議会レポート

平成25年6月定例会・一般質問

福祉施策(生活保護)について

鋪田博紀

 おはようございます。自由民主党から一般質問させていただきます。

 まず、福祉政策についてでありますが、生活保護法の改正についてであります。

 去る6月4日、生活保護法の一部改正法案、あるいは関連して自立支援法案、それから貧困対策推進法案が衆議院を通過いたしました。そして、6月18日、きのうでありますが、参議院の厚生労働委員会に付託されたところであります。

 受給者数が約220万人に達するなど、近年、生活保護受給者数が増えているということであります。特に、働ける世帯を含むその他の世帯は、この10年間で約4倍という数が言われております。また、社会問題ともなっておりますが、不正受給件数は平成19年の約1,600件から、平成23年度の約3万5,000件と非常に増えている状況だということであります。

 このようなことを受けて、生活保護法の一部改正ということになったわけでありますが、この背景は先ほども申しましたが、不正受給者を食いとめるための水際作戦という言われ方もしております。また、働ける方が自立できないということは、これは御本人の損失ということだけではなくて、社会全体の損失でもあるわけであります。

 この改正法案は恐らく可決されていくことになるかと思うのですが、この法案について、改正されたときの窓口での影響というものについて質問させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

宮田宜忠福祉保健部長

 ただいま議員御指摘のとおり、今般の生活保護法改正につきましては、主な改正内容は幾つもあるのですが、特に不正・不適正受給対策の強化ということであります。

 現在も、生活保護申請時におきましては、名前や住所、資産状況などを記載した申請書を提出するようにしており、今般の改正でこれが義務づけられるわけであります。現在も、そういうことは調査に必要でありますのでとっているわけでありますが、今回は、それを法律上明確にしたということで、面接者の申請意思を確認した上で、書面を提出して行うということは今までどおりであり、今回の改正に伴い、特に窓口では変更点はないものと考えております。

 さらに、事情がある方におかれましては、口頭申請についても従来どおり認めていきますので、運用上の変更はないものという認識をいたしております。

 以上であります。

鋪田博紀

 今ほど答弁があったとおり、窓口での対応については変更がないということです。衆議院を通過する際も、この辺のことについては修正があったということでありますが、一部の自治体で行き過ぎた窓口のやり方があるということで、この辺、条文にはっきり書いていないことから、ばらばらな対応がとられていたということで、ここは法律の中にしっかりと明記されたということであろうかと思います。

 ただ、その際に、これまでとは変わらないというものの、やはり申請時に一応書類はそろっていることが必要になってきますが、その前段階での相談も非常に重要になってくると思います。その辺、現在の対応と今後の対応で何か変わる点があれば、お答えいただけますでしょうか。

宮田宜忠福祉保健部長

 今回の生活保護法改正案に対しまして、例えば、保護受給者支援団体の方などから、「申請手続の厳格化され、申請のハードルが高くなる」あるいは「生活保護が必要な人が申請の意思を示しても申請書を交付しない水際作戦を合法化するものだ」といったような批判が上がっていることは事実でございます。

 しかしながら、国におきましては、保護申請の意思が確認された方には速やかに申請書を交付することや、新たな資料の提出を求めるわけではないということでありますので、改正後においても、特に富山市では変わるものではないと認識いたしております。

鋪田博紀

 それでは、生活保護法に関連して、もう1点お伺いいたします。

 以前にも質問しておりましたが、住宅扶助費のことであります。

 生活保護をめぐる批判の中で、1つに、いわゆるタレントの親族が不正受給したというようなケースもあって、やり玉に上がったりしたことがあるのですが、生活保護法の仕組み自身が十分理解されていないために、例えば、何も働いていないのに相当の金額を受け取っているのではないかというような誤解もあると思うのですが、簡単に生活保護法の仕組みについて御説明願いたいのですが、よろしいでしょうか。

宮田宜忠福祉保健部長

 生活保護の仕組みとしましては、私どもの社会福祉課の窓口においでになられた上で、いろいろな要件をお聞きし、該当した場合につきましては、今度は書面で、とにかく生活保護法は民法上の扶養の次に来るものだと認識しておりますので、そのような取扱いをしているということであります。

鋪田博紀
そうなのですが、例えば最低、生活費の中から収入として認定された部分を除いた額が支給されていくというような、その辺の仕組みのことをお答えいただきたかったのです。
宮田宜忠福祉保健部長

 議員御指摘のとおり、収入があった場合はどんどん、例えば、一番最初に生活扶助費に充当する、その次には住宅扶助に充当するというぐあいに、それぞれの保護費に充当していくという形になっています。

鋪田博紀

 それでは、住宅扶助の部分でありますが、以前にも質問させていただきましたが、以前の質問では、住宅扶助費については、生活扶助とは別に、例えばアパートや貸し家を借りるときに貸し主に直接支給すると、代理で受け取っていただくということを提案したわけであります。

 ことしの5月現在でありますが、例えば、隣の金沢市で、本人が承諾した場合に限り、直接大家のほうへ住宅扶助が行くという形になっております。

 これは、目的としては、アパート・貸し家を借りる、要するに、まず生活拠点をしっかりしなければ自立にはつながらないわけでありますが、生活保護を受けていらっしゃる方は家賃の滞納の心配があるということで、なかなか貸していただくことができないということが背景にあって、幾つかの自治体でこういった住宅扶助費を直接大家にお支払いするという制度をとっているところがあるわけであります。

 この点について、幾つかの自治体でまた新たにスタートしているところですので、改めて、富山市でも自立支援という観点から検討されてはいかがかと思いますが、見解をお願いいたします。

宮田宜忠福祉保健部長

 今ほども申し上げましたとおり、生活保護費の受給額は保護受給世帯の収入状況等により増減いたします。そしてまた、生活保護費には、生活扶助、住宅扶助費等の種類がありまして、その世帯に収入がある場合は、どんどんそれぞれの扶助費に充当していくと。そして、仮に、収入が生活扶助を上回る場合には、次には住宅扶助費に充当します。その場合、もし仮に代理納付をしていたという場合には、代理納付を今度は中止する、あるいは月額家賃に満たない額を代理納付していた場合には、不足額を被保護者自身が自分の収入から支払っていただくといったような対応が必要となってまいります。

 こうした場合に、基本的には家主と被保護者が賃貸借契約に基づき話合いをされなくてはいけないのでありますが、なかなか私どもから家主等に事情を説明しても理解が得られないトラブルが発生しているということもありますので、現時点では、本市におきましては民間アパートの家賃の代理納付は行っていないという実情でございます。

鋪田博紀

 代理納付に伴うデメリットといいますか、その辺のことは今、承りました。ただ、その辺、あらかじめ家主と事前に合意ができる場合は、やりようがあるのではないかなという気もいたしました。これは、私もまたいろいろ制度について勉強してみたいと思います。生活保護については、この辺にとどめます。

公共交通について

鋪田博紀

 続きまして、まちづくりについてお伺いしたいと思います。

 バスロケーションシステムのことであります。今、市長は鉄軌道を中心に路面電車等々、非常に熱心に取り組まれているところであります。また、フィーダーバスやコミュニティバスに対する支援もされています。もちろん民間事業者の生活路線バスにも支援されているところでありますが、改めてバスというのは非常に重要な公共交通であるということを申し上げたいわけであります。

 公共交通は鉄軌道だけではありません。電車だけではありません。バスもしっかり公共交通として位置づけて、維持していかなければいけないわけでありますが、その際に、利用者の方がやはり便利だ、安いなど、いろいろメリットを感じないと、利用することがなかなか遠のくわけであります。

 以前にもこの本会議場で一般質問でお話をしましたが、バスの問題で、1つは定時制ということがあるかと思います。時間どおりに来ないということは、それは待てばいいわけでありますが、逆に、定時前に出発してしまって、どのバスに乗ればいいのかわからなくなるということもあるわけであります。

 それが続くと、やはりバスは不便だということで、バスに乗らない方も出てきます。実際に私の周りでもそういう方がいますし、なおかつ、今、まちなかのパーキングというのは非常に安くなってきているものですから、マイカーで1日とめても500円、600円というようなことになると、金額のこともあるのですが、利便性とをはかりにかけて、今までバス通勤されていた方がマイカー通勤に切りかえている方もいらっしゃると伺っております。

 そこで、利便性を高めるために、バスロケーションシステムをもちろん採用されている路線はありますが、これをもっと拡大していけばいいのではないかと思うわけであります。

 今、国土交通省では、例えば公共交通の情報データを標準化するなど、いろいろ取組みをされているわけでありますが、このバスロケーションシステムについて、今後、拡大されていくお考えはないか、お伺いしたいと思います。

京田憲明都市整備部長

 バスロケーションシステムにつきましては、バス停において接近表示機によりバスの接近情報を案内する方法と、携帯電話やインターネットにより情報提供する方法があり、いずれもリアルタイムに、かつ容易にバスの位置情報を入手できることから、バス利用者にとっての利便性の向上に有効であると考えております。

 こうしたことから、現在、本市内のバス路線では、富山地方鉄道株式会社において、運行頻度の高い路線を中心に、市内60カ所のバス停で接近表示機が整備されているところであります。

 ただし、この富山地方鉄道株式会社のシステムは、バス停に設置している接近表示機が導入から20年以上経過しているものもあって、老朽化による故障も見受けられ、メンテナンスに多額のコストがかかるといった課題もあると伺っております。

 御提案のバスロケーションシステムの拡充につきましては、バス利用者の利便性の向上にはつながるものの、一方では、バス事業者にとっては整備や維持管理のコスト増ということもありますし、車両の更新、運行ルートや運行頻度の確保・改善など、ほかの課題との優先順位を考慮され、バス事業者において検討されるものと考えております。

鋪田博紀

 いろいろ課題があるということは承知しておりますが、やはりバスというのは一番身近な公共交通機関です。よく路面電車を延伸しろという話も地域に帰ると聞くわけでありますけれども、やはり建設のコストや整備コストが非常にかかりますので、そのような意味ではこういう路線バスをもっと大事に、便利にしていっていただきたいという思いがあるわけであります。

 引き続きぜひ御検討いただいて、一民間事業者が本来整備していくものでありますが、国土交通省でも3分の1の補助制度なども持っておりますので、そのようなことも含めて、市としても、公共交通の1つとして支援していっていただきたいという思いであります。

 もう1つ、利便性の向上ということで、バス停に公衆無線LANを設置したらどうかということを提案したいと思います。

 実際に今、駅や空港にはかなりの割合で公衆無線LANの整備が進んでいるところであります。バス停、路線にもよりますが、非常に運行間隔が短いところもありますが、それなりの間隔のところもあります。それでバス停の快適性を向上するということ、英語で言うとアメニティーとなりますが、例えば、今、駅などへ行くとスマートフォンでいろいろゲームをしたり、情報をとったりということをされております。

 その際に、公衆無線LANがあれば、新たな通信料等はかからずにできますし、実際にタブレット端末などを最近持っていらっしゃる方も多くて、いわゆる電話回線を使わない、無線LANだけのものもかなり出回っておりますので、待ち時間にそのような情報がとれます。あるいは、先ほど言いましたバスロケーションシステムの絡みで、スマートフォンで情報をとるときも、そのバス停にいれば無線LANを使って情報がとれるということも、そんなに遠い将来ではない時点で日常的になっていくのではないかと思うわけであります。

 もっと極端なことを言うと、無線LANを設置することで、そこに大きなタブレット端末があれば、そこに広告表示などをすることも可能になってきますし、そういった総合的なシステムとして、先ほどのバスロケーションシステムを含めて、バス停等に公衆無線LANを設置したらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

京田憲明都市整備部長

 バス停での公衆無線LANの整備につきましては、全国の事例では、京都市の一部の地域において、外国人観光客からのインターネット利用の要望が多かったことから整備されたと伺っております。

 しかしながら、富山地方鉄道株式会社においては、現在のところ、バス停での公衆無線LANの利用に対する需要が限定的であると見込まれることや、費用対効果の観点から、整備の予定はないと伺っているところであります。

鋪田博紀

 今、民間事業者ではそういう需要がないということでありますが、市長が選挙の公約の1つで、まちなかの公衆無線LANの整備を挙げられていたと思うのですが、このことに関連して、どのような内容のものを検討されていたのか、お聞かせいただければありがたいです。

森雅志市長

 結論から言うと、今、具体的な検討を申し上げるほどのことはありません。任期中に一つの目標として実現したい政策として、まちなかにおけるWi-Fi環境ができないかということを公約に掲げたわけで、結局、妥当性の問題なのです。

 今、おっしゃるような環境ができれば、バス停にLANが使えたらいいというのはそのとおりでしょうけれども、しかし一方、過疎バスでそれどころではない、1日最低2便ぐらいは来てほしいと思っている方々もいらっしゃるわけですから、交通政策全体を考えるときに、利用勝手、使い勝手がいいということはそのとおりですが、全体としての妥当性の議論なのだと思います。

 Wi-Fi環境に関して言うと、少なくともコンベンションなどを考えたときに、国際会議場の中ではもちろん使えるわけですが、その周辺で、少し休憩する、あるいはアフターコンベンションなどさまざまなことを考えると、イメージとしては、そのあたりを中心に、あるいは環状線で使えないかなど、駅と国際会議場をつなぐなど、そのようなことが実現できると、その妥当性の議論からいうと、経済的効果も含めて、あるいはまちのにぎわいということも含めて誘客につながるだろうと思いますので、一定程度優先度があるかなと思います。

 しかし、そうは申せ、それを市費単独でやっていくことが妥当かどうかとなると、少し前のめり過ぎるかなということも思います。だから、どういう仕組みで、どういう費用負担でやっていくのかということも含めて、これから検討していくことになります。

 環境未来都市の中で交通空間の利活用交流推進ということをうたっているわけですから、ここに参加していただいている富山大学や民間企業などで、ある種のコンソーシアムをつくりながら、そこをベースとして議論していこうと思ってきたわけですが、6月6日にこのチームが提案しておりました総務省の「ICT街づくり推進事業」について、事業採択の内示をいただきましたので、あす、実は議長のお許しをいただいていますので、総務省の担当局長のところへ行ってきますが、この事業を手がかりにしながら、このプロジェクトチームで、もう少し一歩、半歩ほど前へ出て、具体化に向けた取組みをしていきたいと思っています。

鋪田博紀

 公衆無線LANに関して、例えば中心市街地でいうと、千石町通りあたりがケーブルテレビ富山と組んで、公衆無線LANを導入されたりしています。また、個々のお店などでもいろいろな事業者と組んで導入されたりしているということで、少しずつ環境は、まちなかで公衆無線LANが使えるということは当たり前になってきているのだろうと思うのですが、おっしゃったように、公費でやることの妥当性という部分は慎重に検討しなければいけないのだろうなと思っております。

住宅施策について

鋪田博紀

 続きまして、住宅施策について質問させていただきます。

 まちなか居住推進事業の中のリフォーム補助についてであります。

 平成25年度予算では3戸となっておりますが、勝手に期待している数値からすると、随分低かったなというような思いでありますが、この理由について少し御説明いただけますでしょうか。

京田憲明都市整備部長

 まちなかリフォーム補助事業につきましては、都心地区の居住推進を図る観点から、1つは、都心地区外にお住まいの方が都心地区の中古住宅を購入し、みずから居住するためにリフォームを行うもの、2つに、現に都心地区に居住している方のもとに都心地区外からの転居・転入者が同居することにより、2世帯住宅等にするために行うものに対し、1件当たり30万円を上限とする補助を行うもので、平成23年7月より開始した事業でありますが、これまで2年間の実績はありません。このことから、今年度分として、当面3件分を予算化したものであり、事業のPRとあわせて、もう少し使いやすい制度への見直しも必要だと考えております。

鋪田博紀

 ぜひニーズに合ったものに見直ししていただきたいと思いますし、そもそもリフォームしていただくことが目的ではなくて、当然、まちなかに住んでいただくということが目的であります。その際に、例えば親子、少人数で3、4人ぐらいの世帯であれば、まちなかの小さなおうちをリフォームして引っ越してくることは可能ですが、今ほど後段でおっしゃいました二世帯住宅については、まちなかの狭い敷地の中で二世帯同居するというのは、リフォームするにしても、なかなか目的にかなったリフォームができないという可能性があります。

 ということになりますと、もし二世帯だけに絞って言うならば、例えばの話ですが、親元の近くに子世帯が同居するのではなくて、親元の近くの一定程度の範囲内に引っ越して、そこで家を建てたりする場合は割増助成をするなど、リフォームにこだわらず、そのような方法もとれるのではないかと思いますので、幅広い観点から制度の見直しをしていただければありがたいと思います。

 続きまして、住宅施策のうち、借上市営住宅についてお伺いしたいと思います。

今年度も予算計上されておりまして、当初、10年間で240戸の供給ということでありました。そろそろ220戸ほどに達しようとしているわけですが、これまでのこの借上市営住宅についてどのような効果があったのか、簡単に御説明いただけますでしょうか。
村藤昇建設部長

 本市の借上市営住宅につきましては、平成21年度から開始し、平成24年度末現在で、6団地、144戸を供給しているところであります。これら144戸の市営住宅を20年間借り上げる場合と、市が直接建設し20年間管理する場合について試算し、比較いたしますと、まず事業費ですが、借上市営住宅の場合は、1つには、建設の補助が約1億8,000万円、また、20年間の借上料が約19億2,000万円、総額で約21億円の費用が必要となります。この総額から国の建設補助金や家賃補助金、住宅使用料等を差し引いた市の財政負担総額は約7億円になると見込んでおります。

 次に、市が直接建設する場合は新たに用地の取得が必要になりますので、1つには、用地の取得費約5億5,000万円、建設工事費約24億2,000万円、建設後20年間の維持管理費約1億7,000万円、起債を借りたとして、その償還利子約4億円、総額で約35億4,000万円の費用が必要となります。この総額から国の建設補助金や住宅使用料などを差し引いた市の財政負担総額は約14億2,000万円になると見込んでおります。

 この結果、借上市営住宅のほうが、市の財政負担は約7億2,000万円圧縮されることとなります。

 さらに、これらの財政的効果に加え、初期投資が抑えられ、財政負担の平準化が図られることや公共交通沿線地区で住宅整備が進むことなど、本市のコンパクトなまちづくりの推進にも寄与しているものと考えております。

鋪田博紀

 市の負担というのが、14億円に対して7億円で済むということと、その負担が平準化されていくということだろうと思います。

 ただ、そろそろ目標の240戸に達していくわけで、今後また、公営住宅、市営住宅のあり方なども検討して、市の住宅政策そのものも再考していくということになろうかと思いますが、一定程度成果があったということを確認させていただきました。

商業振興について

鋪田博紀

 続きまして、商業振興についてお伺いしたいと思います。

 今年度の予算の中で、商業振興貸付事業について、第二創業支援資金と商店街空き店舗活用促進資金の2つが創設されたわけですが、この事業の概要について、ごく簡単に御説明いただけますでしょうか。

城川俊久商工労働部長

 本年4月に創設した融資制度のうち、第二創業支援資金につきましては、これまでの医薬バイオやナノテクなどの成長分野の育成を目的とした新産業育成支援資金の融資要件を拡充し、より幅の広い企業の新たな分野への事業展開を支援する目的で創設したものであります。

 また、商店街空き店舗活用促進資金につきましては、地域に根差した商店街の活性化を図るため、商店街の空き店舗への出店を促す目的で創設したものであります。商店街の空き店舗が減少することにより、地域住民の生活維持や商店街の活力、魅力を取り戻すことにもつながるものと考えております。

鋪田博紀

 この商店街空き店舗活用促進資金については、これまで都市整備部が支援しておられました新規出店サポート事業の3商店街以外のところも対象になってくるというわけであります。

 都市整備部長にお伺いしますが、新規出店サポート事業について、3商店街に限定した理由について、もう一度御説明いただけますでしょうか。

京田憲明都市整備部長

 総曲輪、西町、中央通りは、古くから県内随一の繁華街として最も商業集積が進んでいる地域で、本市としても、都市基盤の整備等に積極的に投資してきた地区であります。市民全体の財産として、今後もしっかりと守り育てる必要と価値があると考えています。

 一方、全国的な傾向として、中心商店街は深刻な衰退傾向が続いており、商店街組織や個店の努力だけでは難しい面もありますので、さまざまな形で公的な支援がされております。

 こうしたことから、新規出店サポート事業につきましては、北陸新幹線開業に向けた期待感などもあり、民間投資が活発である富山駅周辺は対象外とし、中心商店街の主要な3地区に限って新規出店を促す地区として設定したものであります。

鋪田博紀

 そこで、これは以前にもお伺いしたことがあるのですが、今ほど、部長の答弁にもありましたとおり、商店街が非常に厳しい状況であります。商店街の組織を維持していくことも大変ですが、その前に、自分たちのお店をどうやって維持していくかということも、非常に大変な状況であります。

 その中で、新規出店サポート事業については商店街団体の推薦が必要となっておりますが、これはやはりどうしても必要な事項だと考えていらっしゃいますでしょうか。

京田憲明都市整備部長

 百貨店やショッピングセンターなどでは、構成店舗の規模や業種・業態の組合せ、いわゆるテナントミックスが売上げに大きく影響すると言われております。

 こうした手法は商店街にも有効であり、商店街に不足しているテナントの誘致やチャレンジショップ、新規起業家を支援することにより、魅力と活気のある商店街を創造することが必要だと考えております。このため、当該商店街組織に申請者の業種・業態等の可否を主体的に判断していただく機会とするため、商店街組織の推薦を要件としているものであります。

鋪田博紀

 ただ、テナントミックスと言っておられる場合ではないのではないかと思います。そういう意味では、補助要件について見直していく必要があるのではないかと考えます。
そこで、これまでの補助金の交付実績等を少し御紹介いただけますでしょうか。

京田憲明都市整備部長
新規出店サポート事業補助金は、今、御質問にもありましたように、中心商店街の空き店舗へ出店する際の店舗の改装費、家賃、あるいは経営相談等に対して補助金を交付する制度でありますが、制度を創設した平成21年度以降、飲食店が16店舗、婚礼ジュエリーや時計などの物販店が12店舗、その他が4店舗で、合計32店舗となっております。
鋪田博紀

 この中で、補助金をもらって2年以内に閉店したお店というのはどれぐらいありますでしょうか。

京田憲明都市整備部長

現在までに制度を活用した32店舗のうち、閉店したものが5店舗、他地区へ移転したものが1店舗となっております。

鋪田博紀
この補助要綱に関して言うと、一応2年以上の営業となっておりますが、2年以内に閉店された場合は、この補助金の取扱いについてはどのようになるのか、お答えください。
京田憲明都市整備部長

 富山市新規出店サポート事業補助金交付要綱では、「2年以上営業を行わなかった場合、補助金の交付決定を取り消し、または変更し、既に支払われた補助金の一部または全額について返還させることができる」と定めており、やむを得ないと認められる事情がある場合を除き、補助金の返還を請求することにしております。

鋪田博紀

 実際に返金させたケースというのはございますでしょうか。

京田憲明都市整備部長

 閉店及び移転した6店舗のうち、2年以内に閉店したものは2店舗となっておりますが、どちらもやむを得ない事情があると認めており、返還請求はしておりません。

鋪田博紀

 この補助金については非常にいい制度だと思いますが、一方で、その閉店した事例を捉えて、大きな金額ではないのかもしれませんが、やはり助成を受けない地域からすると、ばらまきとまでは言いませんが、そのような印象で捉えられることがあるわけです。
ここは、その辺の制度を維持していくためにも、入り口を絞ればいいのか、出口を絞ればいいのか、いろいろ議論はあるかと思いますが、2年以上営業を行うことについての担保をしっかりとるとか、あるいはもっと言うと補助金ではなくて奨学金のような制度で、2年間営業すれば、そのまま補助金として──これは2年間というのが正しいかどうかは別として、その期限内に撤退した場合は、いわゆるローンという形になるといったことで、入り口あるいは出口を見直して、制度そのものに少し見直しをかけたらどうかと思うのですが、御所見を伺います。

森雅志市長

 こういう制度は、どのように構築していっても、どこかに問題が必ず生まれてきますから、絶えず見直していくことが当然必要です。

 ただし、事故を恐れるあまり、例えば、信用保証協会が100%事故が起きないようにするから審査を厳しくすると、真に資金が必要な人に資金が回らないということになります。緩め過ぎると、信用保証協会の経営が難しくなるという、これに似た問題だろうと思います。だから、要件を厳しくし過ぎると使う人がいなくなってしまいます。今おっしゃったように、様子を見てから出すのでは新規出店の意欲をそいでしまうことになるわけですから、そこの微妙なあんばいの問題なのだろうと思います。

 事故率からいうと、私の目から見ると極めて低いと思います。三十数件のうち2件ということです。だから、それが妥当かどうかということを、一年一年、きちんと見ていくということなのだろうと思います。

 それから、出した補助金が全額泡になったわけではなくて、地元で店舗を直すとか、あるいは材料を購入するとか、地域経済としてはそれが地域で動いているわけですので、もとより、補助金を出して約束を守らなかったからきちんと返せということはそのとおりですが、見方としては、200万円出したら、200万円全額泡になって消えたことではないということも、しっかり申し上げておきたいと思います。

 いずれにしても、育成資金というのは一定程度の事故というものをのみ込みながら出さないと、これはこのことだけではなくて農業振興だろうが何だろうが、あらゆるところで言えるわけです。例えば、企業誘致で出したけれども、うまくいかなくて撤退すると、債権は残るけれども、なかなか回収できないということなどもゼロではないわけなので、全体像を見ながら見直しをしつつ、しかし、意欲を持つ人たちにいい制度だと思っていただけるようなものにしていくということに尽きると思います。

 最初の審査については、もう少し外部の目を入れたほうがいいのかなと、今、議論をしているところです。

鋪田博紀

 今、市長がおっしゃったように、審査の段階で外部の人間を入れるということで、補助金のことだけではなくて、新たに創業したりする方々の経営サポートになるようなアドバイスなども含めて、ぜひやっていただきたいと思う次第であります。

 もう1点、最後にお伺いしたいのですが、先ほどテナントミックスという話がございました。その中で、補助要件の中に「夜間のみの営業」というのは認められていないわけであります。

 ただ、例えば、中央通りあたりを見ていますと、これは補助金の対象にならなかったので御自分の資金でやっていらっしゃる方々ばかりなのですが、飲食店が多くなっています。

 業種にもよるかもしれませんが、夜間の営業も一定程度認めることで、結果的にテナントミックスといいますか、例えば、今、総曲輪通りは物販が中心になっていると思うのですが、中央通りは結果的に飲食店がかなり多くなっていて、そこが逆に間口を広げることで、最後はその通りの特色というものが落ち着いてくれるのではないかなという思いもあるのですが、この辺は何か見直す予定はございますでしょうか。

京田憲明都市整備部長

 商店街としてのにぎわいは、魅力ある店舗が通り沿いに連続して営業していることで創出されるものであり、日中営業を基本としている商店街の中にシャッターが閉まったままの店舗が混在することは、にぎわいの連続性が失われることになると考えております。このため、夜間のみ営業の店舗にまで補助金を支出する必要はないと考えており、要件の緩和は考えておりません。

鋪田博紀

 1点だけ、この点で申し上げたいのは、いずれにせよシャッターがおりているという状況でありますので、であれば、例えば、昼間のにぎわいは連続性も大事だと思うのですが、夜間のにぎわいというものも、やはり一つ、中心市街地の魅力として持ち合わせていてもいいのではないかなと思いますので、この辺は要望ということになりますが、そのようなことも、今後、引き続き御検討いただければありがたいかなと思います。

 以上で私の一般質問を終わります。

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一問一答のため質問と併せて掲載してあります

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