議会レポート

平成24年6月定例会・一般質問

保育について

鋪田博紀

 おはようございます。

 ただいまより自由民主党より、平成24年6月定例会に当たり一般質問並びに議案の質疑を行います。

 まず、保育について伺います。

 子ども・子育て新システムについては、今の国会で社会保障と税の一体改革の議論が迷走している状況でありますし、この制度の柱である総合こども園についても、また振出しに戻った感じがします。

 昨年の12月定例会で、佐伯議員がこの件について質問されたわけでありますが、当局からは国・地方及び事業主の費用負担のあり方について、この税制の抜本改革の議論の中で具体的に何も決まっていないということ、あるいは利用者の負担についても具体的に決まっていないといった答弁があったわけであります。

 このような流れの中で、ことしの3月6日の全国市長会の中で、この子ども・子育て新システムに関して、制度の周知等の徹底について、恒久的財源の確保について、制度の詳細等に係る意見の反映について、そして国における所管について、それぞれ提言・要請がなされたわけであります。

 国会でいろいろ議論が迷走している中で、保育行政を担う市の立場として現在の国会の議論をどのようにとらえているのか、お尋ねいたします。

高城繁福祉保健部長

 子ども・子育て新システムにつきましては、社会保障と税の一体改革をめぐる、さきの与野党協議の結果、今回のシステムの柱であった総合こども園の創設は見送られ、現在ある認定こども園制度を拡充することで、待機児童の問題などに対応することとされました。

 また、3党合意では、幼保連携型認定こども園は、単一の施設として認可及び指導監督を一本化し行うことなど、文部科学省と厚生労働省が教育と保育の分野で、それぞれ関与する現在の認定こども園制度の問題点を改善する方向が示されていますが、具体的にどのような制度改正が行われるかは不透明な部分も多く、今後の推移を注意深く見守る必要があると考えております。

 いずれにいたしましても、制度改正案の内容がこれまで二転三転しており、最終的な到達点が見えないことは大変問題であると考えております。

 一方、少子化対策や社会全体での子育て支援のための有効な対策を早期に確立することが求められている状況には変わりはないことから、恒久的な財源を確保して、安心して子どもを生み育てることができる持続可能な制度を早急に確立されるよう、また、制度改正に当たっては、政党間の合意だけでなく、実際に保育所や幼稚園の実施責任を担っている地方自治体との協議と合意のもとに進められるよう、国に対して強く求めてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 制度については、非常に長い間をかけて、もともと自民党がこの幼保の一体化ということを打ち出してきたわけでありますが、その中で政権がかわって、どんどんどんどん議論が深まるのかなと思ったら、それがどうもますます混乱していったという状況であります。この財源あるいは制度もさることながら、乳幼児の子育て・教育というものをどのように考えていくのか、それが決まらなければ制度も固まっていかない、そういう意味では、どのようにしていくかという議論が欠落してしまっているのではないかという気もいたします。

 この乳幼児の子育て・教育をどのように解決するのかという目的がきちんと固まって、初めてこの制度というものが固まっていくのではないかと思いますが、そもそもこの幼稚園あるいは保育所というのは、それぞれのできた時代背景というか歴史的な背景があって、今の制度ができ上がってきたわけであります。

 その中で、保育所というのは保育に欠ける乳幼児の養護と教育を担う、そして幼稚園は幼児の教育を担うという役割分担ができてきたわけであります。

 これまで私たちも、子ども・子育て新システムにかかわられた方々の講演を聞いたり、実際に施設を運営されているところへ視察に行ったり、既存の保育所あるいは幼稚園を運営されている事業者、担い手の方々のお話もいろいろ伺ってきたわけであります。

 ただ、保育士や幼稚園教諭を養成する教育機関では、実際には両方の資格を取得して、どのような条件にも対応できるようになっておりますし、現場では既にこのような幼保の垣根はなくなりつつあります。現場のほうがどんどん先行しているというところもあるわけですが、このような状況についてどのように考えておられますでしょうか。

高城繁福祉保健部長

 県内には、現在、幼稚園教諭または保育士を養成する教育機関が6校ありますが、そのうち両方の免許及び資格を取得できる養成校が5校、保育士のみの養成校が1校といった状況にあり、また、全国的にも幼稚園教諭免許・保育士資格の両方を取得できる養成校が大部分を占めている状況にあります。

このことは、幼稚園の教育要領及び保育所の保育指針の改訂により、それぞれの指導カリキュラムに大きな違いがなくなってきていることが背景にあるものと考えております。
鋪田博紀

 このような状況の中で、本年6月6日の第82回全国市長会の会議決定ということで、社会保障制度の充実強化に関する決議というのがありまして、総合的な子育て支援策について、1つに、実施主体である都市自治体に給付と事業を実施する権限と財源を付与すること。2つに、利用者、事業者及び都市地方自治体が新システムに円滑に移行できるよう、十分かつ適切な準備期間を確保するとともに、利用者等に対して周知に努めること、あわせて、事務的経費等について必要な財源措置を講じること。また、今後、制度の詳細の検討に当たっては、都市自治体と丁寧な議論を行うということが求められているわけであります。

 このように、これまでの流れの中でいろいろ議論があったわけでありますが、乳幼児の子育てと教育というものについて、市長の理想論といったものがあれば語っていただきたいと思います。

森雅志市長

 本年3月定例会でサザエさんの話を披露したことがありますが、今の市長会の考え方の底流に流れているものは、現金給付という社会保障から、現金給付とサービス給付という流れに変わってきたということがあるわけです。だから、サービス給付を担うのはやはり基礎自治体なので、そこに権限と財源が行くようにしなければならないということだろうと思います。

 今の御質問は、私の個人的な思いということだろうと思いますが、乳幼児期というのは、その当該子どもの生涯にわたる人格形成や人間形成の一番基礎的な大事な時期だろうと思います。まさに生きる力の基礎・ベースを形づくるという意味で大事な時期です。その時期に、親や家族から深い愛情に包まれて育っていくということがすごく大事だと思います。

 一方、その親や家族だけではなかなか子どもを見切れないということがありますので、基礎自治体としてはさまざまなサービスを行って、子育て中の家族や親を支援するということが大事だろうと思います。したがって、例えば24時間育児の相談を市が提供するとか、乳幼児を含む医療費補助制度をつくるとか、急患センターでも小児について夜間診療も受け付けるというようなことなどをやったり、それから、市内に全部で86カ所保育所がありますが、そのうち生後8週から預かっているのが80カ所、あるいは延長保育の19時以降を行っているのが33カ所、さらに病児・病後児保育の実施が22カ所と、保育サービスというのは、全国の都市の中でもかなりすぐれた水準にあると思っています。そのようなことで子育て中の家族や親の不安や能力的になかなか難しい部分を支えていくということを行っているわけで、いつも申し上げていますが、自分で判断できる年齢になる小学校以降の子どもの支援体制と未就学児の支援体制とはやはり温度差をつけて、そちらに力を入れていくべきだというのが、私の基本的な考え方です。

 理想ということで言われたので、どういう思いで自分が子育てをしてきたのかということであれば、あまり語弊が起きないと思いますが、私たち夫婦は1歳半までは母親がいつもそばにいて、自分たちの手で育てようということを思ってきました。1歳半ぐらいまでは、できれば母親が子どもと一緒になって生活していくという環境が望ましいと思います。しかし、どの夫婦でもそれができるわけではなく、例えば、私の場合はその間、それまで妻がしていた仕事量を埋めるためにパートの人を入れたりしてきたわけです。だけど、どの家庭もそれができるかどうかわかりません。生後8週から預かってほしいという親御さんもいるでしょう。しかし、理想を言えば、やはり1歳半ぐらいまでは母親が子どもと一緒に暮らして、育てていくということが望ましいと思って自分はそうしてきました。

 もう1つ、実は月曜日の朝、7月5日号の広報のエッセーを書きましたが、それは「孫の力」というタイトルです。子どもを見る距離感が親と違うので、祖父母が孫から与えられる、いとおしさとかいやしみたいな力と同時に、孫に対して祖父母が発揮する力というものがあると思っています。

 例えば、私が小学生のとき、学校から帰ってくる時間には祖母が、畑からわざわざ家へ戻っていて、私が「ただいま」と言うと、「お帰り」と言ってくれました。それだけのことなのです。それ以上何も言わないのですが、家へ帰ったら「お帰り」と言ってくれる、これがやはり子ども心にありがたかったと思っております。そういう意味で、祖父母が果たす役割も含めて、家族が子育てにしっかりと効果的な影響を与えるという環境に子どもを置いてやるということが望ましいと思います。

 しかし、これもどの家庭でもできるわけではないわけなので、だから、そういうことは理想だと自分としては思って子育てをしてきましたが、その足らないところを行政や社会がどこまでどのように担ってあげるかということが大切なことなのだろうと思います。

 1年半育児休暇がとれる企業ばかりではないわけです。だから、そこを社会のあり方として、どうシフトしていくかということが考え方としては大事なのかと思います。大きな企業はできても、本当の中小企業の事業者は、それが必ずしもできるわけではないということ、それから、1年半育児休暇をとるということで、家計がどう影響するかということ、そういうことも含めて、社会全体で考えていくことが必要なのかなと思います。

鋪田博紀

 子育てに関しては、制度ということだけではなくて、先ほど市長からおじいちゃん、おばあちゃんの話もありました。例えば各地域で、家族ではありませんが、子ども見守り隊などがあって、交差点でおじいちゃん、おばあちゃんと言っていいのかどうかわかりませんが、そういった年齢の方々が立っていらっしゃって、子どもに「お帰り」という声かけをしています。

 時々、交差点などで、高齢者の方と下校途中の子どもたちが一生懸命話し込んでいるといった部分や、保育以外にも今お話があった医療の問題など、いろいろなところでサポートができる部分があるのだろうなと思っています。

 今の国の議論を見ていると、どうもそういう現場や家族の単位のありようみたいなのがどこか欠落しているような気がしてなりません。

 例えば、市長会としては、組織としていろいろ要望していく部分はあるのだろうと思うのですが、そういった中に、まさしく実際に子育て、保育だけではありませんが、そのようなものを担っている基礎自治体の首長としての思想、意見をまた反映していただければありがたいかなと思います。

健全育成について

 次に、健全育成について伺います。

 本年3月定例会において、健全育成について、今市長からもお話がありましたが、基本的には留守家庭の1年から3年の児童を中心に優先して受入れをしていくという形で、見直しをしていくという趣旨の答弁がありました。

 これは、具体的にはそれぞれ各地区でやっていらっしゃるわけなので、そこに対する働きかけなどいろいろあると思います。急に全部が変わっていくわけではありませんから、時間をかけないといけないのですが、具体的にはそのような見直しについてはどのような形で行われるのか、答弁を求めます。

高城繁福祉保健部長

 現在、市内各校区における地域児童健全育成事業の実施状況を見ますと、平日の開設時間が、放課後から午後4時30分までのところや、午後6時までのところがあること。また夏休みなどの休業期間中には開設していない校区があることなど、開設日数や開設時間が地域によって異なっている実態がございます。

 こういう状況を踏まえながら、今後の地域児童健全育成事業の実施のあり方として、1つには、今ほど議員もおっしゃっていただいた留守家庭の小学校1年生から3年生までの児童を優先した受入れをする。2つには、放課後の午後6時までの開設をお願いする。3つには、夏休み期間中を含め、年間250日程度の開設などをお願いするということで、留守家庭児童対策に重点を置いた事業の実施がなされるよう順次見直しをしていきたいということで、今後、各校区の運営協議会の皆さんと協議しながら、そういう方向で事業を実施していただけるように働きかけをしてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 このような見直しに伴って、よく似たような制度として誤解されている部分もありますが、放課後児童健全育成事業についての見直しは、何かされるのでしょうか。

高城繁福祉保健部長

 今ほど申し上げましたように、地域児童健全育成事業につきましては留守家庭児童対策に重点を置いて実施していくことでありますが、御家庭の状況によっては、さらに6時以降も、利用料を払っても長時間預けたいと希望される方もおられますので、民間が主体となって行っております現在の放課後児童健全育成事業につきましては、今後の新たな開設なども含めて、引き続き、これまでと同様の支援を行ってまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 何度か定例会でも質問させていただいておりますが、この地域児童健全育成事業と放課後児童健全育成事業は、市が提供しているサービスと言っていいのかどうかわかりませんが、どうも有料、無料あるいは開設時間が違うだけで同じような制度であり、時間が合わなければ放課後児童健全育成事業にする、あるいは、夜の分についてはお金がかかるという程度の認識しかなくて、行っている趣旨、市がなぜこういうことを行っているかということがなかなか理解されていない部分があるような気がいたします。

 そのようなことがあるので、学校でもPTAの役員にボランティアで地域児童健全育成事業の指導員の体験をしていただくなどを行っておりますが、例えば子どもが入学するときに、同じチラシの中で2つの制度が説明されているということもあります。

 今回、地域児童健全育成事業の見直しに当たっては、各校区の運営協議会への説明もそうですが、もう少し保護者への説明も含めて、せっかく見直すので、なぜこういうことを行っているかが伝わるように何か工夫はできないのかと思うのですが、市長、その辺はどうでしょうか。

森雅志市長

 せっかくの御質問なので、いい機会をいただきましたから、改めて説明したいと思います。

 私の考えで、それまでのシステムに変更を加えてもらったわけですが、留守家庭児童を、両親が帰ってくるまで、あるいは片親が帰ってくるまでの期間、しっかりケアしていくのは3年生まででいいだろうと、基本的にそういう考え方です。

 先ほど、ある種の思想みたいなものを表現してほしいというお話がありましたが、まさにそこが特徴的だと思っています。つまり、4年生、5年生、6年生になれば、1人で親が帰ってくるのを待つ、それができるように育てることが健全な児童の育成だと私は思います。

 今の社会の流れは、このままいくと、中学生になっても学校で預かれみたいな議論になりがちな危険があり、少なくとも文部科学省の一部にも、6年生まで学校で預かる方向というトーンが出ているわけですが、それは間違っていると思います。

 1年生、2年生、3年生は、さすがに私たちが子どものころとは違って、今の子どもたちを取り巻く環境やその他を考えると、一定程度見ていかなければならないだろうと思います。そうすると、そこは行政のサービス提供、行政の責務としてやるのだから、費用がかからないようにし、公費をそこに投入する。しかし、4年生、5年生、6年生は、私は少なくとも、もう1人で親が帰ってくるのを待っていることができるし、そうでなければならないと思います。その自立心を育てるということが教育だと思います。

 それでも預けたいという親御さんの思いを「じゃあ、預かりましょう」という民間が預かるとすれば、それは民民の間での有償であったり、受け入れる人によっては金額が違うかもしれません。それでもいいと思います。それをのみ込んで預けるわけだから。だから、3年生までは今言った趣旨、4年生、5年生、6年生は今言った対応ということですので、これを今御指摘あったようにうまく伝わっていないという側面があるとすれば、説明する資料その他について、もう少しわかりやすく努力していくことが大事なのかと思います。

鋪田博紀

 何度もお話をしていますが、4、5、6年生の子どもたちを、何もこのような健全育成の施設に預けるだけが能ではないと言ったら言葉が悪いですが、例えば私自身も、今、小学校でスポーツチームの監督をやっていて、放課後には子どもたちと楽しく遊びながら、そういう場の提供をしておりますし、もっと専門的なスポーツクラブという方法もあります。昔でしたら、今はもうないと思うのですが、寺子屋的な、お寺や神社の境内で遊ぶというようなこともあったと思うのです。

 ただ、自分が小学校でスポーツチームの監督をやっていて言うのもおかしいのですが、例えば、放課後の時間は体育館をスポーツ団体が占領するものですから、放課後、子どもたちが体育館で遊べません。グラウンドでもそういうことがあると思います。サッカーや野球が、今非常に盛んですので、既得権益的なというわけではありませんが、そういうスポーツチームに入っていない子どもたちにとっては、ちょっとグラウンドに行って遊びにくいという部分はあるのかなと思います。

 そういう意味では、そのような遊び場の提供はいろいろな形であるのが理想なのだろうなと思いますが、そういう中で、この5月に呉羽ミニ児童館が開館いたしました。これは、今まで議論してきました3年生までの留守家庭児童対策が一方であって、それ以外の子どもたちに多様な遊び場の提供という意味で整備されたものなのかどうか、お伺いいたします。

高城繁福祉保健部長

 児童福祉法に定める児童厚生施設としての児童館は、現在市内に13館ありますが、国の基準では、児童館には遊戯室や集会室、図書館などの設置のほか、児童厚生員の配置が義務づけられております。一方、今回呉羽会館に設置したミニ児童館は、こうした国の設置基準にとらわれない市独自の施設として、軽運動室と学習室だけを備えるとともに、児童厚生員は置かず管理人のみを配置した簡素な施設となっております。

 市といたしましては、小学校3年生までの留守家庭児童対策を無料で実施する体制を市内の各校区に整備する取組みを今後も進めていく一方で、小学校高学年や中学生の放課後の安全な活動の場についても、児童の健全育成の観点で整備していく必要があると考えております。

 このことから、今回、市内で初めてミニ児童館を整備したものであり、今後、各地域のニーズなども踏まえながら、コミュニティセンターの改築時などに合わせて、中学校区を単位としたミニ児童館の設置について検討してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 施設整備の方針について、中学校区単位というお話がありました。それはそれで非常に歓迎いたしますが、とはいえ、財源も大変厳しい中で、整備というのはなかなか難しい部分もありますので、例えば、前にも提案いたしましたが、グラウンドをスポーツ団体が使っていないときに、指導者ではなくて管理人の近所のおじちゃんが、そこでしばらく子どもが遊んでいる間、安全管理のため見るなど、ソフト面でのやり方も多分あるのではないかと思います。いろいろなやり方を、組み合わせて多様な遊び場づくりをまた検討していただきたいと思います。

市営住宅について

 ちょっと時間がなくなりましたので、次に住宅政策についてお伺いします。

 市営住宅についてお伺いしますが、平成23年3月定例会で、月岡団地の建てかえについての質問があったときに、木造2階建てと鉄筋コンクリート造4階建てで、約400戸を建てかえるというようなことが答弁としてありました。今年度この月岡団地の建てかえに向けて、実施設計あるいは既存住宅の解体、道路整備工事が始まるということでありますが、この400戸の建てかえというのは一気に行うのでしょうか。

村藤昇建設部長

 月岡団地の建てかえにつきましては、これまでで最も大きな規模の建てかえ事業であるため、短期間に多額の事業費が必要なこと、また、現在約250世帯ある入居者について、建てかえ中の仮住まい先の確保が困難なことなどから、建てかえ区域を分割し、順次進めていく予定としております。

鋪田博紀

 去年の3月定例会での答弁から、何か事業について変更点や、あるいはスケジュールについての変更などありましたら、事業概要・スケジュールを含めて、もう一度御説明いただけますでしょうか。

村藤昇建設部長

 事業概要につきましては、現在514戸ある住宅のうち、約400戸を4階建てと2階建てで建てかえるほか、団地西側に約80戸の存続地区を設けることとしております。また、昨年と一緒ですが、ひとり暮らし世帯の増加に対応するため、1DK住戸を建設するほか、1戸当たり1.2台分の駐車場や除雪用の雪だめスペースを設けることとしております。

 スケジュールにつきましては、今年度、第1期として団地南側の中央部分に位置する地区の建物実施設計を行うほか、地区内の既存建物の解体と敷地造成を8月ごろから行う予定としております。平成25年度に建物の着工ができれば、平成26年度中には完成するものと考えており、その後、順次、第2期以降の整備を進めてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 この月岡団地については、平成18年度に策定した公営住宅等整備計画に基づき、平成19年から平成28年度の10年間で、いわゆる老朽化した昭和55年以前に建築した木造あるいは簡易耐火住宅について、順次建てかえ、あるいは民間事業者による借上市営住宅ということで整備していくわけであります。

 平成23年度末までで結構ですが、整備計画については予定どおりに事業進捗しているのでしょうか。

村藤昇建設部長

 平成23年度の市営住宅の整備につきましては、建てかえにより大沢野地域の笹津団地で18戸、借上市営住宅により富山地域で1団地16戸の計34戸を整備しております。

 この結果、平成23年度までの5カ年間では、建てかえで174戸、借上市営住宅で144戸の計318戸の住宅を更新し、700戸の目標に対する進捗率は約45%となっており、概ね順調に進んでいるものと考えております。

鋪田博紀

 笹津団地が18戸ということと、月岡団地の建てかえの話が出ましたが、今後、ここ以外の建てかえは予定はされているのでしょうか。

村藤昇建設部長

 現在のところ、月岡団地以外の建てかえは考えておりませんが、今年度、富山市公営住宅等整備計画の見直しを行う中で、市営住宅の老朽化の状況や需要の動向等を調査し、他の団地の建てかえの必要性について検討してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 公営住宅の役割としては、「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し」ということを目的としてあるわけですが、今、整備計画の見直しのお話もされましたが、民間・公共ともに住宅のストックというのは相当確保されつつあります。民間については、完全に需要・供給のバランスが以前とは全く逆転している状況であります。加えて、人口あるいは世帯も減少社会に転じているわけですが、そのような中で、市営住宅のありようももう一度検討しなければいけないと思います。事業再点検等も継続されていると思いますが、この中で、市営住宅のあり方について検討されたことはなかったのでしょうか。

村藤昇建設部長

 事業再点検におきましては、市営住宅使用料等の収納率向上のための事務改善等については検討しておりますが、市営住宅全体の整備や管理のあり方などについては、これまでのところ検討しておりません。

鋪田博紀

 先ほど、整備計画の中の進捗率が平成23年度末で約45%ということでありましたが、今ほど申しましたように、相当、民間も含めて住宅のストックが足りてきている、あるいは人口・世帯とも減少しているということ、あと、本市が取り組んでいる借上げ方式による市営住宅の整備といったことも進んでいるわけであります。

 今ほど月岡団地で今の建物にとどまられるのが80戸ぐらいあるというお話がありました。これは、多分建てかえをしていくと家賃水準が上がってしまって、そういった方々の入居が難しくなるということもあるのではないかと思うわけでありますが、かといって、入居者のために耐震の問題などいろいろなことを考えていくと、その古い建物をずっと維持していくというのは大変難しいのではないかと思います。これは本年3月定例会でも提案しましたが、例えば代替手段として、家賃が相当下がってきている民間住宅について、住宅バウチャー方式の活用なども考えられるのではないかと思うわけでありますが、建てかえ等々していかなくても、今述べたような方法で公営住宅としての役割を果たしていくことは可能ではないかと思うわけですが、その辺についての見解をお願いします。

村藤昇建設部長

 公営住宅のあり方として、住宅のセーフティネットとしては、公営住宅の借上げ方式や家賃の一部を助成する住宅バウチャー方式などは、従来の自治体が直接建設し供給する仕組みとは異なる形式だと思っております。このため、本市では、平成20年度から借上市営住宅制度を導入したところであります。

 また、今申し上げました住宅バウチャー方式につきましては、経費の削減や住宅困窮者の需要への迅速・柔軟な対応、また、民間賃貸ストックの有効利用等の効果が期待できる一方で、公営住宅と同水準の民間賃貸住宅が確保できるのかということや、また、国の補助金や交付金の対象となっていないということがございますので、今後、将来的に検討してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 先ほど市営住宅の整備計画の見直しに少し触れられたかと思うのですが、このような社会情勢の変化をとらえて、盛り込んで、見直しをしていかれるということなのでしょうか。

村藤昇建設部長

 現在の富山市公営住宅等整備計画については、策定後5カ年が経過しております。この間、市営住宅申込者数の減少や公営住宅法の改正など、市営住宅を取り巻く状況や課題にはさまざまな変化が生じております。

 こうした変化に対応し、市営住宅の整備や管理について、一層の適正化・効率化を図るため、今年度、整備計画の見直しを行い、今後の市営住宅の適切な管理戸数や整備目標、本市の実情に合った市営住宅の整備基準などについて検討してまいりたいと考えております。

福祉施策としての住宅施策について

鋪田博紀

 次の項目に行きますが、国・地方公共団体の住宅施策の果たすべき役割として、社会保障制度の枠外で福祉を支えるということも考えていかなければいけないと思います。例えば、介護保険にしても、きのうもちょっと議論がありましたが、現行の制度ではどうしても一定のサービスを増やしていこうとすれば、仮にサービス水準を変えなくても、対象者が増えれば事業費が膨らんで、当然それが介護保険料等に跳ね返ってくるという仕組みになってしまうわけであります。そういった意味で、社会保障制度の枠外でこのような福祉を支えるということも大事なのではないかと思います。

 その中で、国土交通省がサービス付き高齢者向け住宅について制度を進めておりますが、この概要について簡単に教えていただけますでしょうか。

粟島康夫都市整備部長

 サービス付き高齢者向け住宅でございますが、今後、ますます進展する高齢化社会を見据え、介護・医療と連携した高齢者の安心を支える住宅としまして、昨年10月に制度が創設されたものであり、都道府県、政令指定都市、中核市において登録することが必要とされております。

 登録の要件といたしましては、1つには、原則25平方メートルの居室の広さと設備が確保されていること、2つには、手すりの設置や段差の解消を図ったバリアフリー構造であること、3つには、看護師などケアの専門家による安否確認と生活相談サービスを必須とすることなどとなっております。

鋪田博紀

 次に、これは前にも質問したかと思いますが、長期的に自宅や地域で介護を行えるようにするためには、住宅として2世帯、3世帯住宅がしっかりあることが大事だと思います。

 平成23年7月から、このまちなか居住推進補助メニューの中に、2世帯、3世帯居住を目的とした増築、リフォーム工事に対する支援、まちなかリフォーム補助事業が追加されたわけでありますが、その後の実績について教えてください。

粟島康夫都市整備部長

 昨年7月から、まちなか居住推進事業の補助メニューに、2世帯、3世帯居住を目的とした増築、リフォーム工事に対して支援する、まちなかリフォーム補助事業を追加したところであります。

 建設年次が古く、耐震性能向上工事が必要であるなどの理由により、現在のところ補助実績はありませんが、これまでに8件程度の相談を受けております。

鋪田博紀

 今ほど答弁がありましたが、建築年次が古いということで耐震性能に問題があり、リフォームはなかなか難しいということであれば、やはり建てかえ等に対する支援も一定程度、今後考えていく必要があるのではないかと思うのですが、御見解をお伺いいたします。

粟島康夫都市整備部長

 これまでも市では、公共交通沿線居住推進事業における住宅取得支援事業の中で、60歳以上の高齢者と同居し、かつ居住人員が4人以上という内容の申請に対しまして、補助限度額を通常の30万円に10万円上乗せして40万円とする制度を運用し、2世帯居住、3世帯居住への支援を強化しているところであります。

 また、まちなか居住推進事業におきましては、2世帯居住、3世帯居住への支援を目的としたリフォーム補助を実施していることから、現時点では、新たな補助メニューの追加は考えていないところであります。

民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業について

鋪田博紀

 次に、民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業についてお伺いいたします。

 国土交通省が本年5月に発表したこの事業についてですが、富山県でも、本年6月に居住支援協議会が設立されたそうであります。この制度については、民間の賃貸住宅特区を活用して、住宅確保要配慮者の居住を確保するために、対象となる賃貸住宅の改修工事費の3分の1を国が直接補助するという制度であります。

 この制度は、平成22年度にもあったのですが、今回の制度改正の中で、災害時において被災者の利用のために提供する対象となる住宅であること、それと、地方公共団体との連携を図られる区域内ということで、これは居住支援協議会の設置が必須となっておりますが、この居住支援協議会の役割というのはどのようなことなのでしょうか、教えてください。

粟島康夫都市整備部長

 居住支援協議会は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律、いわゆる住宅セーフティネット法に基づきまして、地方公共団体が設立するものであります。

 その役割は、低額所得者、高齢者、障害者等について、その居住の安定を図るため、不動産関係団体や居住支援団体等と密接に連携し、公的賃貸住宅の供給や民間賃貸住宅への円滑な入居を促進することであります。

鋪田博紀

 改修工事後の家賃について、都道府県ごとに定められる家賃上限を超えないことという条件もありますが、富山県での上限家賃は幾らぐらいになっているのでしょうか。

粟島康夫都市整備部長

 民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業により整備する住戸の家賃の富山県における限度額は8万1,000円となっております。

鋪田博紀

 8万1,000円ということになると、相当高いもので、何となく違和感を感じますし、国土交通省がどういうねらいでこの事業を進めているのかちょっとわからないところがありますが、これについて、富山市としての対応はどのようにされるのでしょうか。

粟島康夫都市整備部長

 本年6月14日に富山県が富山県居住支援協議会を設立されましたが、富山市といたしましては、この協議会の趣旨に賛同し、構成団体として参加したところであり、今後、居住支援に関する情報提供を行ってまいりたいと考えております。

 あわせて、低額所得者や高齢者世帯などの居住の安定確保を図ることを目的に、民間賃貸住宅の質の向上と空き家を有効活用するため、民間事業者が行う耐震改修やバリアフリー改修、省エネルギー改修などの改修工事に国が直接補助をいたします民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業の周知に努めてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 セーフティネットと言いながら、家賃が8万1,000円ということですが、補助金を出すことで市場がゆがめられたりするのではないかという危惧もありますが、わかりました。

交通系ICカードについて

 時間がありませんので、次に、まちづくりについて伺います。

 交通系ICカードについて伺いますが、交通系ICカードの発行については、以前の答弁で10万枚を超えたということがありました。これは、増えているのだろうと思うのですが、全利用者に占める利用率が増えていかないと意味がないことですが、この利用率についてはどのようになっていますでしょうか。

粟島康夫都市整備部長

 交通ICカードの利用率は、定期では富山地方鉄道、富山ライトレールともに100%となっております。定期以外は、本年4月末時点で富山地方鉄道の軌道線では43.4%、路線バスで46.5%、鉄道線で21.9%、また、富山ライトレールでは60.2%となっております。

 なお、交通ICカードの発行枚数につきましては、本年4月末時点では「パスカ」が約4万9,000枚、「えこまいか」が約4万4,000枚のほか、おでかけ定期券が約2万5,000枚、「えこまいか」の機能を搭載した市の職員証が約4,000枚など、合計で約12万2,000枚を超えており、ことし3月の富山地方鉄道の鉄道線へのICカードシステムの導入などから、今後、さらに利用率が増加していくものと期待しております。

鋪田博紀

 異なる交通機関等でのこの交通系ICカードの連携というのは全国的に進んでおり、富山でも並行在来線あるいは北陸新幹線の開業などを控えて、いろいろ検討はされているのではないかと思いますが、現在の状況について教えていただけますでしょうか。

粟島康夫都市整備部長

 並行在来線に導入予定である交通ICカードにつきましては、本年5月に開催されました富山県並行在来線対策協議会で検討状況が示されたところでございます。

 導入方法の基本は、県内で既に使用されている富山ライトレールのパスカ、富山地方鉄道のえこまいかのほか、万葉線も含め、県内4社の相互利用とされております。さらに、ICOCA(イコカ)等のJRの交通ICカードとの連携も視野に入れ、検討を進めるとされております。

 具体的な検討ケースといたしましては、1つには、県内4社の相互利用、2つには、県内4社の相互利用に加え、JRの交通ICカードを並行在来線と万葉線で利用可能とする、3つには、県内4社の相互利用に加え、JRの交通ICカードと並行在来線や万葉線との相互利用を可能とするとなっております。

 今後、年内をめどに、並行在来線、JR西日本、富山地方鉄道、富山ライトレール、万葉線の実務者レベルで具体的な導入方法について検討するとされております。

鋪田博紀

 相互利用については、システム開発にも相当費用がかかるのではないかと思いますが、いろいろなケースを想定して、一番利用率が高まるようなところから進めていくのも一つでしょうし、その後の連携がもっと増えるということを考えたときに、あまり開発費に差がなければ、一気に行くという手法もあるのではないかと思います。もしシステム開発するときに、事業費はどれぐらいかかるのかというのは、何か今出ているのでしょうか。

粟島康夫都市整備部長

 先ほど申し上げました3つのケースで検討が進められておりますが、例えば、県内の4社の相互利用だけということですと、費用が9億円から13億円と見積もられております。また、県内相互利用に加え、JRのカードを並行在来線と万葉線に片方向で使えるという検討の場合ですと、12億円から17億円という試算がされております。また、それに加え、JRのカードと万葉線、並行在来線での相互利用というふうに考えますと、31億円から36億円という試算がされており、ケース1から3まで、10億円以内から30億円を超えるような幅があると示されております。

中心市街地活性化事業について

鋪田博紀

 ありがとうございます。

 次に、中心市街地活性化事業についてお伺いいたします。

 今定例会に提案されているこの事業のうち、まちなか活性化事業サポート補助金については、対象としては施設事業とソフト事業が挙げられておりますが、具体的にはどのような事業が想定されているのでしょうか。

粟島康夫都市整備部長

 具体的に想定している事業でございますが、まずソフト事業では、単なる集客イベントではなく、基本計画に位置づけた事業等を、市民、NPO法人、民間事業者、大学、行政等が連携し実施するものを考えております。

 具体的には、1つには、商店街の通りを舞台に、まちなかの服飾店の商品等を身につけた一般市民がモデルとして参加し、その数でギネス世界記録を目指すファッションショーの開催により、にぎわいの創出と商業の活性化を図る事業、2つには、富山を代表する食であるますずし店をセントラム等でめぐり、味の違いを楽しむことができるクーポンチケットを発売し、まちなか観光の推進と来街者の回遊性の向上を図る事業等を想定しております。

 次に、施設整備事業では、民間事業者等が整備する中心市街地の活性化に寄与する施設で、富山県の認定中心市街地支援事業費補助金の対象となるものを想定しております。

鋪田博紀

 もう1つ、連携型まちなか情報発信事業というのがありますが、既に民間事業者で幾つも情報発信サイトなども立ち上がって、相当な事業者があるわけですが、今、これを市が行う必要性はあるのでしょうか。

粟島康夫都市整備部長

 イベント情報の発信については、これまでも、それぞれのイベント主催者がみずから発信するとともに、まちづくり会社や多数の民間の情報発信サイトにおいても実施されております。

 このように、さまざまなサイトが情報発信していますが、掲載情報がばらばらで、必要な情報を必要なときに入手することが難しく、イベントの開催後にマスメディアを通じて開催情報を知り、残念だという声が多く聞かれます。

 これらのばらばらの情報を束ね一元化を図ることは、来街促進と回遊性の向上に寄与することから、重要なことでありますが、手間がかかり、直接利益に結びつかないことから、民間では難しく、これまで実現していないため、市が取り組む妥当性があると考えております。

 このため、この事業では、イベント情報の収集については、データベースにイベント主催者がみずから情報を入力することで一元的収集・管理を徹底することとし、さらに情報の発信についても、専用のサイトからの発信やまちなか集客施設への掲示に加え、個人や団体等の協力により、フェイスブック等多様な媒体で発信していただくことで、情報の拡散性を高め、効果的な情報発信の新たな仕組みづくりに取り組んでまいりたいと考えております。

オーバード・ホールと文化振興について

鋪田博紀

 わかりました。行政が情報を囲い込みするのではなく、そこに集めたものを個人であれ、民間であれ、広めていただくことができるということがわかりましたので安心いたしました。

 次に、オーバード・ホールと文化振興についてお伺いいたします。

 ことし、「ハロー・ドーリー」というミュージカルが上映されまして、これまでも「回転木馬」等が上演されて、非常に全国的にも高く評価を得たところであります。特に「ハロー・ドーリー」については、オーバード・ホール得意の三面半舞台を、ホリゾントまで目いっぱい使った、たしか富山工業高校のブラスバンドを中心としたパレードのシーンがあったと思うのですが、あれは本当にすばらしいなということで、オーバード・ホールならではの演出と思いましたし、主演が剣 幸さんということで、宝塚を再現したようにエプロンステージ(銀橋)も再現されていたり、本当にすばらしいなと思いました。

 来春には、いよいよ「ミー・アンド・マイガール」の上演が決定をしたわけであります。「ミー・アンド・マイガール」は非常に有名なミュージカルであり、ロンドン発のミュージカルですが、「マイフェアレディ」のような女性のシンデレラストーリーを男性に置きかえたようなミュージカルであり、イギリス発ということで、例えば、ほかのシンデレラストーリーですと、下流階級の人が上流階級まで上がっていって、シンデレラのようになっていきます。ただ、階級が上がっていくと、今度は下流階級だったころの記憶が全部なくなって、そのまま上流階級に同化してしまうというのが、アメリカなどでやっているものの主流なのですが、さすがにこれはイギリス発ということで、上流階級に上がっても、下流のときのものを忘れないで、主人公が最後フィナーレを迎えるというお話であります。

 今回の「ミー・アンド・マイガール」については、昭和62年に、今回、「ミー・アンド・マイガール」で主演される剣 幸さんが宝塚で主演をされて、そのときは見ていないのですが、その後の再現もののDVDなどは持っていまして、何回も見て、本当にすばらしい作品だなと思って大変期待しております。

 ところで、「ハロー・ドーリー」のときもそうだったのですが、全国的にも非常に評価が高くて、先ほどオーバード・ホール特有の演出と言いましたが、そうは申せ、富山だけで上映するのはもったいないという声もたくさんありました。「ミー・アンド・マイガール」についてもそういう声が寄せられております。特に、昭和62年に剣 幸さんが演じたビルという主人公を、そのまま剣 幸さんがやられるということで、大変期待も高いわけですが、例えば、文化財団みたいなところと組んで、共同プロデュースという形でほかの地区のホールでも公演することができなかったのかなと思うのですが、何か検討などされたことはありますでしょうか。

今本雅祥企画管理部長

 ただいま御紹介いただいたミュージカル作品が高い御評価を受けているということは承知しておりますが、幾つかの課題があると考えております。

 例えば、1つに、市民の皆さんの中には、シティプロモーション推進の観点から積極的に進めるべきと考えておられる方もおられる一方で、市の予算で市外公演することについては消極であるとする方もおられることが考えられること、2つに、同じ演目に対して、文化庁等が再度補助金を交付してくれるのかどうかの問題があること、3つに、本市以外の開催地との経費負担の問題があること、4つに、他の文化ホールの規模や舞台構造の違いによる演出への影響の問題があると考えられる課題があることから、慎重に検討していきたいと考えております。

鋪田博紀

 オーバード・ホールの舞台を目いっぱい生かしたミュージカルなり、オペラでもそうですが、それをほかのところでやるとなると、確かに全国的も三面舞台や三面半舞台を持っているところは少ないので大変難しいところはあるのだろうと思いますが、ガラスであれ、オーバード・ホールであれ、あるいは桐朋であれ、やはり富山にしかない大変貴重な文化資源でありますので、これをもっと、「地方ミュージカルは、やはりオーバード・ホールがプロデュースしたものはすごいな。最近は何か、ほかのところでもやっているぞ」ということになってくると、もっとオーバード・ホールを整備した意義も出てくるのではないかと思ったりするわけです。ハードルはいろいろあると思いますが、また、いろいろな形で検討していただければと思うわけであります。

 次に、文化会館についてお伺いいたしますが、市内には文化会館あるいはそのような機能を持つ施設というのはどれくらいあるのでしょうか。

今本雅祥企画管理部長

 文化会館そのものを定義する法的な根拠についてはありませんが、文化国際課で所管している文化ホールといたしましては、オーバード・ホールをはじめ、大沢野文化会館、大山文化会館及び婦中ふれあい館の4館がございます。これらの施設につきましては、客席数が600席以上で、かつ音響・照明等の舞台設備を備えたものでございます。

鋪田博紀

 文化会館については、例えば婦中ふれあい館など、小規模な音楽や演劇といったものを上映するのに適した施設があるわけですが、このような施設の音響、照明、舞台施設の保守管理や操作については、現状、どのようになっておりますでしょうか。

今本雅祥企画管理部長

 音響、舞台調光等の舞台装置については、オーバード・ホールと同様に専門業者に定期的な保守点検業務を委託し、管理しております。

 それらの操作は、基本的に各館の職員が行っておりますが、高度あるいは専門的な操作が必要な公演等については、主催者が専門業者に依頼して舞台操作を行っております。

鋪田博紀

 基本的には、そのような専門の上演などがあればプロの業者に頼むのが一般的だと思います。私もそういう業界におりましたので、よくわかります。ただ、例えばちょっとした学生が使うようなコンサートなどの簡単なものに関してはやはりある程度職員で対応できるようにしていったほうがいいのではないかと思います。

 ただ、それを職員が使うにしても、それが宝の持ち腐れにならないようにしていく必要があるのではないかと思います。そのような意味では、文化会館を例えばオーバード・ホールの分館に位置づけして、この文化事業団にはプロの舞台の職員がいますから、そのような方々を定期的に派遣して指導するなど、もっと生かしていく方法があるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

今本雅祥企画管理部長

 文化会館とオーバード・ホールの関係については、図書館の本館・分館というように、所蔵している本の情報をネットワーク化して、例えば貸出しについてはどこの館を利用しても同様のサービスを提供できるというものとは異なり、文化会館については、施設の規模、設備、利用形態がさまざまであることから、オーバード・ホールとの関係を本館・分館という形で整理することは考えておりません。

 しかしながら、オーバード・ホールと文化会館の連携を図るという意味においては、事業団専門職員の経験、知識、技術を生かすことは有効なことであると考えておりますので、今後は必要に応じて、事業団専門職員を講師として、各文化会館職員を対象に企画制作や舞台技術に係る研修会を開催することについて検討していきたいと考えております。

鋪田博紀

 時間がまいりましたので、これで私の一般質問を終わります。

ダウンロード

先頭へ