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ハッピーエンドな宝塚歌劇雪組『ドン・カルロス/Shining Rhythm!』

キャスト
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宝塚歌劇雪組の大劇場公演『ドン・カルロス/Shining Rhythm!』 を妻と観劇してきました。最後に雪組を観たのは、水夏希退団公演『ロジェ/ロック・オン』ですから、実に平成22年7月以来となります。

『ドン・カルロス』は、シラー作「スペインの太子 ドン・カルロス」をもとに、脚本・演出:木村信司、主演:音月桂、舞羽美海による新作のオリジナルミュージカル。『Shining Rhythm!』は、作・演出:中村一徳による新作レヴューです。

宝塚歌劇で一番好きな男役だった水夏希さんがいない雪組をなかなか受け入れることが出来ず、どうしても比較してしまうことになるのですが、手短に感想を...

トップスターの音月さんは、芝居・歌・ダンスのどれもが安定していました。若さあふれるひたむきな演技が持ち味だと思っていましたが、主人公ドン・カルロス王子役をとても誠実に演じていました。なにより声がとてもかわいらしい。

また、初見となる三番手男役の未涼亜希さんも、音月さんと互角の実力派。妻であるイサベル王妃(沙月愛奈)と息子カルロスの仲を疑い、追いつめてしまう苦悩するスペイン王フェリペ二世を、年寄り臭くならずに、それでいて威厳のある芝居で魅せてくれました。

二番手男役の早霧せいなさんは、カルロスの先輩で友人でありながら、圧政に苦しむネーデルランドのためにカルロスを裏切るポーザ侯爵という難しい役でしたし、三番手の未涼さんのほうが主役に近いというストーリーの中で、埋もれずに存在感を発揮していました。苦手の歌も随分と上達されていました。

ヒロインでイサベル王妃の侍女レオノール役の舞羽さんは娘役らしい娘役でした。トップ娘役の中では一番学年が若いものの、美しくて存在感があって、ストーリーからすれば、イサベル王妃のほうが主役になってしまいそうなところを、実力派の音月さん、未涼さんに挟まれても見劣りしない堂々とした舞台でした(歌はちょっと苦手そうですが...)。

エボリ公女を演じた愛加あゆ(富山市出身)さんは、若いけれど別格娘役かという迫力ある演技。花組の桜一花さんや、星組の白華れみさんのようになるのかな?隻眼(せきがん)の娘役というのも珍しい設定です。レヴューの黒いドレスのダンスシーンも見ごたえがありました。

『ドン・カルロス』 は、シンプルなセットではありましたが、フェリペ二世の苦悩するシーンでの照明効果や、カルロスのもとにレオノールが訪ねるシーン(ロミオとジュリエットの逆パターン)で、斜めの空間を印象的に使った舞台装飾が印象的でした。また、教会でカルロスが庶民に施しをする場面の、全員によるハンドパーカッションは、これぞミュージカルという見せ場でした。

今回の公演は、やっぱり水夏希のいない雪組に物足りなさが残ったのも事実ですが、そこは水夏希ファンゆえの贅沢。過激なシーンもなくハッピーエンドなので、春休み中の上演なので親子で楽しむには良いかもしれません。

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