議会レポート

平成25年3月定例会一般質問(原稿)

この記事は、読み上げ原稿を掲載したものであり、公式の議事録とは異なる場合があります。

1.まちづくりについて

(1)公共施設への介護タクシー・福祉タクシーの乗入れについて

介護タクシー・福祉タクシーについては、現在駅構内での専用の乗降場所がありません。

一般車両についても乗降場所がありませんが、構内の駐車場は20分以内であれば無料となりますので、送迎の場合はこの駐車場を利用することで実質上の乗降場所を確保できますが、介護タクシー・福祉タクシーの場合は乗降にかかる時間などを考えると現実的ではありません。

また、駅以外にもいくつかの公共施設で介護タクシー・福祉タクシーの乗降場所が確保されておらず、障害者や高齢者の外出機会を伸ばせない要因になっていると考えます。

さらに、乗降場所の確保だけでなく、介護タクシー・福祉タクシーの待機場所についても課題があると考えています。駅構内は別として、病院などの公共施設ではタクシーの待機場所があっても、現場サイドでは介護タクシー・福祉タクシーが一緒に待機することに抵抗感もあるようです。

無料駐車場があれば一般車両と同じようにそこで待機をすればよいのですが、例えば富山市民病院のように有料駐車場しかない場合は、駐車場で待機というわけにはいかず、正面玄関のロータリーに空きスペースが見つかるまで構内を絶えず移動せざるを得ない介護タクシー・福祉タクシーもあります。

そこで、

  • 富山市において介護タクシー・福祉タクシーの乗降場所が確保されている公共施設はどのくらいあるのか
  • 富山市において介護タクシー・福祉タクシーの待機場所が確保されている公共施設はどのくらいあるのか
  • 確保されていない施設で今後整備する考えはないのか

以上、三点について答弁を求めます。

(2)交通系ICカードについて

全国10種類の交通系ICカード相互利用が3月23日からはじまります。

相互利用が始まるのは、JR北海道の「Kitaca(キタカ)」、JR東日本の「Suica(スイカ)」、JR東海の「TOICA(トイカ)」、JR西日本の「ICOCA(イコカ)」、JR九州の「SUGOCA(スゴカ)」、首都圏の私鉄などで利用できる「PASMO(パスモ)」、関西の私鉄などで利用できる「PiTaPa(ピタパ)」、名古屋市交通局と名古屋鉄道の「manaca(マナカ)」、福岡市交通局の「はやかけん」、西日本鉄道の「nimoca(ニモカ)」であります。

このことにより、鉄道52事業者、バス96事業者でこの交通系ICカードが利用できるようになり、報道によれば、発行総数は約8千万枚で全国4,275の駅と2万1,450台のバスで利用できる世界でも最大規模級の規模となるそうです。さらに、チャージ方式ではないPiTaPaを除く九つのカードにより約20万の加盟店で電子マネーによるショッピングが可能になります。

このことをふまえ、6月定例会で、新幹線開業と並行在来線の第三セクター化をにらんで、交通系ICカードの相互利用について質問をいたしました。

経費については、

「県内の4社の相互利用で9億円から13億円。県内相互利用に加え、JRのカードを並行在来線と万葉線に片方向で使える場合で12億円から17億円。JRのカードと万葉線、並行在来線での相互利用で31億円から36億円という試算が示されております」

との答弁でした。

観光や仕事で富山駅に降り立つ来訪者へのサービスと言う観点も大切ですが、電車、市内電車、バス、並行在来線を乗り継いで通学・通勤している利用者の利便性を第一に考えなければいけません。

先ほど述べたように相互利用のためには多額のシステム開発費用がかかりますが、幹事社1社が発行する方法、各社が出資してカード会社をつくる方法や、PiTaPaのように協議会方式にする方法など様々な方法が考えられます。

そこで、並行在来線と市内電車やバスの利用促進の観点から、ライトレールや環状線を運行させている富山市として長期的な視野に立ち、交通系ICカードの相互利用について検討するべきと考えます。見解を求めます。

(3)行政による公共交通へのかかわりについて

富山ライトレールの設立からはじまり、公設民営による環状線の運行、まいどはやバスへの助成、並行在来線への出資など、公共交通への行政の関与がこれまで以上に強まり、民間事業者だけの責任で公共交通を確保する時代から、公共で、つまり市民・事業者を含めみんなで公共交通を支えていく時代へきていることを実感します。

諸外国と異なり、民間の事業者が競って線路をつくりまちの開発を進めてきたというわが国特有の事情があり、長距離は別として、都市や近郊の鉄道輸送は民間の事業者が中心となって担ってきた公共交通のありかたが、大都市はともかく地方都市では大きく変わりつつあるわけです。

3月定例会では、 「公共交通活性化補助事業」、「不二越・上滝線活性化支援事業」、「イメージリーダー路線整備事業」、「生活交通対策事業」、特別会計で「軌道整備事業」などが議案として提出されています。

2月臨時議会でも、「中心市街地活性化コミュニティバス新型車両導入事業」、路面電車の接続のための「富山駅周辺地区南北一体的なまちづくり事業」、停留所バリアフリー化と軌道監視カメラ設置のための「市内電車環状線事業」「富山港線路面電車事業」などの事業が可決されました。

都市基盤の整備と、運行にかかるものという性質が異なる事業を一括りには出来ませんが、富山市においても民間事業者に対し、一般会計・特別会計による事業や出資という様々なかたちで支援をしています。

これを、将来的には交通局のようなかたちで公共交通に係る人材・権限・財源などの経営資源を集中して効率化をはかるとともに、議会や市民のチェックを受けやすくし、みんなで公共交通を支えるという意識の向上にも資する形態をとっていくことも考える必要があるのではないでしょうか。

そこで、行政による公共交通へのかかわりについて、どのような将来像を考えているか、市長の所見を伺います。

(4)浸水対策

富山市は、常願寺川水系の水が市中心部の松川流域へ流れ込むという特性上、近年の都市型の瞬間的な集中豪雨に対しして脆弱な構造となっています。

市街地では河川改修による浸水対策は物理的制約などもあり、施工期間・費用面から困難な状況です。そこで近年は、公園や公共施設の地下に貯留池をもうけることで、これらに対処する浸水対策が用いられるようになってきました。

この中には、地域住民が主体的に取り組み、富山市と協働で浸水対策計画を策定した地域もありますが、計画は策定したものの、対策の実施はいつになるのか見通しが立たないという声もうかがいます。

そこで、

  • 地区ごとに住民参加で浸水対策計画の策定を行っている地域はどのくらいあるのか
  • 今後、浸水対策計画の策定をすすめていく計画はあるのか
  • これら浸水対策計画の実施を計画的に進める必要があるが、その方針について

以上、三点について答弁を求めます。

2.生活保護について

全国で生活保護受給者の増加が懸念されています。また、生活保護費の不公平感を是正するために、支給額の見直しが行われようとしています。

ごく一部の受給者による、不正受給や生活費を遊興費に流用するなどの問題が報道などで取り上げられることで、生活保護制度そのものの信頼感が損なわれています。

生活保護受給者を減少させるためには、生活習慣や就労支援などの自立に向けた継続的な取り組みが必要です。富山市における取組はどのようになっているか答弁を求めます。
また、生活保護受給者の住宅の確保についても課題があります。

民間の住宅に生活保護受給者が入居したくても、家主からは家賃の滞納のおそれがあると敬遠され、仮に入居できても、本来住宅扶助とし支給しているお金が遊興費に使われ、家計が破たんして滞納するケースも見受けられます。

そこで、計画的な家計を営むように指導・助言していくことも大切ですが、自立支援の一環として、また、入居が断られるケースを少しでも減らすため、住宅扶助は受給者に直接支払うのではなく、家主に直接支払うように制度運用を見直すことを提言したしますが、見解を求めます。

3.調剤薬局の許認可事務について

いわゆる地域主権一括法の施行により、様々な事務が富山県から富山市へ委譲され、本年4月1日からは調剤薬局の許認可業務も委譲されることになります。

調剤薬局では、処方箋に基づく調剤が行われ、医薬品使用についての注意説明がされています。医療法には病院や診療所などと共に医療提供施設として位置づけられており、安全な医療の提供における役割は大きいものと考えます。

昨年末の新聞では、「ドラッグストア出店ラッシュ」として、高齢化の進展により一箇所で薬や食品などの生活必需品の購入を望む傾向が出店ラッシュの一因として紹介されています。利便性の向上は良いことですが、個々に薬事法の基準を満たし、安心して薬が購入できる施設であることが必要です。

また、国民の健康に対する意識が高まる一方で、脱法ドラッグの安易な服用による交通死亡事故、一部の健康食品による健康被害の発生、かぜ薬などの一般的に用いられる薬での副作用報告など、健康な生活をおびやかす事故も度々発生しています。

本年1月にはインターネットによる医薬品販売の最高裁判決が下りるなど、国では医薬品の安全な使用を行うための新たな医薬品販売におけるルール作りを進めているところです。

このような状況において、調剤薬局やドラッグストアが適正な医薬品使用を含めた正しい健康情報を発信する場として、市民に対して果たす役割は大変大きいものと思われます。

そこで、権限委譲により増加する調剤薬局の許認可業務の内容と富山市の対応について以下質問いたします。

  • いわゆる地域主権一括法の施行により、富山市へ委譲される医薬品販売に係る許認可制度概要についてどのようになっているか
  • 医療において調剤薬局の担う役割はどのようなものがあるか
  • 医薬品販売の安全性の確保にむけ、調剤薬局等の監視・指導が重要であると考えるが、その人材の確保や監視・指導体制など、どのような対応を考えているか

以上、三点について答弁を求めます。

4.緑内障検診について

富山市では人口が減少に転じる中、高齢者数は年々増え続け、65歳以上の高齢者が人口に占める割合は、平成26年には27.9%に達する見込みとなっており、老後をいかに健康で楽しく過ごせるかが大きな課題となっています。

このような高齢化に加え、昨今の情報化社会では、視力の低下は健やかな生活を営む上で、致命的な障害の一つと言えます。

特に緑内障という病気は、我国における成人の中途失明原因の第1位となっています。この病気は、最初は、自覚症状がほとんどなく進行し、気づかないうちに視野が狭くなり、発見された時にはかなり進行してしまっていることが多く、最後には中心視力まで侵され、ついには失明にいたる病気です。

金沢市では、平成18年から緑内障検診を実施しており、受診された方のうち、毎年約2%の方に緑内障が発見されるなど、有益な成果を上げていると聞いております。

富山市が緑内障の早期発見を目的に、平成24年度から新たに実施された緑内障検診については、受診率が8.6%、要検査率が23.4%であり、緑内障以外の疾患が見つかった人と合わせると27.9%にもなったことから、潜在的発症者や予備軍の多さを物語っています。

要検査となった人が精密検査や治療を受けることで、発症を防ぐことや進行をくい止めることができ、検診メニューに追加した成果は大きいものがあったとありました。

そこで以下質問します。

  • 緑内障検診の今年度最終の受診状況についてどのようになっているか
  • 緑内障という病気について、市民への周知が十分ではないと思います。緑内障検診のさらなる受診率向上のために、病気についての正しい知識の普及・啓発に努めるべきだと考えますが、当局の見解について。

以上、二点について答弁を求め一般質問を終わります。

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