議会レポート

平成26年9月定例会・一般質問

質問する鋪田(平成26年6月議会)
質問する鋪田(平成26年6月議会)

交通安全教育について

鋪田博紀

平成26年6月定例会に当たり、議案の質疑並びに一般質問を行います。

 最初に、交通安全教育についてお伺いしたいと思います。

 ことしから、小学校3年生、4年生を対象として、自転車の交通安全教室が授業の中で行われることになりました。この自転車交通安全教育の狙いについて御答弁いただきたいと思います。

本江均市民生活部長

 自転車交通安全教室修了証交付事業につきましては、自転車の乗車が本格化する小学校中学年を対象に、今年度から全ての学校で実施するものであります。この教室は、従来から各学校で適宜行われていた自転車の実技指導や法令講習の内容を標準化・必修化するとともに、新たに確認テストを導入したものとなっております。

 この教室を通して、交通安全の基礎的な知識・技能を身につけるとともに、修了した児童にカード型の修了証を交付することにより、交通安全意識の高揚を図り、青少年期の交通事故の減少につなげてまいりたいと考えております。

 このように、子どものときにしっかりとした交通安全教育を受けておけば、大人になっても、交通安全の意識を持ち続けるものと考えているところであります。

鋪田博紀

 先般、ある小学校で行われていた交通安全教室を見学してまいりました。といいますか、地元の交通安全協会支部の一員としてお手伝いに行っていたわけです。

 その関係者からの話の中で、今ほどお話があったように、非常にすばらしいことをされているわけでありますが、直前まで、その授業の内容が、例えば学校の先生たちや協力者であるPTAや地元の交通安全協会の皆さん等に十分な周知をされていなくて、直前まで「何を授業でやるのかな」という声がありまして、「自分たちは何を手伝いに行けばいいのか」という話もありました。

 行ってみると、なるほど確かにいい授業をされていたのですが、今後、実施されるに当たって、事前にどういったカリキュラムでどんなことをやるのかということを、しっかり周知していただいて、この事業が効果的に実施されるように努めていただきたいと思いますが、改善等について考えをお聞かせください。

本江均市民生活部長

 今回の事業の実施に当たりましては、まず、本年2月の校長会において、その内容、目的等についての説明を行っております。また、事前に学校を訪問して打合せを行っているところであり、全体としては概ね順調に実施されているものと考えております。しかしながら、これまでPTAや地域が主体となって交通安全教室を行っていたところでは初めての試みであり、戸惑いなどもあったのではないかと考えております。

 今後は、学校や交通安全協会等、関係機関との連絡を密にして、事業の円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 先ほどから何度も言っていますとおり、大変すばらしい事業であることはよくわかりました。ただ基本的に、自転車を子どもたちに買い与えた時点で、その責任、リスクを負うべきなのは保護者であるということを忘れてはいけないと思います。

 近所を散歩したりしていますと、小さい子どもにヘルメットをかぶせて、保護者の方が歩きながら実際に路上で指導されている姿も最近よく見ますし、そういったことが本当のあるべき姿なのだろうと思います。

 今、部長からも、PTAや地域で交通安全教室を行っているところという話が出ましたが、そういった地域でやっている事業に関して言うと、全ての子どもたちが受けることがあまりなく、あるいは保護者にしても、全員は参加しないという問題点はあるのですが、第一義的に、これは誰が指導しなければいけないかということをしっかりとこの事業の中にも盛り込んでいく必要があるのではないかと思います。

 もっと言えば、まずは2カ年にわたって実施されるということでありますが、反省点を踏まえて、最終的には地域が担うべき事業であると私は思っていますので、それをどう標準化してサポートしていくかという観点の事業にやがては切りかえていく、今はしっかり学校の授業として取り組んで種をまかれていくのは結構なのですが、やはり第一義的に誰が責任を負うのかということを忘れてはいけないと私は思います。

 そういう観点から、今後、この事業を進めていっていただきたいと思いますが、誰が本当は責任を負うべきものなのかということについて、部長の答弁をお伺いします。

本江均市民生活部長

 子どもの交通安全教育につきましては、議員がおっしゃいましたように、まずは家庭での教育が基本であると考えております。

 しかしながら、子どもの安全を確保していくためには、地域のPTA、交通安全協会、学校、警察、市などが協力して実施していくことがより効果的になるのかなと考えておりまして、今後とも、学校や地域と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 光陽小学校という学校を立ち上げたときに、たまたま私は最初のPTA会長をさせていただきました。そのときに保護者から、「何年生まではどの範囲まで自転車に乗ってもいいなど、そういう決まり事を学校やPTAでつくってくれ」という話があったのです。ただ私はそれは拒否しました。

 というのは、やはり第一義的には保護者の方が、自分の子どもを連れてどれぐらいの利用なのかということを把握した上で指導するのが本来の姿だと思ったからです。

 とはいえ、なかなかそういったところまで気がつかない保護者の方もいらっしゃるので、あくまでもガイドラインとしてお示ししましょうということになりました。その上で、PTAと地元の交通安全協会、そして警察の協力もいただきながら、土日を使って乗り方教室、座学・実習を含めてやったという経緯があり、自分の体験からそうだったものですから、この2時間の貴重な授業時間を使って今後続けていくことと、どちらが大事なのかというのはなかなか判断が難しいところはありますが、まず、第一義的には誰が責任を負っていくのかということを忘れずに、この事業を進めていっていただきたいと思います。

 次に、中学校についてお話を伺いたいと思います。

 中学校では、自転車による通学が認められているわけでありますが、自転車による通学途中の事故に対して、さまざまな仕組みで補償されているとはいうものの、自転車側が加害者になって、高額な人身賠償、対人・対物で責任が問われるというケースが出ております。

 そこで、この自転車の損害賠償保険については、やはりしっかり保護者で掛けていただいて、それを自転車通学の条件としたり、あるいは点検整備もしっかり義務づけて、それを条件にして通学を認めるというふうにしていったほうがいいのではないかと思いますが、教育長はどのように考えられますか。

麻畠裕之教育長

 自転車損害賠償保険につきましては、各学校では、年度当初のPTA総会等でPTAの役員の方から保護者に紹介し、加入を勧めていただいております。
学校としましては、自転車の交通安全と万が一の危険性を保護者に十分呼びかけた上で、全員が加入すれば安全・安心の上でもちろんよいことですが、損害賠償保険の加入については、やはり第一義的に保護者の責任ということで、保護者の判断に任せております。
また、自転車の点検整備につきましては、各学校で年度当初に実施する安全教室において、地域の業者や教員によって点検を実施し、整備されたことを確認した上で自転車通学を許可しております。

鋪田博紀

 損害賠償保険は、保護者の責任で掛けるべきものだと思いますが、その責任を果たさない保護者には、その子どもに対して自転車通学を認めないということがあってもいいのではないかと思いましたので質問いたしました。今、そのようにお進めになっているということでありますから、引き続き、加入については勧奨していただきたいと思います。

 今、保険については単独の保険商品というのはあまりなくて、ファミリー傷害や車の保険にセットになっているものが多いようでありますが、そういった意味では、割と保護者の負担が少なく加入できると思いますので、そういった加入勧奨をしていただきたいと思います。

公民館類似施設の整備について

鋪田博紀

 次に、公民館類似施設の整備についてお伺いいたします。

 公民館類似施設、いわゆる自治公民館等でありますが、現在、富山県で市町村振興基金貸付制度というものを持っておりまして、これに対応する制度を持っている市町村──小矢部市、滑川市、立山町などでは、自治公民館の整備にこの貸付制度を利用されているということであります。

 本市についてはこの貸付制度がないので、県がせっかくそういう制度を持っていても、この貸付制度を使って自治公民館を整備したいといってもなかなかできません。もちろん既に本市は助成制度を持っておりますが、これとは別に、新たに貸付制度を創設されてはどうかと思いますが、所見をお伺いいたします。

麻畠裕之教育長

 本市におきましては、現在、町内会で管理運営する公民館類似施設、いわゆる自治公民館の新築や改築が行われる際に、人口区分に応じて限度額を設けて、事業費の20%を助成しております。

 一方、県内の他の市や町の中には、本市と同様の補助制度に加えて、富山県市町村振興基金貸付制度を活用し、自治公民館の改築の際に必要となる資金の貸付が行われているところがあります。

 こうした貸付制度の創設は、償還金の滞納があった場合の対処など課題もありますが、市民のより身近な地域活動の拠点となる自治公民館の整備を支援する有用な方策の一つであることから、今後、その対応について検討してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 ぜひ前向きに対応していただきたいと思います。

土曜日の教育活動について

鋪田博紀

 次に、土曜日の教育活動についてお伺いしたいと思います。

 まず、これまでの土曜日の教育活動としては、子どもかがやき教室等があったわけですが、この事業の現状、及びその中で特徴的な活動あるいは課題等があればお答えいただけますでしょうか。

麻畠裕之教育長

 子どもかがやき教室は、放課後や学校休業日における子どもの安全・安心な居場所を確保し、地域ぐるみで子どもを育む環境を整備することを目的に、学校や公民館などを活用し、学校・家庭・地域が連携して実施しております。

 実施状況としましては、まず、今年度の教室数は昨年度に比べて2教室増え、42教室となっております。次に、利用者数は、平成25年度で2万192人となっており、平成24年度に比べて1,318人の増となっております。

 また、各校区で子どもかがやき教室の運営を担っている団体は、PTAを中心に、児童クラブや長寿会、社会福祉協議会、体育協会など多岐にわたっており、平成25年度に運営に携わった指導員は延べ2,680人、ボランティアは延べ5,149人となっております。

 特色ある活動といたしましては、田植えや稲刈り、地引網の体験、発明教室やスキー教室、お手玉などの昔遊びなど、心豊かでたくましい子どもを地域全体で育むため、各校区の特色を生かしながら、さまざまな体験活動や地域住民との交流活動等を実施されております。

 この子どもかがやき教室につきましては、教室数の増加を図ることが課題となっております。今後、未実施の校区で運営を担っていただく団体などに対して事業内容の情報提供を行うなど、その実施を促してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 続きまして、この子どもかがやき教室とは別に、今年度から、土曜日の教育活動推進事業ということで、モデル校2校を選んでスタートしたところであります。

 今、スタートしたばかりなので具体的なことはなかなか答えにくいかもしれませんが、このスタートしたばかりの状況について、少し御説明していただけますでしょうか。

麻畠裕之教育長

 本市では、国の「地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業」を受け、本年度の新規事業として、小・中学校それぞれ1校を指定し、土曜日の教育活動推進事業を実施しております。指定された学校では、年間10回、地域や企業のボランティア、大学生等の協力を得ながら、希望する児童・生徒を対象に土曜日の教育活動を実施することとしております。

 具体的な内容としましては、小学校では、外国語専門学校から講師を迎え、英会話を楽しんだり、地域ボランティアと町探検等を行うこととしております。

 中学校では、大学生を講師に迎えて、数学や英語などの学習を行う、陸上競技協会の講師を招いてトレーニング法を学ぶ、医療福祉専門学校の講師から介護福祉士の仕事についてのお話を聞くなどの活動を予定しております。

 市教育委員会としましては、この事業を通して、子どもたちが土曜日を有意義に過ごすにはどのような教育活動が効果的なのか検証してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 それで、この事業の中核になってくるのは、「土曜教育コーディネーター」という方になると聞いておりますが、このコーディネーターの役割について御紹介いただけますでしょうか。

麻畠裕之教育長

 土曜教育コーディネーターは、指定する学校にそれぞれ1名配置しており、小学校では、元PTA会長、中学校では教頭が務めております。

 その役割としては、活動の指導者となる協力者の確保を行い、地域の実情に応じた活動が進められるように企画・調整を行うことなどが挙げられます。

鋪田博紀

 大変重要な役割を担っていかれるということであります。

 中学校は教頭先生が務められるということで、大変忙しい公務の合間を縫ってということになるので、その辺の負担がちょっと心配なところがあります。

 小学校は元PTA会長が務められるということで、非常に経験も豊かなのだろうと思うのですが、恐らく以前、これはやがて各学校に広めていこうということを、教育委員会でもお話されていたかと思いますが、もしそうやって広げていくとすれば、土曜教育コーディネーターを、今、任命された方も含めて、しっかりと育成していくことが、この事業が成功する鍵になると思っておりますので、コーディネーターをどのように育成していくのか、その辺について答弁ください。

麻畠裕之教育長

 教育委員会では、「土曜日の教育活動推進事業」の成果や課題を検証することを目的として、PTA、地域、学校関係者で構成される「土曜日の教育活動運営委員会」を年2回、開催することとしております。

 この委員会において、学校ごとの現状や成果、課題について協議することを通して、コーディネーターの役割を明確にし、コーディネーターの資質向上を図ってまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 この土曜日の教育活動に、実際にボランティアの方やいろいろな方々を巻き込んで、そして、体系立てて、狙いを定めて教育効果を上げていく必要がありますので、手探りの中でスタートした事業だと思うのですが、このコーディネーターの方が孤立してしまうということのないように、しっかりと育成プログラムといったもの組んでいっていただきたいと思います。

 そこで、今年度は、先ほども言いましたが、モデル校を2校指定されているということでありますが、今後、実際に実施する学校数等は増やしていかれる予定なのか、お聞かせください。

麻畠裕之教育長

 今後の土曜日の教育活動の方向性につきましては、今年度のモデル校での活動状況について検証を十分に行いまして、成果と課題を明らかにした上で、実施校数などについて改めて検討してまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 新たに取り組まれる土曜日の教育活動でありますが、先ほど言いました子どもかがやき教室との違いというものについて、関心を持っていらっしゃる地域の方からは、「うちのほうでも始まるのかな」「かがやき教室とはどう違うのかな」という声がありますので、その辺、少し明確に説明していただければありがたいです。

麻畠裕之教育長

 これは、子どもかがやき教室もそうなのですが、土曜日の子どもたちの活動のいろいろなメニューがたくさんあったほうがいいということで、教育活動という窓口からのメニューの一つでありまして、これで子どもたちをたくさん集めて教育活動をやろうというものではないということを明確にしたいと思います。

鋪田博紀

 私も、過去の一般質問の中で、それこそスポーツ少年団や文化活動など、地域の子どもたちが過ごすさまざまな場所を、いろいろな方々がいろいろな切り口で提供できればいいなということはお話ししていましたし、昨年度も総務文教委員会で、教育長とは随分この話について議論をさせていただいたと思いますが、事業の狙いというものを、しっかりと実際に受け入れられる地域の方々にもお示しして、進めていっていただきたいと思っております。

道徳教育について

鋪田博紀

 続きまして、道徳教育についてお伺いしたいと思います。

 午前中、村上議員からも質問がありましたが、私からはその中身ではなくて、道徳教育というのは教科化へ向けて流れて、動き出している、これは避けようがないと思います。

 それに向けて、教える側の先生たちの研修などをしながら、しっかり学校現場をサポートしていく必要があると思いますが、この点について、教育長はどのように考えておられますか。

麻畠裕之教育長

 道徳の教科化につきましては、これまでの道徳の授業との違いはどうなのかとか、使用する教科書の内容、成績評価、教員免許等の課題などについて国の方針がはっきりと定まっていないことから、市教育委員会としましては、動向を注視しているところでございます。

 国において、道徳の教科化に対するさまざまな課題への対応等が明らかになった段階になりましたら、教科化に向けた研修などについて検討していきたいと考えております。

鋪田博紀

 まだはっきりしない部分が多いということでありますが、学校で新しい授業が始まるときに想像できることは幾つかあると思うのです。例えば、特に道徳であれば、教科になると評価をしなければいけないということになってきますし、その評価方法はどのようにしていったらいいのかという課題もあろうかと思うのですが、その辺、懸念といいますか、課題についてもう少し詳しく説明していただければと思います。

麻畠裕之教育長

 議員がおっしゃるように、教科となれば、算数科、国語科などのように評価がついて回るわけです。何段階かで評価にすることになるわけですが、この子どもの道徳性ということ、個人の道徳性をどのように評価するのかということが、おっしゃるように、今後の最も大きな課題ではないかと思っております。

鋪田博紀

 道徳なのか、マナーなのか、モラルなのか、その区別も、私はよくつかないところがあるのですが、道徳の教科化に向けては心配な面もありまして、その辺、しっかりと先生方、学校現場をサポートしていただきたいと思います。

教員の採用について

鋪田博紀

 続きまして、教員の採用について御質問いたします。

 御承知のとおり、中核市においては教員の人事権はなく、研修権のみであります。ただ、実際に学校の設置をしているのは市であるということであります。

 なぜこの問題を取り上げたかというと、現在、市内の853の小学校の学級の中で、正規担任の割合というのは93.9%の801学級、それから中学校では371学級中、正規教員による担任学級は97.3%ということになっております。

 指標がちょっと違うのですが、例えば参考までに申し上げますと、公立の小・中学校の教員定員の表に占める正規教員の割合は、平成25年度、全国で93.1%、富山県で93.0%というのが、文部科学省から出ている数字でありました。

 私立が多いところもありますので、これは完全に同じような評価をするわけにいきませんが、少なくとも、全ての教室で正規教諭の方々が担任を持っているわけではないという現状があるわけであります。

 スポーツに例えるのはよくないのかもしれませんが、例えば、サッカーを11人でやるとすれば、その中の8人ぐらいがそのチームの正規のメンバーで、あとはその都度お願いして、試合に参加してきてもらうというような状況なのではないかと思います。

 例えば、サッカー、ベンチで3人交代できるとすれば、本来は、例えば病気や出産などということがありますので、そのかわりに非正規の方々が入ってくる、これはしようがないと思うのですが、少なくとも、新年度がスタートした段階では、本来は正規教諭が全て学級担任を務めるというのが本来理想的なのではないかと思っております。

 それで、先ほどの道徳の教科化、あるいは過去にあったいじめ問題についての学校の義務というもの、実情が明確になるなど、さまざまな教育改革が矢継ぎ早にどんどん出されています。

 これは、問題点があるので教育改革というものが進められようとしているのですが、では、その受け皿となる学校はどのようになっているかというと、先ほどのような状況であります。別に非正規の方がよくないと言っているわけではないのですが、やはり1年で契約が終われば、長期的な学級経営というのは立てにくい部分もあります。

 そういったことも含めて、正規教員の確保など、学校の現場の土台をしっかりと固めていく必要があると思いますが、この点について教育長の所見をお伺いいたします。

麻畠裕之教育長

 議員がおっしゃるとおりで、教育改革が矢継ぎ早に進められておりますが、それを実践するのは、あくまでも学校現場であり、学校に配置された教員であることから、まずは必要な教員数を確保することが大切であると考えております。

 公立の小・中学校の教員の数は、国の制度によって、学級数に応じて配置される定数と少人数指導や生徒指導など、個別の課題に対応するための加配で成り立っております。

 必要な教員を安定して確保していくためには、まずは、国が将来的な教員数、少人数学級を拡大するなど、そういう見通しを持って定数改善計画を策定することが重要であります。しかし、現在、国では計画の策定を中断しているため、教員の採用を行う県においても、正規教員の採用について、見通しを持った対応ができない状況にあります。

 市教育委員会といたしましては、中核市教育長会等を通じて、国に対し計画的な定数改善計画を策定するよう要望してまいりたいと考えております。

 次に、本市の小・中学校の加配を含めた教員の配置数は約1,700名ですが、今、お話にもありましたように、臨時的任用講師が110名で、教員全体の7%弱を占めております。この中には、配置上の事情でやむを得ない場合もあるのですが、100名を超えるのはあまりにも多いものと認識しております。

 これを改善するには、県の正規教員の採用数が増えることが必要であり、市教育委員会といたしましては、市町村教育委員会連合会などを通して、採用数を増やすことを県に強く働きかけてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 少し話が変わりますが、例えば、学校の先生がUSBメモリを紛失したという事件があったと思うのですが、これも危機管理の問題ではなくて、そもそも労務管理といいますか、非常にタイトな仕事をされていて、仕事を自宅に持って帰らざるを得ないというようなこともあるのではないかと思います。

 そのような中で、学級担任を全部正規教員で賄っていないという非常に厳しい状況、そして、先ほど言いました道徳の教科化やいじめに対する対応、それから英語の学習など、いろいろな課題がどんどん増えてきているのではないかと、非常に問題なのではないかと思いますが、このようなことを含めて、学校設置者として市長はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

森雅志富山市長

 教育は国の大本ですから、特に資源のない我が国にとって、きちんとした教育を施して、提供していく、子どもたちの学力を伸ばすということが大前提だと思っています。

 科学の力や外国語の力などを含めて、最近落ちているということをよく言われますし、日本の大学生が海外に留学したがらないとか、ちゃんとした機関に対して発表される論文数が減っているなど、大変深刻な状況だと思いますので、教育について、国家として投資を積極的にやっていくことは大変大事だと思います。

 そういう意味で言うと、必要な員数を確保するということは大事です。しかし、問題は、その必要ということの解釈なので、そこが難しいので、先ほど教育長の答弁にあった、国の計画が示されないというのは、そこで少しいろいろな意見が出ているのだろうと思います。

 全体としては、子どもの数は減っていくわけです。今の子どもの数だけを想定して、必要な員数を議論していっていいのかということも見逃してはいけない視点で、そうすると、過渡的に臨時的な員数を動かしていくということは、発想としては当然出てくることです。

 問題は、国全体としてそうだとしても、では、この富山市としてどうしていくんだということになれば、員数だけにとどまらない、質の確保が必要だと思っていますので、員数の問題はもちろん大きな問題ですが、もっと大きな問題は質の確保です。員数さえいればいいというものでは、決してないと思っています。しっかりと教育力をつける、それを子どもたちに反映させる、それを基礎自治体としてどうやって責任を果たしていけるかとなれば、やはり中核市として教員人事権や学級編制権をしっかり獲得していくことが大事だろうと思います。懲戒権もないわけです。

 県の教育委員会の人事によって配置された教員の、みんなが質がいいかどうかという議論をしていくと、中にはいろいろな特色を持っている人もいるわけで、それが全体に与える影響が著しく悪くなるとすれば、やはり懲戒権が必要だろうということも思います。

 そういう意味で、人事権、学級編制権を、早く中核市として手にしていくこと、この運動をこれからもしっかりやっていくことが、富山市の児童・生徒のために、ひいては日本国全体にも言えることだと思いますので、将来の我が国の国力のためにも大変大事だと思っていますので、そういう理解を前提にして、しっかり活動していきたいと思います。

鋪田博紀

 ぜひそういった取組みをしていただきたいと思います。

 今、先生というのはある意味技術職でもあり、専門職でもあります。教員に限らずさまざまな分野で、職員の年齢構成の関係で、非常にキャリアのある方々がどんどん退職をされていって、そういった教師としてのスキルというもの、あるいは専門職としてのスキルを伝え切れないままに、このまま採用が拡大しないと、大事な教育現場において、質ということも考えて、やはり教員の確保というのは大事になっていくのではないかと思います。矢継ぎ早に、学校であれもやれ、これもやれといったときに、必ずしも数がいればいいというものではないですが、これを職場として考えたときに、あまりにも過酷な職場になっていくと教員一人一人がせっかく持っている能力が発揮されずに、一人一人の能力が低下していくということも考えられますので、この辺は、私も非常に危機感を持っており、直接人事権を持っていない本市ではありますが、今回はあえてこの問題を取り上げさせていただきました。

教育委員会制度改革について

鋪田博紀

 続いて、同じく教育の問題ですが、教育委員会の制度改革について答申が2案出され、与党合意がされて、今月13日でしたか、国会を通過いたしました。

 昨年度もいろいろ議論があったので詳しくは申し上げませんが、この教育委員会制度改革について、教育長の率直な見解をお伺いしたいと思います。

麻畠裕之教育長

 今月13日に成立しました改正地方教育行政法の主な内容につきましては、1つに、教育委員会の責任の所在を明確にすることを目的に、教育長と教育委員長を一本化した新たな責任者、新教育長を置くこととし、首長が議会の同意を得て任命・罷免するということ、2つには、首長が主宰し、首長、教育委員会により構成される総合教育会議を地方公共団体に設置し、その会議において教育の振興に関する施策の大綱を策定するということ、3つに、国の地方公共団体への関与を見直すということなどとなっております。

 これまでも、教育委員会は、独立した執行機関として子どもたちの安心・安全をしっかりと確保しながら、公正かつ適正に教育行政を執行するという役割を果たしてまいりました。今回の改正におきましては、こうした役割が今後とも一定程度担保される内容となっているものと考えており、その上で、今回の制度改革における課題である教育行政の権限と責任の明確化が図られていくものと考えております。

 市教育委員会としましては、現行の制度におきましても、市長、教育委員長、教育長がそれぞれの役割のもと、しっかりと連携をとり、円滑に教育行政を進めてきたものと考えておりますが、今後は、今般の制度改革の趣旨を十分に踏まえまして、こうした新制度のもと、市長との意思疎通を十分に図り、相互に連携協力する中で、一層の教育行政の充実に努めてまいりたいと考えております。

鋪田博紀

 答申が2案出されていましたが、本当にうまくそれぞれの立場で主張されていたことをまとめた法案になっているなと思いました。

 これについてはまだ始まったばかりで、どのようになっていくのか、どのように運営されていくのか、また見守っていきたいと思います。

オーバード・ホールの芸術監督について

鋪田博紀

 次に、文化施策についてお伺いします。

 オーバード・ホールの芸術監督についてであります。

 今年度末で、現在の奈木 隆さんの任期が満了するということでありますが、次期の芸術監督はどんな方向で選んでいくのか──これは鶏が先か、卵が先かという話になるかもしれませんが、こういった方向を目指すからこの方を選んでいきたい、あるいはこの方を選んだからこういう方向で行くのだなどいろいろあるかと思うのですが、その辺、どのような方針で臨まれるのかお聞かせください。

今本雅祥企画管理部長

 現在の奈木監督の任期につきましては、今、御指摘されたとおりでありまして、市民文化事業団の芸術監督ということでございますことから、同事業団において、次期芸術監督の選任手続が進められるものでございます。

 具体的には、事業団の定款に基づいて、理事長が理事会の承認を得て任命することとされており、現在、事業団において選考方法や選考基準、選任までのタイムスケジュールなどが検討されていると伺っております。

鋪田博紀

 どんな方を選ぶかという個人の方に対する関心というよりも、むしろどういう方向性でこれから進んでいくのかということについて非常に関心があるわけであります。例えば、奈木さん自身も本来はミュージカルの方ではありませんでしたが、この任期を使って、これだけのものをつくり上げていかれたということがありますので、むしろ、どういう方向性に進んでいくのかなということに関心があるわけでありまして、その辺、市長、文化行政の方向性についてお聞かせください。

森雅志富山市長

 今も言いましたように、市民文化事業団が任命されるわけですので、第一義的に、市民文化事業団がどうお考えになるかということですから、そのことをあまり前へ出過ぎた発言はできないと思いますが──違う言い方で質問していただくと答えやすかったのですが──どういう人が望ましいと思っていますかというぐらいの質問だと受けとめて答えます。

 市民文化事業団の理事長も、今度交代されるわけなので、新しく就任される方の思いというものも当然あると思うので、あまりそこに、あるカラーを暗示させてしまうのもいかがかなと思います。

 ただ、今までの、過去の経緯は事実ですから申し上げますが、オーバード・ホールができて、最初に市民文化事業団ができたときは、永曽さんという方が3期9年ぐらい務めていらしたのですが、私の認識では、この方は非常に難解な演劇や、バレエなどでも非常に難解な一般受けしない、しかし芸術性の高いところを目指していかれたと思います。

 今だから申し上げていいかもしれませんが、私が市長に就任したときにまだいらしたのですが、任期満了をもって、ほかの方にかわっていただきました。そのとき某新聞に「今度の市長は芸術をわかっとらん」と、ぼろくそに書かれたことを覚えていますが、例えて言うと、水戸の市民ホールみたいなところを目指しておられたわけです。入館者や利用度や稼働率よりも、そこで展開される芸術性に着目されて芸術監督という役割を果たされました。それも一つのアプローチだとは思いますが、公の資金でつくって、公の施設を市民文化事業団は運営するわけですから、やはり一定程度稼働率や一般性のある、娯楽とまではいきませんが、大衆性に近いもの──ですから、例えば立川 志の輔さんの落語もだめだと言ってらしたわけです──それでいいのかということなどを思っていたわけですが、次に募集したところ、中島さんと宮原さん、お二人はクラシック音楽の系統の方ですね。ですから、そうすると、そっちの色彩が強くなる。

 そういう意味で、非常に芸術性の高い時代に、次は、若干一般的な要素も含めたクラシック、その後、結果的に奈木さんがミュージカルという新しいカラーを打ち出されて、それぞれの取組みの結果、それぞれのことを愛好する人たちも含めて、一定程度定着してきたと思うのですね。ミュージカルだって、「いいもんですよね」という人が増えてきたと思います。クラシックだって、クラシックファンが増えてきたのだろうと思います。それはある意味、役割を十分果たしてきたので、個人的な希望から言えば、そういう流れをよく理解していただいた上で、領域としては、そういう意味ではある意味、取組みが希薄だった部分の文化性を上げるということを考えていただくような人を、市民文化事業団が考えていただければありがたいなと思います。

鋪田博紀

 何となく市長の考えていらっしゃるイメージというのはつかめましたので、これはこの程度にとどめたいと思います。

中小規模ホールの整備について

鋪田博紀

 もう1つ、文化施策についてお伺いします。

 中規模ホールについて、以前も質問があったかと思うのですが、オーバード・ホールはどちらかというとプロ向きのところがありまして、市民の方が気軽に使えるというホールではありません。

 その中で、富山市に存在する、例えば富山県教育文化会館や富山県民会館というのは、はっきり言えば、もう前時代の──舞台機構や綱元なども含めて──素人が使うにしても非常に危険なホールであります。実際に改修をされていますが、ホールそのものはさわられていないと言っていいと思います。

 その中で、これは県と市の役割分担をどのようにするかというのは大事だと思うのですが、いずれにせよ、やはり中規模の市民が使いやすいようなホールというものを整備していく必要があると思うのですが、その辺はどのように考えていますか。

森雅志富山市長

 望ましい姿という意味では、中ホールなり小ホールなりがそろっている都市のほうがいいと思いますし、人口が減少していく中で、これから「文化性」というものが選ばれる都市としては非常に大きな要素だと思います。そういう意味では、ヨーロッパの多くの都市が文化都市宣言や、芸術都市宣言をしているというのは、方向性としてはそこが正しいのだろうと思いますし、今、文化国際課でも検討してもらっているのは、そういうことを含めての話です。

 それはそうなのですが、今の財政状況その他、ファシリティマネジメントもやろうと、いろいろ言っている時期の中で、そっちだけの考えで前へ進んでいけるかというと、やはりそこは慌ててはいけないと思います。

 オーバード・ホールはかなり費用もかけて大改修して、メンテナンスをやっている最中で、富山県民会館も同じような動きになっています。その他のホールも含めて、それぞれの役割をどう発揮していくことで一番いい状態がつくれるのか。

 しかし、一方、金沢の駅前にある石川県立の施設などは非常にすぐれているものがあって、邦楽を含めて、さまざまなところに耐え得るというものもあります。そういうことを全体を見ながら、どういう解決がいいのか、県ともしっかり話をしていきたいと思います。

鋪田博紀

 美術館の件ではありませんが、この件はしっかりと県と調整をして進めていただきたいと思います。

火防水路と浸水対策について

鋪田博紀

 残り時間が少なくなってしまいましたので、1点だけ、火防水路のことについてですが、集中豪雨時に火防水路から越水して、浸水することがありますが、この火防水路への常時通水というのは必要なのか、その点だけお聞かせください。

吉田一夫消防局長

 火防水路への常時通水につきましては、大規模火災における水量不足の解消、あるいは大規模地震発生時における消火栓使用不能時への対応、これらのことから、通水しておく必要があるものと考えております。

 しかしながら、豪雨対策につきましては、取水箇所に設けられている水門におきまして、事前に取水を遮断する操作を、建設部と連携して行っているところであります。

鋪田博紀

これで一般質問を終わります。

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