廃線跡の再開発成功例 - 空中公園ハイライン(ニューヨーク市)
10月21日はスケートパークを視察後、「ハイライン」を案内していただきました。
「ハイライン」とは、ハドソン川沿いの「ウエストサイド」地区にあった、全長2.3kmの全面高架の貨物線のことです。
19世紀にはすでに貨物線があったのですが、鉄道事故が絶えず、1930年代に再開発により全面高架化されたそうです。
ところが、モータリゼーションの発達により1980年を最後に廃線となり、高架の撤去運動もあったものの、1999年にこの高架を保存しようと、周辺住民らによるNPO法人「フレンド・オブ・ハイライン」が結成され、住民の熱意がブルームバーグ市長を動かし、2004年に公園として再生することが決定しました。
2006年から着工され、南側の1/3が2009年6月にオープンし、現在は観光スポットとしてはもちろん、沿線の再開発により地価も上昇し税収も伸びているそうです。
現在では高架跡の2/3の整備が終わっています。
写真の奥に写る大きな建物がナビスコの工場跡です。当時の建物はマーケットとして再整備されていました。
公園として整備されたハイラインには、一見すると雑草が伸び放題のように見えますが、ビオトープとして自然の草花が巧みな計算により配置されています。
公園の草が伸びるとすぐに除草してしまう日本もここは見習いたいところですが、天皇陛下が皇居内の草花について「雑草と言う草は無いのですよ」とおっしゃったことを何故か思いだしてしまいました。
平日にもかかわらず大勢の来場者の姿がありました。
中には虫取り網を持って昆虫採取にきたカップルの姿も見ることができ、観光客のみならず、市民にとっても憩いの場所であるようです。
当時の線路もモニュメントとして残されています。次の写真では、草花の間から線路と枕木が見えます。
再開発と言っても、「ハイライン」の再生のほこ、ナビスコの古いレンガ造りの工場をマーケットとして再整備するなど、歴史的建造物も保存し活かしながら再整備するというのが、日本の再開発と大きく異なる点です。
入り口には、かつてのハイラインやナビスコの歴史がわかる写真や資料が展示されており、ナビスコが、ナショナル・ビスケット・カンパニー (National Biscuit Company) の略であることを初めて知りました。
工場内部は当時の姿をそのままとどめながらマーケットとして活用されていて、大勢の人で賑わっていました。
耐震化や建築基準法などのため、これが日本では相当ななコストをかけなければいけないので簡単には行かないのでしょうが、なんとも羨ましい限りです。
富山でいえば、旧大和デパートの保存については議会でも議論がありましたが、改修には新築以上の多額の資金が必要ということで断念しました。
最後に、現地を案内してくださった所長補佐の鈴木智也さんから説明を受ける私たちの写真と、ハイラインから遥かにエンパイヤステートビルを望む風景を掲載しておきます。
公園の管理が民間主体であることと、古いものと新しいものがうまく溶け込んでいるニューヨークでした。
(左から、村上議員、鈴木所長補佐、丸山議員、谷口議員)
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