議会レポート

平成20年3月定例会・一般質問

交通ICカードについて

鋪田博紀

 自由民主党の鋪田 博紀でございます。一般質問をさせていただきます。
まず初めに、まちづくりについてお伺いしたいと思います。今回も議案の中でICカードの活用について幾つか提案されておりますが、平成19年度も社会実験を幾つかやってきたわけです。この実験に対する評価、分析についてお聞かせください。

山崎和夫都市整備部長

 ICカード(パスカ)の普及と公共交通の利便性向上を目的として、昨年9月に富山ライトレールのフィーダーバスや、まいどはやバス、グランドパーキングに利用範囲を拡大したところであります。
その利用状況につきましては、本年2月の実績では、フィーダーバスの利用率は67.1%となっており、ポートラムとの乗り継ぎ割引もあることから、高い利用率となっております。
一方、まいどはやバスの利用率は2.4%、グランドパーキングでの利用率は0.6%となっており、ポートラムと利用圏域が異なることや、運賃割引などのメリットが少ないことなどから、低迷しているものだと考えております。
このようなことから、今後ともパスカの利便性を広くPRするとともに、割引制度の検討などを行い、利用率の向上に努めてまいりたいと考えております。
次に、ICカード活用商店街ポイントサービス社会実験につきましては、公共交通で中心市街地へ来街する人に対するサービスの拡大と、商店街のにぎわい創出などを目的に、昨年9月21日の総曲輪フェリオのオープンを機に、3月31日まで実施しているものであります。
2月末時点で101店舗に参加していただいておりますが、期間中25万ポイントの発行目標に対して、2万1,400ポイントのチャージにとどまっており、決して十分な実績とは言えないと考えております。
この要因としては、パスカの発行枚数は約2万8,000枚であり所有者が少ないこと。社会実験の認知度が低いこと。ポイント券が2,000円未満の少額の買い物では発行されないこと。ポイント率の設定が低いことなどから買い物客があまりポイントサービスに魅力を感じなかったことなどが考えられます。

鋪田博紀

 今ほどの答弁の中の、フィーダーバスは連携して使うことで高い利用率になっているというのはわかるのですが、グランドパーキングや商店街での利用というのは、予想どおりと言ってはあれですが、やはり低いなと思います。これは9月定例会でも質問しましたが、実際に商店街の方々にしても、お客様サービスという意味では駐車券を発行した方がキャッシュバック率というか還元率が高いので、やはりお客様のことを考えていくとそういうことになるのかなと指摘したのです。今回、平成20年度に提案されています事業の拡大についての検討ということですが、今、部長がおっしゃったように、1つはパスカ自身の発行枚数が少ないということですので、これは全市的に、ほかの交通機関、市電やバスについても拡大をして分母を大きくしないとほかの事業も生きてこないと思うのです。やはりこういう方向性を目指すために課題がどうなのかということを検討されるわけでしょうか。

山崎和夫都市整備部長

 富山ライトレールのパスカは県内唯一の交通ICカードですが、利用できる公共交通機関は、ポートラムと富山ライトレールのフィーダーバス、まいどはやバスに限られています。このため、この交通ICカードとして将来的には、パスカが市内電車やその他の鉄軌道、バスなどの公共交通機関に利用できることが望ましいと考えております。そのことがICカードの利用者の増加につながり、中心市街地の商業施設でのICカードの利用、拡大にもつながっていくものと考えております。
このことから、平成20年度の「ICカード利用拡大事業」におきましては、市内電車を初めとした鉄軌道や、路線バスなどへの導入の可能性や、これらの交通機関で独自のICカードが導入された場合のパスカとの相互利用などについて、調査・検討してまいりたいと考えております。
さらに、商業連携の社会実験の結果をもとに、ICカードによる商店での買い物や、ポイントの付加などについてもその需要や採算性、運営方法などについて検討してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 9月定例会でこの辺の質問をしたときに、市長から考え過ぎだと、先を読み過ぎだという話があったのですが、そういう方向性というか、市が目指していることをしっかりアピールしていくことが、また利用拡大につながるのではないかなと思うのです。
今、分母の拡大についてのお話を伺ったのですが、もう一つ、活用商店街ポイントサービス社会実験事業の細かいところについて、平成19年度との内容の違いがよくわからないので、具体的な内容についてお聞かせください。

山崎和夫都市整備部長

 平成20年度の実施に当たりましては、7団体101店舗の商業者が参加していただいた平成19年度の内容に加え、街頭アンケート調査や、商店主アンケート調査の結果を踏まえ、社会実験に参加していなかった商業者も含め、交通事業者や株式会社まちづくりとやまなどと協力し、例えば一度にパスカにチャージできる金額、2つ目は各店で発行するポイント率の弾力的な運用など、消費者が少しでも利用しやすいサービス内容を検討してまいりたいと考えております。
また種々の媒体を活用するとともに、まちなかのイベントに合わせPRを行うなど、認知度の向上のため地道に努力してまいりたいと考えております。
さらには、本社会実験を継続しながら、ICカードを活用した本格的な商業連携につながるように議論を進めてまいりたいと考えております。

路面電車環状線化と都心地区のまちづくりについて

鋪田博紀

 ぜひこれから新しい仕組みである、特に交通系の電子マネーといいますかICカードについては、各地方都市でもいろいろな形が進んでいますので、具体的な取り組み、推進をしていっていただきたいと思います。
ただ1点、例えば商店街との連携についても、お客様サービスという、だれが一番喜ばれるかという部分を大事にしていかないと、市の立場とかそういったものがあまり前に出過ぎると逆にうまくいかないことがあるのではないかと思いますので、その点については、申し添えさせていただきたいと思います。
続きまして、路面電車の環状線化と都心のまちづくりについてお伺いします。
先日も大手モールの方で説明会等があったわけですが、各地元では、まだ異論といいますか、そういった声も耳に入ってきます。これまでの定例会でも私はどちらかというと、その2ルートを出されたときに、この大手ルートに必然性をあまり強く感じることができなかったのでいろいろな質問をしてきました。その中で、現在、市当局と地元や市民の方に市内電車の環状線化についての意識に乖離がないのかということが、非常に心配です。やろうとしている方向性というのは多分市民の方も一緒だと思うのですが、置いてきぼり感というか、私たちも一緒に参加したいというところがどうも置いていかれて、市当局と地元、一般市民に乖離があるのではないかという心配があるのですが、その辺はどう認識されているのですか。

山崎和夫都市整備部長

 市内電車環状線化事業につきましては、本市が進める公共交通の活性化によるコンパクトなまちづくりとともに、中心市街地の活性化に極めて重要なプロジェクトとして、これまでも市民や沿線住民の皆様の御意見を伺いながら進めてきたところであります。
これまでの経緯といたしましては、平成18年6月に本事業の検討を表明するとともに、同年7月に、富山国際会議場において、沿線住民の皆様を対象とした説明会を開催し、環状線化計画について御意見を伺いました。
また、平成19年6月からは、具体の計画や都市計画の変更などについて地元への説明会を13回行い、平成19年10月には、富山国際会議場において市民全体を対象とした説明会を開催するなど市民の皆様への説明と御意見をお聞きする機会を設けることに努めてまいりました。
これまでの説明会などにおきましては、本事業の必要性につきましては御理解いただいていると受けとめておりますが、沿線住民の皆様からは、路面電車の導入に合わせた歩道の再整備などについて、住民の意見を十分反映するよう御要望をいただいております。
このことから、延伸区間における路面電車と一体となった道路の整備計画につきましては、沿線住民や道路管理者、学識経験者などで組織する「市内電車環状線化デザイン検討委員会」を設置し、検討を行うこととしており、本年2月25日に第1回検討委員会を開催し、整備の方針などについて検討を行ったところであります。
このように、本事業につきましては、市民や地元の皆様の御意見をお聞きしながら進めてきたところであり、今後とも、デザイン検討委員会や地元説明会などにより、皆様の御意見を伺う機会を十分設けながら進めてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 手続きとして一生懸命やっていらっしゃるのは非常によくわかります。ですが、先ほど言いましたように、これから道路整備や歩道整備が進んでいくわけでしょうが、景観をつくっていくのはそこにいらっしゃる地元の方や、あるいは直接的ではないのですが、そこを利用する市民の方だったりするわけです。ですから、そういった大手ルートを中心として、どんなまちづくりを進めていくかということを、コンセプトやグランドデザインを打ち出して、一緒になってそれを考えていくというところがこれからのまちづくりには必要になってくるのではないかと思うのです。どこまで今コンセプトや、今後の方向性みたいなものをここでお話いただけるかわかりませんが、この後質問しようと思っています「地場もん屋総本店」にしてもここにできるとか、小学校の跡地利用のこととか、この沿線ではいろいろなことが考えられます。ですから、ただそのルートを通すということではなくて、それに伴ってどんなまちになっていくのかということを何かこの場でおっしゃっていただければと思いますが、いかがでしょうか。

山崎和夫都市整備部長

 市内電車環状線化事業は、本市の総合計画において、コンパクトなまちづくりを推進するための事業に位置づけており、また平成18年度に策定いたしました富山市公共交通活性化計画では、LRTネットワークの形成のための主要プロジェクトと位置づけております。
さらに、昨年2月8日に国から第1号認定を受けた富山市中心市街地活性化基本計画では、公共交通の利便性向上を3つの柱の1つとして掲げ、環状線化事業をその主要事業に位置づけているところであります。
また、本市の都心地区の特徴といたしましては、富山駅周辺と西町・総曲輪周辺の中心商店街の2つの核を有していることであり、この2つの核がともに活性化し、互いに連携していくことが中心市街地活性化のコンセプトとして重要であると考えております。
そこで、市内電車環状線化事業は、2つの核を市内電車で結び、その沿線に居住や交流機能を配置することで、自動車に頼らず歩いて暮らせるまちづくりを実現するというグランドデザインを描くための大変重要なプロジェクトであると考えております。

鋪田博紀

 これ以上話をするとまた堂々巡りになってしまうので、もう少しほかのことを......。

森雅志市長

 鋪田議員の思いや気持ちはすごくよくわかるのです。だけどよく考えてください。もう少しわかりやすく全体のグランドデザインを示せないかということをおっしゃっているのだろうと思うのですが、それはすごく難しいです。地場もん屋総本店というのができるそうじゃないか。それはどこにできて、ここはこうなって、美術館はこのあたりにできて、図書館はどうなって。それは一つ一つ議会で議決していただかないと、既定方針とは言えません。ここはすごく難しいところがあります。例えば、個人の所有地をだれか民間のデベロッパーが広い範囲で設計図をつくるというのであれば、あまりそのあたりを気にしないで、ここにこういうものができたらいい、道路はこういうふうにつけかえてこうしたらいい、路面電車はここをこうしたらいいということをフリーハンドで言えます。しかし行政は、一定のルールにのっとって進めていかないと、行き過ぎるとまだそれはきちんと決まっていない事業ですよということになります。また他の部局のことについても、私の立場ですとそれを横断的に言うことができても、そこは行政としてのいろいろなことがあり、何よりも議会との関係において、そこまでは言えないということに御理解をいただいてからでないと、オフィシャルなところで活字にもできません。そういうことなどもあるので、どうも靴の上から足を掻いているような感じを受けられるのはよくわかります。私は市民の皆さんもそういうお気持ちを持っている人は多いのだろうと思いますし、時々耳にもします。ですが、そこは理解をしていただきたいと思います。ですから、一定の委員会で認知された一定の計画、マスタープラン、そういうものを手がかりとしながら御説明をしていくしかやはりできません。そのあたりは制度的に何かいろいろ知恵を出さなければいけないのかもしれません。ですから、事案ごとに説明をしながら、ぜひ全体像を何とかイメージしてほしいということなのだろうと思います。

地場もん屋総本店について

鋪田博紀

 きのうのライトレールの延伸のことについても、制度的なものというか立場というか、その辺は十分御答弁いただいたので、今の市長の答弁も非常によくわかりました。
ただこのことについては、また後で少し触れたいと思います。今、話しいたしました地場もん屋総本店が、この大手モールにできるわけですが、富山とれたてネットワーク事業そのものについてはこれまでもいろいろ御説明いただいておりますが、この地場もん屋総本店をここに設置するということのねらいについてお聞かせください。

高柳彰農林水産部長

 地場もん屋総本店のねらいといいますか、今、富山とれたてネットワーク事業を推進しているわけですが、その事業の拠点施設であるということと、本市の地産地消の中核的推進施設としての目的で設置するということでございます。

鋪田博紀

 これも別にけちをつけるわけではないのですが、いわゆる民間、例えば市民プラザには民間のレストランがあったり、あるいは一般のスーパーなどの地産地消コーナーとの競合とか、そういうことを懸念する声もある中で、あえてこの地場もん屋総本店をここでやるという意義についてお聞きしたかったのですけれども。

高柳彰農林水産部長

 まず、地場もん屋総本店が近隣のレストランなど類似施設との競合についてはどうかということから、御説明したいと思います。
競合につきましては、平成19年度に「地場もん屋総本店設置準備委員会」を設置し、施設内容や運営形態について検討をしてまいりました。その中で、周辺半径400メートルの物販店や飲食店の調査などを実施し、近隣施設でのイベント開催状況やカルチャー教室の調査など、類似施設との競合や協調について検討してきたところでございます。
地場もん屋総本店で予定している物販や飲食につきましては、地元農林水産物やその加工品に限定することとしており、レストランにつきましても、地元産のご飯と味噌汁にしゅんの総菜を提供するなど、地元農林水産物のPRを主な目的に運営する方向で検討を進めているところでございます。
これにつきましては、平成20年度においても、引き続き継続的に検討してまいりたいと考えております。そういう位置づけをしている中で、この中心市街地に地場もん屋総本店を設置するということにつきましては、まちづくりとの関係があるというふうに思っております。中心市街地での地場もん屋総本店の設置によりまして、農林漁業に携わる皆さんが品物を持ち込んだり、そこで販売したり、新鮮な地元の農林水産物を求めて多くの市民の皆さんが買い物に立ち寄ったり、また観光客が訪れたりするということが考えられます。
このことにより、都市部と農山漁村との交流の促進や新しい観光スポットの創出により交流人口の増加が図られ、中心市街地の活性化とにぎわいが期待できるものと考えております。

鋪田博紀

 運営の方は運営委員会というところでされるようですが、この構成というか仕組みについてごく簡単に御説明願います。

高柳彰農林水産部長

 平成20年度に予定しております「地場もん屋総本店運営委員会」の設置の趣旨につきましては、平成21年度のオープンを見据え、施設全体の管理体制と運営方法、農林水産物等の集荷システム、情報コーナーでの提供情報の内容等について検討するほか、料理教室や農林水産業学習館で開催する行事や生産者団体が行う販売活動等の年間計画を検討することとしております。

鋪田博紀

 民間の方も入ってということですが、要はこれは物を売るということを目的にしているわけではなくて、地産地消のアピールの場を中心街に持ってくるという位置づけと理解すればよろしいのでしょうか。

高柳彰農林水産部長

 先ほども言いましたように、あくまで地元農林水産物に限定して、そこで販売したり情報を提供したり、またはそこで食べていただくということを目的にしているわけでございます。

都心居住について

鋪田博紀

 細かい内容についてはまた委員会でも審議があると思いますので、この辺にとどめたいと思います。
次に、まちづくりの方に戻りますが、今、都心人口の減少という報道などがあったりもしましたが、この辺の分析についてはどう考えておられますか。

山崎和夫都市整備部長

 都心地区の人口の推移につきましては、平成16年までの過去10年間には、年平均約350人ずつ減少しておりましたが、平成17年からまちなか居住推進事業で199戸に補助した効果もあって、平成18年、19年の平均では、年間約70人の減少になっており、ある程度回復につながっているものと推計しております。
かつての大幅な減少傾向には歯どめがかかってきたものの、なかなか人口が伸び悩んでいる理由としては、まちなか居住推進事業や再開発事業、マンション建設などによる都心地区の住宅供給により世帯数は増加しているものの、一世帯当たりの居住人数の多いファミリー層が、あまりまちなかに戻ってきていただけないこともあるかと思います。あるいは複数の住宅を所有される方など、実際には本市の都心地区内に居住されているが、住民登録がされていないために、実績として加算されない方も相当数あると考えており、実際の増減については、国勢調査での比較などが必要だと考えております。
一方、今後の増加の要因といたしまして、ことしの4月に、新しい統合小学校がまちなかに2校同時にオープンしますので、このような教育環境を選んで転居される方もあるのではないかと考えております。
いずれにしましても、まちなか居住の推進は本市が目指すコンパクトなまちづくりの重要な柱でありますので、人口動態に注視して適切な施策を展開してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 今、まちなか居住推進事業についてのお話も出ましたが、今のところ都心地区での政策というのは1つのパターンといいますか、建設費に対する補助と賃貸に対する補助がもう均一な形になっていると思うのです。今、学校の話も出ましたが、例えば総曲輪、西町、中央通りという、本当の都心地区、核になるところへの居住というのも必要だろうとは思うのですが、その周りを取り囲むような、今の2つの学校もど真ん中にあるわけではなく、少し下がったところにあるわけです。そういったところに住む層に対するまた少し角度を変えた、ターゲットを絞った都心居住の施策もこれから必要になってくるのではないかと思うのですが、それについてはどうお考えですか。

山崎和夫都市整備部長

 まちなかの人口をもう少し回復するためには、住宅の供給や取得に対する支援のみではなく、学校のこと、買い物のこと、働く場所のことなど、市民の生活全般のことについて、総合的に考え対応しなければならないと考えており、引き続きまちなか居住推進事業の事業効果についても検証しながら、新しい事業の研究を進めてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 またいろいろやり取りすると、すぐ時間がなってしまうのですけれども、私が今回言いたかったことは、先ほど市長も答弁なさいましたが、当局としてはぎりぎりの形でビジョンを何とか出そうとしているのはよくわかっています。市民の方もそれを受けとめている方もいらっしゃるのですが、残念ながら届いていない方もいらっしゃるので、今、市がやっていることに対する、やろうとしていることのメッセージといいますか、そういったものをもう少しうまく市民の方に伝える仕組みや工夫など、何かできないものかなと思うのです。そうしないと、これからの再開発事業、大きな核になるプロジェクトは平成19年度で一たん終わりますが、新幹線やいろいろなことを含めて、これからまちづくりの方向性が大きく変わってくると思うのです。そのときに、せっかく前向きにみんなでやろうとしているときに、置いてきぼり感というか、市と市民との間にギャップがあったときに、とっても不幸なことになってしまうのではないかと思うのですが、何かうまく制度を乗り越えてメッセージとして伝える仕組みというものをつくることはできないものですか。市長どうでしょうか。

森雅志市長

 私は、鋪田議員が思うほど、それほど深刻な状況ではないと思っています。かなり熱心に説明をして回っていますし、市域全体の30年後ぐらいを見据えた、こういう方向へ持っていきたいということを熱心に説明をしているわけです。その核になるものが公共交通なのだということ、そして公共交通の利便性の高いところにこれからなるべく住んでほしい、これ以上の拡散はとめたいと。それは将来このように行政コストが上がっていきますよ。またお一人お一人の暮らしにとっても、将来、車に頼れなくなった時を見据えて、そういうことを視野に入れていただけませんかということなどを含めて、ある程度のグランドデザインというものをお示ししているつもりです。
その中では、今、御指摘のあった旧富山市の時代から言ってきた中心市街地だけを対象にしているわけではないので、公共交通の利便性の高い地域に、現在、全市民の約3割が住んでいらっしゃる。これを20年後に4割という割合にまでしたいという数字なども含めてお示ししているわけです。「たかだか1割」と言う人もいますし、「その1割はすごくハードルが高い」と言う人もいます。私自身もかなりハードルは高いと思います。人口が減っていく中で、今、全市民の3割が私たちがこういうところに住んでほしいと思っているところにお住まいになっているのを、20年後に4割にするというのは、かなりハードルの高い取り組みだと思います。しかし、それを目指して一つ一つの事業をやっていく。その中には、例えば富山ライトレールの取り組みもある。これを例にすれば、その結果、あまり外出機会のなかった人が外出するようになってきた。これは暮らし方自体に大きく影響、変化をもたらした。そのことによって、沿線に例えば住宅が建つとか、デイサービスが今度2つ目の申請が出るようですが、あるいは障害者のグループホームも1つ新たにできたりというふうに、まち全体が変わってきた。こういうことも実際の効果として説明をしながら進めています。
例えば8億9,000万円弱ほどの補助金を総曲輪フェリオの再開発事業に出していますが、年間で8,000万円ぐらいの固定資産税が入ってきます。大体15年ぐらいで8億8,000万円で元を取れて、それから先、ずっと税収増になるということや、結果として総曲輪通りも含めて来街者が増えたということなど、グランドプラザにしたことによってこうなりました、そういうことについては、しっかり説明をしてきているつもりです。そのお話の中で、将来ここにはこういうふうになったらいいねと、時々よく使うのは、勝手な夢の話ですけれども、こうなったらいいねということなどを言いながら、熱心に説明をしているわけです。
特効薬といいますか、そういうものはないと思います。きちんと熱心に説明をしていく。今回の定例会において、最初に御質問をいただきましたが、1年間に70何回1時間や1時間半しゃべる機会をつくっていますが、そうすると単純に5日に1回ほどになるわけですが、自分としてはほかの仕事をほうってということにもなりませんので、このあたりが限界かなとは思いますが、求められればなるべく足を運んできちんと説明をします。かなうことであれば、それぞれの部局長や課長が出前講座を準備していますので、この利用にもっともっと声を出していただくとありがたいと思っています。
いずれにしても、まちづくりの取り組みは、今、一定程度は進んだという認識を持っていますが、ここで足踏みするわけにはいかないと、着実に進めていくことが必要だろうというふうな思いでおります。
先ほども言いましたが、人口が減少していくということ、その中で30年後ぐらいを見据えて、これからの営みというものはこうしていかなければいけないということについては、たくさんの方の御意見をいただきながら、民間の活力も一緒になって動いてもらわないと前へ進まないわけです。例えば、ここ数年で2棟できました高齢者賃貸住宅にしても非常に多くの方が手を挙げられ、抽選で入居者が決まりました。こういうことの結果が生まれているのも、やはり説明がきちんとなされ、一定程度民間も含めて動いていらっしゃるからだろうと思います。
後期高齢者の世代や老後を都心で暮らすことの魅力については、今度は入居者の方々からも発信していただくということも大事かなと思いますので、そういう意味では、市民の皆さんとも一緒にやっていくということが大事なのかと思います。
いずれにしても、何度も申し上げましたが、このまちづくりの方向性については、しっかり説明をしながら、私たちとしては信念を持って着々と進めていきたいと思っています。

用途地域について

鋪田博紀

 全体的なまちづくりの方向性などについては、この程度にしたいと思います。
次に、個別の提案という部分でお話をしたいと思います。
まず、用途地域についてお話をしたいと思います。
先ほど岡村議員からも話があったのですが、今、都心地区でも実態の乖離といいますか、建ぺい率とか容積率とかいうことではなくて商業地域や近隣商業地域であるところに、実は低層の住宅地が広がっているようなところが幾つか見受けられます。その中に、逆に商業地域を狭めてそこの価値を高めるとか、近隣商業地域も少し狭めてそこの価値を高める。つまり発展や活性化というものを量的なものではなく質を高めることで、中心地区、都心地区の一つの牽引になっていくのではないかという思いがあります。この辺の再定義といいますか再構築といいますか、その辺について、何かお考えはないでしょうか。

笠原勤副市長

 現在、富山市の都心エリアの用途地域の設定状況を見ますと、かなり広い範囲に商業地域がかかっておりまして、500%の容積率の商業地域がかなり広い範囲になっています。現在の実態の土地利用と今の用途地域が一致しているかどうかというと、必ずしもそうでない部分もあることは確かでありますし、今、議員提案のように、一定程度少し見直すということも必要なことであるのかなとは思っています。
少し行政としての危機感といいますかそういうものを持っておりますのは、かつて富山市はかなり広い範囲に商店街が広がっていた時代があったのに比べて、全体の衰退とともに少し商店街のエリアも狭まってきているにもかかわらず、そのまま商業地域が残っているということもあって、最近少し件数は少なくなりましたが、かつてマンション関係のいろいろとトラブルがあったのも、どちらかというと商業地域の中で出てきたことでもあります。今回の高さ規制の議論の中でも商業地域の住環境の問題ということも出されておりましたので、今後都心地区でそういった都心型の集合住宅が建っていったときに、集合住宅の環境のことも考えると、今のままの商業地域でいいのかという視点もございます。いずれにしましても、都心居住の住環境をどう保全するのか、あるいはそのエリアを一定程度絞って、そこの中の活性化を進めていくという視点もございますので、それぞれ都市計画のいろいろな基礎調査の中で、現在の土地利用と今の用途地域の設定状況等を見ながら適宜適切に見直しの検討をしてまいりたいと考えております。

駅南図書館について

鋪田博紀

 ありがとうございます。これは幅広い議論が必要になってくると思いますが、また私たちも積極的に参加していきたいと思います。
続きまして、(仮称)とやま駅南図書館についてお伺いしたいと思います。今の図書コーナーから、あえて図書館にするねらいについて御説明ください。

吉川實教育長

 (仮称)とやま駅南図書館整備のねらいといたしましては、利用者から次のような要望があり、整備してまいりたいと考えております。
1つには、ビジネスに関する実務書だけでなく、思考をリフレッシュするのに役立つ幅広い教養書や心身のケアに関する本の拡充。2つには、情報化に対応した商用データベースの充実。3つには、読書や調査にマッチした読書環境の整備などでございます。
また、とやま市民交流館に集う中高生を中心とした若者たちの読書や情報に対する潜在的な要望をも踏まえ、整備することとしたものでございます。

鋪田博紀

 そうしますと、本館とはおのずと性格が異なるもので差別化をしていくということですね。

吉川實教育長

 新しい図書館との機能分担につきましては、新図書館は本館として全市民を対象とした包括的なサービスを展開するものであり、一方、とやま駅南図書館は、主としてJR富山駅を中心とした公共交通を利用するビジネスマンや通勤、通学者を対象としたサービスでございます。
このため、新図書館の機能につきましては、基本構想策定に向けて調査・研究しているところでございますが、新図書館ととやま駅南図書館の機能を明確に分担することは考えていないところでございます。

鋪田博紀

 今、ターゲットとしてビジネスマン等々のこともお話しされたのですが、今、空港などいろいろなところにビジネスセンターみたいなものがあり、今回もインターネット端末はパソコンを置かれるようですが、ほかにも例えば、無線LANを使うなど、今はビジネスマンがかばんの中にノートパソコンを入れて持ち歩き、自分のパソコンを開いてネットに接続しながら、必要な生の情報や資料を調べるなど、そういった使い方も、最近広がりつつあるのです。そういったビジネスセンター的な特徴を持たせた機能拡充というのは、何か将来的に考えていらっしゃるのでしょうか。

吉川實教育長

 ビジネスセンター的な機能や、また持ち込みパソコンの使用できる環境整備につきましては、とやま駅南図書館では予定しておりませんが、今後、新図書館基本構想策定に向けて調査・研究してまいりたいと考えております。

文化施策の一元化について

鋪田博紀

 図書館については、この程度にとどめたいと思います。
時間がないので、次は文化施策についてお伺いしたいと思います。
今回、教育委員会から市長部局にかわるということですが、事務的にこうなるというのは置いておいて、実際にそれが何をもたらすか、何が変わるのかということについてお伺いしたいと思います。

老月邦夫企画管理部長

 御承知のように、文化行政につきましては、今のところ企画管理部の文化国際課で所管している文化行政と、教育委員会の生涯学習課や各教育行政センターで所管している事務があり、それぞれ役割分担しながら文化施策の推進をしているところでございます。
これらを一体化する主なねらいや効果につきましては、本市の文化施策に関し、市民の方々にわかりやすい組織体制にするということ。2つに分かれているものですからなかなかわかりにくいところがあったということで、これを1つにすることによってわかりやすい組織体制にするということと、もう1つは、今後、より総合的な視点で一体的に各種の事業を企画し展開していくことが可能になるのではないかと、この2点でこのような形に持ってまいりました。

鋪田博紀

 実は、私先日、市川市の方に視察に行ってきました。こちらは、実は私も20年ぐらい前に働いていた場所ですが、市川市文化会館というのがあり、これは財団法人市川市文化振興財団というところが実際運営に当たっており、ハードとしては市川市文化会館という富山でいうオーバード・ホールのような建物、その中にある文化振興財団というのがソフト面で市の文化行政全般を担っています。音楽だけではなくて、舞台芸術全般、あるいは美術や文学についても幅広くフォローしていらっしゃいます。
富山市にも市民文化事業団はありますが、もっともっと事業団が前面に出て活躍していってもいいのではないかなという思いを実はいたしております。例えば少し細かい話になるのですが、フォルツァ総曲輪ができたときに、音響施設のことで、今、金沢の方から民間の業者が来ているようですが、たまたま事業団の方といろいろお話しすると、私たちが専門家として富山市にいるのになぜ活用してくれないのだろうというようなお声をいただきました。
実は、この市川市では、大きな2,000人級のホールから本当に小さな美術館、文化施設までも含めて、財団が一体となって運営しているというところがあり、事業団をもっと活用されないのかということなのですが、どうでしょうか。

老月邦夫企画管理部長

 今ほど、市川市の文化振興財団のことについて、非常に機能が大きいというお話だったのですが、私どもでも市民文化事業団でいろいろな文化施設をたくさん持っており、そういうところへ活用できないかということについても考えております。先ほど申しましたように、来年度の組織改正によりまして文化施設が市長部局に一元化されるということから、市民文化事業団と定期的にいろいろな会議を開き、相談やアドバイスを受けながら、各文化施設を地域の拠点施設として、地域や施設の独自性を生かしながら、より効率的・効果的に活用し、文化振興事業の一層の連携と申しますか、そういうものを市民文化事業団が中心になって進めていきたいと考えております。

鋪田博紀

 事業団、プロの立場として各施設のことについて、いろいろなアドバイスや活躍をしていっていただきたいと思うのですが、それだけではなくそこに一緒に参加する市民の方を育てていくことが必要だと、以前からずっと定例会でも質問してきたのです。例えば、市川市の方で文化芸術市民案内人養成講座という講座があります。これは美術、文芸、音楽の3つのコースで9回のプログラムを有料で受講していただき、それも自分の文化・知的好奇心を満たすためではなく、市川市の施設などに実際に参加する市民のリーダーとなってくださる人を育てるという養成講座になっています。9回のプログラムが終わると、さらに上級のコースもあるそうで、具体的にそういったものを構築していく必要があるのではないかなと思います。
ある小さな施設で、具体名は挙げませんが、ボランティアを募集しました。募集して数カ月活動したのだけれども、応募されたボランティアの方は、とにかく文化事業にかかわりたいなというぐらいの軽い気持ちで来られたのが、どうも募集した側からすると、実はこういうリーダーになってくれる人を探したかった、育てたかったみたいなことで、ちょっとそのボランティアさんとの乖離というのがあったのです。だから、むしろリーダーとなっていただく人を育てるきちんとしたプログラムを組んで、そろそろやっていったらどうかなと思うのですが、どうでしょうか。

老月邦夫企画管理部長

 市川市の市民文化サポーターの資料につきましては、私どもも見させていただきました。なかなか内容の深いいろいろなことを、先ほども話をされましたが、9回のコースみたいなもの、生涯学習的な要素もあるような感じがしましたが、これについては、私どもも向こうへ調査に行くなどして研究させていただきたいと思っています。
それから、技術ボランティアの問題でございますが、文化ホール等の舞台の設営には危険が伴うことや、舞台設備の操作が公演のよしあしに影響することなどから、舞台技術者にはその熟練した専門技術が要求されるものと考えております。このため、市民文化事業団では、舞台技術者をサポートする技術ボランティアの養成に努めてまいりたいと考えてはいるのですが、短期間で人材の育成を行うことは難しいということで、まずは、アマチュアの方々を対象とした入門講座の開催に向け、現在、準備を進めているところでございます。

FAQシステムについて

鋪田博紀

 前にも取り上げましたが、水橋のふるさと会館では、公民館の職員というか嘱託の方が、全くの主婦の方々だったのですが、毎回町民演劇祭とかいろいろな企画をやる中で、私もボランティアで行ったのですが、プロの照明の方にどなられながらやって、今では一人前というか、自分たちで照明やプランも立てられるぐらいになってきたのです。そこはたまたま職員でそこにいらっしゃるからできるのですが、またその方がかわっていったりすると、もうゼロになってしまうということがあるので、その地域地域で、必ずしも業務レベルまでいかなくても支えていく人たちを育てていっていただきたいなと思います。
文化事業については、この辺にとどめたいと思います。
続きまして、FAQシステムの導入事業についてお伺いします。予算額として60万円ということですが、この予算の中でどの程度のことができるのかお伺いしたいと思います。

老月邦夫企画管理部長

 FAQシステムは、よくある質問とその答えをデータベース化してホームページに公開し、市民が知りたい情報をみずから入手していただく仕組みであります。
平成20年度後半に導入することを考えておりますFAQシステムの経費として、平成20年度は、半年分のリース料60万円を見込んでおりますが、購入額ベースでは600万円を想定しているところであります。

鋪田博紀

 前にも取り上げましたが、札幌市のシステムなどは本当に充実しており、市民からの問いに対しても答えることができるし、職員のデータベースとして使えるということで非常にいいなと思って見ておりました。あそこはコールセンターも一緒になっているものですから、規模は全然違うのですが、将来的にこんなことも考えていく必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

老月邦夫企画管理部長

 FAQシステムは、市民向けだけでなく、職員向けの業務マニュアルとしても活用することが可能であると考えております。
業務マニュアルとして情報共有を図りながら有効に活用すれば、議員御指摘のとおり、職員の業務遂行能力の向上と迅速、正確、的確な市民対応が可能となりますので、市民向け情報とは別に、職員の知識・経験等もデータベース化する方向で検討してまいりたいと思っております。

鋪田博紀

 ぜひそういったことを進めていっていただきたいと思います。
あとはちょっと関連して、市のホームページは大変よくできていると思うのですが、まだ本当に欲しい情報が出てきていないところも結構あるので、そういったものをホームページ上に、こういうふうに改善したらどうですかというメール投稿など、今回のFAQシステムの構築とあわせてホームページの充実、改良についてまた考えていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

老月邦夫企画管理部長

 市のホームページにつきましては、平成17年に新市になりましたときに、見やすさ、使いやすさなどに配慮しながら、全面的なリニューアルを行い、住民の知りたい情報をリアルタイムに提供してきたところでございます。
しかしながら、リニューアルから約3年が経過し、中には、情報の内容が古い、少ないなど不十分なページもありますので、このFAQシステム導入にあわせまして、住民の視点に立って、ホームページの内容を見直し、膨大な情報の整合性の確保や、よりわかりやすい情報提供に努めてまいりたいと思っております。

鋪田博紀

 ぜひ充実をさせていただきたいと思います。
これで私の質問を終わります。

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