議会レポート

平成19年9月定例会・一般質問

1.公共交通とまちづくりについて (1)ICカードについて

鋪田博紀

 自由民主党の鋪田 博紀でございます。9月定例会に当たり、一般質問を行います。

 まず、質問の前に、去る8月26日に「2007年スペシャルオリンピックス夏季世界大会上海 トーチランin富山」を開催いたしましたところ、富山市職員そして消防職員、消防団員の皆さんには大変な御協力をいただいたことをこの場をもって感謝申し上げたいと思います。

 このスペシャルオリンピックスというのは、知的発達障害の方々のオリンピックでございまして、10月2日に上海で世界大会が行われますが、この富山から3名の選手が日本代表として出場すると、その壮行記念ということでトーチラン聖火リレーを行いました。ランナーとしても走っていただきましたし、各中継点でのボランティアにもたくさん参加していただきました。特に、各中継点ではほとんど現場任せというか現場あわせのイベントだったのですが、富山市職員、そして消防職員の皆さんには、現場でそれぞれ自発的に次は何をやらなければいけないかということを考えていただき、こちらの思いを受けとめていただきまして、このイベントの運営に本当に御尽力いただきました。このことは関係者から高く評価をいただいているということを御報告申し上げておきたいと思います。

 それでは、質問に移ります。

 まず、公共交通とまちづくりについてのうち、ICカードについて伺いたいと思います。

 まず、パスカ、これはICカードというよりも交通系の電子マネーといった方がいいと思いますが、このICカードの富山におけるデファクトスタンダードといいますか、これは大都市圏を中心にICOCA(イコカ)ですとかSuica(スイカ)ですとかPASMO(パスモ)ですとか交通系の電子マネーが普及しておりまして、ここ最近は地方都市にもそれがだんだん進んでおりますが、富山においてどういったものが標準規格になっていくのか、パスカがリーダーをとってやっていくのか、その辺について考え方をお聞かせいただきたいと思います。

山崎和夫 都市整備部長

ICカードの規格は、接触式と非接触式に分けられ、非接触式は、一般的には通信方式の違いによりNTTのICテレホンカードに代表されるタイプAと、住民基本台帳番号カードに代表されるようなタイプB、JR東日本のスイカに代表されるタイプCの3種類に分類されます。

 富山ライトレールのパスカは、JR東日本のスイカと同様のタイプCに分類され、ICカード技術フェリカ(FeliCa)を採用しております。

 この方式は、全国のJR各社や私鉄各社などで構成している社団法人日本鉄道技術協会の特定部会の規格として採用されており、JR東日本のスイカのほか、JR西日本のイコカや、首都圏を中心とした私鉄や地下鉄、バスなどで利用できるパスモなど、ほとんどの交通事業者が採用している交通分野におけるICカードの主流の規格であります。

 一方、県内におきましては、現在、富山ライトレールのパスカが唯一のICカードであり、これまで約2万4,000枚が販売され、使用されていることから、本市ではパスカの普及を目指し、富山ライトレールのフィーダーバスやまいどはやバス、都心部の駐車場へ利用拡大しようとしているものであります。

 今後、県内で、他の交通事業者がICカードを導入される場合は、フェリカ技術を採用されると想定されることから、パスカとの相互利用について調整してまいりたいと考えております。

 以上です。

鋪田博紀

 技術的なことは十分私も理解したつもりで質問しているのですが、要はそのデファクトスタンダードとしては規格はもちろんそうなんですけれども、例えば、どこかの運営会社がこれから県内のそういった交通事業者を束ねてやっていくような形になるのか、あるいは、現在唯一の電子マネーでありますパスカを持っている富山ライトレールが、例えば別部門を立ち上げてこれを牽引していくのかとか、そういう運営の流れといいますか、その辺のことをお聞きしたかったのですが、これは副市長のほうがよろしいですかね。

笠原勤 副市長

 今、都市整備部長の方から答弁を申し上げましたが、現在のところ富山市域においてパスカが既に2万4,000枚普及しているほかに、電子マネーのような形で新たにカード会社等が参入してくるという話は特に聞いていない状況でございます。私どもとしましては、交通系のカードというものが普及拡大することが、公共交通の利用促進につながると考えておりまして、まずはパスカがこれだけの枚数、市民の間に普及しているということを考えると、このカードをいろいろな交通機関で広く使えることを目指していきたいと考えておりますし、今後、富山地方鉄道とかそういうところで新しいカード導入の動きがあるとすれば、恐らくそこでは同様にフェリカ技術を使ったICカードを使うことになると思いますので、例えば現状においてもパスカと東京のスイカなどは互換性といいますか、相互利用できませんので、もし、富山でほかのフェリカ技術のカードが導入されるということがあれば、パスカとほかのカードが相互利用できるような調整を図ってまいりたいと、このように考えております。

鋪田博紀

 今、相互利用という話がありましたけれども、例えば地鉄が今後カードを導入するといったときに、パスカを使って1枚で県内全部賄えるというのもあれば、1枚のカードで全部統合するのではなくて、それぞれのカードが相互利用できるという形態もあるでしょうし、また新幹線が来ることによって、並行在来線ということが出てきますので、例えばそういうところでの電子交通系、電子マネーの利用ですとか、そういったことも今後考えられると思いますので、その辺の動きがもし何かあればということでお聞きしたわけですけれども、今の答弁で現状はわかりました。

 6月の補正予算で利用拡大に向けてさまざまな取り組みがなされているわけですけれども、これは提案なんですが、例えば富山市関係で言いますと、オーバード・ホールの関係でアスネットカード、これは電子マネーではなくてクレジットカードですが、フェリカ技術を使った電子マネーの場合よりひもつきと言われますが、例えばこれが提携することによってオーバード・ホールで何か催しものを見るときに、アスネットカードで買うと自然にパスカのほうにチャージされるということも考えられますので、ぜひまた次の手といいますか、そういったことも考えていただきたいと思います。

山崎和夫 都市整備部長

 今ほど副市長からも拡大という話がありましたが、現在、富山ライトレールでは、パスカをライトレール以外の他の交通機関や都心部の駐車場への利用拡大を図ることとされております。

 また、(株)まちづくりとやまでは、総曲輪フェリオ及びグランドプラザのオープンを機に、中心市街地の商業者と連携したICカード活用商店街ポイントサービス社会実験を実施することとされており、市といたしましても、中心市街地への来街者に対するサービスの拡大による来街者の増加の観点から支援をしているところであります。

 この社会実験については、(株)まちづくりとやまとともに、8月中旬から商店街団体等への個別説明会を実施し、参加店を募ってまいりました。

 現在、大和富山店を初め、総曲輪シティ、総曲輪通り商盛会、中央通商栄会、西町商店街振興組合、大手モール振興会、千石町通り商店街振興組合に加盟している約70店舗から参加の申し込みがあると聞いております。

 今後も引き続き、(株)まちづくりとやまとともに、各商店街団体等への働きかけを行い、参加店の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上です。

鋪田博紀

 70店舗ほどの参加の申し込みがあったということですが、これは当局が想定していた申し込み状況に比べてどうなんでしょうか。

山崎和夫 都市整備部長

 初めてのことでありまして、今、加盟団体は230店舗でありますが、当時、なるべく多くという考え方で(株)まちづくりとやまと話しておりまして、今ほど申し上げましたように各商店街、団体等へ引き続き参加店の確保に努めてまいりたいと考えているところです。

鋪田博紀

 今の答弁ですとどれくらい見込んでいらっしゃったのかちょっとよくわからなかったのですが、商店主の方ですとかにお話を伺いますと、かなり反応が鈍いというか、早い話が一体どういうメリットがおれたちにあるんだという声が随分あったということを聞きましたし、実際商店主の方、何人かにお会いしたときにそういう声がありました。

 6月定例会でも村上議員からこの件について質疑がいろいろありましたが、例えば、まいどはやバスとか、そういったものにパスカが使えることは、とてもすばらしいことだろうと思うのです。一方、商業施設の今の連携については、どこを向いて施策を打っているのかよくわからないところが感覚としてあります。実際そういう意見が消費者の方からも随分聞こえましたので、その辺でちょっと心配なところがありますから、しっかりとだれにとってメリットがあって、要はその商店主がもうかる、もうからないでもそうなんですが、最終的にはお客様が利用しやすいということが利用普及につながっていくわけですので、しっかりとその辺をアピールしていくといいますか、消費者に対してもそうですし、お客様についてもアピールをしていく必要があるのではないかと。こういう質問をして非常に答えにくいだろうと思いますが、主にどこを目指して打たれた政策なのか聞かせていただけますか。

森雅志 市長

 少し先読みしすぎでして、要するに2万4,000枚普及したパスカというものをもうちょっと多用途に使える可能性はあると。とりあえずできることからやってみようと思っているわけです。先ほどちらっとお話になりましたけれども、そんなに飛躍的に利用が拡大していくかというと、そんなことは当初からそれほど思っていません。さっきの70店舗は、個人的には意外だったなと、よくそんなにたくさん御協力いただけたなと思います。まず体感してもらう、ライトレールだけではなくていろいろな用途に使えるんですよということを2万4,000人の持っている方々に体感してもらうということが一つのねらいです。ですから、商業振興という観点で商工労働部が担当しているのではなくて、ライトレールを所管する都市整備部が所管しているのです。ライトレールにせっかく2万4,000枚販売していただいた、これはビジネスとして商業活動、株式会社として販売していただいたものですが、それを市の立場から言うと、御協力をお願いして少し間口を広げることができないかと。では誘導するためにという趣旨も含めて駐車場とか、まちづくりとやまでということです。さらには、せっかく再開発事業で大和富山店が新しくオープンしますから、何とかお願いして協力をしたいと。そのことを見ながら、どういうふうにこれから流れができていくのかということを、今、注視したいと思っています。

 先ほどちょっとおっしゃいましたように、ICカードの売り上げは全部ライトレールの売り上げです。これを使うと幾らどこでどういうふうに使われてきたかということが、情報としていろんなことが予想されますので、素直な気持ちだけでは、やっぱりお互いに商売ですから、入り口で少しゆっくり考えなければいけないなとお考えになるのは当たり前のことだと思いますので、この実験を通しながら将来どういうふうになっていくのかというのは、もう少し先の議論だろうと思います。

鋪田博紀

 私も消費者の方にそういう意見があったというのは、十分に消費者の方にどこを目指しているのか御理解いただけていないといったらおかしいんですけれども、しっかり伝わっていないのかなというような気がするのです。その辺を市民と協働で作業するときや事業を進めるときには、やはりお互いに共通の文脈で物事を考えるといいますか、そういったことをしていかないと、言葉は悪いのですが、何か市が勝手にやっているなというようにとられると、せっかくこれまで積み上げてきたものが非常にもったいないといいますか、誤解があるままで進めていくというのは、お互いにとって非常に不幸なことではないのかなという気がいたしましたものですから、質問いたしました。
この事業について、ちょっと言葉は極端ですけれども、成功か失敗かというのは、どこにポイントを、どういう数値をとって、それをもとに次はどういう手を打っていくかということになるのだろうと思うのですが、事業評価の方法についてはどのように考えていらっしゃいますか。

山崎和夫 都市整備部長

 この社会実験につきましては、総曲輪フェリオ及びグランドプラザのオープンを機に、ICカードのさらなる活用を目指し、中心市街地の商業者と連携したポイント券システムを導入することとしており、このシステムが商業者、消費者双方にとって使いやすく、また、うまく機能するのかなどを検証することを目的としております。

 この社会実験の目標数値につきましては、金沢市のエコポイント事業の実績をもとに、ICカードの発行枚数、中心商店街の年間商品販売額、ポイント率及び付与方法の違いを考慮し、ライトレールなどの公共交通機関で使用できるポイントとして、社会実験中に1ポイント1円で25万ポイントの発行を目標としております。

 この社会実験により、課題や問題点などを把握し、今後のICカード利用拡大の検討を重ねるとともに、商店街のにぎわい創出に結びつけていきたいと考えております。

 以上であります。

鋪田博紀

 どういう指標を用いて評価をしていくのかということをお聞きしたかったのですが、これはまた委員会等でも質問していかなければいけないと思いますので、見守っていきたいと思います。

1.公共交通とまちづくりについて (2)路面電車環状線化について

鋪田博紀

 次に、路面電車の環状線化についてお伺いしたいと思います。

 ICカード事業の位置づけはどうなのかということはわかりました。今度は、路面電車の環状線化の位置づけというのはどのようなところにあるのかということをもう一度確認させていただきたいと思います。

山崎和夫 都市整備部長

 市内電車環状線化事業は、本市の総合計画において、コンパクトなまちづくりを推進するための事業に位置づけております。また、昨年度策定いたしました富山市公共交通活性化計画では、LRTネットワークの形成のための主要プロジェクトとして位置づけております。

 さらに、本年2月8日に国から第1号認定を受けた富山市中心市街地活性化基本計画では、公共交通の利便性向上を3つの柱の1つとして掲げ、環状線化事業をその主要事業に位置づけているところであります。

 このように、市内電車の環状線化事業は、本市が進める公共交通活性化によりコンパクトなまちづくりとともに中心市街地活性化を図るために、大変重要なプロジェクトだと考えております。

 以上です。

鋪田博紀

 まだ事業は始まっていませんが、路面電車の環状線化の事業化までの経緯について確認しておきたいと思います。平成18年6月の建設委員会で富山市内電車環状線化計画の概要について報告があったと思うのですが、一応、別のルートも比較対象になっておりましたけれども、そのときから既に今の大手町ルートということで報告がありました。その後何度か特別委員会なども開かれて、その都度報告されていると思うのですが、今般、提案されているものの中に、ちょっと合点がいかないところがあるのですが、2月5日のまちづくりと公共交通対策特別委員会において、計画について村上委員と笠原副市長とのやり取りで、2つのルートを比較したときに、一つのポイントとしては、将来複線化をしていく中で、渋滞ということも当然考えられるので、例えば大手町ルートであれば、城址公園の敷地を利用すればそういったことは緩和されるのではないかということがあったと思うのですが、今回のを見ますと、路面電車の軌道は道路の真ん中を通っているということで、当初委員会に対して説明があったことと状況が変わってしまったのかなという気がするのですが、その辺はどうなのでしょうか。

笠原勤 副市長

 2つのルートについて比較したときに、最終的に大手町のルートを選んだということは幾つか理由があったわけでございますが、旅籠町ルートを選べなかった理由の一つに、旅籠町のほうに回すと、既存の道路の車線をつぶさなければならないと。さらには、将来的に複線化の余地等も考えると、既存の道路にかなり大きな影響があるということであります。大手町を回すルートだと、自動車交通への影響がないという理由は、富山高岡線に新たに軌道を敷設しようとしたときに、その軌道の敷設に要する用地幅を現在の城址公園側に富山高岡線を拡幅すれば、車線数を減らすことなく軌道を敷設することができるということです。既存の道路への影響も考慮すると、その点においても大手町ルートがすぐれていると判断したわけでございます。それは軌道を車道の真ん中に入れるのか、例えば歩道側に入れるのかにかかわらず、新たに軌道を敷設する用地の幅は、その分を城址公園の用地の一部を活用することで現在ある富山高岡線を4車線のまま、将来仮に複線化したとしても、それは確保し続けることができるという判断のもとだという説明であったということでございます。

鋪田博紀

 私もただ傍聴していたのと議事録を見てはっきりと再現できるわけではないのですが、私の理解としては公園側の敷地を拡張してということだったので、そちらのほうに線路が通っていくのかなという認識を持っていたものですから、確認の意味で質問させていただきました。

 今回の大手町ルートに当たって、3つの電停ができますけれども、それぞれの電停を利用される方の利用者像と言いますか、どういった方々をイメージされているのか、お聞かせいただきたいのですが。

山崎和夫 都市整備部長

 新たに設置する電停の利用者像は、沿線10町内の居住者、従業者、来街者を対象とし、既存電停の利用状況を参考に予測しております。
このうち、沿線居住者につきましては、年齢構成が市の平均と比べ65歳以上の高齢者が約3割多く、14歳以下の子どもは約半分となっており、少子・高齢化が進んでいる地区であると考えており、また従業者につきましては、商業の従事が多いものと考えております。

 これらの方々は、現在、路面電車の利用圏域ではないことから、多くは、自動車や自転車等の交通手段で移動されているものと考えている状況でございます。

鋪田博紀

 利用圏域にある方が、現在電車を使われている層の方ではないというような感じにも聞こえたのですが、委員会等の説明資料には、これも私の勝手な解釈ですが、例えば国際会議場が年間利用者数12万人、市民プラザが23万人、全日空ホテルが33万人というような記載がありましたので、国際会議場の前を通るということで、コンベンションなどを相当意識したことがこのルート線という大きな理由の一つなのかなと。ですから利用者像としては、そういった方々を相当強く意識していらっしゃるのかなということがあったので、確認の意味で質問させていただきましたが、今の答弁ですと、あの辺に住んでいらっしゃる方はもともと自転車や徒歩なので電車は使わないんだというようにも聞こえたのですが、もう一度確認をさせてください。

山崎和夫 都市整備部長

 今申し上げたのは、今そこに住んでおられる方々という意味でして、今利用してもらいたいという考え方からのお答えといたしましては、これが事業化となれば富山駅から国際会議場や市民プラザなど本市を代表するコンベンション施設へアクセスが向上すること。また利用者にとってわかりやすい環状運行になるということ。利用しやすい低床車両の導入や電停を整備すること。路面電車と一体となった魅力ある景観が創出されることなどから、中心市街地への買い物客やコンベンション施設の利用者、また、これまで外出機会の少なかった高齢者、さらには路面電車と一体となった魅力ある都市景観を楽しむことを目的とする来街者など、いろいろな観点から多くの皆さんに利用していただきたいと考えているものでございます。

鋪田博紀

 大分時間がなくなってしまいましたので、ちょっとはしょらせていただきたいと思います。

 今回、もし大手町を通すとなると、景観も大きく変えるなどといったことだったと思うんですけれども、例えば、平成18年10月10日のまちづくりと公共交通対策特別委員会の資料の中にパーツ(鋪田注.「パーツ」ではなく「パース」議事録を起こす際の誤りと思われる)が出ておりまして、実質上もうトランジットモールではないかと見える形のものがあったので、逆にそこまで突っ込んでやるのならば大手町ルートでやる意義もあるのかなと思ったのですけれども、これは今、法的な規制があるというふうに聞いているのですが、その辺はどういう課題があるのでしょうか。

笠原勤 副市長

 ただいま御質問のありましたトランジットモールにつきましては、日本以外の例えばヨーロッパ等々の数多くの都市では、歩行者が中心の道路の中に、路面電車を走らせるということが実現されております。では現在の我が国の法制度の中でそれがうまくやれるのかどうかという点に関して、関連する法律でいいますと、例えば道路法の道路構造令でありますとか、道路交通法等があるわけでございますが、幾つか課題がございます。例えば国内の例でいきますと、バスだけを走らすバストランジットモールというのが、金沢市などでも実現しているのですけれども、どういうやり方をしているかというと、まず道路を一たん道路交通法に基づいて一般車両の進入を禁止するという形で歩行者専用道路の形にして、そこに許可車両としてバスを走らせるという方法をとっているわけです。しかしその道路交通法でいう許可車両の対象となる車両の概念の中に路面電車車両が含まれておりませんで、こういったこともハードルが高いという一端でございます。いずれにしましても、我が国でトランジットモールを実現しようとしますと、現行の法制度ですとか、その運用などについて幾つか課題がありますので、すぐに実現するのは厳しいかなと思っております。ただ、実際にはトランジットモールは、都市のにぎわいのためには非常にすばらしい手法でありますので、少し時間はかかるかもしれませんが、本市においてできればトランジットモールが実現できるように、今後とも引き続き研究を進めてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 わかりました。次に景観といえるのかわからないのですが、景観の整備の中で地元の商店街のほうからルートが少し中に入るような形になってくるので、その南側に位置する千石町の商店街や一番町もそうですが、例えば電車と連動するような特殊なスクランブルのようなことはできないのかという御意見もあったのですが、このようなことは法的なものも含めて実現可能な手法なのでしょうか。

山崎和夫 都市整備部長

 交差点のスクランブル化につきましては、歩行者が行き交い、にぎわいを創出するという意味では有効な手段の一つと考えられます。

 しかし、長年親しまれてきました西町スクランブル交差点が、時代の変化に伴い終了したのはまだ記憶に新しいところであります。そういう中で、交差点のスクランブル化につきましては、歩行者、自動車、路面電車の円滑な通行を確保するために交通管理者が設置されるものでありますが、市といたしましても、中心市街地のにぎわいの状況を見ながら、研究してまいりたいと考えております。

 以上です。

1.公共交通とまちづくりについて (3)アーケードについて

鋪田博紀

 いろいろ質問を用意してきたのですが、時間もなくなってきましたので、次、アーケードの問題に移りたいと思います。
中教院のアーケードがなくなりましたけれども、アーケードの整備の経過をごく簡単に教えていただけますか。

坂井保樹 商工労働部長

 中教院モールの成り立ちから少しお話しいたしますが、中教院モールは、協同組合中央通商栄会が、昭和60年に国の補助を受けて策定したコミュニティマート構想モデル事業の一環として整備されたものであります。この構想は、魅力ある商店街づくりと中心商業機能の充実を目指し、全面モール化による回遊性を図るものでありました。
本市では、昭和63年度に当時の都市開発部が中教院モール整備事業として、事業費約6,000万円をかけて車道や街路灯、植栽等の整備を実施しております。
また、アーケードと歩道のカラー舗装については、同じく昭和63年度に、商工労働部が所管する共同施設建設助成金制度を活用し、その整備を支援してきたところであります。
アーケード撤去の経緯についてお話しいたします。
この中教院モールのアーケードにつきましては......

鋪田博紀

 整備の歴史をお伺いしたので、歴史と言えば撤去もその歴史なのでしょうけれども。撤去の話を私が聞いたのは6月定例会前でして、そのとき部長さんに確認しました際、現場はわかったのかもしれませんけれども、それが上のほうまで伝わっていなかったようで、「えっ、壊されるんですか、ただ民間で整備されたものなので、どうしようもないですね。そういう制度なので御理解ください」というようなお話でしたし、都市整備部についても同様でした。これはアーケードが必要か必要でないかというのとはまた別の議論として、あったまちがなくなって違った形のまちになっていく可能性があるときに、そのことをただ撤去はこの部署だからということで進んでいってよかったのかどうかということを問題にしたかったのです。それで、なくなったところは商業者がどんどん少なくなって維持もできなくなって、これが解体する最後のチャンスだったというふうなこともお聞きしているのですが、今後、どこの通りとは言いませんけれども、商業者が少なくなって、いわゆる商店街のアーケードだったものが商店街だけの問題ではなくなってきて、維持ができなくなったときに、それをどうするか、なくしてまた空がきれいに見える街並みに整備するということも一つの方法だろうと思いますけれども、そういったことを当局がどういうふうにとらえているのか、姿勢に疑問を感じたわけです。ちょっとその辺。

森雅志 市長

 基本的に所有者がいるわけで、その所有者の方々が、組合でもうやめようと決められたら、「もしもし」と言っていく立場では全然ないので。「どうしましょうか」というようなお話があれば、例えば「こういう制度を使ってもう一度頑張ったらどうですか」とか「リフレッシュしたらどうですか」とかいうことはあるでしょう。しかし、今のケースの場合、中教院の商業者の皆さん方が皆さんの総意で取り壊すと決められたわけで、それについて市は指をくわえて見ていたのかというようなトーンのお話しでしたが、そういうたぐいの話ではないと私は思います。

鋪田博紀

 指をくわえて見ていたということではなくて、市長がおっしゃったように、それはそうだと思うんですね。ただ、まちの人は変わっていくのだなという認識をもっとアンテナを高くして持っている必要があるのではないかということを申し上げたかったわけです。ですから、今後、まちがどんどん変わっていく可能性があるんだよという認識を、その担当、セクションの窓口だけに任せていくのではなくて、これからアンテナを高くしてそういった情報を持っていく必要があるのではないかなと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

森雅志 市長

 一般論的には地域内でさまざまなことが起きていくことについて、なるべくアンテナを高くしていくということが必要だろうという御指摘はそのとおりだと思います。

 どの程度の事象までそのアンテナが拾えるのかということについては、おのずからそのときの状況だとか、さらには世論だとかさまざまなことが影響して温度差があると思います。あるいは、うまく正規のルートで情報が入ってこなかったりということもあるでしょう。そういう意味では、御指摘のとおり絶えずどのセクションであるにせよ、市域内で起きていることについて自分の所管業務を超えたぐらいのアンテナをきちっと張っていくという意識を持つということは大事だろうと思います。

1.公共交通とまちづくりについて (4)高さ規制について

鋪田博紀

 もう時間がないですね。最後になりそうですが、高さ規制のことについて質問したいと思います。
これは提案なのですけれども、今、高さの規制が3段階になっていると思うのですが、これをもう少し細分化できなかったのかということです。そのことをお聞きしたいのですが。

山崎和夫 都市整備部長

 高さ規制の検討に当たっては、居住環境の確保を目的としている居住専用地域や住居地域など、住居系用途地域を対象として、用途地域の指定などの土地利用の現況、建物の分布状況から、規制の対象区域を都心周辺地区と郊外地区の2つに区分し、都心周辺地区を25メートル、郊外地区を20メートルに設定するものであります。

 また、主要な幹線道路の沿道に指定されている近隣商業地域や準工業地域につきましては、その背後にある住居系用途地域と居住環境に影響を及ぼすおそれがあることから、沿道型の準工業地域は住居系用途地域と同じく、都心周辺地区は25メートル、郊外地区は20メートル、沿道型の近隣商業地域につきましては、都心周辺地区は31メートル、郊外地区は25メートルに設定することとしております。

 この高さの規制は、建築基準法や都市計画法などの現行の制限に加えて、最低限守るべき建築物の高さのルールとして、広範囲に定めるものであるとともに、個人の権利を著しく侵害しないように、建ぺい率や容積率などの都市計画制限と整合を図ったものであることから、今回の設定は適切であると考えております。

 以上です。

鋪田博紀

 同じ用途地域や建ぺい率、容積率の中でも実際に歩いてみると随分風景が違うことがあるんですね。例えば、私が住んでいる地域では遊歩道があって、その両側にまだ田んぼが残っていて、学校もあって低層な住宅が広がっているところが25メートルという高さです。高さについてはやむを得ないところがあるのでしょうし、高さ規制そのものも大事ですけれども、用途地域の見直しも含めて根本的な土地利用の見直しということも考えていかなければいけないと思うのですが、その辺はどうでしょうか。

山崎和夫 都市整備部長

 土地利用の根本的な見直しという質問の中で、土地利用に関する計画は、都市施設の整備計画や市街地再開発事業に関する計画とあわせて都市計画の3本柱とされており、都市計画の根幹となる大変重要なものであり、平成17年度から策定に着手しております富山市都市マスタープランにおきましても、検討委員会などで十分議論を重ねた上で、本年6月から7月にかけて市内14地域において説明会を開催し、市民の意見をお伺いしたところであります。

 これらのことから、今後の土地利用につきましては、都市マスタープランの土地利用の方針に基づいて進めるとともに、今年度、実施しております都市計画基礎調査の結果なども踏まえて、必要に応じて用途地域の見直しを検討してまいりたいと考えております。

 以上です。

鋪田博紀

 そのような制度の穴埋めをするという意味で、地区計画など既存の制度の活用ということももっともっと強化していく必要もあるのではないかと思いますが、その辺はどうでしょうか。

山崎和夫 都市整備部長

 それは、今ほど言いましたように見直しの検討として、今後考えてまいりたいと思います。

鋪田博紀

 もうこれで12秒になりましたので、通告しておりますが、これで私の質問は終わらせていただきたいと思います。

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一問一答のため質問と併せて掲載してあります

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