議会レポート

平成17年12月議会・一般質問

1. 「まちづくり三法」見直しとまちづくりについて

郊外での大規模店舗商業施設出店に対しての都市計画法改正での対応について

 現在国において「まちづくり三法」の見直しが検討されています。まずこのことに関連して質問します。

 ご承知のとおり、「まちづくり三法」とは改正都市計画法・大規模小売店舗立地法・中心市街地活性化法をさし、外圧による大規模小売店舗法いわゆる「大店法」の廃止と引き換えにまちづくりの切り札として成立しました。ところが実際には、現在の中心市街地の衰退の大きな要因である郊外の大規模商業施設の進出に拍車をかける結果となり、今般の見直し議論となったわけです。

 富山県においても、先般、石井知事が、郊外での大規模商業施設の出店に関して、複数の市町村にわたり影響を及ぼすことから、広域調整の仕組みが必要と発言され話題になりました。これに対して需給調整は時代に逆行すると流通業界は反発をしています。

 しかし郊外での大規模商業施設の立地は、中心市街地の商業の問題だけではないことは誰もが理解できることです。本議会でも6月定例会において大型店の出店に対し自粛を求める決議をいたしました。

 今回のまちづくり三法の見直しのひとつに、都市計画制度の見直しにより、これらの問題を、まちづくりの観点から解決することが検討されています。国ではその基本的な考え方として、都市機能の適正立地をブレーキに中心市街地の振興方策をアクセルに例え、各種の施策を検討しています

ブレーキについては、

  1. 広域的なまちづくりの観点から、大規模商業施設の立地について都市計画の手続きに組み込みその手続きの中で立地についてひろく意見を求めるほか、都道府県知事にその同意を求めるしくみをつくること
  2. 市街化調整区域における大規模開発制度を見直し、宅地系の開発と商業系の開発にわけて手続きをするしくみをつくること
  3. 都市計画区域外での都市計画規制を見直すこと
  4. 役所などの公共施設や病院などの公益施設の郊外移転が著しいことから、これらに歯止めをかけるため開発許可制度を見直すこと

などをあげています。

アクセルについては、

  1. まちなか居住の推進
  2. 地権者を巻き込んだ空き地対策・空き店舗対策の推進
  3. 医療・福祉・文化に関する公共・公益施設のまちなかへの立地支援
  4. 公共交通機関の利便性向上
  5. 歩行者空間の充実

などをあげています。

 これまでの都市計画法上の諸手続きに関する中核市の位置づけをみても、また県都としての重みを考えても、法律が変わったからたからこうなりましたではなく、市としてまちづくりの基本姿勢をしっかりと示して、議会を含め広く意見を求め、それを具体な施策に落とし込んでいくというプロセスが重要です。

 本市においてもこれらの法改正を見越して、広域的なまちづくりの観点からの都市計画の手続きについて、富山県と本市、隣接する市町村と本市がどのように関わればよいのか、あるいはその仕組みについてこれからどのようにしてゆくのか、本市の方針について答弁を求めます。

「中心市街地活性化基本計画」の見直し

 また、中心市街地活性化法の見直し案においては、その基本構想となる「中心市街地活性化基本計画」を中心商店街の再生を軸としたものから、まちづくり全体を視野に入れたものとするように求めています。

 本市の「中心市街地活性化基本計画」についても見直して、都心居住や福祉拠点、生涯学習拠点、公共施設の立地を包括的に含んだ内容とするよう、また具体的な数値目標を定めた内容とする必要があると考えます。本市の「中心市街地活性化基本計画」見直しについてどのように考えているか、答弁を求めます。

2. まちづくりについて

「都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例」について、都市計画全体から見た位置づけ

 次にまちづくりについて伺います。

 現在本市においては、「都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例」の制定について検討がなされています。具体的には「都市計画法第34条8号3」に規定される、市街化区域に隣接した市街化調整区域での建築にかかる開発行為に対する許可についての条例案です。すでに条例素案はホームページ上などでも公開されパブリックコメントの対象となっています。

 平成13年の都市計画法の改正により、いわゆる既存宅地制度が廃止され、個別の既存宅地の開発ではなくて、ある程度の集落単位で開発が適切かどうかを判断していくというゾーニングによる手法により、市街化調整区域での適切な建築物の立地を誘導して、無秩序なスプロール化を防ぐものです。もっといえば、むしろ線引き制度により1か0かで分けられてしまったまちを、連続性あるこまやかなゾーニングすることで、本来の都市計画のあり方を取り戻そうとする流れの上にあると思います。

 ご承知のとおり当初線引き制度の議論には、現在の市街化区域、市街化調整区域といった単純な2段階区分ではなく、もう何段階かに分ける構想もあったからです。四国では線引き制度が廃止されつつあります。現在ほとんど指定されていない準都市計画区域制度の見直しも含め今後大きく国の都市計画の仕組みも改められることとなるでしょう。

 さて、今回の条例素案の基本的な考え方には、ライフスタイルの多様化による郊外での居住ニーズにこたえるため、あるいは既成集落の維持・活性化などがうたわれていますが、一部にはコンパクトシティ構想や都心居住推進施策などと矛盾するのではないかとの見方もあります。また、地区計画制度を生かした開発や優良田園住宅との混同や制度の趣旨・目的の違いについての誤解も多いようです。

 この条例の富山市全体の都市計画や住宅政策での位置づけを明確にしていくことが必要と考えます。具体的にはこれらの対象区域での居住世帯数や人口の見通しなども明確にする必要があるでしょう。この条例の富山市全体の都市計画や住宅政策での位置づけについて答弁を求めます。

 また、この素案を見てみますと、立地可能な建築物として「自己が居住するための専用住宅と自己が居住し業務を営む兼用住宅のうち第一種低層住居専用地域で許可されるもの」などとなっています。既成市街地との連続性を考えたときに、かえっていびつな町並みとならないか懸念されます。隣接する市街化区域の用途地域などから細かな許可規準とする必要があると考えますがいかがでしょうか、答弁を求めます。

 さてこれらのことをひっくるめて、さまざまな問題点が浮かんできています。将来の都市計画を考えるにあたっては、都市計画区域の有無、線引きの有無など本市がもつ特殊な制度の抜本的見直しの議論を一刻も早くスタートすべきです。都市計画の見直しについて今後どのように取り組んでいくのか答弁を求めます。

既存宅地制度廃止を目前にして、財産権としての既存宅地について

 また一方で、既存宅地制度の廃止にともなう経過措置期間の終了も平成18年5月と目前なっています。

 先ほど述べたとおり、個別の土地について考えるのではなくゾーニングにより、まちなみの形成をしてゆくことは当然です。しかし、個人の財産権としてこの土地の一つ一つを見てゆくときに、財産であった土地にその価値が一切認められなくなるということは、あまりにも問題点が多いのではないでしょうか。そしてその重大性をしっかりと市民に告げてきたのでしょうか。たった5年間の短い周知期間、しかも経済情勢の厳しい折に、適正な土地利用を行なうことは不可能でした。

 このことから、静岡県では既存宅地制度の廃止に備え、一定の条件と期限つきではありますが県独自で既存宅地制度の廃止に伴う特例措置をもうけています。佐賀県でも同様に市街化調整区域内の既存宅地制度廃止に伴う救済措置を設けています。

 既存宅地のうち「都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例」からもれてしまう土地の割合はどのくらいなのでしょうか。まちづくりの観点から悪影響が出ない程度のものであれば、一定期間、条件をつけて独自に条例制定をして、個人の財産権を守るべきと考えます。当局の答弁を求めます。

3. 福祉施策について

 次に福祉施策について伺います。三位一体改革の議論が一応取りまとめられました。

 以前に教育と三位一体改革についてその影響について質問しました。これらの改革について国民は評価しかねています。ひとつには身近な生活への影響度がわからないこと、もうひとつは国の主張、地方の主張が分野ごとに譲ったり譲らなかったりで、改革の趣旨目的がわかりにくくなっているからです。

 福祉分野でいえば、児童手当・児童扶養手当と生活保護費についての国と地方のやりとりが大きく報道されました。市長の提案理由説明の中にも「これまで地方が強く反対してきた生活保護費の削減が除外され、地方が求めた施設整備費が含まれるなど、概ね評価できる」と述べられ、今回の三位一体改革に対し一応の評価をされていますが、なぜ評価できるのかについての「なぜ」の部分が市民には理解しにくいと思います。

 今回の三位一体改革が本市の福祉施策にあたえる影響、市民としてどのように影響を受けるか、具体的に説明を求めます。

4. 文化施設について

 次に文化施設について伺います。

 先般、沖縄市の市民小劇場「あしびなー」へ視察に参りました。中心市街地の活性化も念頭において、商業施設と合築された複合施設です。座席数286席という小さなホールでしたが、単なるホールではなく、市民主体の文化活動を支える拠点として大きな役割を持っています。一流講師によるこども対象のワークショップには多くの希望者が殺到し、一過性の事業ではなくすっかり定着しているようでした。

 また、既存の文化会館とはうまくすみわけを行い、効果的に運営されていました。舞台・音響・照明の専門スタッフも充実しており、既存の文化会館とあわせて委託を行い、それぞれの連携もしっかりなされていました。さらには、この規模のホールにありがちな設備更新の滞りもなく、現場から不満のあった音響調整卓をあらたに客席内に設けるなど、常に現場と利用者の立場に立った柔軟な運営がなされています。

 また、1997年4月世田谷区に誕生した「世田谷パブリックシアター」はでも子どもたちを中心にしたワークショップの開催や、ホール自主事業を教材にパブリックシアター舞台技術者養成講座を開催されています。この講座は今年ですでに15回を数え、多くの受講者が参加されています。

 本市は合併により多くのホールを持つ文化施設を抱えることとなりました。それぞれが地域に根ざした運営がなされることが第一ですが、一方では予算がつかずに設備更新がほとんどなされない。本当の意味での専門のスタッフがいないため立派な施設・設備が宝の持ち腐れとなっていることなどの問題点があります。このことは、以前に公共ホールで舞台音響の仕事をしていた私としては残念でなりません。

 本市全体として部署がわかれているこれら文化施設の所管を一元化すること。そのうえで、各施設の人的ネットワークを構築して、演劇などの市民の自主事業の実施や企画相談には専門家が相談に乗ってくれる体制、あるいはアマチュア舞台技術者の養成講座の開催など、ソフト面での施策の充実を求めますがいかがでしょうか、当局の答弁を求めます。

5. 学校図書館と学校図書司書の配置について

 おわりに学校図書館と学校図書司書の配置について伺います。

 ある小学校の児童対象アンケートによれば「学校で一番好きな場所」として図書室が上位に挙げられたそうです。活字離れや読み書きをする力の低下が指摘される昨今、頼もしい傾向です。コンピュータ化による図書管理体制の充実やそれを生かした学校図書司書・学校の連携による効果的な指導、朝読書や読み聞かせ活動への積極的な取り組みが成果となってあらわれてきたのでしょう。

 一方で学校図書司書の配置について、まだまだ十分ではない点も見られるほか、旧市町村の地域ごとに制度も異なります。またコンピュータが学校の図書室間でネットワークされておらず、もっと積極的な活用が必要と考えます。市内の学校間での読書傾向などの把握やそれらの共通データを生かした指導に役立つほか、希少な書籍の学校間の融通や、市図書館とのやり取りなどです。

 今後の学校図書室、司書の体制について合併をきっかけにさらなる充実が望まれます。今後の取り組みについて答弁を求めます。

答弁

森雅志 市長答弁

 おはようございます。鋪田議員の御質問にお答えいたします。

 私の方からは、福祉施策についてお尋ねがありました部分についてお答えし、その他につきましては担当部長から答弁いたします。

 三位一体改革による、児童手当・児童扶養手当、生活保護の本市の福祉施策及び市民に与える影響についてお尋ねがございましたのでお答えいたします。

 国、地方の税財政改革、いわゆる三位一体改革は、「国から地方へ」という地方分権推進の考えのもと、地方の自由度を高め、創意工夫に富んだ施策を展開するためには、地方自治体の裁量を拡大することを目的に、国庫補助負担金改革、税源移譲、地方交付税改革を行おうとするものであります。もちろん内容に問題がないわけではありませんが、改革というのはこういう形で進んでいくと思っております。理解ができないという御発言がございましたが、鋪田議員の所属される自由民主党の公約でもございます。ぜひ議員の口から市民の方々にしっかりとこの趣旨の説明をお願い申し上げます。

 このうち、先送りとなっておりました約6,000億円の国庫補助負担金の削減と税源移譲について、先ほど政府・与党合意が取りまとめられました。その内容は、政府・与党合意によって、国庫補助負担金の削減は全体で4兆円を上回ることとなり、税源移譲額は約3兆円となったこと。生活保護費については厚生労働省が国庫負担率の引き下げを提案していたものの、生活保護費は国が担うべきものであり、負担率の引き下げは単に地方への負担転嫁であると地方6団体が強く反対していたところでございますが、この地方の主張どおり、生活保護費が国庫補助負担金の削減対象から除外されたこと。地方の裁量の拡大につながる施設整備費に係る補助金については、財務省が建設国債を財源とすることから、税源移譲の対象とすることは不適当であると主張していましたが、福祉施設や公立学校などの整備に係る国庫補助負担金が税源移譲の中に含まれたことなど、地方の主張が一定程度盛り込まれており、このことからおおむね評価できると考えております。しかし一方、地方案にはなかった児童手当及び児童扶養手当の国庫負担率の引き下げが含まれております。

 そこで、お尋ねの本市の福祉施策に与える影響についてでありますが、生活保護費については、今ほど申し上げましたとおり、今回の改革の対象から除外されたものの、国庫負担率が児童手当は3分の2から3分の1へ、また児童扶養手当は4分の3から3分の1へと引き下げられることとされております。これらの手当は、全国統一的に公平・平等に行う給付金制度であり、法令で認定基準や支給金額を定めていることから、地方自治体の裁量権がないものであります。

 このことから、今回の児童手当等の国庫負担率の引き下げについては、国と地方の負担割合の変更に伴い、市財政への影響が予想されるところでありますが、市民への直接の影響はないものと考えております。

 ちなみに、市の財政面への影響としましては、平成17年度予算ベースで試算いたしますと、児童手当が約2億6,800万円、児童扶養手当が約4億2,600万円の市の負担増が見込まれます。もっとも、政府・与党合意では、児童手当等の国庫負担率の引き下げ分については、平成18年度においては所得譲与税によって、平成19年度以降については、所得税から個人住民税への恒久措置として税源移譲されることとされております。

 なお、児童手当の支給対象の拡大についてマスコミ等で報じられておりますが、支給対象の拡大となれば、それに伴う地方負担分を増額して税源移譲されるべきものと考えております。

 以上でございます

根塚俊彦 都市整備部長答弁

郊外での大規模店舗商業施設出店に対しての都市計画法改正での対応について

 国におけるまちづくり三法見直しとまちづくりについての御質問のうち、都市計画の手続について、県や隣接市町村とどのようにかかわるのか、あるいはその仕組みをどのようにしていくのかのお尋ねにお答えいたします。

 本市を初めとする地方都市では、中心市街地における空洞化が深刻化したことから、平成10年に中心市街地活性化法、改正都市計画法、大規模小売店舗立地法、いわゆるまちづくり三法が制定されましたが、その後も都市の核となる中心市街地の衰退は進み、その再生は喫緊の課題となっております。

 こうした中、国の社会資本整備審議会では、都市ストックとしての中心市街地を再生させ、機能を集積した集約型都市構造の形成を新たな理念として、1つには都市構造の制御力の強化、2つには地方分権と広域調整、3つには中心市街地への集積誘導を論点に、ゾーニングによる土地利用規制や開発許可制度、都市機能集約のための支援策、広域調整を行う都道府県の役割などについて、見直しの議論がされているところであります。

 本市におきましても、郊外における大規模小売店舗の立地は、コンパクトなまちづくりや中心市街地活性化に深刻な影響を及ぼすおそれがあることから、隣接する市町村への立地などに関しましては、まちづくりの観点から県によって広域調整を行うことが必要であると考えております。

 現在、国ではこれらの課題に対応するため、法改正の準備が進められていると仄聞しており、本市といたしましても、国の動向を見ながら、県に対し新たな制度に基づき、広域調整をされるよう働きかけてまいりたいと考えております。

「都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例」について、都市計画全体から見た位置づけ

 次に、まちづくりについて4点の御質問をいただいております。

 まず、都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例の富山市全体の都市計画や住宅政策での位置づけを問うのお尋ねにお答えいたします。

 市街化調整区域での開発許可は、従来から建物用途や連檐(たん)性など、一定の条件のもとに認められてきました。しかしながら、平成12年の都市計画法の改正により、従来、既存宅地であるという条件のみで、建物用途や周辺集落の状況に関係なく建物が立地することで、問題となっていた既存宅地制度は廃止されました。同時に、既存集落内であることや道路などの都市基盤整備状況、建物用途など一定の条件に合うものは開発を認める制度が法改正によりできました。

 このため、本市では、既存集落のコミュニティーを維持するため、また市民が求めるライフスタイルや居住ニーズに対応する選択肢を用意するため、建物用途や敷地面積等の一定の条件のもとに、開発許可等ができる「都市計画法に基づく開発許可等の基準」について、来年3月議会で条例化を図ってまいりたいと考えております。

 また、本市では、コンパクトなまちづくりを積極的に進めているところでありますが、これまでの人口増加する社会においては、市街地の拡大に対し、規制する手法が重要でありましたが、今後の人口が減少する社会においては、都心を魅力的なまちにすることで、都心居住を促す誘導的手法を基本としており、今回の条例制定はこうしたまちづくりと相反しているものとは考えておりません。

 次に、立地可能な建物、建築物について、隣接する市街化区域の用途地域等から、細かな許可基準とする必要があるのではないかとのお尋ねにお答えいたします。

 今回の条例で立地を認める建物用途につきましては、新たな建築物等の立地によって、周辺の市街化を促進することがないよう、既存集落の連檐(たん)性や都市基盤の整備状況に配慮しながら、市民の居住ニーズの多様化への対応と既存集落の維持を目的として立地できる建物用途を一定の条件を満たす自己用住宅及び併用住宅としたものでございます。

 このことから、市街化区域内の既成市街地とそれに隣接する市街化調整区域との連続性を理由といたしまして、商業や業務などの用途を認めることは考えておりません。

 次に、都市計画の見直しについて今後どのように取り組んでいくのかにお答えいたします。

 本市の都市計画につきましては、合併前のそれぞれの地域の都市計画をそのまま引き継いだことから、線引きの富山高岡広域都市計画区域と旧町を単位とした非線引きの都市計画区域からなっており、また旧市町にそれぞれの都市マスタープランが定められております。

 このことから、一体の都市として都市計画を進めるため、本年度から2カ年計画で新市の都市マスタープランの策定に着手したところであります。現在、地域別の人口や世帯数、開発許可や建築確認の動向、都市基盤施設の整備状況等について調査を行っているところであり、今後、公募市民や学識経験者などで構成する富山市都市マスタープラン検討委員会を設置し、議論していただくこととしております。

 都市計画の見直しにつきましては、今後策定する都市マスタープランで、新市の土地利用の方向性や将来像を明らかにする中で、都市計画区域の再編や線引きの見直しなどの検討を進めてまいりたいと考えております。

既存宅地制度廃止を目前にして、財産権としての既存宅地について

 次に、まちづくりの観点から独自の条例を制定し、個人の財産権を守るべきと考えるが見解を問うにお答えいたします。

 市街化調整区域において、区域区分告示の日前から宅地であった土地として、建物用途に制限なく建築可能であった既存宅地制度は、平成13年5月17日の改正都市計画法の施行により廃止され、現在、平成18年5月17日までの経過措置として自己業務用、自己居住用に限り建築が認められています。そして、平成18年5月18日以降は、経過措置期間が終了することから、本市では、区域区分告示の日前から宅地であった土地について、建物用途を自己用住宅、併用住宅に限り建築を認める新たな制度を検討しております。

 この制度につきましては、道路等の整備が伴わない土地については、都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例に位置づけし、来年3月議会での条例化を図ってまいりたいと考えております。また、道路等の整備が伴う土地については、新たな基準を設け、開発審査会の議を経て許可することを検討しておりますので、御理解お願いいたします。

 以上でございます。

老月邦夫 商工労働部長答弁

 国におけるまちづくり三法の見直しに関連して、本市の中心市街地活性化基本計画の見直しについてどのように考えているかのお尋ねにお答えいたします。

 現在、国では、来年の通常国会において、中心市街地活性化法などのいわゆるまちづくり三法の大幅な改正が予定されていることから、本市の中心市街地活性化基本計画の見直しについても検討していく必要があると考えております。

 本市においては、公共交通を活用し、環境にやさしく、持続可能な社会の形成を目指して、郊外への拡散の動きを中心へ集中する流れに変えるコンパクトなまちづくりに取り組んでおります。

 そうした中で、今後、都心居住の推進や公共施設の整備などのハード整備事業や地域再生マネージャーを活用した中心市街地のにぎわい創出事業などのソフト事業を新しい中心市街地活性化基本計画に位置づけし、都心における個性的で魅力ある交流空間の形成とにぎわいの創出に向け、取り組んでまいりたいと考えております。

 今後、中心市街地活性化法やその指針などの具体的な内容が明らかになった段階で、本市の数値目標など個々の設定について検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

渡辺邦保 企画管理部長答弁

 文化施設についての御質問の、施設の所管を一元化すること。また、各施設の人的ネットワークを構築するなどソフト面での施策の充実を求めるがどうかにお答えいたします。

 まず、文化施設の所管につきましては、合併協議におきまして、市長部局へ一元化する方向で調整したところでありますが、旧町の施設は、図書館や体育館などと併設しており、文化ホールだけを切り離して管理運営することが困難な複合施設であることや、生涯学習の場であることなどから、引き続き教育委員会で所管することとなったところであります。しかしながら、文化振興を市全体として推進するためにも、一元化して管理運営することが望ましいと考えておりまして、指定管理者制度の導入などをも踏まえながら、今後とも検討してまいりたいと考えております。

 次に、ソフト面での施策の充実については、今ほど申しましたように、施設の管理面では一元化しておりませんが、本年7月に文化国際課を事務局として文化会館等館長会議を立ち上げ、各文化施設のソフト事業の充実や連携について検討しているところであります。

 これまでの協議の内容としましては、1つには、自主事業の企画指導や人材育成を図るため、専任プロデューサーによる企画制作や舞台技術のノウハウのある財団法人富山市民文化事業団との連携による事業の実施、2つには、桐朋オーケストラ・アカデミーの演奏会の各文化施設での開催、3つには、大山地域の「木と出会えるまちづくり」におけるデザインアートなど、それぞれの地域に根ざした特色ある伝統や歴史・文化に関する事業の展開、4つには、複合施設としての管理運営のあり方など、さまざまな取り組みについて議論しているところであります。

 いずれにいたしましても、各文化施設がそれぞれの地域の拠点施設として、効率的・効果的に活用する必要があることから、ソフト事業としての舞台技術者の養成講座や自主企画事業の連携など、可能なものから順次実施することにより、本市全体の文化振興の推進に努めてまいりたいと考えております。

吉川實 教育長答弁

 学校図書室、司書の体制について今後の取り組みを問うにお答えいたします。
学校図書館の蔵書につきましては、これまで旧富山市におきまして、平成16年度からの15カ年計画で、国の定める蔵書の標準冊数目標を全小・中学校で達成することを目指してまいりました。このことを引き継ぎまして、4月1日の合併後に、新市全体の小・中学校の蔵書数を調査いたしましたところ、アンバランスな面もございましたので、平成18年度からの10カ年計画に短縮して、すべての学校が目標に達するよう努めてまいりたいと考えております。

 また、旧富山市では、平成16年度にコンピュータによる蔵書管理のシステム化を導入したところであり、平成18年度には、旧町村のすべての小・中学校に導入したいと考えております。これによりまして、蔵書管理の効率化が図られるとともに、児童・生徒みずからの貸し出し、返却の利便性が高まり、読書量の増加が期待されます。また、読書傾向などの統計データが簡単に把握でき、先生方の読書指導の充実にも大きく寄与するものと考えております。

 次に、学校図書館司書の配置の現状につきましては、学校によって未配置から週5日配置までと違いがあります。また、同一規模の学校におきましても週当たりの配置日数や1日当たりの配置時間にも違いがございます。このようなことから、平成18年度より学校規模をベースに全市統一の基準による配置体制とし、未配置校の解消にも努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

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