議会レポート

平成15年12月議会・一般質問

1.富山市住宅マスタープランについて

 平成15年12月定例会にあたり、自民クラブより一般質問を行います。

 まず、富山市住宅マスタープランについて伺います。

 本年度は平成7年度に策定された「富山市住宅マスタープラン」の改定時期に当たります。「富山市住宅政策検討委員会」を設置され具体な作業に入っておられますが、現在の進捗状況と方向性についてどのように意見集約されつつあるか、中間報告として答弁を求めます。あわせて市民アンケートの調査結果と分析、住宅・建設関係団体ヒアリングの調査結果と分析、部門別計画である都心居住推進調査の概要についても答弁を求めます。

 なお、12月市長定例記者会見で発表があった都心地区の住宅建設の促進に関する施策について質問する予定でしたが、既に答弁がありましたので割愛します。

2.コンパクトなまちづくりについて

 次に、コンパクトなまちづくりについて伺います。

 この議会でも「コンパクトなまち」という言葉がよく使われるようになりました。もちろん古くからある言葉ではありましたが、言葉に具体的な意味が与えられて使われるようになったのはここ最近のことです。

 一方で、コンパクトなまちづくりとは郊外のまちを縮小し、中心部にまちをまとめてしまうことだというような誤解も生まれています。このことは、中心市街地の活性化は郊外の切り捨てであるというような誤解ともよく似ています。

 「コンパクトなまちづくり」については何度か議会でも説明されていますが、「コンパクトなまちづくり」あるいは「コンパクトシティー」という概念、これは都市設計においては一種の哲学でもあると思っていますが、「コンパクトなまちづくり」の本市における位置づけについて、もう少しわかりやすく御説明ください、答弁を求めます。

 また、森市長は、平成14年12月定例会において「庁内組織として市街地中心部などへの人口回帰を理論的に整理するための『コンパクトな街づくり研究会』を設置し、その中で市独自の施策の手段として税制のあり方についても研究していきたい」と答弁されています。

 住宅の税制ということで申し上げれば、都心居住というとマンションなどの高層集合住宅に目が行きがちですけれども、都心周辺部という言い方が適切かどうかは別として、そのような都心周辺部ではもともと戸建ての住宅が多いことから、若い世帯が郊外へ流出しないようにするための二世帯住宅に対して、あるいは都心部でお住まいになりながら、そこで商売もなさっているような方の併用住宅に対する固定資産税評価の特例などいろいろ検計すべきだと思いますが、いかがでしょうか。見解を求めます。

 また、研究会での議論の、現在の進捗状況について答弁を求めます。

3.公営住宅について

(1)借上公営住宅について

 次に、借上公営住宅について伺います。
先月19日に、丸山議員、村上議員とともに公営住宅施策の先進地である横浜市を訪ねてまいりました。

 横浜市は、6月定例会でも御紹介したとおり、「横浜リブイン」と称して特定優良賃貸住宅制度、高齢者向け優良賃貸住宅制度を組み合わせたさまざまな公営住宅施策に取り組んでいます。さらには、厳しい財政事情などを勘案して、これら住宅施策の見直しを進めており、今後は、特定優良賃貸住宅制度、高齢者向け優良賃貸住宅制度から借り上げ市営住宅制度へ移行するとのことでした。借り上げ公営住宅とは、民間のオーナーが建てた集合住宅を市場家賃の95%で市が20年間借り上げて市民に市営住宅として転貸しするものです。

 また、オーナーに対しては、住宅共用部分整備費として、廊下、階段、玄関ホールなど建物共用部分の整備費用と、共同施設整備費として屋外の通路、広場、緑地などの駐車場を除く共同施設整備費用のうち助成対象部分に対して3分の2の補助があります。加えて、高齢者向け住宅には高齢者用特別設備設置費として、高齢者用浴室緊急通報システムなどの設置費のうち、助成対象部分に対して3分の2の補助があります。また、既存の集合住宅も一定の基準を満たすことでその対象となります。

 私たちは、横浜市上大岡に建設中の「エルーチェ上大岡」へお邪魔しました。「エルーチェ上大岡」は、斜面を切り開いて開発した同じ敷地内に、分譲マンションと借り上げ市営住宅が建っています。今回の借り上げ市営住宅は、高齢2人世帯向け2DKと、高齢単身者用1DKの2タイプがありました。

 横浜市は、350万人余りの人口に対し、まだまだ住宅供給が行き届いていない面もあり、富山市とは住宅を取り巻く環境が異なる部分もありますが、全国的にも自治体の規模にかかわらず、借り上げ公営住宅制度は、厳しい財政状況を反映してか、普及しつつあります。

 借り上げ公営住宅制度そのものを導入することが目的ではありませんし、特定優良賃貸住宅制度とは対象とする入居者層も異なりますが、良好でコストのかからない住環境整備の手法の一つとして、特に高齢者住宅整備や都心居住推進の手法の一つとして、今後、本市において借り上げ公営住宅制度を導入する考えはないか、答弁を求めます。

(2)市営住宅の建替え

 次に、市営住宅の建てかえについて伺います。

 公営住宅ストック総合活用計画の策定については、現在、その作業が進んでいると思いますが、既存の市営住宅に対するエレベーターの設置などの施設改善を盛り込むほか、今後の市営住宅の建てかえにも触れた内容になると思います。そこで、市営住宅の建てかえに当たり、PFIやPFI的手法を用いることの可能性について伺います。

 PFIというのはまるで魔法のような言葉です。これまでも議会などでたびたび耳にしてきました。そのたびに何か財政問題などが一挙に解決し、民間の活力も増すのではないかという期待を抱かせ続けてきました。しかしながら、いまだ実現をみていないのが実情です。安易に使ってはいけない言葉なのかとも考えてしまいます。議事録を検索してみますと、平成10年6月定例会に始まり前回9月定例会までの間に、実に18件も該当する質問と答弁がありました。

 PFIも手法の一つであり目的ではありませんが、東京都など経済的に収支が見込める大都市部はもとより、地方都市でも実際に活用されているケースもあります。なぜ本市は調査・研究の域を出ないのか不思議だというのが率直な感想です。実際に、これまで調査・研究をされてきた経緯から、市営住宅の建てかえに当たり、PFIやPFI的な手法を用いることの可能性について答弁を求めます。

4.松川流域の水辺資源を活かした観光振興について

 次に、松川流域の水辺資源を生かした観光振興について伺います。

 先月20日から24日にかけて、超党派の市議会議員11名と県議会議員5名、観光や河川改修の専門家である民間の方3名で構成する訪問団で、アメリカ随一の観光そしてコンベンションのまち、テキサス州サン・アントニオ市を訪問しました。このことは新聞各紙にも掲載されていましたし、今定例会でも御紹介がありましたので、市民を初め多くの方が御存じかと思います。

 今回の視察目的は、リバーウォークと呼ばれる都市河川の水辺空間を生かした観光とコンベンションの都市づくりと、洪水対策のために日本の民間企業によってつくられた地下貯水トンネルや関連するダム、水門などの施設見学、そしてテキサス州政府のサン・アントニオ川管理局での研修会でした。実質2日間という厳しい日程でしたが、大変実りのある視察でした。

 サン・アントニオ市のリバーウォークについては、本年9月に開催された「リバーフェスタinとやま」と、あわせて開催されたサン・アントニオ市の公園管理者リチャード・ハードさんの基調講演により、多くの方が御存じかと思いますので、詳しくは申しませんが、神通川馳越線工事同様に蛇行して流れるサン・アントニオ川の濁流から市街地を守るために直線化工事を行い、ダウンタウンに残った蛇行部の河床を掘り下げ、上流・下流に水位調節水門を設け、川沿いにつくられた遊歩道を人々が散策できたり、川沿いにショッピングセンター、飲食店、ホテル、会議場を配置して、さながらテーマパークのようになったのがリバーウォークです。

 人口120万人余りの都市ですが、年間約800万人の観光客が訪れるようになりました。また、コンベンション都市としても、年間800件余りの開催実績を誇っています。市長にもぜひともごらんいただきたいすばらしいまちでした。

 蛇足ながら、国際的な観光コンベンション都市ということもあるのでしょう、市長も関心の高い治安についても大変安定しており、安心・安全なまちでした。また落書きのたぐいがなかったこともあわせて御報告します。

 市長におかれましては、大変お忙しいこととは思いますが、サン・アントニオ市へ訪問されるおつもりはありませんか。

 また、富山商工会議所が本年10月に我々訪問団に先立ち訪問されました。本市は昭和63年に国から国際コンベンションシティ、平成6年には国際会議観光都市の認定を受けておりますが、水辺空間を生かした真の国際会議観光都市への模索と研究を民間レベルでも始めています。

 新幹線開業を控え、ストロー現象を懸念する声もありますが、年間約100万人が訪れる立山黒部アルペンルートなど世界有数の観光資源の玄関口として、滞在型観光とコンベンションに適したまだまだ未開発な潜在力を松川を初めとする水辺空間は持っています。また、市民にとっても日常的な憩いの空間として、未開発の魅力を秘めています。これら水辺空間開発の可能性とビジョンについて、市長はどのようにお考えになるか見解を求めます。

 また、大きな夢とビジョンを描くことと同時に、現実的にまず今何ができるかについて考え、着実な一歩を踏み出すことも重要です。市民を巻き込んだ、例えば「松川リバーウォークを考えるネットワーク」などの設立も必要と考えますが、市としてこれらの活動に対する支援のお考えはありませんか、答弁を求めます。

 もちろんサン・アントニオ市のリバーウォークをそのまま持ってくることはできないし、してはならないことです。富山の歴史や伝統を踏まえた、富山でしかできないリバーウォークをつくらなければなりません。そのためには、城祉公園整備計画を見直して、城祉西側堀を復元し、松川沿いの水辺空間との物理的・歴史的連続性を持たせることも必要だと考えますが、城祉公園整備計画を一部見直す考えはないか、答弁を求めます。

5.富山市上下水道事業中長期ビジョンについて

(1)合流式下水道改善計画について

 次に、合流式下水道改善計画について伺います。

「富山市上下水道事業中長期ビジョン」に基づき、松川右岸合流式下水道改善計画が策定されますが、合流式から分流式に改善する場合、地下埋設物の問題から大変な困難が予想されると伺っています。現実的にすべての対象区域で分流式への改善が可能なのか、その見通しについて答弁を求めます。

(2)貯留施設について

 次に、貯留施設について伺います。

 多くの大都市では、合流式下水道の改善手段として貯留施設の建設を行っています。本市においても、松川の下へ貯留トンネルを掘ることがトータルコストからみても現実的な合流式下水道の改善手段であると考えます。貯留トンネルなどの貯留施設建設について当局の見解を求めます。

6.学校施設の改善について

 最後に、学校施設の改善、エレベーターの設置について伺います。

 光陽小学校の新築により、小学校でのエレベーター設置が始まりました。今後も小学校の改築や統合校の建設によって、小学校でのエレベーター設置が進んでいくものと思われます。そうした中で、障害を持った児童がこれらの小学校で学ぶということが増えてくると思います。また、バリアフリー化されていない小学校でも、障害を持たない児童と一緒に学びたい、学ばせたいとの思いから、実際に、これら小学校へ通学する児童も増えていると伺っています。ノーマライゼーション社会が浸透しつつあることの結果だと思います。また、中学校では部活動などによる骨折といったけがも発生しやすく、大きなけがの場合は学校生活に大きな支障を来すことがあります。

 さて、障害を持った児童が6年間の小学校生活を終えて中学校へ進学する時期に、再び大きな壁が立ちはだかります。中学校の施設改善が進んでいないからです。市内の中学校でも、生徒の受け入れに当たって、トイレの改修や車いす昇降機、スロープの設置を行った学校や、これから設置を予定している学校もありますが、体格も大きくなりますし、心の面でも思春期を迎える中学生です。入学する側、受け入れる側双方に負担が生じる可能性があり、根本的な解決にはならないのです。このことは、既に障害を持つ生徒が通学しているトイレ改修、車いす昇降機設置、スロープ設置を行った中学校を訪問しそれらを体験し、また、先生方のお話や、これから中学校へお子さんを通わせようと希望されている保護者のお話を伺い、強く実感しました。

 心身の状態や子どもの個性などにより、必ずしも障害を持つすべての子どもたちが小学校、中学校で過ごすことがその子どもにとってよいわけではありませんが、少なくともそのようにすることを選択したいと希望される子ども、保護者の前に立ちはだかる壁を少しでも低くする努力をお願いしたい。

 公的施設はもちろん、民間施設のバリアフリー化が進んでいます。将来的には全中学校へ、中期・短期的にはエレベーターの設置が終わった小学校と改築にあわせて導入が計画されている小学校の卒業生が入学を予定する中学校へのエレベーター設置を強く要望します。当局の見解を求め、私の質問を終わります。

答弁

森雅志 市長答弁

 鋪田議員の御質問にお答えします。

 私の方からは、松川流域の水辺資源を生かした観光振興についてお答えし、その他につきましては望月助役及び担当部長からお答えします。

 何点かお尋ねがございましたが、そのうちサン・アントニオ市へ訪問するつもりはないか。水辺空間開発の可能性とビジョンについてどう考えているのか。さらには「松川リバーウォークを考えるネットワーク」などについての支援の考えはないかの3点にお答えをします。

 神通川は、かつて富山城の北側で大きく蛇行していたため、明治34年に馳越工事が行われ、昭和初期には運河を開削するとともに、その土砂で廃川地を埋め立てるという一大土木工事が行われました。松川やいたち川、そして富岩運河は、こうした先人たちの知恵と富山市の近代化を図るという熱き思いを今に伝える貴重な歴史的財産であります。

 市内中心部を流れる松川、いたち川は、都市化の進んだ市街地において、水と緑にふれあえる貴重な空間であり、四季を通じて市民の憩いの場となっております。特に、この流域の桜並木は県内屈指の名所であり、多くの市民、県民や観光客が訪れております。

 また、市内の水辺空間を活用したイベントとしては、春には「全日本チンドンコンクール」での幽玄ちんどん夜桜流し、夏には灯篭流し、一年を通しての遊覧船の運行、ノーベル街道ウォークラリー、カヌー体験や運河クルーズなどの運河まつり、とやま湾味覚市、神通川河畔を歩く健康ウォーク、ウォーターフロントコンサートなどがあり、多くの市民、県民や観光客に親しまれているところであります。

 御披露もございましたが、この9月には、馳越工事100周年記念行事として、神通川から誕生した街「水の都とやま」の未来を探るとして、「川と街づくり国際フォーラム」が開催されたところでございます。

 お尋ねの、水辺空間開発の可能性とビジョンにつきましては、これらの地域にある松川べり彫刻公園、常夜燈、延命地蔵などの歴史的・文化的施設の連携と回遊性を図ること。2つには、城祉公園と一体的な歴史・文化・観光ゾーンとして整備すること。3つには、観光資源の掘り起こしを行う「街なか観光」の推進をすること。4つには、遊覧船を活用した歴史・城下町めぐりなどが考えられるところであります。

 これらのことから、本市の松川、いたち川、神通川、富岩運河の周辺は、全国・世界にも誇れる水辺空間としての可能性を秘めていると考えているところであります。

 しかしながら、水辺空間の活用に当たっては、まず松川、いたち川は市街地を流れる河川であることから、降雨時には雨が短時間に流れ込み瞬時に増水すること。2番として、設置されている犬走りは橋の下で途切れているところが多い。また両河川ともごみ等が堆積したり、漂流したりしている。さらには、いたち川は勾配が急なため、流速が速く蛇行箇所もあり、遊覧船の運行は難しいこと。3つめに、富岩運河では中島閘門の下流で貯木がされており、遊覧船の運行が難しいなどの多くの課題があります。

 次に、「松川リバーウォークを考えるネットワーク」を設立することなどへの支援の考えはないかとのお尋ねでございましたが、設立されるとすれば、設立やその後の推移を見守ってまいりたいと考えております。

 なお、サン・アントニオ市への訪問のお尋ねにつきましては、国際観光都市を目指す上からも、機会があれば視察に訪れてみたいと考えておりますが、当面予定はしておりません。

 次に、城址西側堀を復元し、松川沿いの水辺空間との物理的・歴史的連続性を持たせる必要があるが、城址公園整備計画の見直しの考えはないかとのお尋ねにお答えをいたします。

 城祉公園は、平成11年度に策定しました「城祉公園基本計画」の中で、文化的にも重要性が高く、人々の交流する貴重な場であることから、「歴史がかおる都心のオアシス空間」として位置づけられております。

 この計画では、整備方針といたしまして、1つには中央部は「つどいや憩い」の場として芝生広場やコミュニティー広場、さらには四季の庭を設け、郷土博物館と佐藤記念美術館との回遊性を高め、文化性にも配慮した空間としております。2番目には、外周部は隣接する各道路や松川公園との動線的ネットワークを考慮し、公園への誘導を図るため、歩道と一体性を持たせた開放的な空間としております。この方針に基づいて、順次、公園の南側から整備を進めているところであります。

 しかしながら、本市の重点施策であります中心市街地活性化の観点から、観光拠点としての活用を図る機運が高まってきたことを踏まえ、今後、城祉公園のあり方について検討委員会を設置し、見直しについて検討いたしたいと考えております。

 なお、西側堀の復元につきましては難しいものと考えております。

 以上でございます。

望月明彦 助役答弁

 私の方からは、コンパクトなまちづくりについてに関連して、2つの御質問にお答えしたいと思います。

 まず第1点、コンパクトなまちづくりについて、本市においての位置づけについて問うという御質問でございます。

 本市は、富山平野の中心に位置することもあり、他都市に比べ市街地が広範囲に拡大し、全国の県庁所在地の中でも市街地の人口密度が低く、道路等の基盤整備が郊外市街地まで進んだ自動車依存型都市となっており、住宅や商業施設、生活関連施設などの郊外移転、中心市街地などの空洞化、公共交通機関の衰退などの現象が進んできております。

 さらに今後は、急速に進む高齢化による交通弱者の増大、厳しい財政環境の中での医療・介護・福祉にかかる経費の増大とそれに伴う都市基盤整備費の減少、二酸化炭素排出量などに伴う環境負荷への影響などといった課題に直面していくものと考えられます。

 このため、本市におきましては、これからのまちづくりの方向性として「コンパクトなまちづくり」を推進し、現在の低密度な市街地の拡大傾向から中心市街地や地域の拠点などの既成市街地の人口を回復させるとともに、生活の諸機能を集合させ再活性化を図り、生活の基本となる衣食住が身近な範囲で満たせる街、多くの人が交流する魅力ある市街地をつくり上げていくことが重要であると考えております。

 このことにより、1つとして、厳しい財政状況の中における既存の都市基盤や施設等の有効活用及び公共投資や行政活動の効率化が図られること。2つとして、少子・高齢社会に対応した歩いて暮らせることができ、多世代が交流する住みよいまちづくりが実現されること。3つとして、中心市街地などの都市の「顔」の形成と魅力・活力が創出されること。4つとして、地球環境問題への対応と自然資源の保全などの環境共生のまちづくりが実現することなどの効果が期待できるものであり、本市において「コンパクトなまちづくり」を進めることは極めて重要性が高く、現在、中心市街地の活性化や駅南北一体のまちづくりの推進、さらには都心居住の推進等、「コンパクトなまちづくり」の実現に向けて具体的な取り組みを行っておりますし、今後とも、まちづくりの基本的方向とすべきものと考えております。

 次に、固定資産税評価の特例など検討すべきだと思うがどうか。また、研究会での議論について、現在の進捗状況について問うという御質問についてのお答えでございます。

 庁内におけるワーキンググループである「コンパクトな街づくり研究会」は、富山市における「コンパクトなまち」とはどういうまちなのか。また推進しなければならない理由や実現に向けての方策といった課題について調査・研究をするための組織として、昨年11月に設置いたしました。

 これまで8回の会合を開催しており、その活動内容につきましては、1つとして、富山市の人口、交通、都市機能立地などの現状分析。2つとして、都心部と郊外部での行政サービスの効率性の比較及び市街地拡散に伴う新たな行政費用の試算や市民生活への影響のシミュレーション。3つとして、コンパクトなまちづくりの必要性。4つとして、富山市のコンパクトなまちづくりの基本的な考え方や取り組み方向及び実現するための方策などについて、メンバー職員の自由な発想とそれぞれの専門的な立場からの議論をしてきております。

 次に、コンパクトなまちを実現する方策の一つとして、まちなか居住を推進するための誘導策を講ずることが考えられますが、これにつきましては、御提案のありました固定資産税の特例を初めとした税制を含め、さまざまな方面からのアプローチを試み、他都市の事例も参考にしながら、本市における施策の可能性や有効性などについて研究会において議論をしているところでございます。

 以上でございます。

島倉憲夫 都市整備部長答弁

 富山市住宅マスタープランについての御質問にお答えをいたします。

 まず、現在の進捗状況と方向性についてどのように意見集約されつつあるか、中間報告として問うにお答えをいたします。

 「富山市住宅マスタープラン」につきましては、住まいや住環境に対する多様な市民のニーズに対応するため、平成25年度を目標年度として、現在、策定案に取り組んでいるところであります。

 これまで「富山市住宅政策検討委員会」を2回開催し、アンケート調査や住宅・建設6団体にヒアリングを行った結果などをもとに、富山市の地域特性と住宅事情の現況、住まいと住環境の課題について議論していただいているところであります。

 住まいと住環境に関する課題や方向性といたしましては、1つに、少子・高齢化への対応や定住人口の維持。2つに、全国的にも持ち家率が高く、規模が大きい住宅ストックの有効活用を図るためのバリアフリー化や耐震補強。3つに、空洞化が進展する都心部での多様な世代が居住できる住宅供給の誘導や住環境の改善。4つに、市営住宅ストックの有効活用などであります。

 現在、これらのことなどを踏まえ、本市の住まい・住環境の将来像、住宅政策の理念・目標・方針や実施すべき施策について検討しているところであり、来年3月までに取りまとめを行ってまいりたいと考えております。

 次に、市民アンケートの調査結果と分析、住宅・建設関係団体ヒアリングの調査結果と分析について問うにお答えをいたします。

 住宅マスタープランのアンケートにつきましては、20歳以上の市民の皆さん3,000人を対象に実施いたしましたところ、1,719人の方から回答をいただいたところであります。

 調査の結果につきましては、まず一戸建ての持ち家が84%で、床面積や敷地面積にゆとりのある住宅が多くを占め、持ち家志向や居住水準の高さを裏づけておりますが、約半数が20年以上を経過した住宅となっております。

 個別の調査内容の主なものといたしまして、1つに、実現したい暮らし方につきましては、「高齢者や障害者が安心して自立した生活ができる」が47.1%で、以下「医療・福祉施設のそば」「自然環境の豊かな郊外」などとなっております。2つに、市が取り組むべき住宅支援策につきましては、「リフォームや増改築に対する支援」が34.7%で、そのほか「高齢者・障害者に対応した賃貸住宅の供給支援」などとなっております。3つに、都心部への居住意向につきましては、全体では17.4%ですが、特に30歳代では26.9%と高くなっております。その理由といたしましては「公共交通の利便性」や「病院や福祉施設などの充実」などとなっております。

 次に、住宅・建設関係団体のヒアリングの中での御意見は、1つに、市民が住宅を取得する際には価格や車の利便性で判断されることが多い。2つに、家族構成の変化、住宅の老朽化などによるリフォームの需要が増えている。3つに、市民、事業者、行政による意見交換や連携体制づくりが必要であるなどであります。

 今後は、これらのことを十分分析し、住宅政策検討委員会で議論していただき、住宅マスタープランに反映させてまいりたいと考えております。

 次に、部門別計画である都心居住推進調査の概要について問うにお答えをいたします。

 都心居住推進調査は、本市が魅力ある都市として発展していくために、住宅政策の観点から都心部の定住人口の回復を図るための推進方策を検討するものであります。

 このため、関連諸計画や統計資料の分析、人口や世帯の動向調査、空き地調査などによる現況把握のほかに、都心にお住まいやお勤めの方、住宅関連の事業者の方などでワークショップを開催し、そこでの御意見といたしまして、1つに、松川、いたち川沿いの雰囲気や個性的な店舗などよい場所がある。2つに、日常生活品の買い物に不便である。3つに、土地所有者に対し土地活用の相談や事業計画の提案を行うコーディネーターが必要であるなどの御意見をいただいております。

 また、専門的立場から御提言をいただくために、学識経験者などで構成する都心居住アドバイザー会議を開催し、そこでの御提言は、1つに、都心の未利用地を近代的な空間として活用、整備したらどうか。2つに、よいモデル事業を実施して次の事業を誘発するきっかけをつくったらどうか。3つに、新聞やニュースなどを通じて、都心居住を広く市民に広報する活動が重要である。4つに、都心部の社会ストックを維持・保存し、さらに価値を上げたらどうかなどの御提言をいただいております。

 今後は、さらに専門家の方々の助言を得ながら、魅力ある都心環境の整備方策や都心型住宅の供給施策及び支援策などについて、具体的な検討に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

松本眞人 建設部長答弁

 公営住宅について2点のお尋ねのうち、まず借り上げ公営住宅について。今後、本市において借り上げ公営住宅制度を導入する考えはないかにお答えをいたします。

 本市の公営住宅につきましては、これまで急速な高齢社会に対応するため、シルバーハウジングや高齢者向け住戸改善、さらにはエレベーター、階段手すりなどの設置を行うなどバリアフリー化を進めるとともに、安心して暮らせるよう整備してきたところであります。また、都心居住の推進につきましては、平成14年度において市街地再開発事業で整備された施設の一部を取得し、中教院モルティハイツとして住宅の供給を行ってきたところであります。

 公営住宅の借り上げ方式につきましては、中核市35市のうち6市が初期投資の軽減、建てかえ供給の補完、用地取得の困難性などから導入しており、そのメリットとしましては、1つには、初期投資の軽減が図られる。2つには、公営住宅の規模、地域など必要に応じた供給が可能である。3つには、借り上げ期間が最長20年以内に限定できるなどが挙げられます。

 また、デメリットとしましては、1つには、借り上げ終了時の建物修繕における費用負担の判断が困難な場合がある。2つには、公営住宅の必要な地域での事業の応募が確実ではない。3つには、借り上げ期間が20年に及ぶことから、事業者の経営状況により借り上げ住宅の存続が危ぶまれる場合があるなどが挙げられます。

 借り上げ公営住宅制度の導入につきましては、トータルコストの把握や借り上げ終了後の対応などの課題があることから、他都市の事例も参考としながら、今後、調査・研究してまいりたいと考えております。

 次に、市営住宅の建てかえに当たり、PFIやPFI的な手法を用いることの可能性について問うにお答えいたします。

 PFIまたはPFI的事業は、PFI推進法が平成11年7月に制定された後、さまざまな公共施設の整備等に関する手法として全国の自治体に用いられているところであります。本市の公営住宅の整備につきましては、これまではいわゆる従来型の公共事業として整備してきたところでありますが、直面する厳しい財政状況下において、建設コストの縮減がさらに求められております。

 このため、今後の建てかえ予定の中村団地におきましては、建てかえ事業計画の見直しにより建設余剰地を生み出し、民間活力を利用した住宅などの整備の可能性を模索しているところであります。

 お尋ねの公営住宅建てかえ事業に、PFIやPFI的手法を用いる可能性につきましては、事業規模を生かしたバリュー・フォア・マネーの値の大きさが期待されますが、PFI導入可能性調査から事業者との契約締結を行うまで相当の期間が必要になります。

 そこで、公営住宅への導入につきましては、来年度以降できるだけ早い時期に、PFI導入可能性調査を行ってまいりたいと考えております。

 以上であります。

伊藤泰雄 上下水道局長答弁

 「富山市上下水道事業中長期ビジョン」について、1点目は合流式下水道改善計画について、すべての対象区域で分流式への改善が可能なのか、その見通しはどうか。2点目は、貯留施設について、貯留トンネル建設についての考えを問うの2点についてお答えいたします。

 本市の合流式下水道区域は、旧市街地の松川処理分区277ヘクタールであり、既存の布設管延長は約87キロメートルとなっております。この区域すべてを分流化するには、既存の合流管に平行して新たな汚水管を布設することが必要でありますが、当該区域は本市の中心市街地であり、水道管、ガス管、電話線などの地下埋設物がふくそうしているため、技術的には困難であると考えております。

 このため、合流区域の雨水排除能力の向上と公共用水域の水質保全のための越流水問題を整合させることを目的とする「合流式下水道改善計画」を、平成15年度、平成16年度の2カ年で策定することとしております。

 この計画策定に当たっては、合流式下水道の改善には相当な整備期間と費用がかかることが予想されることから、当面の対策と中・長期的な対策とを整理した上で策定する必要があると考えております。

 現在考えております当面の対策といたしましては、1つには、従来からの雨水浸透桝の継続的な設置―現在86カ所設置済みでございます。2つには、河川等への合流管からの雨水の越流回数を減らすための雨水吐き口の改造―堰のかさ上げや浮遊物を取り除くスクリーンの設置でございます。3つには、河川周辺を限定した分流化などであります。この河川周辺を限定した分流化については、合流式下水道区域の最上流部に位置する四ッ谷川周辺では、路面排水や宅地内の雨水の切り離しが容易であることから、建設部の道路側溝補修計画と連携を図りながら分流化していくものであります。

 次に、中・長期的な対策といたしましては、公園や道路下に雨水調整池、雨水貯留管の建設などが考えられます。

 お尋ねの貯留トンネルによる改善策につきましては、平成16年度にその技術開発の動向や、建設・管理コスト及び費用対効果などについて総合的に勘案しながら、調査・研究を進めてまいりたいと考えております。

 以上であります。

大島哲夫 教育長答弁

 学校施設の改善について、将来的には全中学校へ、中期・短期的にはエレベーターの設置が終わった小学校と、導入が計画されている小学校の卒業生が入学予定の中学校へのエレベーター設置を強く要望するがというお尋ねでございます。

 ノーマライゼーション社会の進展する中、車いす使用の児童・生徒が豊かな学校生活を過ごすために、校内移動のしやすい施設環境をつくることは大切なことと考えております。このようなことから、改築等を計画している学校については、エレベーターを順次整備していくとの考え方に基づき、来年度建設予定の大広田小学校の移転改築を初め、現在、基本設計を実施している呉羽中学校の改築や、今後建設が想定されます統合小学校においては設置を計画してまいりたいと考えております。

 しかしながら、改築等を予定していない学校については、設置に多額の費用がかかること、設置場所や耐震構造の調査が必要なことなど整理すべき課題があり、早急な設置は難しいことから、当面は施設内の段差解消や車いす用階段昇降機の活用などにより対応してまいりたいと考えております。

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