議会レポート

平成17年6月議会・一般質問

1. 地方財政について

財政健全化議論と地方財政

 平成17年6月定例会にあたり、一般質問ならびに議案の質疑をおこないます。まず地方財政について伺います。

 財政制度等審議会は、「平成18年度予算編成の基本的考え方について」という報告書の中で、2015年度に基礎的財政収支いわゆるプライマリーバランスを均衡させるための財政健全化案として、

  1. 現状の歳出規模を維持して消費税を19%へ引き上げる案
  2. 消費税を引き上げずに国債費を除く一般歳出を3割圧縮する案
  3. 消費税を12%へ引き上げて社会保障費以外の歳出削減と組み合わせる案

以上の3案を提示しました。

 増税についてここで論ずるつもりはありませんが、消費税率5%のうち2割つまり税率1%分は地方消費税として地方自治体の税収となっています。また、税率4%分つまり8割は国の収入となりますが、そのうち29.5%は地方交付税として地方自治体への収入に充てられることとなっています。したがって消費税のうち43.6%は地方自治体の収入となります。

 今回の試算については、増加する社会保障給付費の面から今後の国の財政を考えるにあたり、プライマリーバランスを均衡させる方法の一つとして消費税が取り上げられた訳ですが、先ほど申し上げた通り、地方財政や三位一体改革とも決して無縁ではなく、富山市にとっても、将来の財政運営を考える上で大きな影響があるものと考えています。

 そこで、全国市長会などを通じて三位一体改革などの議論に参加されている森市長は、今回の財政健全化案についてどのように関心を持っているのか、また地方団体と国との議論においてどのような影響を及ぼすと考えるのか伺います。

三位一体改革
三位一体改革にともなう義務教育費国庫負担金削減と、それに伴う一般財源化の議論について、その行方は依然不透明なものがあります。

 この議論を難しくしているのが、義務教育における国の関与・責任とは何かという一種の神学論争と、地方自治体の財政力格差による教育の質の格差発生だと思います。また地方自治体の財政力格差にしても、「公立校においてはむしろ地方のほうが質が高く、都会では私立に頼らざるを得ないとう状況だ」。「いや私立に頼らなくてはいけないこと自体が国の責任放棄だ」というようにこれまた神学論争になっています。

これらのことは、我々地方議会ももう一度整理して考え直す必要があると考えます。

 やはり全国市長会などを通じて三位一体改革などの議論に参加されている立場から、三位一体改革にともなう義務教育費国庫負担金削減について、森市長の見解を伺います。

2. 都市計画について

 都市計画について伺います。

 富山市は、都市計画区域とそうでないところ、都市計画区域内にあって線引き都市計画区域と非線引き都市計画区域とが混在しています。また、線引き制度についても改めて議論が必要です。あらたな都市マスタープランの策定にあたっては、より大きなビジョンをもってあたらなければなりません。

 話が少々横道にそれますが、人口減少社会にあって、成長余力の大きい分野として農業をとりあげるべきだとの主張があります。わが国の農産物輸出金額は約2000億円。一方、EUではフランスやオランダは3兆円以上、ドイツは2兆円以上ということでわが国は先進諸国の中でもかなり低水準で、農林水産省では今後5年間で農業輸出額を倍増する方針との報道もありました。

 富山市も合併により中山間地や広大な郊外をかかえることになりましたが、多くの地域で後継者の問題や経営基盤の弱さといった問題を抱えています。一方で、そのような中山間地や農村の新たな担い手として、数年後にやってくる団塊の世代の大量の退職者を期待する論もあります。都市部での会社勤めから、あらたな農林業の従事者へという訳です。今は突飛な発想でも将来はひとつの方向性として定着する可能性もあります。グリーンツーリズムが提唱されていますが、近い将来、交流ではなく定住を促進させることが必要になっていくと考えます。

 中心市街地の活性化、コンパクトなまちづくりと同時に、郊外や中山間地の将来も都市像に刻み込む必要があります。このことは決して矛盾するものではありません。現状の土地利用のあり方を、追認するような都市マスタープランではなく、まさしく将来の富山市の設計図となるような都市マスタープランの策定を要望します。

 都市マスタープラン策定にあたり基本的な考え方について見解を伺います。

3. まちなか居住推進について

期間

 まちなか居住推進について伺います。

 資料によれば10年間で3000戸の供給目標が掲げられていますが、都心再生のための重点事業として、短期間で集中的に都心居住を進めようとするものなのか、それとも継続的な事業として行おうとするものなのか、この事業の性格について答弁を求めます。

対象者

 また、個人の補助対象者としては、以前都心地区に居住していた方を都心地区に呼び戻すのか、それとは関係なしに新たな居住者を増やそうとするのか、あるいは高齢者の方々に居住していただこうとするのか、若いファミリー層に居住していただこうとするのか、このことは他の中心市街地活性化策や公共施設や公共交通のあり方など、都心地区のまちづくりとも密接な関係があると考えます。今回の施策ではどのような方々を対象者としているのか答弁を求めます。

助成額

 少々細かい話かもしれませんが、個人向け住宅を例に挙げれば、融資金額に対して3パーセント上限50万円というのは、都心居住を進めるにあたって強い動機付けとなりうるのでしょうか。

 防火地域での建築費の割り増し分、固定資産税の負担など、都心居住にはコストがかかります。将来的には都心地区が便利で住みよい地域となり、そのコスト負担に見合うだけの地域となるものと確信していますが、これから都心居住を推進する目玉施策の助成額としては、いささか心もとないと思います。見直す余地があると考えますがいかがでしょうか、答弁を求めます。

4. 市民参画のまちづくりについて

 市民参画のまちづくりについて伺います。

 「景観まちづくり条例」が制定され、この4月から施工規則も定まり、本格的な運用がはじまりました。景観まちづくり市民団体の登録状況や、登録された団体がどのような取り組みをされているのか、その状況について答弁を求めます。

5. 安全なまちづくりについて

富山県安全なまちづくり条例との連携

 安全なまちづくりについて伺います。

 安心で安全なまちづくりの推進のため、自主防犯組織に対する支援制度が昨年スタートしました。地域住民自身の手で地域の安全を守るというのは、大変重要なことです。

 さて、富山県においても「富山県安全なまちづくり条例」が制定されました。このなかで、安全なまちづくり推進センターの設置や、中学校区をめどに地区安全なまちづくり推進センターの設置、自主防犯活動に対する支援と自主防犯団体に対する支援などが盛り込まれています。

 これら富山県の施策と、富山市の取り組みとの連携についてどのようになっているか、答弁を求めます。

ハード面の整備

 ところで、ソフト面での支援策は充実してきましたが、ハード面ではどうでしょうか。防犯灯、防犯カメラなどの設置も予算案に盛り込まれていますが、生活道路や公園での施設整備はまだまだ充分とはいえません。以前にスーパー防犯灯を設置したところもありましたが、あまりにも設置コストがかかりすぎてどちらかといえば防犯のシンボル的な存在になっているきらいがあります。

 最近では、電機メーカーなどから一般家庭や各種施設で設置可能な防犯通報システムが発売されています。防犯ブザーを立派にしたようなものと考えていただければ結構です。既存建物や電柱、防犯灯、街路灯への設置が簡単におこなえる民生品ですが、1基当たり十数万円程度からあるうえ、防犯カメラとの接続や通信回線への接続も容易で、大掛かりな専用システムを開発せずに地域防犯網を構築することも可能です。

 このような防犯通報システムを、さしあたって通学路や公園に設置することを提案いたします。低コストとはいえ全市に一度に設置するのは困難ですから、地域からの設置要望を受けて、一定の予算枠のなかで市が設置し、予算枠の中におさまらなかったものについては、地域の防犯組合に対して設置助成を行うなどの方法も考えられます。当局の見解を求めます。


条例制定

また、かねてより提案しております「富山市安心・安全なまちづくり条例」の制定について、その必要性を一層感ずるしだいです。条例制定のお考えはないか答弁を求めます。

6. 教育について

学校施設の防犯

 教育について伺います。

 まず、学校施設での防犯システムについて伺います。

 多くの小中学校では玄関の施錠の実施がなされていますが、来訪者への対応のために、いちいち職員室から鍵を開けに玄関へ出向かなければなりません。校務にも支障をきたしかねません。そのためPTAで予算を組んで電子錠の設置を検討しているところもあります。また防犯カメラの設置をPTAで行おうと検討している学校もあると伺っています。

 防犯カメラや電子錠の設置はPTAや地域が予算を出すものでなく、学校にとって当然備えるべき設備だと考えます。改築あるいは大規模改修予定の学校は勿論、既存の学校への防犯カメラや電子錠の設置を要望します。当局の見解を求めます。


学校の耐震化について

 また、学校の耐震化についてはこれまでも訴えてきましたが、予算案にも一次診断の予算が計上されています。

 改築あるいは大規模改修予定の学校は診断の対象外ですが、建築年数によって機械的に順次改築・大規模改修が行われるのでは、文部科学省の指導とは言え、耐震診断は無駄なものになってしまいます。国の耐震基準以前の建築で本来は改築すべきとされた建物でも、構造や地盤の状況によっては耐震補強でも充分に学校として使用できる建物もあるのではないでしょうか。

 子供や地域住民にとって、遠い先の大規模な予算のかかる改築・大規模改修を、いつまでも待っているわけには行きません。できることから着実に行う学校の耐震化が必要と考えます。一次診断の結果はどのように耐震対策に生かされていくのでしょうか。あわせて今後の学校の耐震化についての基本方針について答弁を求めます。

校庭・運動場の整備

 終わりに校庭・運動場の整備について伺います。

 統合校のうち一校が校庭の芝生化、一校が校庭の人工芝化を予定しています。いずれにしても校庭での子供たちの生き生きとした姿が想像され、大変楽しみですが、既存の学校の校庭・運動場の整備については、どのような計画をお持ちでしょうか。

 多くの学校の校庭・運動場は、風が吹けば砂埃が舞い、雨が降れば池のような水溜りができ、仮に雨が収まっても何日も使用できないような有様です。また、水溜りを埋めるために、無造作に砂で埋めるといったことが繰り返されたために、走れば足が砂に埋まって、まるで砂浜を走るようなごとき学校も多く見受けられ、体育の授業や部活動に支障をきたしています。

 専門家によれば、水はけのよい運動場をつくるには、第一に、表面の凹凸をつくらないこと、つまり使用後の手入れが重要であることと、降雨時に使用すると轍ができてしまうので、雨が降ったら使用しないことが大切であるとのことでした。

 第二に、土壌にあった表土にすること、表土の補充についても砂であればなんでもよいわけではなく、粒度や粘度などを考慮しつつ、つなぎ成分として、樹皮加工品などをブレンドすることもあるそうです。そのための土質調査が大変重要とのことでした。この調査についてコストはそれほど大きくかかりません

 第三に地下水位が高い場合は水抜きのパイプを敷設(ふせつ)することだそうですが、ただパイプを埋めればよいかというと、先に述べた使用管理方法や表土のほうが重要だという意見でした。

 前置きが長くなりましたが、既存の校庭・運動場についてもその学校に応じた整備が必要だと考えます。そのためにまず土質調査などを順次進め、整備計画の策定を要望します。当局の見解を求めます。

 また、校庭・運動場の使用管理についても正しい使用・管理方法ついて、学校のみならず学校開放組織など地域の利用団体にも周知徹底することが重要と考えます。当局の見解を求めます。

答弁

森雅志 市長答弁

 鋪田議員の御質問にお答えします。

 私の方からは地方財政についてお答えし、その他につきましては担当部長からお答えいたします。

 まず、今回の財政健全化案についてどのように関心を持っているのか、また、地方団体と国との議論において、どのような影響を及ぼすと考えるのかとのお尋ねにお答えします。

 先般、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会が取りまとめた「平成18年度予算編成に関する基本的考え方について」は、財務省の考え方であり、総務省からは違う考え方が示されておりますことから、政府の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」にどう反映されるのか不透明であり、現時点では、評価できる状況にはなく、今後の動向を注視してまいりたいと考えております。

 また、地方団体と国との議論において、どのような影響を及ぼすと考えるのかについてでありますが、財政制度等審議会の財政健全化案では、地方財政の分野における歳出改革方策として、地方交付税の財源保障機能の縮減や総額の削減などが盛り込まれていることから、第2期の、つまり平成19年度以降の三位一体改革における交付税改革に影響を及ぼすおそれがあり、予断を許さない状況であると考えております。

 このため、地方自治体としては、去る6月8日の全国市長会議において、1つには、3兆円の税源移譲の確実な実行、2番目として、平成18年度以降の地方交付税総額の確保、3番として、地方の改革案に沿った補助金改革の実現、4番に、地方財政自立に向けた第2期改革への着手などを決議し、国に対し要請したところであります。

 今後とも、三位一体改革が真の地方自治の確立に向けた地方分権改革となるよう、あらゆる機会をとらえ、地方6団体とともに、国に強く働きかけてまいりたいと考えております。

 次に、三位一体改革に伴う義務教育費国庫負担金削減についての見解を問うとのお尋ねにお答えいたします。

 義務教育費国庫負担制度の見直しにつきましては、中央教育審議会の場で話し合われており、全国市長会を含む地方6団体では制度を廃止し、地方への財源移譲を求める声が多数派であります。いずれにせよ、7月上旬ごろまでに、全国市長会としての一定の方向が出る予定であります。

 一方、文部科学省は、一般財源化すれば教育水準に地域格差が生ずるために、制度を堅持すべきだとして、柔軟な国庫負担金制度である総額裁量制を打ち出しております。今年秋に出る同審議会の結論を待つところでありますが、私といたしましては、文部科学省の総額裁量制よりも、義務教育費国庫負担金を一般財源化した方が、地方にとって独自性の高い教育行政を展開できると考えております。ただし、削減された国庫負担金がそのまま交付されることが前提であります。

 なお、中央教育審議会において、目下、県から中核市へ、教職員の人事権を移譲することについて審議されております。全国市長会の―私もこのメンバーの1人でありますが、「分権時代の都市自治体のあり方に関する研究会」でも、都道府県が有する教職員の任命権等について、中核市等を初めとする都市自治体に、所要の税財源措置と合わせて移譲するという方向で議論が進んでおり、私もこの考え方にくみする1人であります。いずれにしましても、今後の国における動向を注視してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

根塚俊彦 都市整備部長答弁

 都市計画について、都市マスタープラン策定に当たって基本的な考え方を問うにお答えいたします。

 少子・高齢化や環境問題、都市構造の低密化などの課題がある中、これからの都市計画は都市をゆとりと豊かさを真に実感できる人間居住の場として整備し、個性的で快適な都市とするために、都市生活空間の将来像をしっかり描いて、積極的に実現していくことが重要であります。このため、都市マスタープランは地域固有の自然、歴史、生活文化、産業などの特性を踏まえ、地域社会共有の身近な都市空間を重視したまちづくりの将来像を描くものであります。

 新市の将来像といたしましては、都心を県都の顔として、多様な機能が複合・集約的に立地する広域的な交流拠点として一層充実させるとともに、旧町村中心部などにおいては、地域の生活交流を支える地域生活拠点の形成を図り、また、これらの拠点を交通ネットワークで連絡することにより、拠点相互が有機的、かつ一体的に連携・交流する都市構造が望ましいと考えているところであります。

 このようなことから、今年度から着手いたします都市マスタープランの策定調査におきましては、富山地域を初めとしたそれぞれの地域の旧マスタープランを尊重し、地域の土地利用の動向や都市施設の状況、景観特性などを十分踏まえた上で、さらに充実した計画とするよう、市街地と周辺の中山間地との調整が取れた土地利用の方針や、地域別の課題に応じた方針について検討してまいりたいと考えております。

 次に、まちなか居住推進について、短期間で集中的に都心居住を進めようとするものなのか、継続的な事業としてするものなのか、事業の性格について問うにお答えいたします。

 富山駅周辺や中心市街地を含む都心地区につきましては、交通やコンベンションなど多様な機能が複合的、集約的に立地する広域的な交流拠点として、また、定住人口や交流人口の増大を図り、魅力や活力にあふれる県都富山市の顔として一層充実させ、全体としてコンパクトなまちづくりを創出していかなければならないと考えております。

 そこで、お尋ねのまちなか居住推進事業につきましては、平成26年度をめどに実施し、まちなかのにぎわいや活動のもととなる定住人口を増加させるとともに、公共交通など都市基盤の充実との相乗効果により、魅力や活力にあふれるまちづくりを進めてまいりたいと考えております。

 次に、どのような方々を対象としているのかとの問いにお答えいたします。

 まちなか居住推進事業は、1つ、市民向けの支援策、2つ、事業者向けの支援策、3つ、まちなか居住の普及・支援の3つの方向性で施策を実施してまいりたいと考えております。

 まず、市民向けの支援策につきましては、1つ、一戸建ての住宅を取得される方に対する補助、2つ、分譲型共同住宅を取得される方に対する補助、3つ、まちなか以外からまちなかの賃貸住宅に転居される方に対する家賃補助を考えております。

 次に、事業者向けの支援策につきましては、1つには、共同住宅を建設される方、2つには、高齢者向けや中堅所得者層のファミリー向けの優良賃貸住宅を建設される方、3つには、遊休化した業務や商業ビルを共同住宅に改修される方に対する補助を考えております。

 このような多様な方々を対象とした支援策を実施し、まちなか居住を推進してまいりたいと考えております。

 次に、目玉施策の助成額として見直す必要があるのではないかと思うがどうかにお答えいたします。

 この事業は、市民向けと事業者向け、まちなか居住の普及・支援の3つのまちなか居住支援施策について、総合的に実施していく事業であり、補助額につきましては、近隣の都市の状況を参考にするとともに、議会の御意見を伺いながら決めてまいりたいと考えております。本市といたしましては、3つの支援策を通じて、市民や事業者の皆様と協働で、まちなか居住を積極的に推進し、にぎわいと活力に満ちた魅力あるまちなかの創出を図ってまいりたいと考えております。

 次に、市民参画のまちづくりについての景観まちづくり市民団体の登録状況や、登録された団体がどのような取り組みをしているのかにお答えいたします。

 富山市景観まちづくり条例に基づく景観まちづくり市民団体の登録状況につきましては、平成16年度に2件登録され、今年度は現在のところ、1件登録されております。その団体の取り組みにつきましては、1つには、中心商店街の景観や文化を絵画と文章によって記録し、まちを愛する気持ちをはぐくむ。2つには、コンピューターによる景観シミュレーションを作成し、まちづくりの啓発活動を行う。3つには、越中大手市場などでにぎわいや楽しさを演出し、にぎわい景観づくりの活動を行うなどが行われているところであります。

 以上であります。

大上戸良一 市民生活部長答弁

 安全なまちづくりについて、富山県安全なまちづくり条例の制定を受け、県の施策と市の取り組みとの連携について問う、また、通報システムの通学路などへの設置に対する見解、富山市として条例を制定する考えはあるのかにお答えいたします。

 本年4月に施行された富山県安全なまちづくり条例に基づく県の施策との連携についてでありますが、本年5月に、県が市町村担当課長会議を開催され、富山県安全なまちづくり条例及び県、市町村の役割などについて説明がなされたところであります。この中で、市町村からの申請に基づき、各市町村に1カ所「安全なまちづくり推進センター」を10月から指定することなどの説明がなされたところであり、本市といたしましては、「安全なまちづくり推進センター」の設置や市の役割なども含め、県との連携について検討しているところであります。

 また、本市としてはこれまでも、安全で安心なまちづくりを推進するため、「安全なまちづくりに関する懇話会」において、条例制定も視野に入れながら、安全なまちづくりに関する御意見をお聞きしてきたところであります。

 市の安全・安心に係る条例の制定につきましては、本年4月に施行された県条例との整合性を図ることが必要であることから、秋ごろに策定が予定されている県の防犯上の指針をも踏まえ、さらに合併により拡大した地域の現状も勘案しながら、条例の制定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、市では、これまでも防犯対策として街路灯の整備や、JR富山駅周辺の自転車駐車場に防犯カメラを設置するなど、犯罪の発生しにくい環境の整備に努めてきたところであります。

 また、県では、スーパー防犯灯を雪見通り及び白銀町公園に19基設置されているところであり、今後、地域からスーパー防犯灯の設置について要望があれば、県に働きかけてまいりたいと考えております。

 そこで、御提案の緊急通報システムについてでありますが、1つには、通報先となる警察との協議が必要となること、2つには、このシステムの効果や設置箇所の選定について、十分検討する必要があること、3つには、多額の経費が必要であることなどから、調査・研究してまいりたいと考えております。

 以上であります。

吉川實 教育長答弁

 教育についての3つの御質問のうち、まず改築あるいは大規模改造予定の学校はもちろん、既設の学校への防犯カメラや電子錠の設置を要望するが、当局の見解を問うにお答えいたします。

 防犯カメラや電子錠につきましては、不審者を入り口で防ぎ、建物内部に入れないといった学校の保安体制をサポートする上で非常に有効な機器であるものと考えております。市では、これまで試験的に、校舎の改築や大規模改造の機会に、防犯カメラは職員室からの死角をカバーする場所に設置し、電子錠はテレビ付インターホンと組み合わせまして、正面玄関の施錠を職員室から遠隔管理できるようにしております。昨今、子どもたちの安全にかかわる事件が報道されることも多く、学校の安全に対して保護者の関心が高まっていること、また、電子錠の設置につきましては、学校からの要望が多く寄せられていることから、まずは、既存校における電子錠の設置について検討してまいりたいと考えております。

 次に、耐震一次診断の結果はどのように耐震対策に生かされていくのか。また、今後の学校の耐震化についての基本方針を問うにお答えいたします。

 耐震一次診断につきましては、今後、どの学校施設から耐震二次診断、または耐力度調査を実施すべきか。その優先度を検討することを主な目的として実施しているものでございます。今後、二次診断等を進める上で、建築年次や老朽度などとともに、実施順序を決める際の判断基準の一つとするものであります。

 次に、今後の学校の耐震化についての基本方針についてでございますが、昨年、文部科学省が設置いたしました「学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議」は、本年3月に報告書を取りまとめております。その中で、今後の学校施設整備のあり方について、「膨大な学校施設について、限られた予算で、できる限り多くの施設の耐震性をより早急かつ効率的に確保するためには、建てかえから改修による再生整備への転換を図る必要がある」との考え方を打ち出しております。

 市といたしましては、文部科学省が「学校施設整備に当たっては、この報告書を参考としつつ検討されたい」との見解を示していることも踏まえまして、今後、昭和56年以前の旧耐震基準により建築されている校舎はもとより、昭和46年以前に建築されております旧耐震基準以前の校舎につきましても、改築が必要か大規模改造でも十分かを二次診断等により判断をしながら耐震化を図ってまいりたいと考えております。

 なお、大規模改造につきましては、今後、原則として間取り変更は行わないことなどにより、極力費用を抑え、市内の小・中学校校舎の耐震化の進捗度を早めてまいりたいと考えております。

 また、体育館につきましては、災害時の避難場所としての位置づけもございますので、旧耐震基準、旧耐震基準以前を問わずおおむね改築により、耐震化を図ってまいりたいと考えております。

 最後に、既存の校庭・運動場の整備について、土質調査などを順次進め、整備計画の策定を要望するが見解を問う。また、正しい使用管理方法について、地域の利用団体にも周知徹底することが重要と考えるが見解を問うにお答えいたします。

 本市におきます小・中学校のグラウンド整備につきましては、表土の硬さや流出状況、また、降雨後の水はけ状況などを目視や聞き取りにより調査し、状態が悪いと判断したところから、順次整備を進めてきているところであります。改修に当たりましては、土質試験を行い、そのグラウンドに応じた砂や改良材の使用、並びにコスト面も含めました、最適な方法について検討し、整備を行ってきているところであります。

 今後の整備に当たりましても、整備すべきグラウンドを一定程度に絞り込みながら、それぞれのグラウンドに合った適切な整備方法を検討し、順次整備を進めてまいりたいと考えているところであり、整備計画の作成につきましては、今後、研究してまいりたいと考えております。

 また、運動場などを地域の皆様に御利用いただく場合は、現在、校区ごとの学校開放運営委員会において、施設の管理や利用者に対する指導が行われていることから、運営委員長会議などの機会をとらえて、適切な管理方法の周知に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

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