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不況の深刻度は

  • 鋪田博紀

昨年末から、地元地域を一軒一軒訪ねて、このサイトの記事をコピーしたものを配り歩いています。

今までと違うなと感じるのは、平日にもかかわらず私のような働き盛りの年代の方々が、「年末年始の休みが長くなって...」とか、「契約が切れちゃって」と、自宅にいらっしゃるケースが多かったことでした。不況を肌で感じました。

私の勤める会社も、11月から12月の来店数、契約数、サイトの訪問数が激減しました。

不動産賃貸の勉強会での報告では会社はどこも同じ傾向で、ざっくり言うと対前年同月比3割ダウン。ただ不思議と1月に入って各社とも、数値が回復傾向にあります。優良物件を早めに確保する動きが例年以上に早いのかまだ見極めが必要ですし、法人契約の解約は歯止めがかかっていません。

ところで、トヨタ自動車をはじめとする製造業各社の生産調整と、人員合理化の動きも止まりませんが、赤旗などで、「トヨタが13兆円を超える内部留保を持ちながら、リストラするのはけしからん」と書いていました

しかも内部留保を「隠し利益」を書いているのには驚きましたが、この記事を書いた記者は経済オンチなのか、企業会計を全く知らないのか、わざと大企業を悪者に仕立てているのか。トヨタ自動車:株主・投資家の皆様へ > 決算報告を見れば、何も隠しているわけではないのですが...

それはともかく、不思議というかいやな感じがしていることがあって...

13兆円近い内部留保とその内訳のうちのひとつである資産として現金が約2兆円というバランスの中で、一説によればリストラによるコスト削減効果は年間約400億円。

貴重な人的資源の削減とそれによるさらなる地域経済(特に中京圏)への悪影響がもたらす販売台数減少という悪循環。それと、予想以上の販売減少見込みを天秤に掛けた結果の、今回の合理化だとすれば、うすら寒くなります。

大手各社は、ここ数年では回復しないと読んでいるのか。それとも、以前ビッグスリーが危機に陥りそうになった時と同じように、日本車叩きを未然に防ぐために販売価格調整などをしたことがあったように、「トヨタもこんだけ苦しんでいます」というポーズがいささか度が過ぎたのか。

もうひとつは、「合成の誤謬」というか、全世界から上がってくる販売見込みがトヨタほど巨大になってくると、1販売店当たりの予測にわずかな弱含みがあると、集合したデータでは必要以上に大きく下がったのではないか?そしてそれらがメーカーから発注される鋼板などの原材料メーカーに跳ね返り、それがまた返す波のようになり、自動車メーカーから販売店へと戻るうちに振幅が大きくなってのではないか?

とにかく、いくら外需頼みのウエイトが高い日本とはいえ、比較的金融部門の痛みが少ないといわれる日本で、製造業の生産調整と雇用調整のスピードと規模が異様に早くて大きいことの理由がよく呑み込めていないのです。

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