議会レポート

平成22年12月議会・一般質問

1.行政用語について

12月定例会に当たりまして一般質問を行います。

 まず、行政用語について伺います。

 去る11月18日の参議院予算委員会で、官房長官が「暴力装置」という言葉を使い、抗議を受けたことから、直ちに訂正し謝罪するという出来事がありました。ふだん耳なれない言葉でしたので、国会内外で大きな波紋を呼びました。

 「暴力装置」という言葉そのものは、政治哲学、政治学において主権国家を定義する際に用いられる言葉であり、官房長官は国会議員であると同時に行政庁に所属するので立ち位置は微妙ですが、職業政治家たる国会議員が国会の場で使う場合においては問題がないと考えます。

 皆さんがあまりにも騒がれるものですから、参議院インターネット審議中継を繰り返し見てみましたが、シビリアン・コントロールという文脈のやりとりの中で「暴力装置でもある自衛隊、ある種の軍事組織でもありますから、これはシビリアン・コントロールが効かなければならない」と答弁されていました。後で、軍事組織は実力組織と言いかえられましたが、この方も政権に入った途端、自衛隊の存在を正面から受けとめて、軍事組織として認識を新たになさったのかと、政権与党という権力はものすごいものだなと妙に感心すらいたしました。

 しかし、テレビの向こう側の皆さんや、「暴力装置」という言葉を知っていると思われるマスコミでさえ、「暴力」という言葉に驚き、怒りを覚えたのでした。ですが、本来問題にすべきは、尖閣諸島沖における中国漁船の衝突事件への対応や北朝鮮の砲撃をめぐる対応に、我が国の領土・領海、国民を守る意識がまるでないことを露呈してしまった現政権の能力のなさであると考えます。

 話が随分横道にそれましたが、政治や行政の場で使われる専門用語は、使い方が間違っていなくても大変大きな影響を及ぼすことがあるのだなと考えさせられました。

 さて、国を離れ、富山市における行政用語について質問いたします。

 公共施設の建てかえの際に使われる「改築」という言葉は、法律専門用語あるいは建築専門用語としては「現存する建築物の主要構造部全部、または大半を改めてつくり直すこと」とされています。また、ある辞書によれば「建物・建造物の全部または一部を新しくつくり直すこと」とされており、建てかえを改築ということ自体は間違っておりません。しかし、一般には全部をつくり直す場合は「建てかえ」、一部つくり直すことを「改築」と使い分けています。一般に使う用語と行政で使う用語に解釈の違いがあると混乱を招くこともあります。

 先日、ある学校の耐震化についての会議に出席したところ、「この学校は改築で、ここより新しい学校が大規模改修なのはおかしい」という発言がありました。「大規模」という言葉のせいでしょうか。「大規模改修」が建てかえで、「改築」がいわゆるリフォーム、耐震補強工事と思っている方も多いようです。

 一般に使われる用語と行政で使われる用語の解釈が異なることや、なじみのない専門用語が使われることで、市民の混乱や誤解を招くことのないようにすべきと考えますが、当局の見解を求めます。

 次に、外来語の読みかえについて伺います。

 平仮名の「まちづくり」という用語も便利に使われてきましたが、基盤整備を指すものか、ソフトを指すものか、「町」のまちなのか、「街路」のまちなのか、人口密集地や都会を指すのか、あいまいなまま使われています。

 後ほど質問する予定ですが、平仮名の「まちづくり」という言葉のもと、商業振興と都市整備の垣根があいまいなまま進められた結果、さまざまな問題も起きていると考えています。

 視覚に柔らかい印象を訴える効果をねらってか、最近は平仮名が多く用いられ、ついには平仮名の市名も登場するなど驚かされることも多いのですが、今ほど述べた平仮名のまちづくりも、あえて漢字を入れないことで、さまざまな意味合いを持たせることに成功した面もあるでしょう。平仮名の市名にも同じことが言えるでしょう。

 しかしながら、ある者は人口集積地を想像してまちづくりを考え、ある者は町を想像してまちづくりを考え、またある者は都市基盤整備を想像してまちづくりを考え、ある者は商業振興を想像してまちづくりを考えることで、今やろうとしているまちづくりとは何かと問われたときに、実は皆がばらばらな思いでまちづくりを進めていたということになってしまうのではないでしょうか。

 平仮名の行政用語だけではなく、片仮名の用語も大体の意味は想像できますが、実はよく理解されないまま使われています。言葉の響きのよさと、かわりになる言葉がないからでしょう。私も、一般質問で外来語を頻繁に使いますが、わざわざ解説を入れて質問してみたところ、かえってわかりづらいと先輩方から指摘を受けて、最近は片仮名読みのまま使っています。まさにジレンマ、板挟みです。

 そこで、一時期、外来語の読みかえというのが注目されました。副議長も以前の一般質問の中でエレベーターを自動昇降機と言っておられて、ああ、さすがに徹底されているなと感心したわけですが、現在、富山市においてはどのようになっているのか答弁を求めます。

 次に、外来語の用語そのものについて伺います。

 例えば、「コンパクトシティ」や「コンパクトなまちづくり」という言葉です。この場合、共通するのは「コンパクト」で、これならだれもが理解できます。しかし、2つの言葉がどのように違って用いられるのか、以前にも質問したことがありましたが、私には実はよく理解できませんでした。最近では「エコ」という言葉も、環境を指すのか、経済性を指すのか、使われている場面で意味が異なります。

 しかし、文句を言っても、今さら使用をやめるわけにもいかないのが現状です。既に定着してしまったからです。昨年の12月定例会で「地域主権」について質問した際に、市長から「私自身は一言で言うとどっちでもいいことで、主権を壊そうとしている趣旨で使っているとは思いませんので、そう重大事だとは思いません」との答弁がありました。しかしながら、「地域主権」という用語は、本来の意味を離れてすっかり市民権を得てしまいました。

 そこで、このような外来語由来の新しい言葉を行政で用語として使用するに当たり、検討がなされているのか答弁を求めます。

 次に、表記について伺いたいと思います。

 富山市だけではなく、「子ども」を「子」が漢字、複数をあらわす接尾語「ども」が平仮名というように、単語の一部を平仮名にして用いています。このように、単語の一部を漢字から平仮名にした用語が多く見受けられます。常用漢字にない場合に平仮名表記とする場合もあるでしょうが、中には言葉狩りのごとき表記がえもあります。そこで、行政用語の表記について、富山市としてどのような指針があるのか答弁を求めます。

2.商業施策について

 次に、商業施策について伺います。

 本年3月の私の一般質問で、企業実態調査を行うとの答弁がありました。さらに、「本市といたしましては、この調査が商店数や個店の売上げの増加、さらには商店街の一層のにぎわい創出につながるよう、調査結果を詳細に分析してまいりたいと考えております。そのことにより、商業者のニーズを的確に把握し、中長期的な目標値を設定するなど、より効果的な商業振興施策を展開してまいりたいと考えております」との答弁がありました。

 そこで、企業実態調査についてどのような進捗状況にあるのか。また、調査結果の分析をどのように施策として反映させていくのか、答弁を求めます。

 さて、私は建設委員会所属ですが、商業振興に関する課題を都市整備部所管の事項として議論していることに違和感を持ち始めています。都心地区への新規出店促進のための補助金やファザード整備のための補助金の取扱いなど、事業のほとんどが都市整備部所管となっています。さらに、「株式会社まちづくりとやま」が指定管理者となっていることにも、本来のまちづくり会社の役目として正しいのかどうかという疑問も感じ始めています。

 都市基盤整備として商店街との関連が一段落しつつある今、このような組織のあり方、つまり都心地区における商業施策のみを切り取って、都市整備部が担うという組織のあり方を見直す時期にあると考えますが、見解を求めます。

3.補助金について

 次に、補助金について伺います。

 都心地区への新規出店促進のための補助金については前述したとおりでありますが、補助金の交付を受けながら、間もなく閉店してしまう事例や、要綱では夜間のみの営業は交付対象外となっているにもかかわらず、夜間のみの営業と判断されてもやむを得ない事例があります。また、事実上、対象地区から対象地区への移転と判断されてもやむを得ない事例もあります。具体な質問は常任委員会で行いますが、都心のにぎわい創出と考えれば、むしろ夜間営業の飲食店や都心地区にとどまるための移転に対しての補助制度があってもいいと考えています。

 このように、補助金を交付した後の検証を行う仕組みがないために、せっかくの制度が無駄になり、本来必要とされる対象者に行き届かないという結果になっている場合もあるのではないでしょうか。補助金の中には、地域のつながりを維持するためのものや芸術文化に対する支援のための補助金のように、交付後の検証が困難なものもあるでしょう。

 そこで、富山市の補助金制度の体系についてどのようになっているのか答弁を求めます。また、補助金の性格によっては、交付後の検証を行うように制度を改めるべきと考えますが、答弁を求めます。

4.学校の耐震化について

 次に、学校の耐震化について伺います。

 富山市における学校施設の耐震化については、政権交代の余波を受け、基本設計が完了しながら実施設計に至らぬもの、実施設計が完了しながら工事に着手できないものがある状況です。そこで、以下3点について質問いたします。

 1つに、早急に耐震化が必要な学校施設はどのくらいあるのか。2つに、そのうち、耐震化の計画が立てられながら基本設計が完了したものの実施設計に至らぬ学校施設、そして、実施設計が完了しながら工事に着手できない学校施設はどのくらいあるのか。3つに、平成22年度末での耐震化率はどのようになると見込んでいるのか。以上、答弁を求めます。

 学校施設の耐震化が遅々として進まぬ原因は、ひとえに国の予算が確保されないことによるものですが、これまで、学校施設のみならず公共施設から住宅まで幅広く耐震化を進めることができたのは、自民党政権下での地震防災対策特別措置法の改正によるところが大です。

 学校施設の耐震化に関しては、市町村の財政負担軽減のため、国庫補助率のさらなるかさ上げにより、公立の小学校、中学校、幼稚園、中等教育学校の前期課程並びに特別支援学校の小学部、中学部及び幼稚部のIs値0.3未満の校舎、体育館、寄宿舎については、耐震補強が2分の1から3分の2へ、改築が3分の1から2分の1となったほか、国庫補助率のかさ上げ対象となった施設については、起債充当率が75%から90%へ拡充され、地方債の元利償還金に対する地方交付税充当割合も50%から66.7%へと拡充されました。

 しかし、この措置は平成22年度までの時限措置であり、状況を調べてみると、文部科学省を初めとして関係各省庁も、また最終的な取りまとめをしている内閣府も、議員立法による改正であったこともあり、目下静観の構えです。このままでは、仮に国で予算がついても、自治体は自主財源のめどが立たず、全国で耐震化の速度がさらに停滞してしまうおそれがあります。

 富山市議会でも、3月定例会での我が会派の代表質問で取り上げ、「公立小・中学校施設の耐震化の促進を求める意見書」も採択いたしましたが、平成22年度に引き続き、平成23年度においても我が自由民主党会派では、富山市要望に盛り込んだところであります。全国市議会議長会においても要望されているところであり、このまま与党が動かなければ、自由民主党が主導して再び議員立法による時限措置の延長をするよう、県選出国会議員を通じて働きかけているところであります。

 そこで、以下3点について質問いたします。

 1つに、この時限措置が延長されなかった場合の、富山市における学校施設の耐震化に与える影響についての見解、2つに、富山市としても、また全国市長会としても、時限措置の延長を含めて、耐震化の促進を求めるよう、さらに働きかけをすべきと考えますが、これについての市長の見解、3つに、市長会として、現在どのような取組みと議論がなされているのかについて市長の答弁、以上を求めます。

5.保育所の施設整備について

 最後に、保育所の施設整備について伺います。

 まず、保育室へのエアコンの設置についてであります。本年9月定例会で、南議員からの保育室へのエアコンの設置についての質問に対して、「猛暑日でも通常の保育を実施できる環境を整え、保護者の方が安心して子どもを預けることができる保育所とするため、冷房設備につきましては、必要性の高いところについて重点的に整備することを、今後検討してまいりたいと考えております」との答弁がありました。

 ことしの夏は30年に一度の猛暑と言われ、8月だけで最高気温が30度以上となった日が30日間、そのうち35度以上となった日が13日間となっています。実は、平成19年も最高気温が30度となった日が25日間、35度以上となった日が14日間もありましたし、平成18年も30度以上となった日が28日間、平成17年も30度以上となった日が23日間、酷暑は当たり前になりつつあります。

 そこで、保育室へのエアコンの設置について、どのような整備方針を検討されているのか答弁を求めます。

 次に、施設整備について伺います。市立保育所の多くは、昭和40年代に建設され、老朽化が進んでいます。昨今の保育ニーズの多様化に、施設面で十分なものとは言えません。また、敷地が狭隘なため駐車場が確保できず、送迎時の交通事故も心配されるところです。特に都心地区においては、現地での建てかえも困難、移転新築する敷地の確保も困難という状況で、このような理由から民営化の検討に当たって、対象から外れた施設も多くあると考えられます。

 国の整備方針として、民間保育所への施設整備には補助金を出すが、公立保育所には地方交付税措置のみという状況で、老朽化した保育所の施設整備は、富山市の保育施策において大きな課題と言えるでしょう。一部の保育所においては統合の上新築するという手法もとられていますが、これら老朽化が進む保育所や施設面で保育ニーズの多様化にこたえることが難しい施設の整備について見解を求めます。

 以上で一般質問を終わります。

答弁

野村潤企画管理部長

 鋪田議員の御質問にお答えいたします。

 行政用語について、一般に使われる用語と行政で使われる用語の解釈が異なることや、なじみのない専門用語が使われることで市民の混乱や誤解を招くことのないようにすべきと考えるが当局の見解を問う。また、行政用語の表記について、どのような指針があるのかについてお答えいたします。

 本市におきましては、富山市文書取扱規程において、市民の皆さんに文書をわかりやすく伝えるため、文書の文体は「ます体」を基調とする口語体を用いるものとし、常用漢字表等により、平易で簡潔、かつ正確な記述をすることとしております。また、具体的な文書作成の指針として「公用文作成の手引き」を作成し、1つには、あいまいな表現や抽象的な言葉遣いを避け、わかりやすい言葉遣いをする。2つに、外来語を多用しないで、日本語を大切にした言葉遣いをする。3つに、一般になじみの薄い専門用語や略語を使用しないことなどとしております。

 本市といたしましては、一般に使われる用語と行政で使われる用語の解釈が異なることで、市民の皆さんに混乱や誤解を招くことのないよう、適宜「公用文作成の手引き」の見直しや、職員研修の実施などを行っており、今後とも、さらにわかりやすい用語の使用に努めてまいりたいと考えております。

 次に、一時期、外来語の読みかえというのが注目されたが、富山市においては、現在どのようになっているのか。また、このような外来語由来の新しい言葉を行政で用語として使用する場合に、何か検討しているのかにお答えいたします。

 本市におきましては、外来語を多用しないで、できるだけ日本語を使用することとしておりますが、なじみの薄い外来語などはできる限り使用せず、やむを得ず使用する場合には日本語で注釈を入れるか、前後の文脈からその意味がわかるような記述をするように努めております。

 例えば、「アカウンタビリティ」という外来語を使用するときには、「アカウンタビリティ(説明責任)」と注釈を入れることとし、また、「クーリング・オフ」という外来語を使用するときには、「一定の期間内であれば契約を解約できるクーリング・オフ」と、前後の文脈からその意味がわかるような記述をするものであります。

 また、同様に、外来語由来の新しい言葉を行政で用語として使用する場合には、日常生活の中で十分に定着し、既に日本語となっているものかについて検討を行った上で、その言葉を使用するのかどうか判断しております。

 次に、補助金について、富山市の補助金制度の体系についてどのようになっているか。補助金の性格によっては、交付後の検証を行うように制度を改めるべきと考えるが、見解を問うにお答えいたします。

 本市の補助金制度につきましては、地方自治法に定める補助金に関する規定のほか、市の補助金交付に関する基本的事項として、富山市補助金等交付規則において、補助金の交付申請、交付決定から実績報告、額の確定に至るまでの補助金の交付手続並びに交付決定の取消し、補助金の返還及び財産処分の制限などの規制作用について規定しております。

 また、個々の補助金の目的、性質などによっては、必要に応じて、実施細則事項として補助金交付要綱等において、補助金の交付対象や事業の内容などを規定しており、補助金がその交付目的に適合するよう、その適正な執行の確保を図っているところであります。

 お尋ねのありました、補助金の性格によっては交付後の検証を行うように制度を改めるべきとのお考えでありますが、現行の制度におきましても、補助金の交付目的が達成されたかどうかの判断を常に行い、補助金の見直しを行ってきているところであります。

 また、監査委員や包括外部監査人におきましても、必要があると認めるとき、または市長の要求があるときは補助金に関する監査を実施しており、現行の補助金に関する制度において、補助金交付後の検証が十分に行われているものと判断しておりますことから、特に制度の改正は考えていないところであります。

 以上でございます。

中村茂信商工労働部長

 商業施策についての御質問のうち、企業実態調査はどのような進捗状況か、また、調査結果の分析をどのように施策に反映させるのかにお答えいたします。
本年度に実施しました企業実態調査は、市内事業所における経営及び雇用の実態や行政に対する生の声を把握し、効果的な経済・雇用対策を推進するための基礎資料とするため、医療福祉関係事業所を含む市内1万1,000事業所を対象に調査を行ったものです。

 回答状況につきましては、7月から9月の3カ月間で、一般事業所から6,882件、医療・福祉関連事業所から101件、合わせて6,983事業所(回答率63.5%)から回答をいただいたところであり、回答いただいた一般事業所のうち約46%が卸・小売業等の商業関連の事業所となっております。

 お尋ねの本調査の進捗状況につきましては、10月末で集計を終えたところであり、現在、必要に応じて事業所へのヒアリング等を行いながら詳細に分析を進めており、2月末をめどに取りまとめてまいりたいと考えております。

 また、本調査の分析結果の施策への反映につきましては、その分析結果から見える商業者の皆さんはもとより、各事業所が抱えるさまざまな課題やニーズ等を整理した上で、商工会議所や商工会などの経済団体とも連携を図りながら、融資制度の見直しや経営指導の充実、さらには商店街へのにぎわい創出事業などの支援のあり方も含め、きめ細かな視点で将来の本市商業等のあるべき姿を描きながら施策に反映してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

粟島康夫都市整備部長

 商業施策についてのうち、都心地区における商業施策のみを切り取って、都市整備部が担う組織のあり方を見直す時期にあると考えるが見解を問うにお答えいたします。

 都心地区、いわゆる中心市街地の活性化につきましては、本市が目指す公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを進めるための重要な施策の1つであり、これまで「公共交通の利便性の向上」「にぎわい拠点の創出」「まちなか居住の推進」を施策の3本柱として掲げ、その総合的な推進に取り組んできたところであります。

 議員御指摘の事業につきましては、「にぎわい拠点の創出」の観点から、商業機能の集積や市民の交流空間の創出に関するものでありますが、都市再生やコンパクトなまちづくりという大きな政策の方向性の中で、広く都市交通政策や都心居住政策などの事務を所掌する都市整備部が現在のところ一元的に担当しているものであります。

 いずれにいたしましても、行政組織につきましては、その時々の政策目的に応じ、社会情勢の変化や新たな行政課題に対応するため、常に見直しを図ることが肝要であることから、引き続き、時代の要請に即した簡素で効率的な組織体制や適切な事務分掌の整備に努めてまいります。

 以上でございます。

麻畠裕之教育長

 学校の耐震化についてお尋ねのうち、早急に耐震化が必要な学校施設はどのくらいあるか。基本設計が完了したものの実施設計に至らぬ学校施設、実施設計が完了しながら工事に着手できない学校施設はどのくらいあるか。平成22年度末での耐震化率はどうなるのかについてお答えいたします。

 早急に耐震化が必要なIs値0.3未満の校舎または体育館を有する学校施設につきましては、平成22年12月1日現在で、小学校が11校、中学校が4校あり、うち現在工事中の学校施設は6校あります。

 また、基本設計が完了しているものの実施設計に至らなかった学校施設は小・中学校合わせて3校、実施設計が完了しながら工事に着手できない学校施設は小・中学校合わせて3校となっております。平成22年度末での耐震化率につきましては、西田地方小学校の耐震化工事が完了することなどから74.2%、対前年度比1.4ポイント増となる見込みであります。

 次に、地震防災対策特別措置法の延長について、地震防災対策特別措置法の時限措置が延長されなかった場合の富山市における学校施設の耐震化に与える影響についての見解にお答えいたします。

 地震防災対策特別措置法には、市町村の財政負担を軽減するための国の有効な支援措置等が盛り込まれており、学校施設の耐震化の推進にも必要不可欠なものであると考えております。

 こうしたことから、本市が総合計画で位置づけ、計画的に進めている耐震化事業に関して、平成23年度以降、補助率のかさ上げ等の特例措置が廃止された場合には、厳しい財政状況を勘案しますと、現在の推進計画の見直しを検討せざるを得ないものと考えております。

 次に、富山市として、また全国市長会としても時限措置の延長を含めて耐震化の促進を求めるように働きかけるべきと考えるがどうかにお答えいたします。

 学校施設は、子どもたちが1日の大半を過ごす活動の場であるとともに、災害時には地域住民の避難場所としての役割をも果たすことから、その耐震化は最優先で取り組むべき課題の一つと考えております。

 このことから、本市においては、時限措置の延長を含めた耐震化の推進に関する支援策の充実・拡充について強く求めていくべき事項であると考えており、これまでも全国市長会等を通じ、国に要望してきたところであります。また、今回の地震防災対策特別措置法が議員立法により制定・改正がなされてきた経緯を踏まえますと、今後の国会審議等において時限措置の延長等が検討され、実現されることを切望しているところであります。

 次に、市長会として、現在どのような取組みと議論がなされているのか問うにお答えいたします。

 現在の市長会の取組み等についてでありますが、全国市長会におきましては、本年6月と11月に、国に対し特別措置法の期限延長を求める内容を盛り込んだ義務教育施策等に関する提言・重点要望を提出し、耐震化の推進等への支援を強く求められております。また、11月には、あわせて公立学校施設等の整備に関する提言を行い、地域の実情に即した積極的な支援措置を講じるよう求められたところであります。

 今後とも、子どもたちや地域住民の生命及び安全確保のため、学校施設の耐震化の推進等について、全国市長会や全国都市教育長協議会などを通じて、強く要望してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

高城繁福祉保健部

 保育所の施設整備についてのうち、まず保育室へのエアコンの整備についてどのような整備方針を検討しているのかにお答えします。

 市立保育所への冷房設備の設置につきましては、従来より入所児童の安全と健康管理を図るため、乳児室や調理室、事務室兼医務室、午睡時に睡眠がとれる場所ともなる遊戯室へ設置してきたところであります。

 しかしながら、2歳未満児以外の児童が生活する保育室への設置状況は保育所ごとに異なっており、ことしのような猛暑日には入所児童の体調管理に十分気をつけることはもちろん、こまめな水分補給やプール遊びの時間を変更するなど、現場の保育士の創意工夫により熱中症の予防対策を行ってきたところでありますが、冷房設備のある遊戯室での保育を余儀なくされ、通常どおりの保育内容での保育の実施が困難な状況になった場合もあり、保護者の方々からも不安の声や冷房設備の早期整備の要望も多く寄せられたところであります。

 このため、本市では、来年以降もことしのような猛暑となることが懸念されることや、猛暑日でも通常の保育を実施できる環境を整え、保護者の方が安心して子どもを預けることができる保育所とするため、本年度において安心こども基金を活用して、緊急に冷房設備を整備することを検討し、県を通じて国に要望したところでありますが、冷房設備の整備には安心こども基金は活用できないとのことでありました。このことから、厳しい財政状況の中ではありますが、現在、保育所の構造や保育室の配置を考慮し、必要性の高いところから重点的に冷房設備を整備していくことを検討しているところであります。

 次に、老朽化が進む保育所や施設面で保育ニーズの多様化にこたえることが難しい施設の整備について問うにお答えします。

 本市の公立保育所につきましては、休所中を除く全45カ所の施設のうち、昭和40年代に建設された建物が14カ所、昭和50年代に建設された建物が14カ所、昭和60年以降に建設された建物が17カ所であり、鉄筋コンクリート造の施設が33カ所、木造が12カ所であります。

 特に、富山地域の中心部にある保育所につきましては、ほとんどの施設が昭和40年代に建設された建物であり、1つには、施設開所から40年近くが経過して、施設の老朽化が進んでいること、2つには、個別の配慮が必要な児童や、入所希望が増加しているゼロ歳児の生活面の環境整備を図るため、乳児用トイレの増設などを行わなければならないことなどから、できる限り早期の建てかえが必要であると考えております。

 しかしながら、御案内のとおり、現在地で建てかえを行う場合は、隣接地に建てかえ用地を確保する必要があり、特に市の中心部においては、隣接地はもとより近隣であっても保育所の建設用地を取得することが困難な状況にあります。

 このような状況ではありますが、本年7月に富山市石金地内において、関係の皆様の御協力のもと、旧国土交通省富山河川国道事務所の跡地6,000平方メートル余りを取得することができ、現在、平成24年4月開所に向け、東部保育所と不二越町保育所を統合した新しい保育所の実施設計を行っているところであります。

 市といたしましては、今後とも市の未利用地の活用や用地交換による代替地への移転改築も視野に入れ、引き続き粘り強く用地の確保に努めてまいるとともに、新たな保育所用地が確保されれば、できるだけ早期に建てかえができるよう検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

ダウンロード

先頭へ