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さらに進化した蘭寿とむ・蘭乃はな主演『オーシャンズ11』宝塚歌劇花組公演

公演プログラム
公演プログラム

5月4日・5日と東京宝塚劇場でミュージカル『オーシャンズ11』宝塚歌劇花組公演(蘭寿とむ・蘭乃はな主演)を家族で観劇してきました。

作品について

2001年に公開されたジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ主演のアメリカ映画を小池修一郎さんの脚本・演出によりミュージカル化され、2011年11月から2012年2月まで星組によって上演された作品の再演です。なお、この映画自体が1960年代に公開された『オーシャンと十一人の仲間』のリメイクです。

天才詐欺師ダニー・オーシャン(蘭寿とむ)の今回のターゲットはラスベガスでのし上がったホテル・カジノ王テリー・ベネディクト(望海風斗)のハイテク機器で厳重に守られた金庫。

ベネディクトは、ダニーの服役中に愛想を尽かしたダニーの妻テス(蘭乃はな)をエコプリンセスの歌手として自分が新たにオープンさせるエデンというホテルの目玉にしよううとするばかりか、テスをわが物にしようとしている。

一方、ダニーの相棒ラスティー・ライアン(北翔海莉)も恋人ポーラの一家が経営するパブをベネディクトに騙し取られようとしていた。

そこで二人は仲間を集め、ベネディクトに一泡吹かせてやろうと企む...

今回の花組版は初演版と雰囲気が異なり、権力と欲望の渦巻く大人の街ラスベガスらしい作品となっていました。

また作品自体がそうなのですが、テンポがよく出演者のレベルが高いので、無理や無駄がなく余裕すら感じさせ、観客が純粋に作品を楽しめることだけに集中して演じているという印象を受けました。

観劇の感想

主演の蘭寿さんは、恐らく宝塚歌劇に何の予備知識もないまま舞台を観たら女性が演じているとは思えないだろうというくらい完成された究極の男役を、力まず見事に演じていました。

こういう懐の深い大人の役は蘭寿さんにぴったり。しぐさやスーツの着こなしは男性から見ても真似してみたくなります。

天才詐欺師という設定ながら、実在したら詐欺師にならなくても実業家として十分に成功者になれたのではないかと思わせるくらい完璧な男っぷり。そこが天才詐欺師なのかもしれませんが...

蘭乃さんは難しい役をこなしてきた経験が活きていました。あまり任ではないと思っていたのですが、大人の女性を等身大で演じていました。また、前作では喉のコンディションが良くなかったようですが、課題とされる歌唱もしっかり声が伸びていました。

悪夢というシーンでは、ダニーとベネディクトの間で葛藤する心象表現を素晴らしいダンスで表現していました。トップコンビが素晴らしいダンサーであることで、芝居や歌以外での表現がぐんと広がります。

専科から特別出演して相棒のラスティーを演じた北翔さんは、芝居・歌・ダンスのすべてが素晴らしい。今作品の目玉であるジョンソン医師というインチキ医師に変装してベネディクトをだますアドリブのシーンでは公演ごとに異なるシュチエーションを用意し、お客さんばかりか出演者・スタッフも笑いの渦に巻き込みます。

そうしながらもその後の展開を邪魔しない作品力と出演者の技量には感服しました。

望海さん演じるベネディクトも、小悪党にならずに流石はラスベガスでのし上がったホテル・カジノ王という大物ぶり。ダニーたちに追い詰められ、テスにもその悪党な素顔を見破られはじめた場面からの表現の変化も見事でした。

書き出したらきりがないのでこのあたりにとどめますが、フィナーレに向けての蘭寿さん・蘭乃さんのデュエットダンスはまるで会話を楽しむような息のあったダンスで、実に感動しました。

この夏、オーバード・ホールでは、娘役トップに就任した富山市出身の愛加あゆさん主演の宝塚歌劇雪組富山公演ミュージカル・ロマンス『若き日の唄は忘れじ』~藤沢周平作「蟬しぐれ」(文春文庫)より~とロマンチック・レビュー『ナルシス・ノアールⅡ』が8月29日(木)に上演されます。

また、8月16日(金)から8月18日(日)まで、オーバード・ホール名作ミュージカル上演シリーズ第4弾!ミュージカル「ハロー・ドーリー!」富山公演が決定しています。

この機会にミュージカルや宝塚歌劇の舞台に触れてみてはいかがでしょうか?

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