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霧矢大夢・蒼乃夕妃の退団公演、宝塚歌劇月組『エドワード8世/Misty Station』

プログラム
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月組トップコンビ(霧矢大夢・蒼乃夕妃)の退団公演となる、ミュージカル『エドワード8世-王冠を賭けた恋-』(作・演出:大野拓史)と、レヴュー『Misty Station-霧の終着駅-』(作・演出:齋藤吉正)を東京宝塚劇場で次男と観劇しました。

ミュージカル『エドワード8世-王冠を賭けた恋-』

ミュージカル『エドワード8世-王冠を賭けた恋-』は、映画『英国王のスピーチ』で知られるジョージ6世(英国女王エリザベス2世の父)の兄にして、王冠(正確には戴冠式を行っていない)を捨て僅か1年にも満たない在位期間で退位し、2度の離婚歴を持つアメリカ人女性ウォリス・シンプソンとの結婚を選んだ、英国王エドワード8世の物語です。

お洒落で小粋なエドワード8世約は霧矢さんにはまり役。本当に芝居巧者です。もはや「芸」と呼ぶにふさわしい領域です。

ウォリス・シンプソン役の蒼乃さんも、やや勝気な大人の女性を好演されていました。銀橋で歌う「グッド・バイ・マイ・ラブ」は、決して歌唱力がある人ではないのですが、小細工せずにストレートに感情をぶつけていて心に残りました。

専科から、ウィンストン・チャーチル役に一樹千尋さん、父王ジョージ5世に磯野千尋さんを迎えた重厚な布陣。特にチャーチルは老け役ながら2番手に近い重要なポジション。退位スピーチの添削の場面の霧矢さんとのやりとりは実力者同士の素晴らしい演技で、ジンと来ます。

次期トップスターが決まった龍真咲さんは、ガイ・バージェスというBBCのプロデューサー役で物語の狂言回し的な位置づけ。好みが分かれるかもしれませんが、しっとりした声の台詞まわしが龍さんらしくて存在感がありました。ただし花道などでマイクを前に語るシーンがほとんどで、動きのない役がもったいないかな?

準トップスターに決まった明日海りおさんは、エドワード8世の私設秘書官ゴドフリー・トーマス役で、明日海さんらしい魅力を発揮していたものの、存在感を発揮しにくい役だったかも。

また、星条海斗さんはミュージカルではウォリス・シンプソンの夫アーネスト・シンプソン役でしたが、浮気性なダメ夫がはまり役。

退団者の一人一色瑠加さん演じるジョージ6世は、吃音が嫌味にならない程度に話し方に特徴を持たせて好演。

作品としては、場面ごとに舞台装置や要素を詰め込み過ぎて、全体として平坦な印象がありました。また、物語の本筋に関わるのは事実上、霧矢・蒼乃コンビの主人公とチャーチル役の一樹さんだけなのですが、史実をもとにした関係なのか退団公演だからなのか、役名が多いため、登場人物一人一人が描き切れていない気もしました。

座付き作家としては、いろいろな生徒を見てほしいという気持ちもあるのだろうけど、そこのバランスが難しいところですね。それでも、生徒のの実力で面白く見せてくれるのは、実力派の霧矢・蒼乃コンビを中心とした月組と専科の演技力によるものでしょう。

レヴュー『Misty Station-霧の終着駅-』

レヴュー『Misty Station-霧の終着駅-』は、蒼乃さんのダンスシーンが盛りだくさん。ライトセイバーのような剣を振りかざして踊るシーンは見せ場の一つ。とにかく元気いっぱいなレヴューだという印象。

霧矢さんの「魂のルフラン」(映画「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌)には驚きましたが、なんだかここで一気にこみあげてきました。

そのほかの退団者である青樹泉さんもミュージカル含めて輝いていました。ちょっとの出番でも確実に印象に残る方です。彩星りおんさんもエトワール(最後のパレードでの独唱)で見せ場があってよかったです。

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