議会レポート

平成15年3月議会・一般質問

1. まちづくり

(1)まちづくりに対する市民参画を促す施策

 平成15年3月定例会に当たり一般質問を行います。

 初めに、まちづくり、ここでは、特に都市計画上のまちづくりに対する市民参画を促す施策について伺います。

 平成14年度において、市民生活部所管の市民提案型まちづくり事業による市民参加型事業の推進などの施策がなされましたが、ひらがなの「まちづくり」だけではなく、都市計画上の「まちづくり市民参加型事業」の推進を検討していただきたいと思います。

 再開発を中心としたまちづくりは莫大な投資が必要とされ、また実現には、昨今の経済情勢から見て、財政面で今後大きな負担となっていくことも予想されます。もちろん、再開発による都市再生を否定するものではありませんが、一方で、市民参画により、行政・市民が応分の知恵を出し合い、汗をかき合い、負担を分かち合うまちづくりを進めていく必要があります。

 昨年視察した金沢市で感じた「自分たちのまちは、自分たちでつくる」といった市民のエネルギーは、長い歴史と伝統によってはぐくまれた「町衆の心意気」がその源泉となっているものと思われます。

 一方、我が富山市は、戦災復興の過程で、先人たちの尊い御尽力により、地方都市における「都市計画の優等生」と言われるほどになりました。高度成長期と重なったこともあったのでしょうが、それを差し引いても敬意を払うべき一大事業であると思います。しかしながら、完成されたまちであったがゆえに、「自分たちのまち」という気持ちが薄らいでしまったのかもしれません。

 1つには市民にまちづくりを学んでいただける場の提供、1つには学校教育において、まちづくりの学習機会を充実させることが必要なのではないでしょうか。

 最近、地方都市で市民参画によるまちづくり条例の制定や地区計画の策定などが進んでいます。これらの都市に共通するのは、先ほど挙げた金沢市のように、市民相互の共通認識がある程度醸成されているか、もしくはその過程で行政がかかわってきた点があります。しかし、一足飛びにまちづくりを市民に委ねるには、現段階では課題も多いと言えるでしょう。また、地方分権の流れの中で、将来的には地方みずから都市政策に当たらなければならなくなることは、ここ数年の都市計画法並びに関連法案のたび重なる改正からも読み解くことができます。

 開発行政と農政の絶妙なバランスのもとに成り立った、あるいは規制と緩和という相反する手法を国の主導のもとに行うことにより成立し得たこれまでの都市計画行政の転換期であり、地方行政にとっては大きな課題と言えるでしょう。

 そこで、質問に移ります。

 いわば、今、種をまき、やがては「自分たちのまちは自分たちでつくる」市民意識の醸成のために、「まちづくり市民インキュベーター事業」とでもいうべき制度を実施できないものでしょうか。例えば、町内会、NPO、まちづくりに関心を寄せる市民グループに応募していただき、2年程度の期限を定めてまちづくりの勉強会を重ね、擬似的な地区計画策定や関心の高いグループには擬似的なまちづくり条例の策定をしていただくことを一応のゴールとして、その成果を発表していただく。ゴールについては、結果はあまり問わない。できるだけハードルを低くする。そのために必要な専門家の講師派遣、視察等に対して支援をする。

 擬似的なものですから、費用対効果の面で疑問もあるかと思いますが、長期的に見れば都市計画、あるいはまちづくりに対する市民意識の高揚と、最終的には行政コストの削減にもつながるものと考えます。

 再開発予定区域においては、さまざまな取り組みもされていますし、TMOも「まちづくり公房」の開設・運営をされていますが、いずれも中心部もしくはソフト的な部分に焦点を当てた限定的な事業です。この「まちづくり市民インキュベーター事業」について当局の御見解を伺います。

(2)学校教育におけるまちづくり学習の充実

次に、学校教育におけるまちづくりの学習機会の充実を提案いたします。

 現在、小学校では、自分たちの住む地域の歴史やさまざまな施設を調べたりしています。西田地方小学校でパソコンクラブの指導ボランティアをしていたとき、子供たちと一緒に、デジタルカメラ片手に地域の公衆浴場の取材をしたことがありました。初めて訪れた子もおりましたが、好奇心旺盛な取材意欲に感心すると同時に、地域理解に一役買ったのではないかと思います。また、石金公園の整備の折には、地元の小学生がその整備計画にかかわったと聞いております。また、ある市町村では、まちづくりを学ぶために、将来の街並みを紙工作や発泡スチロールでつくるなどしています。

 子供たちは吸収力が抜群であり発想が柔軟です。発達段階の早いうちからさまざまな取り組みをし、将来の地域を担う人材になってほしいものです。総合的な学習の時間を活用し、まちづくり教育を推進していただきたいと思いますが、当局の見解を伺います。

(3)都市地区の住宅政策

 次に、都心地区の住宅政策について伺います。

 右肩上がり経済とその崩壊、そして農業経営基盤のもろさからくる衰えることのない郊外への開発志向。その結果、広い庭つき一戸建てという富山では極めて一般的な持ち家志向を満たし、郊外での優良な宅地需要を満たした一方、ドーナツ化現象と都心地区において極端な高齢化を引き起こしています。

 農業の持つ環境・食料安全保障といった公益的機能を認めた農政への転換を図るなどして農業を守る政策を進めなければなりませんが、同時に主に税制面などで優遇措置のある郊外宅地開発に比べ、都心地区における住宅開発に対する優遇措置は皆無であり、都市再生法による都心居住の推進策は容積率の緩和が主であり、必ずしも地方都市における都心地区居住推進のためのインセンティブとはなっていないのが現状です。

 そこで質問に移ります。

 平成15年度行政組織改正により、住宅政策推進班を新設すると聞いておりますが、ようやく商業活性化一辺倒であった中心市街地活性化の中での住宅政策の重要性が具体的な施策として実行されるのではないかと期待しています。

 中央通りにおいても、その3分の2を住宅地として再開発するといった取り組みが始まり、今後、調査・研究が進むことと思われますが、斬新かつ壮大な取り組みであり、また大きな困難が伴うことも予想される一大プロジェクトでありますことから、行政としても最大限の支援策を継続的にお願いいたします。今後の取り組みについて伺います。

 また、具体策として、最近注目を集めている入居者みずから企画段階から参加し、コミュニティーを形成しながら施工・管理するコーポラティブマンションは、これまでの地域と断絶しがちなマンション問題を解決しつつ、コストを抑えることで都心居住を促進できる可能性があります。

 あるいは屋上緑化条例や壁面緑化条例を制定し、環境面や景観面に配慮し、それらを付加価値とした中低層マンションの建設なども考えられます。屋上緑化については、東京都、東京23区、地方都市にあっては金沢市、岡崎市などが条例化しています。また、定期借地権を使った都市型ミニ宅地開発なども考えられるでしょう。しかしながら、開発側からすれば、商業ベースに乗りにくい。土地所有者からすれば、青空駐車場の方がキャッシュフローがよいなどの問題点もあります。何らかの助成制度を設け、需給双方にインセンティブが働き、自然に民間ベースでの都心居住促進につながる施策はとれないものか伺います。

(4)中心市街地の活性化

 次に、中心市街地の活性化について伺います。

 先日、年ごろの子供を持つ同年代の仲間で雑談をしていたところ、たまたま中心市街地の衰退について話題が移りました。「中心市街地に映画館や書店等が減って、子供たちや学生たちが娯楽・文化施設やお店へ行くため、わざわざ親が自動車で郊外まで送迎しなければいけなくなった」「郊外へ自転車で行かせるには、自分たちの子供のころと違い、交通事情が大きく変わり危険だ」というような意見が出ました。中心市街地の商業の衰退と郊外への大型店の進出は、大人ばかりか子供たちの生活にも微妙な影を落としています。

 さて、マーケット全体が縮小傾向にある今日、商店街あるいは地域全体を一つの商業施設として見立てたテナントミックスが必要でないかと思います。例えば、CiCとマリエを含むJR富山駅南地域を一つの商業施設として見立てるということです。いよいよ実現に向けて始動した富山駅周辺南北一体的なまちづくりも、成功のかぎはこの点にあると思います。

 私は再開発の重要性を認識していますが、一方で裏通り、路地裏、横丁の魅力がなければ再開発も生きてこないと考えます。両方がそろってこそ中心市街地が活性化されると思います。

 以下、質問に移ります。

 現在、この横丁の活気を支えている力の一つがインキュベータ・ショップ事業によって育った若い経営者であります。しかし、例えば長期不況による賃料の下落のために創業できた経営者が、再開発による賃料の高騰に見舞われて経営が立ち行かなくなることも懸念されます。経営努力を求めるのは当然としても、今後も安心して経営に専念できる、あるいは新たに創業しやすい環境を維持する施策が必要だと考えますが、当局の見解を伺います。

2. 観光振興

 次に、観光振興について伺います。

 観光は、私たちの生活にゆとりと潤いを与え、ふるさとの歴史と文化にふれあう機会を提供するとともに、地域経済にとっても経済効果が見込まれます。観光客との交流、観光資源の再発掘を通じた地域再発見と経済の活性化により、「元気なまち・富山市」の創造に寄与するとの認識のもと、一方向的な「観光」から双方向性のある「観光交流」へと価値、役割を見直し、強化する施策に取り組まなければなりません。また、県内観光地で売られるお土産の多くが県外のものです。もちろん経営が成り立つには、例えば農産物に関して言えば、安定供給ができるかなど多くの課題もあります。しかし、地元企業、農業者団体にも地産地消や観光振興の面から支援が必要だと思います。

 富山市には歴史的な文化遺産、観光施設や本市のキャッチフレーズである立山連峰のすばらしい景観があります。本市の持つ観光資源を生かすとともに、立山黒部アルペンルートや近隣市町村が持っている観光資源、例えば高岡市において、本年6月に全国城下町シンポジウムが開催されますが、これらと競合するのでなく、共存・共栄する新たな観光振興施策が必要です。今後の取り組みについて御所見を伺います。

3. 都市環境整備

 次に、都市環境整備について伺います。

 昨年開校した光陽小学校校区を含む南部地域は、交通量の急激な増加により、特に区画整理施行地域以外では、子供や高齢者の方々、いわゆる交通弱者の皆さんにとって慢性的に危険な箇所が多く存在します。また、遊歩道についても、昨今の社会情勢から見て、特に夜間における危険性が指摘されています。舗道バリアフリー化を含む舗道整備の一層の推進、降雪時の安全確保、遊歩道の照明の改善、歩行者信号がない箇所の整備などを地域としてもお願いしているところではありますが、この4月から中学校通学区域の変更もあり、以前とは人の流れが大きく変わります。南部地域の都市環境整備について、今後の見通しをお聞かせください。

4. 工業振興

 次に、工業振興について伺います。

 市町村合併を控え、事業者に対する事業所税や固定資産税の問題が合併協議会を中心に議論されていくことになりますが、本市における当面の課題は、市企業団地の分譲推進です。このたび、平成15年度行政組織改正により工業政策課が新設されることは、大変重要な意味を持ちます。その中で、情報提供者への成功報酬金制度の創設など新規施策が注目されますが、その他の取り組みについてもあわせてお聞かせください。

 また、都心再生にもかかわりますが、例えば市中心部から市企業団地へ転入する企業に対して、その跡地を住宅用地、学校などの公共施設としての活用が図れるように何らかの支援をすることにより、企業団地への入居の後押しができないか伺います。

5. 新学習指導要領と完全週5日制の総括

 次に、新学習指導要領と完全週5日制の総括について伺います。

 平成14年度は、教育環境が大きく変わった年でした。言うまでもなく、新しい学習指導要領と完全週5日制の実施です。教育基本法の抜本的改正が叫ばれる中、教育改革元年であったと言えるのではないでしょうか。

 新しい学習指導要領は、生きる力をはぐくむことをねらいとしていますが、スタートのこの1年の総括を、現場での声を含めてお願いいたします。

6. 芸術文化振興

 次に、芸術文化振興について伺います。

 新保公民館が新保文化会館として運営されることになりました。公民館利用規定の枠を解かれ、地域住民にとって芸術文化の振興に寄与するものであり、元舞台音響家・現役アマチュアミュージシャンの一人としても歓迎するものです。一方で、水橋中部公民館などについては地元で議論がなされているようです。

 さて、昨年、光陽小学校において、「子供たちと芸術のふれあい体験事業」の助成を受け、アンデス民謡を演奏するプロのバンドの公演が開催されました。このことは昨年9月議会でも申し上げたとおりですが、一方で小学校や公民館での芸術文化事業開催について、いろいろと考えさせられました。

 公民館や学校での芸術文化事業開催については、社会教育法による制限のため、芸術文化事業といえども営利事業は認められていません。しかしながら、例えばアマチュア演劇を開催するにしても、報酬は必要ありませんが、音響・照明にはかなりの費用がかかります。プロの芸術家を招くとなればなおさらです。

 このことについては、それぞれの地域でさまざまな工夫や住民の協力を仰ぎながら取り組まれていますが、例えば県民ふれあい公演やウイークエンドコンサートなどの招聘を行えば大がかりになってしまいます。

 市民文化振興事業としての提供事業や支援事業などとあわせ、身近な学校、公民館を拠点とした地域に根ざした芸術文化振興のため、また生涯学習の充実の一環として、これら施設の活用のあり方を、今後、検討できないものか伺います。

7. 日本海学について

 終わりに、日本海学について伺います。

 本年2月10日に、富山県が中心となり「日本海学推進機構」が設立されました。同日シンポジウムが開催され、「循環」「共生」「日本海」の3つの視点から、斬新な提言がなされました。また、自分たちの地域を見つめ直すことで、環日本海地域を考えるよい機会となりました。

 そのような意味において、日本海学というファインダーを通して地域を見つめ直す絶好のチャンスでないかと思います。逆に、自分たちの住む地域を再認識することで、初めて真に世界を見つめることができ、環境や地域紛争などの今日的な人類共通の諸課題を考え直すことができるのではないかと思います。

 この日本海学については、私自身も十分理解できるだけの言葉も文脈も持ち合わせていませんし、学際的なアプローチでもあり、具体的にどのように発展していくかは未知数ですが、本市としても、これを機会にかかわっていく必要があると思いますがいかがでしょうか。県都富山市の市長として、日本海学に対する率直な感想をお聞かせください。

 以上で私の質問を終わります。

答弁

森雅志 市長答弁

 鋪田議員の御質問にお答えします。

 私の方からは、まちづくりについてお尋ねのありましたうち2点、そして最後に御質問ありました日本海学についてお答えを申し上げ、その他の部分については担当部長からお答えを申し上げます。

 まず、平成15年度に住宅政策推進班を新設すると聞いているが、その中身を問うという御質問と、何らかの助成制度を設け、民間ベースでの都心居住促進につながる施策はとれないものかとのお尋ねにお答えをいたします。

 本市の住宅政策につきましては、平成6年度に策定しました「住宅マスタープラン」を基本に進めてまいりましたが、近年の市民ニーズの多様化、都心の居住人口の減少や高齢化などの社会情勢等の変化に対応し、住宅政策を一本化・総合化していくため、平成15年度、都市整備部都市計画課に住宅政策推進班を新設することとしております。

 平成15年度には、本市の新しい住宅政策の指針とする「住宅マスタープラン」の見直しを行い、

  1. 地区別の住宅整備目標
  2. 公共賃貸住宅の供給・整備
  3. 高齢者住宅の供給・整備

などについて検討してまいりたいと考えております。

 また、「都心居住推進調査」を行い、1つには、街並みの再生や都市コミュニティーを醸成する魅力ある都心居住のイメージ、2として、事業の成立性を担保する新たな事業フレームなどについて調査・検討してまいりたいと考えております。

 さらに、総合交通体系調査で検討することとなる公共交通の活性化なども含めた総合的な居住の都心回帰の誘導等に努めるとともに、住宅の供給者にとっても住宅の取得者にとっても、有効な都心居住の支援策を立案してまいりたいと考えております。

 今日、住宅に対する市民ニーズは多様化しており、住宅政策が地域の活性化やまちづくりに果たす役割はまことに大きいものがあると認識しております。中心市街地における定住人口対策は、活性化のための重要な施策であり、都心を多くの人々の住む魅力ある場所とするためにも、積極的に都心居住の推進を図ることが必要であると考えております。さらに、郊外における良好な住環境や良質な住宅供給による定住促進を図るため、住宅地の適正な開発の誘導に努めるなど、総合的な住宅政策を積極的に推進してまいりたいと考えております。

 「日本海学」は、環日本海地域全体を、日本海を共有する一つのまとまりある地域としてとらえ、日本海に視座を置いて、過去、現在、未来にわたる環日本海地域の人間と自然のかかわりを総合学として学際的に研究しようとするもので、さまざまな問題を予測し、これに対処する備えを用意し、地域全体の危機を回避し、ひいては健全な地域、地球を子孫に引き継ぐことを目指すものだと認識しております。

 私としては、このコンセプトは「環日本海諸国図」、通称「逆さ地図」と言われておりますあの地図からの発想にも見られるとおり、国家中心の考え方から地域中心の考え方への転換を図り、さらには国際的な視点から郷土を見つめ直すことにもつながるものであり、富山市が富山市らしさを発揮し、環日本海地域の拠点都市として発展していくために重要な視座になるものと考えております。

 以上でございます。

金井利靖 都市整備部長答弁

 まちづくりに対する市民参画を促す施策について、自分たちのまちは自分たちでつくる市民意識の醸成のためのまちづくり市民インキュベーター事業についてのお尋ねにお答えいたします。

 今日では、さまざまな分野で市民と行政がお互いの役割を分担し協働しながら、よりよい地域社会を形成していくことが重要な課題となっております。従来からも市民参画型の事業として、公園整備におけるワークショップ形式の導入、地区計画や建築協定などによるまちづくりの推進、市民と行政の協働で行うまちづくり推進啓発事業などを実施し、市民主体のまちづくり活動に対する支援を行っております。

 また、総合計画新世紀プランにおきましても、「市民主体のまちづくり」を進めるため、市民の自主的な活動を支援していくこととしており、平成13年度からは、熱意やアイデアを持つ市民がみずから企画し、みずから実行するまちづくり活動に支援する「市民提案型まちづくり事業」、また平成14年度からは、みずからのまちに関心を持ち、主体的にまちづくりを進める市民意識を醸成するため「まちづくり出前講座」を実施しているところであります。

 御提案のまちづくり市民インキュベーター事業につきましては、まず市民の皆さん方のまちづくりに対する関心を高めることが重要であると考えております。このため、当面は市のホームページやパンフレットなどによる「地区計画制度の解説等のまちづくり情報」や「まちづくり出前講座」などを積極的に活用していただきたいと考えております。

大島哲夫 教育長答弁

 まちづくりの御質問のうち、学校教育におけるまちづくり学習の充実、総合的な学習の時間を活用し、まちづくり教育を推進すべきと思うがどうかというお尋ねでございます。

 総合的な学習の時間では、自分たちの住んでいるまちの自然、社会、人、文化に働きかけるさまざまな学習活動が行われているところであります。具体的な例を挙げますと、校区をいろいろなテーマで調べ、校区のよさを発見すると同時に、問題点にも目を向け、地域の一員として、よりよい我がまちを目指し努力している学校。それから、校区の祭りを計画し、近くの幼稚園児や校区のお年寄りなど地域の人々を招いて広く交流を深めている学校。それから、校区を流れる川へ調査活動や観察に何度も出かけたり、自然や動植物とのふれあい活動を推進したりしている学校などがあります。

 また、今年度の中学生議会では、自分たちのまちをよりよくするために、高齢者の方や障害のある方々や中学生にも気軽に立ち寄れる交流施設を市でつくってほしい。あるいは、子供向けのカルチャーセンターやスポーツ広場を多く設置してほしい。グリーンマークを市の中学校全体で集めて、市を緑がたくさんあるまちにしたいなどの提言がなされました。またその後、広報とやまにも掲載されましたが、新春トークとして中学生と市長の対話が行われ、その中で、富山の財産を市民全体で守ろうとする提案、自分の地域で町内会中学生フォーラムを開催したことなどの話題が語られました。さらに、中学生と市長とのタウンミーティングを開催すればどうかとの提案もあり、中学生は自分たちのまちづくりに対する強い関心を示しておりました。

 このように、子供たちは、さまざまな活動を通して自分が住んでいるまちに強い関心を持ち、積極的に働きかけています。これからもこのような活動を継続することによって、まちづくりに対する関心や意欲を一層高めてまいりたいと思っております。

 次に、新学習指導要領と完全週5日制の総括についてお尋ねがございました。

 今年度から新学習指導要領の本格実施に入りましたが、昨年度までも新学習指導要領の精神を生かすように取り組んでまいりましたので、本年度はスムーズにスタートが切れたと思っております。また、少人数指導、習熟度別授業もスムーズに取り入れられ、基礎学力定着への取り組みも進みました。

 総合的な学習の時間については、問題解決的な学習を中心に進めているところであります。そのような総合的な学習の時間に、体験的に福祉について学んだことで、休日に友達と福祉施設に出かけ、ボランティア活動を行っている中学生や、地域について学んだことから、夏休みに家族とともに地域のことについて調べている小学生の姿も見られました。

 また、総合的な学習の時間では、子供の姿を確かにとらえて進めていくこと、学校独自のカリキュラムづくりをすることなどが必要であり、学校にはよい意味での緊張感があふれていると報告を受けております。

 学校週5日制の完全実施については、授業時間不足や学力低下が懸念され、学校週5日制に対する賛否が盛んに論じられてきました。学校では、このような声を真摯に受けとめながら、夏休み中の質問コーナーの開催、放課後の個別指導、家庭学習の充実などさまざまな取り組みを行ってまいりました。

 休日の過ごし方についての実態調査を行い、それをもとに休日の過ごし方について指導された学校もございます。また、ほとんどの中学校では、生活ノートを活用し、休日を含めた日々の生活を振り返らせて、指導しているところであります。

 それらを見ますと、子供たちは自分で時間を設定して休日を過ごしていこうとしている様子がうかがわれます。また、休日を利用して、市内の博物館や美術館を訪れる子供の数が以前より増えており、好ましいことであると考えております。

 しかし、今後とも月曜日の学校生活がさわやかにスタートするために、さらに休日のよりよい過ごし方の指導が必要であろうという反省もございます。

 これからも、地域や保護者の声を大切にしながら、一人一人の主体性を育てる取り組みを行っていかなければならないと考えているところであります。

 次は、芸術文化振興について、市民文化振興事業としての提供事業や支援事業等とあわせ、身近な学校、公民館を拠点とした地域に根ざした芸術文化振興のため、生涯学習の充実の一環としてこれらの施設の活用のあり方を、今後、検討できないかというお尋ねでございます。

 市民が日ごろから身近に芸術文化に親しむことができる環境をつくることは大変大切であります。市では、昭和59年度から、ふるさとづくりの一環として、市民文化事業団が地元との共催でウイークエンドコンサートなどを開催しており、また長期的な視点で芸術愛好家をはぐくむため、今年度から、子供たちと芸術との出会い体験事業を実施しております。

 その際、地域諸団体が主体となり企画運営される事業を支援するという観点から、学校や公民館等を利用に供しております。しかしながら、御質問にあるとおり、これらの施設は、法に基づく学校教育・社会教育の機関として、営利事業に使用できないなどの制約がありますので、その点は御理解いただきたいと思っております。

 ただ、世代間の交流などの一環として、地域がこうした身近な施設を利用し、芸術文化の催しを企画されるのは望ましいことであり、引き続き有効な活用が図られるよう支援に努めてまいりたいと考えております。

中川泰三 商工労働部長答弁

 都市地区の住宅政策のうち、中央通りの再開発プロジェクトについて、市の支援と今後の取り組みを問うについてお答えします。

 中心市街地活性化のためには、商業機能や交通機能の強化とあわせて、都心居住人口の増加を誘導し、地域のコミュニティーを再生することが重要であると考えております。現在、中央通り商店街においては、空き店舗の増加と居住人口の減少などから強い危機感を感じ、現在の商業・業務形態を見直し、3分の1には商業・業務機能、3分の2には新たに居住機能を取り入れた計画を再開発事業により行うことの可能性について調査・研究するため、昨年11月に中央通り地区市街地再開発推進協議会が設立されたところであります。中央通り商店街がみずから組織を立ち上げ、商店街の活性化に向けて主体的に事業に取り組まれることは、本市の中心市街地の活性化を進める上で有意義であることから、市といたしましては、国や県とともに支援することとしたところであります。

 次に、中心市街地の活性化について、インキュベータ・ショップ事業により育った若い経営者が再開発により経営が立ち行かなくなることなどのないよう安心して経営に専念できる環境や創業しやすい環境を維持する施策が必要と考えるが、今後、取り組む施策について問うについてお答えいたします。

 株式会社まちづくりとやまが運営するインキュベータ・ショップ運営事業は、創業者を育成して街に定着させることで、中心市街地の空き店舗の減少と来街者の増加を図り、街に賑わいと活気を取り戻すことを目的としております。現在、30名の卒業生が営業を行い、このうち21名が中心商店街周辺に出店しており、中心市街地の活性化に寄与しております。また、市におきましては、これまでもミニ・チャレンジショップの入居者を対象に経営指導、金融、税制などの講習会を開催し、創業に向けた支援を行ってきたところであります。さらに、創業時の金銭的負担を軽減するため、「創業者支援資金融資制度」の創設や商店街が空き店舗を賃借し、卒業生に低料金で貸し出す「商店街空き店舗活用事業補助制度」を設けるなど創業支援を行ってきております。今後とも、空き店舗情報の提供や創業者支援資金融資制度などの周知に努め、卒業者が安心して経営に専念できる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

 次に、観光振興について、本市の持つ観光資源を生かすとともに、立山黒部アルペンルートや近隣市町村が持っている観光資源と競合するのではなく、共存・共栄する新たな観光振興施策が必要ではないかについてお答えをします。

 観光は、交流人口を増大させ、他産業の振興を牽引する21世紀におけるリーディング産業の一つとして期待されております。また、観光産業のみならず、あらゆる産業にまで及ぶため、地域の活性化にも大きく資するものであります。本市におきましては、観光の振興を図るため、通年・滞在型の観光を目指すとともに、人、もの、情報などの広域的で活発な交流が行われる賑わいのあるまちづくりを推進していくこととしております。

 新年度予算におきましては、従来からの観光施策に加え、新しい事業の取り組みとして、1つに、映像ソフトなどによる富山売薬の紹介、民・工芸品の展示、丸薬・ますずしづくり体験など富山の見どころ、味・技を一堂に集めた富山観光物産センターの拡充整備。2つには、交流人口の増加などを目的としたコンベンション開催補助金の限度額引き上げ(100万円から200万円)と他の制度と重複して補助するコンベンション開催補助金制度の拡充。3つに、観光客に対するホスピタリティーの向上を図るおもてなしの心醸成事業。4つに、立山連峰などの映像を富山市観光ホームページで全国に発信する立山映像ライブカメラ設置事業。5つに、四季の立山の映像などを紹介する立山あおぐ特等席ハイビジョン映像制作事業。6つに、都市住民が農漁村での滞在や農漁業の体験を通して、自然、文化、人々との交流を楽しむグリーン・ツーリズムの推進事業などを行い、今後とも観光の振興に努めてまいりたいと考えております。

 次に、工業振興について、情報提供者への成功報酬金制度の創設など新規施策が注目されるが、その他の取り組みについて問うにお答えします。

 本市における工業の振興や新事業の創出支援、さらには企業団地の造成・分譲などを総合的に推進するために工業政策課を設置することとしたところであります。お尋ねの企業団地の分譲推進についての平成15年度新規施策といたしましては、1つに、情報提供に基づく分譲契約が成立した場合、情報提供者に一定の成約報酬を支払う「分譲成約報酬制度」の創設。2つに、多くの雇用を生み出す情報関連産業の誘致や成長産業の立地促進を図るため、新たな設備投資に対する「雇用創出企業立地助成金制度」の創設。3つには、JR特急電車を広告媒体として、車内に団地のポスターを掲示。4つに、多様な企業ニーズに対応するため、リース方式や割賦方式などの供給方式並びに企業誘致推進方策の検討などの事業を積極的に行い、今後とも企業誘致の推進に一層努力してまいりたいと考えております。

 次に、市中心部から市企業団地へ転入する企業の跡地について、住宅用地、学校などの公共施設として活用などが図れるように何らかの支援をすることにより、企業団地への入居の後押しができないかについてお答えします。

 本市では、金屋企業団地などへの企業誘致活動を積極的に展開しておりますが、今日の厳しい経済状況などにより、団地への移転を希望する企業にとりまして、現在操業している所有地の処分が課題となってきております。このことから、所有地の処分につきましては「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づき、企業からの買い取り希望の申し出があった場合、市としましては、必要の場合、その都度買い取りの必要性について検討しているところであります。また、市長を本部長とする企業誘致推進本部においても、民間の用地取得の情報などについて各部局との情報の共有化を図っているところであります。さらに、新たな支援策として、金融機関や社団法人富山県宅地建物取引業協会、社団法人全日本不動産協会富山県本部への情報提供による所有地の処分について、民間活力の導入ができないか、今後、検討してまいりたいと考えております。

 以上であります。

山口五十一 建設部長答弁

 都市環境整備について、歩道バリアフリー化を含む歩道整備など南部地域の都市環境整備について今後の見通しを問うにお答えをいたします。

 高齢・少子化社会を迎える中で、交通弱者と呼ばれる高齢者や子供たちのだれもが安全に安心して活動し、社会参加できるバリアフリーな道路環境を形成することがますます重要となっております。

 このため、本市では、富山市総合計画新世紀プラン・第1期基本計画において、「人にやさしい道路づくり」を目指すため、歩道のバリアフリー事業として450カ所の段差解消、夜間でも安全で安心できるまちづくりとして街灯の設置3,000灯など整備目標を掲げ、計画的に取り組んでいるところであります。

 そこで、お尋ねの南部地域の都市環境整備についてでありますが、本市で最も市街化の進展が著しい南部地域、とりわけ光陽小学校区周辺では、商業施設が集積し、交通量が増大していることから、安全な歩行空間の確保や遊歩道の照明の改善などについて、さきのタウンミーティングにおいても要望されております。

 このことから、新年度では、1つ、光陽小学校区を縦貫する歩行者専用道路での街灯の増設、2つ、道路側溝の有蓋化による歩行空間の確保、3つ、交通支障の交差点や隅切りの改良、歩道設置及び拡幅に伴う調査、4つ、歩道除雪路線の拡大に向けての調査などに取り組むこととしております。

 また、歩行者信号機の設置につきましては、所管の警察署を通して公安委員会へ要望してまいりたいと考えております。

 以上であります。

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