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社会問題と教育 -選挙権年齢18歳以上へ公職選挙法改正にあたり-

  • 鋪田博紀

美化活動の様子1
美化活動奉仕も政治参加の第一歩

選挙権が得られる年齢を引き下げて20歳から18歳以上にする改正公職選挙法が、17日の参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。

選挙権年齢の引き下げは25歳から20歳に引き下げられた前回の再生から実に70年ぶりで、次回の国政選挙から適用されますが、遅くても来年夏の参議院議員選挙、その前に解散総選挙があればさらに早まる可能性もあります。

今回の改正について気になる点が3点あります。

まず1点目は、責任と権利、もしくは義務と権利についての論調です。

責任と権利、もしくは義務と権利はセットであることは間違いありませんが、そのことが少年法の改正とのセットであるとは必ずしも思ってはいません。権利とセットになるのはただちに刑事責任を問える少年法だと考えるのは思考停止といえるのではないでしょうか。

権利とセットになる責任とは何か、義務とは何か、その中身の議論をしっかり行ったうえで、その一つが少年法の改正であるならばそれはそれでもよいのですが、政治の世界ではしばしばこうした議論のプロセスや中身が欠落したまま結論を出してしまうことが多いように感じています。

さらに言えば、義務だ責任だといわずに無条件で参政権を与えることは間違っているのかどうか、そうしたことも考えなくてはいけないのではないでしょうか。投票率がどうのこうのというのはもう少し先の事だと考えます。

2点目は、教育のなかで政治についてどう教えるかということです。

政治について出来るだけ早い段階から政治について関心を持たせるための教育を行うことは大切ではありますが、ここもプロセスを大切にしないといけないと思います。

実は子供達はすでに早い段階から政治に参加し政治を学んでいるのです。

例えば、総合学習で地域とのかかわりを座学で、そして実地で学んでいますし、奉仕活動にも私たちの世代に比べ数多く体験しています。

これは、少年スポーツや児童クラブ、PTA活動などの地域活動を通じて感じる、私自身の感想にすぎないのですが、多くの大人より公共心(と自覚しているかどうかは別として)があるように感じます。地域美化活動などには毎回多くの子供たちが参加しています。

毎年の成人式でも成人者や地域の方々を前にお話をしていることですが、実は、こうした地域との関わりそのものがある意味政治参加であり、議会や役所で行われていることだけが政治ではないのです。

そういった地域活動こと政治参加の第一歩なのだと、大人たちがもっと意識して子供達と関わることで、政治への関心が高まるのではないでしょうか。そういう意味で政治教育が必要なのは大人の方かもしれません。

3点目は、政治教育を行うのなら、学校にそれだけの人的資源を確保してあげる必要があるということです。

これまでも何か社会的な課題が見つかると、社会全体を変えることが簡単ではないため、その解決策を学校現場で実験することがしばしば行われてきました。

グローバル化へ対応するための小学校での英語学習、悲惨な事件が起きると日本人の道徳心がおかしくなったといって道徳学習、等々。

こうした教育に力を入れることは間違いではありませんが、そのための人的資源(つまりは予算)を学校に振り向けてきたか?

否であります。

財務省がまたまた教育予算の削減に乗り出してきました。このことは昨日の一般質問でも取り上げました。

成果が上がらぬものについてメスを入れるのは当然でありますので、教育現場も学力の向上などで一定の成果を見えるように努力する必要はありますが、教育改革をするための資源を確保しないまま、精神論だけ唱えて教育をすれば、やがてこの国の教育はズタズタになってしまうでしょう。

以上今回の法改正で感じたこと、危惧することについて書かせていただきました。

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