議会レポート

平成23年3月定例会・一般質問(質問原稿)

平成23年3月定例会一般質問原稿を掲載しました。議事録ではなく読み上げのための原稿ですので、あらかじめご了承ください。

1.環境施策について

本市では、除雪業者の確保が困難になりつつある中でも、地域ぐるみの除排雪・地域主導型除雪事業の推進により、消雪を含む除雪率が93.11%、歩道についても除雪率84.29%となっています。しかしこれが将来にわたり維持できるか憂慮されるところです。

先月、山形市の自転車道整備について視察してきたところ、地元企業が開発した地下水を循環させる地中熱を利用した無散水式の消雪装置が完備されていました。歩道の消雪を推進することにより、歩道の除雪にかかる予算、人員を、車道を中心とした除雪に振り向ける必要があると考えます。また、消雪について、現在主流の散水式から比較的環境負荷が少ないと考えられる無散水式に順次切り替えていくべきと考えます。

そこで、環境モデル都市を標榜する本市として、太陽光発電パネルとLEDによる街路灯・防犯灯と、これにより発電した余剰電力を活用する無散水式の消雪装置と組み合わせて整備することを提言しますが、所見を伺います。

雪国ならでは、富山市ならではの課題といった公共のニーズを、産学官連携して製品開発してゆくイノベーション能力も、環境モデル都市として必要だと考えますが、所見を伺います。

2.学校の耐震化について

今国会において、我が党の野上浩太郎参議院議員らが、平成22年度末で期限切れとなる、地震防災対策特別措置法の延長法案を、議員立法による提出・成立を目指しています。現行法同様に、全会一致で採決を望むものです。

今回議案となっている、学校施設の耐震化については、地震防災対策特別措置法の期限切れを想定されたものなのか、答弁を求めます。

また、12月定例会で「総合計画で位置づけ、計画的に進めている耐震化事業に関して、平成23年度以降、補助率のかさ上げ等の特例措置が廃止された場合には、厳しい財政状況を勘案しますと、現在の推進計画の見直しを検討せざるを得ないものと考えております。」との答弁がありました。

国会審議の見通しが依然不透明な情勢ではありますが、推進計画見直しの時期と、整備方針についても変更はあるのか、答弁を求めます。

3.市立図書館本館の役割について

提出された議案によれば、西町南地区複合施設整備事業で図書館本館を含む管理運営計画について公益施設管理運営計画を策定するとしています。

さて、日本図書館協会発刊の「日本の図書館」によれば、日本の公立図書館は、平成11年の2,613館から、平成20年には3,144館と増加しています。館外個人貸出総数も、約5億2,334万冊から、6億9,154万冊へと大きく伸びています。

ところで、現在国内の電子書籍は、コミックやライトノベルを中心に発達してきましたが、平成21年度の出版市場は、紙の書籍が8,492億円に対して電子書籍が574億円となっており、この5年間で25倍に成長しています。紙書籍に対する電子書籍の割合は6.76%。実はこの数字は、米国の1.34%を大きく上回るものです。さらに、昨年末からのiPad、Android端末や専用端末の売り上げが好調となっています。

このことにより、出版業界を取り巻く環境も大きく変化しており、海外では新聞メディアが次々と紙媒体をやめ、ウェブ化されています。

参考までに、電子書籍を扱う電子書店は、日本最大のパピレスでも蔵書数が17万程度とまだ発展途上ですが、国立情報学研究所が運営する学術書籍データベースの「CiNii(サィニィ)」から閲覧できる、電子化された論文は320万をほこります。

紙媒体の書籍は決してなくならないでしょうし、今後とも主流でありつづけるでしょう。しかし、電子書籍の普及による影響は、出版業界だけにとどまりません。

Googleの図書検索といったグローバルなネットの進化、大学図書館とGoogleの提携、国立国会図書館によるすべての図書の電子化とデータベース構築など、図書館をとりまく環境が大きく変化しようとしています。そこで、以下3点質問いたします。

  1. このような状況で、図書館に求められる役割があらためて問われなおされていると考えますが、所見を伺います。
  2. そういった中で、公立図書館として富山市立図書館の果たすべき役割とは何か、また、他の分館施設との役割分担はどのようになるのか、所見を伺います。
  3. 公立図書館の中には、行政の効率化とは違う観点で、NPO法人に運営を委託して、新しい図書館像を模索しているところもあります。将来の運営形態についても検討していくのか、答弁を求めます。

4.事業再点検チームの検証結果ついて

代表質問にあった通り、「事業再点検チームの検証結果」について会派独自にプロジェクトチームを立ち上げ検証を行い、12月から1月にかけて、再点検対象施設へ足を運び、現場での聞き取りも行いました。具体的に2か所の施設について伺います。

八尾化石資料館については、指定管理者による久婦須川ダム周辺広場との一体的管理を検討すべきとの評価でした。評価のとおり化石資料館として直営で運営するには無理があると考えます。

むしろ、ダム周辺広場の一施設と位置付け、広く市民が利活用できるように改装し、化石資料館としての機能が必要であるというならば、科学博物館の出先コーナーとして必要最小限の機能を持たせることでよいと考えますが、見解を問います。

また、大山歴史民俗資料館については、指定管理制度へ移行し白樺ハイツとの一体的管理を検討すべきとの評価でした。

大山歴史民俗資料館については、観光やレクリエーション目的ではなく、おもに大山地域における山岳開発・治水・発電の歴史と文化の研究と展示という学術的な使命を帯びているのではないでしょうか。

とすれば、隣接する白樺ハイツとではなく、他の類似博物館施設との一体的運用をはかり、学芸員を含めた研究体制・運営体制について検討すべきと考えます。そういった検討過程の中で、施設そのものの存在意義を問い直すべきと考えますが、所見を伺います。

5.市民協働について

代表質問において、地区センターの効率的運用と総合行政センターの位置づけと今後の運営について質問がありました。また、昨日の一般質問では、民生委員を足掛かりに、市民協働について本質的な答弁がありました。

さて、市民サービスコーナー、地区センターでのワンストップサービスの充実は人対人、CMS、FAQシステムの富山市ホームページへの導入は人対ネット情報という関係によって、行政と市民の距離を近づけるものです。

公民館機能を併せ持つ地区センターは、人対人で、市民と行政あるいは市民と市民がつながる場です。市民協働をすすめるうえで欠かせない存在です。

平成21年6月定例会でも指摘した通り、市民協働を進めなければいけないといいながら、その要である地域活動を担う高齢者の多くが所属する長寿会・老人クラブの単位クラブ数、会員数、加入率は、平成17年度の725クラブ、55,948人、47.8%をピークに減少傾向にあり、平成21年度では698クラブ、54,310人、41.4%となっています。ところが、放課後の子どもたちの見守り隊、町内会さらに、介護予防推進など、高齢者の活動領域は広がる一方です。

また、町内会や、保険推進員、交通安全協会、防犯組合といった各種団体、その連合体である自治振興会の役員のなり手が、少なくなっているというのは、昨日の一般質問でも指摘があった通りです。会合に出てみれば、昨日とは違う組織なのに参加している顔触れが同じだったということも珍しくありません。

長寿会、老人クラブに限らず、地域でやることが増えてきて大変だという話を聞きます。今はそれで回っているかもしれませんが、やがて、元気な方々が地域活動の第一線を退かれ、入れ替わるように、団塊の世代が現役を定年されて、今度は地域に入ってこられるかというと、先ほどの長寿会・老人クラブの加入状況を見ても、心配です。

あらためて、そろそろ市民協働という部分について、現在の状況ではなくて、5年後、10年後を見据えた市民協働のありかたについて議論する必要があると考えるが、所見を伺います。

平成18年12月定例会の私の質問に対して、「その役割として、1つには、自治振興会を初め、各種団体の地域活動への支援、2つに、市民と行政との連携を図る役割としての、行政情報や行政相談などの行政サービスの提供」と答弁されました。

これから高齢化社会がますます進展することを考えれば、自治振興会をはじめ、地域活動への支援体制を再構築する必要があると考えます。これからの地区センターに求められるのは施設の規模や豪華さではなく、そこで働く職員を含めた機能の高度化ではないでしょうか。

そこで以下、3点質問します。

  1. 地域団体の事務局的な機能強化に加え、地域のリーダー育成をサポートするスキルを持った職員の配置などが求められると考えますが、所見を伺います。
  2. また、こうした市民協働の最前線にこそ若手職員を配置することで、職員の育成にもつながると考えますが、所見を伺います。
  3. さらに、こうした現在の地区センター・公民館の役割の延長線上で改善するだけではなく、地区センター・公民館のありかたそのものを、今のうちに考え直す必要があると考えますが、所見を伺います。

6.総合的な学習の時間について

平成23年度4月から実施される新学習指導要領では、総合的な学習の時間について、

「生きる力をはぐくむために、総合的な学習の時間で行われている体験的な学習や課題解決的な学習はますます重要だが、これらの学習のためには、各教科で知識・技能を活用する学習活動を充実することが必要であることから、総合的な学習の時間の時数を縮減し、国語や理数等の時数を増加する

とされ、時数を縮減する事となりました。この事については残念ですが、

「生きる力」の理念の実現のため、これまでの学校現場等での課題を踏まえ、指導面などでの具体的な手立てを確立することを目指す。

という基本理念の進化に期待をいたします。

平成12年、つまり今年大学を卒業する青年たちが小学校6年生の頃から段階的に実施されて来た総合的学習の時間ですが、公共心の涵養に大いに役立っているという実感があります。

今の子供には、公共心が無いというが、果たしてそうでしょうか。

光陽校区の夏祭りには、小学生・中学生・高校生までも、清掃ボランティアやステージスタッフボランティアを実に生き生きと行っています。

季節ごとに行うクリーン大作戦という清掃活動には、学校の勧めはありますが、強制されるまでもなく、多くの児童・生徒がボランティアに参加しています。毎月長寿会が主催する、ごみを拾いながらの早朝ウォーキングにも毎回多くの児童が参加しています。

昨年は、布瀬南公園内に住民で作ったビオトープの啓蒙看板づくりを、光陽小学校の5年生に依頼したところ、40名余りの児童が、総合的学習の時間や土曜日を利用して、図案作成からペンキによるイラストと文字書き、杭を打っての看板立てまで、毎回参加して、先生の力を借りながらも、ほぼ児童だけで完成させました。私が子供のころには考えられないことです。

奉仕活動・ボランティアは特別な人が特別な時にやることではなく、今の子供にとっては日常的なことです。これも、総合的学習の時間を軸にしての地域との交流を実践してきた成果ではないでしょうか。

「今どきの子供は、挨拶をしない」という言葉を耳にしますが、はたしてそうでしょうか。私が子供の時も自ら大人に挨拶をすることはありませんでした。近所の知人に「何々ちゃん、お帰り」と言われて会釈をするぐらいのものでした。

ところが今の子供は、道ですれ違って「お帰り」といえば元気に挨拶を返してくれます。こちらが声をかけようかどうか迷っているうちに、「こんにちは」と自ら挨拶してくれる子供もいるくらいです。これも、日常的に総合的学習の時間を軸とした教育の取り組みの賜物ではないでしょうか。大人は自分が子供の頃のことを棚に上げて、「今どきの子供は」と言うのです。

以下2点、質問いたします。

  1. これまで行ってきた総合的な学習の時間への取り組みの成果について、所見を伺います。
  2. また、他教科との連携など、内容の充実をはかるべきと考えますが、見解を問います。

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