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蘭寿とむ・蘭乃はなが夢と情熱の世界を熱演 - 宝塚歌劇花組公演『サン=テグジュペリ/CONGA!!』

星の王子様と公演パンフ
星の王子様と公演パンフ

蘭寿とむさん、蘭乃はなさん主演の宝塚歌劇花組公演『サン=テグジュペリ-「星の王子さま」になった操縦士(パイロット)-』と『CONGA(コンガ)!!』を観劇してきました。

フランス人飛行士・小説家のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの世界的ベストセラー小説「星の王子さま」の世界を織り交ぜて、作者のサン=テグジュペリの生涯を描いたミュージカル(作・演出:谷正純)とラテンの世界をテーマにしたショー(作・演出:藤井大介)の2本立てです。

今回の公演で、正統派男役で3番手のみわっちこと愛音羽麗さんが退団され(残念です)、2番手の壮一帆さんも12月25日付で花組から雪組へ組替えしてトップスターに就任するため、花組として最後の大劇場公演となります。

『サン=テグジュペリ-「星の王子さま」になった操縦士(パイロット)-』

「星の王子さま」は誰でも知っている児童文学ですが、児童文学の範疇に収まりきらない、ややもすると難解な作品です。

この「星の王子さま」の世界とサン=テグジュペリ(蘭寿とむさん)の生涯を交互に織り交ぜて構成するという冒険的なミュージカルでしたが、幸い手元に岩波オリジナル版があったのと、昨年光陽校区10周年事業で、劇団かかし座による「星の王子様」を上演したので、私自身はとても楽しく観ることが出来ました。

もし観劇されるなら、あらかじめ「星の王子さま」を読んでおくことをお勧めします。あっという間に読めると思います。

素敵だなと思ったのは、「星の王子さま」の中で、サン=テグジュペリの妻コンスエロを演じる蘭乃はなさんが、王子さまになって(つまり二役です)、不時着したパイロット(蘭寿さん)と会話を交わすシーン。

「ねぇ、ヒツジの絵をかいて」とおねだりする蘭乃さんの王子さまがあまりにも可愛い。また、ラスト近くの「ぼく、きみのそば、はなれないよ」という台詞の繰り返しでは、周りのお客さんがハンカチで涙をぬぐっていました。蘭乃さん、素晴らしい演技でした。

何故他の娘役なり若手にさせずに、蘭乃さんの二役にしたのかは、そのあとのコンスエロ(実は王子さま)とキツネ(実は壮さん演じるサン=テグジュペリの親友ギヨメ)の会話のシーンが来ることで理由がよくわかります。壮さんのキツネも演技が素晴らしくて流石はえりたん(壮さんの愛称)、とても面白い演出でした。

二つの世界を行ったり来たりする関係で、登場人物の関係性が書き込み不足の感もありましたが、サン=テグジュペリとコンスエロが出会って恋に落ちるシーンは、蘭寿さん・蘭乃さんの情熱的なアルゼンチンタンゴで表現。

サン=テグジュペリの飛行機が行方不明になった時のコンスエロの心象表現も、他の娘役さんにはない、蘭乃さんらしい持ち味の土着的なダンスで表現。

ダンスが得意なトップコンビならではの演出でした。

その他にも、宙組から組替えで来た春風弥里さんも違和感なく、少ない場面で存在感を出していましたし、だいもんこと望海風斗も、壮さん・愛音さんの抜けた後はお任せ!といった安定感のある芝居でした。

『CONGA(コンガ)!!』

これは、のっけから蘭寿さん率いる花組ダンサーが煽りまくる、ものすごいショーでした。前作の『カノン』も凄かったけど、今回はさらにパワーアップ。

個人的注目は、月央和沙さんのダンスリーダーぶりで、蘭寿さんに負けじと集団を引っ張ります。さらに、華形ひかるさんらも負けじと熱いダンスを見せてくれました。

そして驚いたのは、白黒チームに分かれて競い合うシーンでは、なんと吊りもので登場し、「らんらんらんコンガ!」の呪文で争いを仲裁した魔法少女の蘭乃さん。

蘭乃さんやりたい放題です(笑)

このシーンを見て、昔、伝説の娘役である花總まりさんが『満天星大夜總会』というショーで"Hana Chan"というアイドルを演じた場面を思い起こしました。恐るべし、蘭乃はな。

ともかく、夏休みらしいファンタジーあふれるミュージカルと情熱的なショーでした。もしかすると、難しく考えがちな大人より、子供のほうが楽しめるかもしれません。

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