかなか適当な場所が見つからない。具体例で申し上げますと、シャッターが下りていて、既に御商売をされていないお店に賃貸のお願いを申し出ても、なかなか貸していただけないといったお声を伺います。無論、賃料や所有者の個々の事情など、さまざまな要因がありますが、若い商業者にとってこのような交渉事は高いハードルとなっています。もちろん各種の空きテナント情報の収集・公開はこれまでもなされておりますが、十分活用あるいは機能していない部分もあるようです。

 そこで、現在のインキュベーター・ショップ運営事業の現況、把握されている問題点、またそれらに対する分析はどのようになっているか、また、今後の事業展望についてお聞かせください。

(3)再開発事業について

 続きまして、再開発事業についてお尋ねします。

 現在、西町・総曲輪地区再開発事業と、総曲輪通り南地区再開発事業において、組合設立や管理会社の設立に向けて動き出しているところでございますが、これらの地区は中心市街地活性化基本計画における重点区域にあり、また、連続した街区を形成しています。今後、再開発が予定される街区も含め、これらの街区全体の連続性、あるいは来訪者から見たストーリー性とでも申しましょうか、単に平面的なものにとどまらず、立体的あるいは映像的な空間としての連続性のあるまちづくりが必要と思われます。

 街区一つ一つのショッピングモールとしての物理的条件は、「ファボーレ」のような大規模郊外店には、売り場面積、駐車場収容台数、集積度など、個々のお店の魅力以前の部分で残念ながらかなわない点があります。

 もし、逆に中心市街地でなければならない理由があるとすれば、商店街としての魅力はもちろんですが、むしろ、先ほど上げた公的な文化施設を含め、まち全体の空間としての文化的、情緒的魅力があるかないかであり、それらをもって差別化を図る必要があります。そういう意味において「中心市街地活性化推進室」が、商業振興関連のみならず、都市計画・住宅政策・福祉政策・交通体系などさまざまな分野が複合的に関連する市街地活性化問題に対応すべく、さらに強力な庁舎横断的かつ専門的組織として強化される必要があると思われますが、いかがでしょうか。

 また、先日、我が会派が主催しました「公共交通とまちづくり」と題する研修会で感じましたのは、諸外国では「公共性」というものが非常に大切にされているということです。これも都市計画を語る上で必ず言われ続けていると同時に、現在の我が国では文化的・歴史的背景の違いから、なかなか理解を得にくい考え方でもあります。

 しかし、市街地活性化とそのための市街地再開発が困難を伴う理由には、利害の対立を含む経済的な障害以上に、この「公共性」に対する市民のコンセンサスが得られていないことがあるのではないかと思います。もっと言えば「中心市街地が必要かどうか」「中心市街地がなくなってもいいのですか」「中心市街地再開発はだれのためか」という強い問いかけと同時に、「このようなまちを目指していきたい」というプランを提示していく必要があるのではないでしょうか。

 これからの地方自治の主役は市民です。しかし、逆に言えば、行政からも強いメッセージを発信し、市民の間にある潜在的な要望、アイデア、行動力というものを引き出すことが重要だと考えます。つまり、政策のキャッチボールとでも申しましょうか。

 森市長が提案理由説明の中でも触れられました「市民提案型まちづくり事業」は、大変すばらしい事業ではありますが、市民からの企画提案を引き出すためには、行政側からも情報提供・企画提案を行い、お互いに刺激し合う必要があると思いますが、いかがでしょうか。

2.都市計画について

富山市都市マスタープランについて

 次に、都市計画についての質問をいたします。

 平成11年3月策定の「富山市都市マスタープラン」についてです。

この中で、「将来の都市構造」と「土地利用の将来像」の中で、将来の富山の姿が描かれていますが、残念ながら現在の土地利用の追認程度にしか感じられません。もう少し積極的な都市像を描く必要があるのではないでしょうか。と申しますのも、本来、集積度が高まるべき地域で開発が進まず、中低層な住宅街に街並みにそぐわない高層建築物ができるという現象が見られます。また、郊外においても無秩序な開発の進行が見られます。

 このような状況にかんがみて、国においては「良好な田園環境でゆとりのある居住の実現」と「土地有効利用と活力ある都市の核づくり」を目指し、都市計画法と建築基準法の一部を改正する法律が平成13年に施行されました。

 富山市においても、平成14年度予算に盛り込まれた「市街化調整区域での地区計画ガイドラインの策定」「市街化調整区域の建築制限の見直し事業」が、今般の法改正にあわせて実施される事業であると思います。

 また、先日、ある都市再開発の研修会において、「金沢市は明らかに道州制への移行も視野に入れてまちづくりを進めているのではないか」という民間の都市計画コンサルタントの方のお話を耳にしました。これは推測の域を出ませんが、大変ショッキングな話でした。

 いずれにしましても、「予算が政策を映す鏡」であるとすれば、「都市計画もまた政策を映す鏡」であると考え、もっと積極的な、また将来の市町村合併や、その先をにらんだ「都市マスタープラン」の策定が必要あると思いますが、いかがでしょうか。

3.新しい学習指導要領について

 次に、新しい学習指導要領についてお尋ねいたします。

 まず、この4月から新しい学習指導要領と週5日制が実施され、教育が大きく変わろうとしています。新しい学習指導要領の基本的なねらいは、完全学校週5日制のもと、各学校が「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し、子どもたちに学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容を確実に身につけさせることはもとより、みずから学び、みずから考える力などの「生きる力」をはぐくむとされ、そのために、

  1. 授業時数の縮減と教育内容の厳選
  2. 個に応じた指導の充実
  3. 体験的、問題解決的な学習の重視
  4. 総合的な学習の時間の創設
  5. 選択学習の幅の拡大がなされるとあります。

 そこで、以上のねらいについて、「ゆとり」「特色ある教育」「生きる力」とは、具体的に何を指すのか。少なくとも小学校、中学校における教育の主体は、文部科学省や県教育委員会ではなく、この富山市です。教える側と保護者側双方にしっかりとした共通認識がないままに教育がなされた場合、言葉だけがひとり歩きを始め、森市長の提案理由説明にもありました「確かな学力の向上」は望めるはずもありません。

 実際に、先日視察に伺った台東区では、希望する区立中学校において、完全学校週5日制のもとに、新しい学習指導要領の全面実施による授業時数や教育内容の削減に伴い、学力低下が懸念をされていることに対し、基礎的・基本的内容の確実な定着を図るために、「土曜スクール」の開設を決めました。

 新しい学習指導要領について、市としての考えをお示しください。そして、これらを踏まえ、現場では具体的にどのように指導していくのか、また、これは現場任せになっていく心配はないのか、お尋ねいたします。

 特に「総合的な学習時間」については、理解も定着もないままに活動主義になるとの指摘や、何をやってもよい教育は、逆に何もしないことになりはしないかとの懸念もあります。

 また、授業時数の縮減と教育内容の厳選、つまり教育の量から質への転換は、指導力の差が顕在化するおそれがあるのではないかと危惧しています。その場合の教員に対するケアや子どもたちに対するフォローが必要であると思いますが、いかがでしょうか。

 平成14年2月21日、中央教育審議会によって「新しい時代における教養教育のあり方について」の答申がなされました。この中で、「教員の力量を高める」との項があり、「教員の研究や自己啓発活動の奨励」「社会体験研修の大幅な拡充等、教員研修の抜本的充実」「評価等の促進」がうたわれています。

 教育についてはさまざまな考えがあります。学力という言葉一つをとっても、さまざまな角度からの見方があり、また時代とともに学力観も変化してまいりました。いずれにしましても、教育は国の根幹をなすものであることには変わりがありません。市としてもしっかりとした取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、小・中学校校内LAN整備事業と教育コンピューター事業についてお尋ねいたします。

 私自身、教育ボランティアとして子どもたちのパソコン指導のお手伝いや、教員の皆様に対してのパソコン講習などを行ってまいりました。その中で感じましたのは、機器は十分整ったけれど、活用が十分なされていないということでした。パソコンは目的ではなく、単なる道具にしかすぎません。道具を使って何をするか、何を学ぶかのほうが重要です。無論どのように教育に活用するかは学校に任されて当然ですし、先生方の創意工夫も大切です。しかし、現実的にはパソコンに詳しい先生方に極度に負担がかかり、やがては貴重なそれらの道具も使われなくなる。あるいはパソコンを使うことが目的化してしまっているのが現状です。サーバーの管理から機器のトラブル、例えば、ある日突然インターネットに接続できなくなった、プリンターが突然動かなくなったなどの問題まで抱えながら教育への活用をこなすのは、非常にエネルギーと時間の要ることです。パソコンの導入整備にあわせて機器のサポート体制の充実も必要と思われますが、いかがでしょうか。

4.学校環境衛生の基準改正について

 最後に、文部科学省による「学校環境衛生の基準改正」に触れたいと思います。

 平成12年6月より厚生労働省が、いわゆるシックハウス症候群に関し、室内空気中化学物質濃度の指針値を順次設定していることを受けて、文部科学省は学校における化学物質の室内濃度について実態調査を実施し、平成13年度12月に4物質(ホルムアルデヒト、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン)についてでございますが、その結果を公表し、今回、厚生労働省の指針値及び実態調査の結果を踏まえて、学校環境を衛生的に維持するためのガイドラインである「学校環境衛生の基準」(平成4年6月体育局長裁定)を改訂し、新基準については平成14年度4月1日から適用される予定となっています。また、ただし書きとして、定期検査については学校の設置者等の判断により、地域の実情に応じ、順次、計画的に実施することができることとするとされています。

 かつて私が働いておりました住宅業界においても、数年前よりいわゆるシックハウスについて、建築作業に当たる作業員並びに入居される住人の健康被害がクローズアップされ、住宅メーカー、建材メーカー各社がこれらの対策に取り組んでまいりました。

 また、今国会においても建築基準法の改正が議論されようとしており、この中でもシックハウスについての対策が盛り込まれています。

 この4月に開校予定の光陽小学校においては、建設途中の法改正により、工事途中からではありましたが、最大限の配慮がなされたとお伺いしております。また、開校に向けて現在も換気作業が行われています。先日もPTA準備会の皆様と市職員共同で換気作業を行い、その結果、簡易測定器による測定ではありましたが、基準値を下回る値が得られました。しかしながら、これから化学物質の発生源の一つである机・いすなどの家具、備品の搬入を控え、今後も観察と各種対策を行っていく必要があります。

 そこで、「学校環境衛生の基準」の改訂を踏まえ、今後、岩瀬小学校を初めとする改築あるいは大規模改修が予定されている中、いわゆるシックスクールに対して県内研究機関や大学、高等専門学校など教育機関との連携をとりながら、研究・検査体制、改善方法などの確立が必要であると思いますが、今後の取り組みについてお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 教育についてはさまざまな考えがあります。学力という言葉一つをとっても、さまざまな角度からの見方があり、また時代とともに学力観も変化してまいりました。いずれにしましても、教育は国の根幹をなすものであることには変わりがありません。市としてもしっかりとした取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、小・中学校校内LAN整備事業と教育コンピューター事業についてお尋ねいたします。

 私自身、教育ボランティアとして子どもたちのパソコン指導のお手伝いや、教員の皆様に対してのパソコン講習などを行ってまいりました。その中で感じましたのは、機器は十分整ったけれど、活用が十分なされていないということでした。パソコンは目的ではなく、単なる道具にしかすぎません。道具を使って何をするか、何を学ぶかのほうが重要です。無論どのように教育に活用するかは学校に任されて当然ですし、先生方の創意工夫も大切です。しかし、現実的にはパソコンに詳しい先生方に極度に負担がかかり、やがては貴重なそれらの道具も使われなくなる。あるいはパソコンを使うことが目的化してしまっているのが現状です。サーバーの管理から機器のトラブル、例えば、ある日突然インターネットに接続できなくなった、プリンターが突然動かなくなったなどの問題まで抱えながら教育への活用をこなすのは、非常にエネルギーと時間の要ることです。パソコンの導入整備にあわせて機器のサポート体制の充実も必要と思われますが、いかがでしょうか。

答弁

森雅志 市長答弁

 鋪田議員の御質問にお答えをいたします。

 私のほうからは、都市計画につきましてのうち、将来の市町村合併やその先をにらみ「都市マスタープラン」の策定が必要ではないかとのお尋ねにお答えをいたします。その他につきましては、助役及び担当部長からお答えいたしますので、御理解をいただきますようお願いいたします。

 近年の地方分権の流れに沿いまして、都市計画に関しましても、21世紀の「都市型社会」にふさわしい新たな仕組みにするため、都道府県レベルの都市計画区域マスタープランの策定が制度化されております。このことを受けて、富山県では土地利用や線引きなど、地域の実情に応じた県の都市計画区域マスタープランについて、平成15年度を目途として策定作業に入っておられます。

 富山市の都市マスタープランにつきましては、先人が築いてきたまちづくりを踏まえて、広域的な観点にも配慮した将来の都市のあり方について、地域別市民集会や各界の有識者から成る策定懇話会などの御意見をお聞きし、まとめたものであります。こうしてまとめた素案を議会に報告の上、富山市都市計画審議会の議を経て平成10年度に確定しております。

 この計画は、20年先を見通した都市計画に関する基本的な方針でありますので、現段階では新たにつくり直す必要はないものと考えております。しかしながら、議員の御質問にも御指摘がありましたとおり、今後、行政改革その他市町村合併が進むこと、あるいはまた、先ほど申し上げました県の都市計画区域マスタープランとの整合などを図っていく必要があります。

 また、その後に起こり得る大きな社会状況等々の変化によっては、それに対応した見直しも生じてくるのではないかと思っておるところでございます。

 以上でございます。


石田淳 助役答弁

 再開発事業に関連しまして、市民からの企画提案を引き出すためには、情報提供・企画提案を行う必要があるのではないかという御質問でございます。

 本市では「市民と行政が協働で進めるまちづくり」を実現させるため、市民の自主的・主体的な活動を尊重し、その活動を協力・支援しているところでございます。このため、TMOが設置する「まちづくり公房」では、中心市街地活性化事業に対する市民等の理解と、まちづくりへの市民の参画を促すことにより、商業者・市民・行政の官民一体となったまちづくりを推進することを目的として、現在、応募された市民の方や商業者などの委員が、中心市街地活性化のための企画・アイデアの事業化に向けた検討を熱心に行っておられるところであります。

 また、現在進めております「西町・上本町地区まちづくり推進事業」におきましては、

 大和移転後の跡地やユニー西町店の跡地を含めた周辺地区のまちづくりを検討するため、「中心市街地活性化市民会議」などを立ち上げ、幅広い御意見をいただいているところであります。

 御質問は、再開発事業に関連してのことであると思いますので、少し具体的に申し上げますと、再開発事業におきましては、初期の段階では、まちづくりの基本的な指針となる「市街地総合再生基本計画」や、地区にふさわしい導入機能や事業手法の検討を行う「市街地再開発事業基本計画」などを作成することとされております。

 これらの作成に際しては、学識経験者や商工会議所、商店街の代表者、市民代表など広く関係者の御意見をいただいているところであります。

 このような検討を経ながら、権利者で構成する地元準備組織で施設構想を練っていくことになりますが、市街地再開発事業が具体化していく過程では、権利者の権利調整やキーテナントとの出店条件の調整、保留床の投資採算性などが事業の主体的な内容となり、これらが事業成否の大きな要因となってきますので、おのずと公開の範囲も限られてくるものでございます。


杉原信介 企画管理部長答弁

 中心市街地の活性化につきまして、公共施設の中心市街地への立地誘導について、まず1点目は、具体的にどのような施設を想定しているか、2点目には、関係機関との調整を図る必要があると思うが、連絡協議体制はどのようになっているか、3点目は、PFIや複合施設への入居なども検討する必要があるのではないか、以上3点についてお答えをいたします。

 平成11年9月に策定いたしました「富山市中心市街地活性化基本計画」の中で「市街地の整備改善方針」のうち「公共施設の中心市街地への立地誘導」として、図書館の整備などを位置づけております。

 特に、城址公園の 整備計画にあわせて、他の地区へ移転を図ることとしております図書館、中央児童館などの公共施設は、賑わいと交流を生み出す公共施設のネットワークの核となる施設であり、今後も中心市街地の活性化に必要な施設であると考えております。

 このため、平成14年度は「中心市街地における公共施設整備予備調査」として、図書館や中央児童館の機能を取り込んだ(仮称)「子ども会館」を初めとした各施設の望ましい機能や規模、立地条件や施設の複合化などによる賑わい効果、PFIなどの事業手法などについて、専門家からの情報提供も受けながら、さまざまな可能性を検討してまいりたいと考えております。

 また、中心市街地に立地しているいろんな公共施設との調整につきましては、予備調査を進める中で検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。


松井幹夫 商工労働部長答弁

 中心市街地の活性化に関連しまして、都心居住のための住宅供給の推進につきまして、民間による分譲形態も考えられるが、今後どのように推進するのか、また、福祉・商業施設や公共施設との複合開発は考えられないかというお尋ねがあったわけであります。

 中心市街地の活性化を図るためには、都心居住を推進することが重要であると考えておりまして、このため現在、中教院東地区市街地再開発事業での公共住宅の取得の事業を先導的に進めているところであります。今後、さらに居住機能の強化を図るためには、公共住宅の整備とあわせまして、民間活力の導入を図りながら、良好な住宅の立地供給の促進に取り組むことが重要であると考えております。

 しかしながら、中心市街地におけるまちづくり事業につきましては、1つには郊外と比較して地価が大変高いということ、2つめには土地、建物の権利関係が複雑で合意形成に時間がかかること、こういったことなど現実にはさまざまな問題がありまして、民間だけではなかなか事業の成立が難しい場合もあると考えております。

 このため、市といたしましては、今後、「特定優良賃貸住宅供給促進制度」や「高齢者向け優良賃貸住宅制度」などの活用を検討しながら、民間が主体となった優良な賃貸住宅の供給が図られるよう支援してまいりたいと考えております。

 また、福祉施設などとの複合開発につきましては、都心立地の利便性や個別の事業での建物用途構成などを検討しながら、積極的に進めていくべきだと考えております。

 いずれにしましても、本市といたしましては、「歩いて暮らせる街づくり」の基本方針でもあります「街なかにだれもが住める街」の実現に向け、官民一体となって都心居住のための住宅供給の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、インキュベーター・ショップ運営事業の現状、問題点、それらに対する分析はどのようになっているのか。また、今後の事業展望はどうかという点についてでございます。

 御案内のとおり、インキュベーター・ショップ運営事業は、若者ばかりではなくてシニア層も含めた各層の創業者を育成し、まちに定着してもらうことによって、空き店舗の減少と各年代層の来街者の増加による中心市街地の活性化を図ることを目的として、平成9年7月に「フリークポケット」が、また平成13年3月には「まちなか西遊房」が設置されたものであります。

 これまでに57人の方が創業に挑戦されまして、うち33人の方(2月末現在)が中心商店街を中心に独立開業されていることは、中心市街地の活性化に大きな成果をもたらしたものと考えておりまして、先進的な成功事例として、今年度も全国各地から、これも2月末現在ですが、82団体517人という多くの方が株式会社まちづくりとやまに視察にお見えになっておられるところであります。

 現在、シニア層を対象とした「まちなか西遊房」の入居者は順調に推移いたしておりまして、現在8人入っております。一方、若者対象の「フリークポケット」では、平成13年の初めごろから減少しはじめまして、この2月末でちょっと人数が少ないわけですが、4人の入居者という状況であります。このことは、昨今の厳しい経済情勢あるいは若者の起業意欲というものが少し薄れてきているのではないかと、こんなようなことも一つの要因ではなかろうかと考えているところであります。

 しかしながら、このインキュベーター・ショップの運営事業につきましては、創業者の育成とまちの賑わいづくりに重要な役割を果たすことから、市といたしましても、入居者に対する創業支援セミナーなどの開催を初めとしまして、独立開業に当たっての必要な資金を確保するための創業者支援資金制度の創設、さらには独立する場を提供するための、商店街空き店舗活用制度の創設などの支援を行っているところであります。また、株式会社まちづくりとやまでもタウン情報誌などで、入居のPRに努めているところであります。

 いずれにしましても、市といたしましては、今後とも、株式会社まちづくりとやまと連携を図りながら、若者の起業家が入居したくなるような魅力あるインキュベーター・ショップづくりに努めてまいりたいと考えております。

 次に、再開発事業の関連でございますが、中心市街地活性化推進室が、庁舎横断的かつ専門的組織として強化される必要がないのかという御指摘であります。

 中心市街地の活性化を図るためには、御指摘のとおり、商業等の活性化だけでなく、再開発事業を含む都市計画、住宅政策、福祉政策、さらに交通体系などの広範な対策を一体的・総合的に推進することが重要であると考えております。

 このため、本市では、平成10年に助役を本部長とした関係部局による横断的連絡調整組織として、「都心地区まちづくり推進本部」を設置し、また、その事務局を商工労働部の「中心市街地活性化推進室」に置いておりまして、これまでいろいろと協議を重ねてきているところでありますが、今後とも、庁内関係部局と連携を密にしながら、より一層中心市街地の活性化の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上であります。


大島哲夫 教育長答弁

 新しい学習指導要領について、まず、ねらいについて、「ゆとり」「特色ある教育」「生きる力」とは、具体的に何を指すのかというお尋ねでございます。

 新しい学習指導要領は、各教科の授業時間数の縮減以上に教育内容を厳選し、子どもに時間的なゆとりを持って学ばせようとしたものであり、そのゆとりの中に、真に必要な基礎的・基本的な内容をしっかりと学習できるようにとの考え方で改訂されたものであります。

 また、国においては、少人数授業を可能にする教員配置も計画的に始められ、個別指導やグループ別指導、ティームティーチングなど、子ども一人一人の理解や習熟の程度に応じたきめ細かな指導を工夫しやすくなっております。さらに、地域や子どもの実態に即し、創意工夫を生かした教育活動を行うため、指導内容を示さない「総合的な学習時間」も創設されました。

 このようなことを受けて、各学校では学習指導の工夫、読書活動、総合的な学習など、児童・生徒の実態に応じた特色ある教育計画を自由に工夫できるようになり、時間割の組み方なども含め、その学校としての特色ある教育が展開できるようになったものであります。

 そして、その教育計画に基づき、体験的な学習、問題解決的な学習などを取り入れ、「何のために学んでいるのか」「学んだことが何に役立つのか」といったことを実感しながら、出会うさまざまな課題に対して、自立した人間として学校で学んだことを生かし、意欲をもって主体的に対応していける力、いわゆる「生きる力」を育成しようとするものであります。

 各学校は、新しい学習指導要領のもとで、いわゆる「生きる力」の育成を目標として、

 特色ある教育計画を立てていかなければならないこととなっております。

 次に、新しい指導要領について、市としての考えを問うということでございますが、これは先ほどの御質問とも関連していると思いますが、今日、子どもたちに求められている学力として、まず、考えられるのは、言語理解力、言語表現力、論理的思考力、そして科学的方法を使う力であります。

 これらは主として、国語、算数・数学、理科を学ぶことで身につけられる力と考えますが、そう考えるとき、新しい学習指導要領で期待する基礎的な学力として、子どもたちに対して、いわゆる読み、書き、計算をしっかり身につけさせることがまず基本となります。そのためには、漢字や計算の練習、音読の反復や読書の習慣を身につける指導も必要になると考えております。

 最低基準としての学習指導要領に示される内容を、どの子供にもしっかり身につけさせることを第一として、理解力の十分でない子供には、基礎・基本を繰り返し補充的な学習に取り組ませる一方、理解の進んだ子供に対しては、発展的な学習に取り組ませることも大切であります。

 さらに、身近な課題に関心を持ち、各教科でつけた力を生かして積極的に取り組ませ、みずから学び、みずから考え、解決していく力と、豊かな人間性、健康と体力などもあわせて育成していくことが新学習指導要領で求められていると考えています。

 また、現場任せになるのではないかとの御指摘もありましたが、学校には主体性をもって取り組み、保護者に対して教育活動についての説明責任を果たしていってほしいと思っております。

 先ほど触れた学力についての考え方につきましては、昨年来、市校長会において話をし、子供たちに確かな学力を身につけさせるという観点から、各学校において十分検討するよう指示してきたところであります。

 さらに、学力の面から自己点検し、教育計画や指導方法の改善、教員一人一人の授業改善につながる自己評価も行っていくよう指示しております。なお、新年度の「市学校教育指導方針」において、従来、用いてきました「学校運営」という言葉を「学校経営」として、学校の主体性の位置づけを行っており、今後とも適時指導を重ねていく考えでおります。

 次は、教員の指導力の差に対するケアや子どもたちに対するフォローが必要であると思うがどうかというお尋ねでございます。

 学力問題につきましては、先ほどお答えしましたように、昨年来、校長会において指示してきており、各学校においては、全校一体となって新しい学習指導要領の研修を行い、各教員の得意分野を生かしながら、教材の取り扱い方や指導法の工夫を行うなど、個々の教員に必要な指導力の向上に努めていることと思っております。

 また、教員の指導力の違いによる影響が出ないように、従来からもTT指導や少人数授業を取り入れるなど工夫を凝らしてきておりますが、今回予算計上しております学校生活支援指導員も活用して、どの子供にも基礎学力が十分身につくよう適切な指導を行うよう、各学校を指導していきたいと考えております。

 指導力不足の教員への対応につきましては、現在、県において教員の適切な人事管理に関する検討委員会が設けられ検討が進められているところであり、その結果を受けて、県と連絡をとりながら対応していくものになると考えております。

 さらに、指導力不足教員を生まないための一つの方策として、従来の市独自の研修に加えて、平成14年度から教員の力量を高める手だてとして、夏休みに採用2年次・3年次教員が保育所体験研修を5日間、採用4年次・5年次教員が社会福祉施設の社会体験研修を3日間新規に行います。

 これによって、本市の教員は国・県の研修とあわせて、初任から6年次まで継続して6年間体験を組み込んだ研修を行い、教育者として幅広い視野を確保するための研修を実施することになります。

 次は、小・中学校校内LAN整備事業と教育コンピューターの事業について、パソコンの導入整備にあわせて機器のサポート体制の充実も必要と思われるがどうかというお尋ねでございます。

 本市では、校内LAN・教育用コンピューターの整備や教職員コンピューター研修を実施し、積極的な情報教育環境の整備を図っております。それと並行して教員の意欲的な研修への参加も増え、授業におけるコンピューター等情報通信機器の活用時間数も着実に増えてきております。

 コンピューター活用の支援を行うため、教職員コンピューター研修のほかに、コンピューター導入時には、専門業者による教育用ソフトウェアの研修会や学校からの要請により、専門業者が随時指導や講習会を行っております。また、コンピューターの機器やシステムなどの不調や故障などのトラブルに対しては、専門業者によるサポート体制をとっております。

 今後とも、学校の教育活動において、いつでもコンピューターが活用できるよう機器のサポート体制の充実も含めて、環境の整備を図ってまいりたいと考えております。

 最後に、学校環境衛生について、「学校環境衛生の基準」の改訂を踏まえた今後のいわゆるシックスクールの取り組みについてのお尋ねでございます。

 本市における学校施設のシックハウス(室内空気汚染)症候群への取り組みにつきましては、厚生労働省の指針や文部科学省の「学校環境衛生基準」に基づき、今後、改築や大規模改造事業などの発注に当たっては、設計段階からシックハウス症候群の原因とされている成分の少ない材料の使用や、換気設備の設置などを検討しているところであります。

 また、学校施設の完成時においても、ホルムアルデヒド等の濃度が基準値以下であることを施工業者が確認した上で引き渡しを受けることや、家具・備品等の搬入時には換気を励行するなど、より一層安全な施設づくりに努めてまいりたいと考えております。

 次に、シックハウス症候群についての県内研究機関等との連携した研究・検査体制、改善方法などの確立につきましては、国や県とも連携し、また学校薬剤師の方々の指導・助言も受けながら、必要なものについて順次計画的に対応してまいりたいと考えております。

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