議会レポート

平成21年12月定例会・一般質問

1.教育について

鋪田博紀

自由民主党の鋪田博紀でございます。これより一般質問を行います。

まず、教育についてお伺いしたいと思います。

今回の夏の衆議院議員総選挙におきまして、我々自由民主党の議員は街頭に出てさまざまな訴えをしてまいりました。その中の一つとして、教育の政治的中立性を守っていくことを訴えました。と申しますのも、民主党の幹部から「教育に政治的中立性はあり得ない」という発言があったことが、1月14日付の産経新聞に掲載され、また7月にも同様の発言があったという報道がありました。このことは大変驚くべきことでありましたし、もしこれが事実であれば、このまま見過ごすわけにはいかない、その思いで街頭に出て、この危険性について訴えさせていただいたわけであります。

そこで、お尋ねいたしますが、教育委員会はどのような仕組みで教育の中立を守っていくのか。このことについてお伺いしたいと思います。

麻畠裕之教育長

教育委員会は、市長から独立した行政委員会として、教育行政における基本方針や重要事項の決定を行っておりますが、この基本として政治的中立性が求められており、このことは教育委員会の設置や組織等を定めた「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」でうたわれております。

この法律では、中立性を保つために教育委員会は5人の委員の合議制とされており、教育行政が一個人の価値判断に左右されることを防いでおります。

また、教育委員を最初に任命する際に、任期をずらして選任することにより、それ以降、原則毎年一人ずつ選任されることとし、委員の交代によって急激に教育行政の方針が変わることを避けております。

さらに、教育委員の定数のうち2分の1以上の者が同一政党所属者が占めることや、教育委員が政党の役員となったり、積極的な政治活動をすることを禁止しております。このように教育委員会は、政治的な中立性を確保しながら教育行政を推進しているところであります。

また、学校に対しましては、今後とも校長研修会や学校訪問等を通して政治的な中立性の確保を指導してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

今、中立性を守るための仕組みについてお伺いしたわけでありますが、この教育の政治的中立はあり得ないという発言で、このことが実際に行われないことを望みますし、今聞いた仕組みによれば、しっかりと守っていただけるのではないかと思っておりますが、今危惧しているところは、民主党は政権をとるや否や国民的な合意が形成されていない事柄についても、次々とそれを実行しようとしていることであります。例えば、これは教育の話ではありませんが、今定例会でもいろいろ出ておりますが、陳情等を与党の幹事長室に一元化をしていくとか、あるいは、与党議員の国会での質問を制限したり、議員の法律の提案をやめさせたり、税制調査会においては、政府税制調査会と与党税制調査会を一体化するということなどがあります。

例えば、自由民主党においては、政府税制調査会と与党税制調査会の2つがあって、これも二重権力ではないかとかいろいろなことを言われましたが、いろいろな欠点がある議会制民主主義というものの欠点を補う、カバーし合う知恵であったのではないかと思います。

今、政府と与党が全く一体になってというか、立法府と行政府が一線を越えて一体になってしまっている。そのことによっていろいろなことが次々と実行されようとしています。そしてそれが開かれた議会の場ではなくて、特定の権力者の手によって行われようとしているのではないか。このことを大変危惧しているわけであります。

今、制度的に中立性を守られるのだということをお伺いしたわけでありますが、改めて教育委員長に、これらの政治的な干渉といったものから義務教育の環境や子どもたちを守る決意を述べていただきたいと思います。

若林啓介教育委員長

決意を述べてくださいということであれば、一言で言えば、最善を尽くしますというふうにしか申し上げられないかと思いますが、まず教育の中立性とは何かということです。私としては政治と宗教の支配から教育を守り、その自立性の確保を目指すことだと理解しております。

教育基本法第14条第2項においては、特定の政党を支持し、またはこれに反対するための政治教育その他の政治的活動、そして第15条第2項では、公教育において特定宗教のための宗教教育、宗教的活動をしてはならないということを定めております。
教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならないものであります。その際には、特定の考えによる偏った教育が行われることが決してあってはならないと考えております。

これまでも、本市の義務教育の中立公正につきましては、教育委員会のみならず、学校の努力により、適切に守られてきたものであると理解しております。
教育委員長としては、今後の状況の推移に十分な注意を払いまして、教育基本法第16条第1項、教育行政のあり方として、不当な支配に服することなく行われなければならないものであるという点とあわせまして、教育委員会制度の趣旨にものっとって、今後とも公正中立な義務教育の推進に努力をしてまいりたいと考えております。
以上、決意を述べさせていただきました。

鋪田博紀

教育と政治というのは、全く分けて考えることはできません。これは宗教についてもそうであります。むしろ現在の教育においては、政治的な素養や宗教的な素養といったものに対する理解を深める教育が、足りないのではないかと思っております。ですが、このことと中立性を保っていくことは、非常に難しい問題でありますが、しっかりやっていかなければいけないのではないかという思いで質問させていただいたわけであります。

続きまして、学校評価制度についてお尋ねしたいと思います。

平成18年6月定例会で、当時の吉川教育長は、「学校評価制度のねらいは、1つには、各学校がみずからの目指すべき成果や取組みについて目標を設定し、その達成状況を把握・整理し、組織的、継続的な改善を図ること。2つには、各学校が自己評価及び外部評価の実施とその結果を説明・公表することにより、信頼される開かれた学校づくりを進めることが主なものであります」と答弁をされているわけであります。

富山市の重点項目である、「子供が輝き安心して通う学校を目指して-魅力ある学校づくり-」と、「出席率を何%増加させる」という共通課題についての実施期間で、平成19年度から5カ年行われることになっておりますが、本年度はその中間点にあるわけであります。

そこで、この学校評価制度そのものに対する現在の評価、認識についてお伺いしたいと思います。

麻畠裕之教育長

各学校では、学校みずからが教育活動や学校運営を点検・評価し、改善に努めているところでございます。

評価に際しましては、今ほどお話がありました共通課題である出席率の向上を初め、学習指導や生徒指導、安全管理、組織運営、保護者との連携などの項目を定めまして、教職員自身の評価に加え、児童・生徒、保護者等のアンケートも取り入れて実施しております。

自己評価の結果につきましては、学校評議員や保護者等の外部評価者に説明し、そうした方々から御意見をいただいております。

こうした学校評価制度を推進することを通して、学校では自校の教育活動を点検・評価・改善する体制が整い、学校の組織、運営等に関して方策を明確にした取組みが見られるようになったと考えております。

課題といたしましては、評価自体が目的となることや、評価項目が多くて煩雑になることが懸念されることから、改善のための評価であるという本質を踏まえ、今後もこの制度を推進していきたいと考えております。

鋪田博紀

今教育長からもお話がありましたが、例えば、出席率の向上について、具体的なパーセンテージや数値目標を示していく。そのときに、どのようなねらいがあってそういった数値目標を設定したのかなどを、外部に対してもしっかりと理解をしていただいて、学校の抱える問題点に対して、その地域や外部の力を頼ったり、あるいは改善ということだけではなく、今、この学校はこんないいところがあるのでそれをもっともっと伸ばしたいということも含めて、外部の力も必要になってくるのではないかと思います。また、学校、特に義務教育過程の学校は、地域を非常に大切にされているわけでありますが、地域にとっても大切な存在であります。

そこで、今、外部へ公表という話もありましたが、外部評価の実施とその結果など、もう少し具体的な取組みをお聞かせいただけますでしょうか。

麻畠裕之教育長

外部評価におきましては、学校運営の基本方針や実際の教育活動、それから次年度に向けた改善点等について意見を求め、学校改善に生かしております。

外部評価者としましては、学校評議員、保護者代表、各種団体長、地域の有識者、民生委員等が挙げられ、年間3回程度、評価を実施している学校が最も多くなっております。
また、自己評価の結果、外部評価者の意見等につきましては、すべての小・中学校が、学校だよりやホームページを通して公表しております。中には、全体の保護者や地域の関係者が集まる機会を利用して、児童・生徒の活動の様子を映像等で紹介している学校もあります。

地域に開かれ信頼される学校を実現するためには、保護者や地域住民の御意見や要望を的確に反映させて、学校づくりを進めることが大切であると考えております。

鋪田博紀

ありがとうございます。先ほども言いましたが、学校というのは地域にとっても大切な存在ですし、学校にとっても地域というのは大切な存在であります。そのときに、やはり学校の目指すものがしっかりと理解されていることで、地域も一緒になってそのことに向かって取り組んでいこう。あるいは、もし改善点があれば自分たちも一緒にそこに加わって汗をかいていこうということになるのだろうと思いますので、ぜひ今後ともしっかりとした取組みをお願いしたいと思います。

続きまして、屋外運動場の整備についてお伺いしたいと思います。

統合校や移転改築された学校については、グラウンド、屋外運動場の整備が進んでいるわけでありますが、一方で、屋外運動場、グラウンドの整備がされていない。具体的に言いますと、例えば、少々の雨が降ったらもう体育の授業には使えない、あるいは学校開放の場でも、昼間にちょっと雨が降っただけで夕方の使用ができないような学校があります。こういうことは教育的な見地から、あるいは地域のレクリエーション・スポーツの振興の見地からも課題があると思います。また、例えば災害時に学校のグラウンドにテントを張って避難をしなければいけないようなケースもあります。私も実際に小千谷市などに泊りがけでボランティアに行ったときに、そういう現場を見てきましたが、こういう見地からも非常に課題のある学校があるのではないかと思っております。

今年度で屋外運動場に対する整備補助金が打ち切られるという話も聞いております。一方、文部科学省が再び来年度予算の概算要求の中に入れてきたという話も聞いておりますが、屋外運動場の整備の見通しについてお聞かせいただけますでしょうか。

麻畠裕之教育長

小・中学校の屋外運動場は、子どもたちの体育やさまざまな体験活動の場であるとともに、災害時には地域住民の応急避難の場所となる場所でございます。

このため、学校の移転改築時や平成15年に実施した富山市小・中学校運動場調査、毎年行っています学校施設の修繕要望調査の結果等を踏まえまして、表土の硬さや流出状況、降雨後の水はけ状況等が悪い箇所を優先し、その整備に努めてきたところであります。しかしながら、厳しい財政状況の中、喫緊の課題として、学校の耐震化の推進が求められていること、また、平成22年度から、原則、屋外運動場整備に関する国庫補助金が廃止とされていることなどから、今後とも、必要な箇所を見きわめながら、屋外運動場の整備に努めてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

今、平成15年の調査というお話がありましたが、地域住民からすると、「いや、うちの学校は水はけが悪くて」という話になってしまうため、時間がかかるにしても整備を進めていくには、その調査の基準として、例えばこれぐらいの降水量があったらどれぐらい使えないとか、具体的なものを示していく必要もあるのではないかと思うのですが、平成15年の調査のことについて、もう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

麻畠裕之教育長

調査につきましては、項目として透水試験でありますとか、表面の硬さ、粒の様子など全体を眺めて、A、B、Cなどの得点評価をしているところでございます。

鋪田博紀

今、事業仕分けなどいろいろな形で、予算・財源について非常に厳しい状況にあります。ただ1点申し上げたいのは、少々の雨で長期にわたって使えなくなるグラウンドは、教育的な見地からいっても非常に課題があるのではないかと思いますので、時間はかかるかもしれませんが、しっかりと整備計画を立てて進めていっていただければと思っております。

それとあわせて、芝生についてお伺いしたいと思います。

芝園小・中学校では天然芝、中央小学校では人工芝ということで、これまでの学校の屋外運動場とは違う整備の仕方をされました。

ことしはJリーグ等の民間からの補助金により、民間の幼稚園等でも園庭の芝生化などを進めたところが県内にもありました。今の芝園小・中学校での評価とあわせて、今後、芝生化ということを頭に描いておられるのかどうか、お聞かせいただけますか。

麻畠裕之教育長

学校の芝生化につきましては、天然芝生の表面温度は35℃を超えることがまれであり、夏場の運動にも快適な環境を創出すること、転んでもけがをしにくいことなど、児童・生徒に対する教育上の効果があると考えられております。

その反面、グラウンドの芝生化には多額な工事費がかかること、芝生を良好な状態に保つためには、適切に維持管理する必要があること、芝園小・中学校の芝生は、今まだ完全な形にはなっておりませんで、育てるのが大変難しいものだなと思っております。それからもう1つ、野球のようにスパイクを履いてする競技など、使用を制限される競技種目があることなどの課題もあります。

こうしたことから、地元の協力体制が図られる場合などには、グラウンドの芝生化について検討してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

屋外運動場については、今、芝園小・中学校の話もあったのですが、統合校跡地のグラウンドはどのようになっていくかということで、その計画についてお伺いしようと思っておりましたが、本日の県議会の一般質問で、雄峰高校の移転改築地として愛宕小学校跡地が有力な候補地であるということを知事が答弁されたとのニュースが入ってまいりました。この統合校跡地の計画についてどのようになっているのかお聞かせいただけますでしょうか。

老月邦夫企画管理部長

本年度は、中心市街地の総曲輪、清水町、愛宕の各統合小学校跡地の有効な活用を図るため、調査・検討を行っているところであります。その内容としましては、現状の整理・分析や民間事業者アンケート、整備コンセプト及び課題の整理、施設全体計画及び各種事業手法の整理・検討などを行っております。
そこで、3カ所の跡地のうち、まず、総曲輪小学校跡地につきましては、統合校跡地の中でも中心地区における有用性が最も高いと考えられることから、地元要望や民間事業者アンケート結果はもとより、近隣の市街地再開発事業などの状況や、市内電車環状線化などとの相乗効果も踏まえまして、都心のにぎわい創出に寄与できるような活用策を検討しているところでございます。

また、清水町小学校跡地につきましては、地元の皆さんから市立公民館やスーパーマーケットなどの設置について御要望をいただいておりまして、このことも踏まえまして、現在、地元の皆さんと協議を行っている状況でございます。
次に、今ほどお話のありました愛宕小学校跡地につきましては、今年度、県教育委員会のほうから、富山県立雄峰高校の移転改築の候補地とできないかとのお話がありました。

地元の皆さんからのグラウンドや体育館を開放してほしいとの要望にも、今のところある程度対応可能であるとのことでありましたので、市としましても、跡地活用の有力な選択肢と考えまして、現在、県及び地元の皆さんと協議を行っているところでございます。
以上です。

2.類似(自治)公民館について

鋪田博紀

続きまして、類似公民館・自治公民館についてお伺いしたいと思います。

現在、公園敷地内に建っているいわゆる自治公民館・類似公民館には、相当老朽化しているものがあちこちにあります。この建てかえについて直ちにというわけではありませんが、将来的に非常に不安であるという声があちこちから上がっております。
この公民館の建てかえについて、市はどのように対応されていくのかお伺いしたいと思います。

谷井正一建設部長

公園敷地内にあります既存の公民館類似施設の建てかえにつきましては、公園全体を多くの方々に広く利用していただきたいことから、敷地外に移転していただくようお願いしております。

しかしながら、用地の確保ができない場合などには、これまでの経緯も十分勘案した上で、認めざるを得ない場合もあるものと考えております。

その際には、法で定められた基準内での改築をお願いしてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

公園敷地内に建っている公民館だけでなく、敷地やいろいろな課題を抱えている公民館がたくさんあると思います。もちろん法を犯してというわけにはいきませんので、いろいろな知恵を絞っていただいて、地域住民の活動拠点である公民館が、しっかりと維持されていくように希望したいと思います。

3.地域商店街について

鋪田博紀

続きまして、地域商店街についてお伺いしたいと思います。

いろいろな商店街があります。本市においては、今、たまたま都心地区の商店街のほうにスポットが当たっています。私が議員になったときは、商店街というと商工労働部が中心になって、直接的ではないにしても、いろいろな施策の関係で支えていました。今、ハード整備が中心になっているということで、都市整備部が中心となってやっていますが、その中で、いわゆる都心地区の商店街ではないところの商店街では、「本当に市はこの商店をサポートしていく気持ちがあるのか」「自分たちは見放されているのではないか」というような声も聞きます。

もちろん一方では、自主的にいろいろな取組みをされている商店街もあることは事実であります。例えば、千石町通り商店街や大手モール商店街は、今回のセントラム開業に当たりまして、初めて両商店街で話合いを持って、開業に向けたイベントを自分たちで何かできないかと模索をされております。

こういった商店街の特徴は、例えば食堂であったら本当にその地域の台所というような形で存在をしておられますし、コミュニティーの場所としても地域商店街というのは非常に重要な役割を持っていると私は思っています。

何もハード整備のための補助金をどうかということではなく、例えば、今、言ったような何か新しい試みをするときに、一緒になってアイデアを育てたり、ヒントをもらったり、そういったサポートが欲しいという声があるわけであります。

そこで、この地域住民の生活を支える機能だけではなく、コミュニティーを支える機能を持った地域商店街について、当局はどのように考えていらっしゃるのかお聞かせください。

坂井保樹商工労働部長

モータリゼーションの進展に伴う消費者ニーズの変化や、後継者不足などにより、商店街を取巻く環境は大きく変化しているところであります。

こうした状況の中、地域の商店街は、その地域に根ざした伝統や少子・高齢化、安全・安心など、地域コミュニティーの中核として住民生活を支えており、今後、地域社会の中での役割は、一層高まっていくものと考えております。

本市といたしましては、商業者の皆様がこうした時代の変化を的確にとらえ、柔軟な発想を持ってみずから努力をしていただくことが重要であると考えており、今後とも、地域の総合経済団体である商工会議所や商工会と密接に連携しながら、地域商店街の活性化を支援してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

商工会議所や商工会のお話も出ましたが、これは言い方を慎重にしなければいけませんが、既存のそういった経済団体の枠の中にはなかなか入っていけないような小さな商店街や商店主たちの活動というものについて、繰り返し言いますが、補助金が欲しいとかそういう話ではなくて、もう少し具体的に気軽に、簡単に言うとイベントの相談ごとでもいいですし、そういったときに気軽に相談に乗っていただけるような体制といったこともやはり一方では望んでいらっしゃると思うのです。

そういう思いで質問させていただきますが、こういった地域商店街というものは、今、おっしゃったように大切なものでありますから、それをサポートしていくための役割について、もう一度改めてお伺いしたいと思います。

坂井保樹商工労働部長

地域商店街というのは、その地域の商業者のみではなく、そこの住民の方々のコミュニティーの中核となっており、その地域を守る、あるいは少子・高齢化、高齢者の安全などの面からも大事だと思っています。そういうことで、商店街からのいろいろな相談も商業労政課のほうで受け付けております。相談等を通してどういう方法が一番いいのか。市のメニューもありますし、県のメニューもありますので、それらをうまく活用していただきたいと思っております。

鋪田博紀

冒頭に申しましたが、商店街の方々、商店主の方々は、最近特に、都市整備部を中心としたハード整備というものが前面に出てきて、本当に私たちは大丈夫なのか、商工労働部はちゃんと私たちのことを見てくれているのかという心配もされておりますので、ぜひまたしっかりとその辺は相談に乗ってあげていただければと思います。

4.富山とれたてネットワーク事業について

鋪田博紀

続きまして、富山とれたてネットワーク事業についてお伺いしたいと思います。

先般、我々自由民主党の部会で長崎市を訪問いたしました。ここでは、中心商店街のアーケード通りに開店した、民間事業者による地場産生鮮品等を販売するお店やレストランの複合店舗を視察してまいりました。経営者の方や店長の方にもいろいろお話を伺ってまいりました。

少し御紹介したいと思います。もともと本業はお菓子屋さんであります。そのお菓子屋さんが御自分の店舗を建てるために中心街に求められた土地が、たまたま競売物件を買われたそうですが、立ち退きをめぐって結局7年間ぐらい店を開業できなかったということで、7年過ぎたらその店舗を建てる理由がなくなってしまったので、さてどうしようかといったときに、地場産の産直生鮮品を販売するお店とレストランを開業されたということであります。

今では、売上げが10億円に達するという大変なにぎわいでございまして、来店者数も3,000人近くになるときもあるということであります。さらには、こちらは通行量がどんどん落ち、閉店する店も出てきていたところですが、こういった核になる店ができたことで、ほかの量販店も出店を始め、中心市街地の商店街の再生の起爆剤になっているということです。

特徴は、自分のところで仕入れるのではなく、7割近くが委託販売で、主に市場を通すほどの生産量のない農家の方が、そこの集配センターに持ち込んで、そこに置いてある機械を借りて自分たちでラベルを打って値段も決めて、店舗に置いてもらうという仕組みでありまして、お店側の仕入れのリスクというものもありませんし、農家の方にとっても、今まで近所に配っていた農産物が、自分で値段を決めてそういったお店で自分たち生産者の名前が出て、並んで売られているということで、大変農業への取組みがいがあるということであります。月に20万円から60万円を売り上げるような農家の方もいらっしゃいます。好きな野菜をつくってお金になるということで喜んでいらっしゃるということであります。

また、そのお店の2階には、産直生鮮品を使ったバイキングレストラン──アルコールは別ですが、1回当たり1,000円でいろいろなものを食べたり飲んだりできるというお店があり、そこで売れ残った商品はそのレストランで消費されるということで、廃棄されるものもほとんどないということでありました。

特にそこの経営者の方がおっしゃっていたのは、とにかく価格競争はしないし、チラシも打たない。価格は自由に生産者の方に決めていただくということであり、月に1回、どんな野菜が売れるのか、あるいは安全性をどう守っていくのかといった勉強会もされているそうですが、自然と自分たちの売れ筋商品というものがわかって、つくる野菜や出荷の時期、価格も含めて決めていらっしゃるということでありました。

そこで、今、富山とれたてネットワーク事業ということで、あちこちに店舗を持ってやっているわけですが、もう一度確認の意味でお伺いします。

このお店の場合、商品を提供される生産者というのは、市場を通すほどの生産量がないような農家の方々がほとんどだったのですが、どのような生産者に対する施策であるのかお伺いしたいと思います。

藤井敏農林水産部長

富山県あるいは富山市というのは、野菜の生産量が大変少ないということで、これについては農家の大小を問わず全体的な底上げをしていくということが、まさにこれからの課題だと思っております。

本市の農業は稲作に特化しており、複合経営による野菜や果樹などの生産振興が課題となっております。このような中で、富山とれたてネットワーク事業は、市民が安全・安心で新鮮な地場産農産物を安定的に購入できるネットワーク体制を構築し、地産地消の推進を図ることで、地域農業の生産振興に結びつけるものであります。

現在、地場もん屋のネットワークでは、地場もん屋地域店として市内7地域にそれぞれ1店舗を指定しているほか、地場もん屋加盟店として、市民に最も身近な小売店などを約160店舗を登録し、さまざまな地元の野菜や果樹などの地産地消の推進を図っているところであります。

このことから、本事業では、安全・安心で新鮮な地場産農産物を生産・加工・販売する女性グループや大規模農家など、個人から団体・組織まで幅広い生産者を対象としているところであります。

鋪田博紀

そこで、総本店としての位置づけになる地場もん屋総本店の見通しについては今のところどうでしょうか。

藤井敏農林水産部長

地場もん屋総本店につきましては、10月の開店を目指してきたところでありますが、設置予定地に許可なく商品や備品などが置かれていたことから、物品の所有者に対し明渡しを求める民事調停や民事訴訟を行ってきているところであります。

今後の見通しにつきましては、今年度中の開店は困難な状況でありますが、明渡しの法的手続を進め、早期の開店に向け取り組んでまいりたいと考えております。

鋪田博紀

続いて、この富山とれたてネットワーク事業の各店で販売されている農産物の安全性の確保についてお伺いしたいと思います。

先日、テレビで放送していたのですが、愛媛県に道の駅「からり」というところがありまして、そこにその地区の農家が地場産野菜を持ち寄り、民間の会社をつくって、販売をしておられるのです。お互いに商品をチェックし、傷んでいる野菜があったら「これ、あんた、出品したらだめよ」というふうに相互監視をしているということでありました。地場産農産物の安全性の確保について、どのような体制がなされているのかお伺いしたいと思います。

藤井敏農林水産部長

富山とれたてネットワーク事業では、市民の求める安全・安心で新鮮な食材提供に努め、生産者の顔の見える販売を行うことを目標の一つとしております。
これまでも、地場産農産物を安心して購入できるよう農薬の使用方法や食品表示の方法などを、地場もん屋加盟店を通して生産者に周知し、奨励してきているところであります。

また、本市では、農薬、化学肥料の使用量を低減した環境にやさしい農業を実践しているエコファーマーが約500名おられ、その農産物の一部もとれたてネットワークにおいて取り扱っております。

本市では、今後、市や地場もん屋の主要な加盟店、農協、関係団体などが参画するとれたてネットワーク推進会議において、全国の優良事例を研究するなど地場産農産物の安全性確保のあり方について、さらに検討してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

今ほど、エコファーマーの話もありましたが、例えば、本当に小さな規模で生産されている方々は、その方々のことを別に不安視するわけではありませんが、やはり消費者にとっては本当に低農薬なのか、無農薬なのか。その検査体制はどのようになっているのかということも、非常に関心が高いところでありますし、逆に、安全性というものをアピールすることで、富山とれたてネットワーク事業の地場もん屋等において販売されているようなものの商品価値が高まるということもあるのではないかと思います。

そこで、この商品力を高める工夫について、ほかに何かあれば御紹介いただけますでしょうか。

藤井敏農林水産部長

地場産農産物の商品力を高める工夫としましては、1つには、地場もん屋加盟店などで扱う商品に張るロゴ入りシールやのぼり、のれんの配布。2つには、地場もん屋地域店での生産者による対面販売の支援。3つには、地場もん屋に加盟する生産者グループなどが、新たに加工品を開発するための設備や商品デザインの企画の支援などを行っているところであります。

本市としましては、今後もこれらの取組みを進めるとともに、生産者同士が地場産農産物の品質向上やPRのよりよい方法を検証し合うなど、商品力を高め、消費者に受け入れられる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

先ほど紹介した長崎市のお店などを、できれば職員の方も視察していただければ、いろいろなヒントがあるのではないかという思いもありまして紹介させていただきましたが、今後とも取組みをお願いしたいと思います。

5.自転車市民共同利用システム導入事業について

鋪田博紀

続きまして、先ほど村山議員からも質問がありました自転車市民共同利用システム導入事業について、利用カードについての答弁の中で、ウエブで申し込むことでカードが送られてくるという話がありましたが、これは例えば、将来的にパスカなどとの相互利用というか、連携はとれる体制になっているのかどうか、お伺いしたいと思います。

中村茂信環境部長

自転車利用カードとパスカなどとの連携につきましては、市としましては、現在、パスカとの連携につきまして事業者に働きかけているところでありますが、利用料金の決済システムが大きく異なっていることや、カードのセキュリティーの検証や自転車利用システムのソフト改修に費用が生じることなどの課題があります。

しかし、利用者の利便性が図られ、利用者の拡大につながることから、市としましては、引き続き、パスカとの連携やその他の非接触型ICカードとの連携につきましても事業者に働きかけてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

日本ではほとんどフェリカの企画で統一されておりますが、海外では事情も異なるので、なかなか難しい面もあるかもしれませんが、ぜひそういった取組みをして、パスカの利用者を増やすこともお願いしたいと思います。

6.専門職種の雇用について

鋪田博紀

続きまして、専門職種の雇用についてお伺いしたいと思います。

消費者庁が発足いたしまして、本市においても実際に消費者からの相談窓口を市が中心になって担うような形になるようであります。特に、そういった体制の中で、生活相談員の方々の増員というのが一つの課題になってくるわけでありますが、こういった方々は、非常に専門的で重要な職種であるにもかかわらず、常勤職員ではなくて嘱託職員ということになっているわけであります。そういった厳しい環境の中で、さらに相談員確保のための財源というのが、新政権によって打ち切られるという話も伝えられております。

こういった専門的な業務にかかわる職員は、保育士や幼稚園教諭、あるいは看護師、医師など一部の職種を除きまして、ほとんどが嘱託職員ということであります。専門職種であるがゆえに、常勤形態ではなく、そのエキスパートとしての力をこのときだけ欲しいということで、そういう雇用形態も望ましいケースもあるのだと思いますが、一方で、常勤形態で深くそのことにかかわっていただくべき分野もあるのではないかと私は思っております。また、本当に必要な専門家の確保ということは、時の政局、政権あるいは財政状況によって不安定になるということがあってはいけないと思います。

人件費の削減という課題も当然ありますので、例えば、逆にこれまで常勤職員が行っていたものでも外部委託などいろいろな形で、コストを少し削って、もっと専門的な分野の職員の人件費に充てるといった工夫も必要になってくるのではないかと思いますが、この専門的な業務に従事する職員の雇用のあり方について見解をお伺いしたいと思います。

老月邦夫企画管理部長

本市では、消費生活相談業務や教育指導業務など、専門的な一部の業務におきましては、御指摘のとおり嘱託職員の活用により、相談サービス等の提供を行っているところであります。

このような相談業務等の分野において、嘱託職員の活用を図っている主な理由といたしましては、1つには、やはり社会経済状況が激しく変化する今日において、多様化・高度化する専門的な行政ニーズは、時代とともにその業務内容や総量が大きく変化していくことから、高度で専門的な資格や知識・能力を有する職員については、期限付き職員として雇用する方が合理的であること。そして2つには、これらの職種は、専門的な職種であるため、仮に正規職員として雇用した場合、配属先も限定されることになり、円滑な人事異動が困難になるおそれがあることなどであります。

市におきましては、このような考え方を基本として、嘱託職員の活用を図ってまいりたいと考えておりますが、今後とも、社会経済情勢の変化等を十分見きわめながら、それぞれの業務にふさわしい任用や勤務形態の職員採用に努めてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

今、時代の変化といった話もありました。確かにいろいろと国の制度が変わって、例えば、学校においては、新しいカウンセラーの配置などが求められたりということで、まさしく時代の変化だろうと思いますが、一方で、これがどうしても必要だろうという分野もやはりあろうかと思います。その辺はしっかりと十分見きわめて、ぜひ対応をお願いしたいと思います。

7.民主党政権下における地方分権について

鋪田博紀

それでは、最後の質問に移ります。

民主党政権下における地方分権についてということでお伺いしたいと思います。
さきの提案理由説明の中で市長も引用されましたとおり、民主党は地域主権国家の樹立を政権公約の一つに掲げ、また大阪府では地域主権課というものが設置され、マスコミも「地域主権」という言葉を特段深く考えた様子もなく使っておりますし、この「地域主権」という言葉が最近目につくわけであります。

ただ、この地域主権の中の「主権」という言葉は、辞書によりますと、ちょっと御紹介しますが、「国民及び領土を統治する国家の権力。統治権。2つに、国家が他国からの干渉を受けずに独自の意思決定を行う権利。国家主権。3つに、国家の政治を最終的に決定する権利」とあります。

では、この「地域主権」というのは、何を意味する言葉なのか。これまでの中央集権の行き過ぎを是正して、地方分権を推進することは必要でありますし、一定の権限と財源というものを移譲し、国との役割分担をしっかりしつつ、地方が自主・自立の自治体運営を行っていくことは重要であります。

しかしながら、民主党が進めようとしている、地域主権を実現し我が国を地域主権国家に変貌させるという施策は、広く国民の理解を得られているとは言いがたいと思います。地方分権を強調する言葉として、「地域主権」という言葉が乱用されているような感じに思えてなりません。そしてさらにつけ加えて言いますならば、民主党政権は、今、我が党、我が会派が反対しております永住外国人への地方参政権の付与を進めようとしておりますし、地方主権と永住外国人への地方参政権の付与、あるいは夫婦別氏別姓選択制の導入が日本の主権というものを本質から変え、国家のありようを大きく変えるといったことがその背景にあるのではないかと私は思っております。

市長は進んでこの地域主権という言葉を使用されているわけではないと思いますし、地域主権課のような組織を設置する予定もないのではないかと思いますが、改めて地域主権と永住外国人への地方参政権の付与について、市長の見解をお伺いしたいと思います。

森雅志市長

この本会議場で議論することになじむのかどうかと思いますが、質問されましたから答弁しなければいけません。所感を述べます。

かつてほどきばもとげもなくなりまして、生煮えナマコみたいな答弁しかできませんが、まず前段の「地域主権」という民主党が盛んに使っていらっしゃる言葉についてどういう感想を持っているのかという問いに答えますが、おそらく江口克彦さんなどが地域主権型道州制と言い出された。そのあたりから始まっているのだろうと思います。

あの考え方はかなり過激で、中央国家の解体と地域国家をつくるというようなニュアンスが含まれていたと思います。わかりやすく言うと廃県置藩をする、藩は藩札も出していましたし軍隊も持っていたわけで、江口さんが言っているのはそこまで極端ではありませんが、外交や防衛といったことを除いて、かなりの部分は道州でやるんだということです。それをわかりやすく説明するのに「地域主権型」という言葉を使っていらしたのだろうと思います。その「地域主権型」がいつの間にか「地域主権」というかぎ括弧つき──私たちは民主党の文章にかぎ括弧がついてるからかぎ括弧つきで使っています。
用語としては御指摘のとおり、主権国家という主権、主権在民という主権という用語だとすると、中央主権も地域主権も地方主権もおかしな概念ですから、主権ということをそのように理解すると、成り立たない理屈です。

ただ恐らく企図されているのは、日本を解体しようということでは決してないと思います。わかりやすく言うと、権限や財源について地域に主導権を持たせようと、導くという字が抜けているのだろうと思うのです。「地域主導権」だと考えると、イメージはわかりやすいのかなと思います。

日本の社会は、文化包丁などわけのわからない言葉が、世の中のいろいろなところで使われているような概念で、かつて中沖前知事は「地方集権、地方集権」とオフィシャルの場でも盛んにおっしゃっていましたが、地方集権というのも何なんだそれはということですが、お訴えになりたいことは、地域の主導権、主体性というものを尊重しようという考え方だと思います。私自身は一言で言うとどっちでもいいことで、主権を壊そうとしている趣旨で使っているとは思いませんので、そう重大事だとは思いません。ただ、言語的にはちょっとどうかなという気はします。したがって、強いて言えば地域主導権の確立ということなのだろうと思っています。

あとの永住外国人の地方参政権については、改めて説明しなくても御存じだと思いますが、憲法第15条第1項では、公務員の罷免や選任というものは国民固有の権利だと言っていますので、第15条だけに立脚すれば議論が生まれる余地は全然ないわけですが、福井地裁の判決があって、第93条第2項で地方の公共団体の長や議員は住民が選ぶと言っていると。福井地裁の判決は、昔私も読みました。全文読みましたが、なるほどこういう考え方もあるかなと思っていました。つまりそれは、住民を文字どおり「住民」と呼んで、したがって地方参政権を認めるかどうかは立法の問題だと。わかりやすく言うとそういうことだったと思います。しかし、その後、平成7年2月の最高裁の判例は、明らかにこの住民は「国民」と呼ぶというふうに言っていますので、判例主義に立てば、地方参政権を永住外国人に付与しようとする法律をつくろうとする場合、もしも議員立法でできるとするとすれば、恐らく法制局で引っかかるだろうと思っています。仮にできたとしても現在の判例主義にのっとれば、それは憲法違反になると思いますので、技術論として難しいという評価をしています。いろいろな考え方の方がいらっしゃいますので、運動としてはあり得ても、技術的に地方参政権を永住外国人に付与する法律をつくるということは、現在の法解釈では憲法違反だと思いますので、困難だろうと見ています。

鋪田博紀

今、地域主権という言葉をめぐって市長から答弁をいただきましたが、私も国家解体まではさすがに考えていないだろうと思うのですが、この世の中は、時々言葉がある日突然別の意味を、そしてパワーを持ち出して動き出すことが往々にしてあります。特に最近は政治の場でもそういうことがよくあり、それが非常に心配であります。そういう意味を込めて質問をさせていただきました。

これをもって、私の一般質問を終わります。

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