東宝版『エリザベート』観劇記その2
今回は、皇太后ゾフィーを香寿たつきさんとダブルキャストで演じる剣幸さんを観る唯一の回。そして、私自身の千秋楽。
香寿さんが帝国のために身を捧げた強いゾフィーだとすれば、剣さんは母と帝国の皇太后としての立場に悩むゾフィーでしょうか。
死の直前まで、皇帝にして最愛の息子フランツに諭すように歌いながら人生を終えるシーンは、涙が止まりませんでした。
ゾフィーだけではなく、主要な配役がダブルキャストということで、同じ演目でありながら、配役によって全く違う物語になるのがとても面白かったです。
主役のシシィ=エリザベートは、宝塚伝説のトップ娘役にして日本初演版(宝塚歌劇団により1991年上演)のシシィである花總まりさんと、宝塚最新版にしてご自身の退団公演でシシィを演じた蘭乃はなさん。
エリザベート女優とも言われる花總まりさんは一回しか観劇できませんでした。
残念ながら私の観た回は喉の調子が悪く、特に第1幕は声が擦れて歌がよく聴き取れなかったのですが、それでも鏡の間からお馴染みのシシィスターを散りばめた純白のドレスで登場した瞬間はまさしくエリザベート皇后そのものの神々しさ。
この瞬間を観られただけでも劇場に足を運んだ甲斐があったというもの。流石でした。
一方の蘭乃さんは今回で4回目。
花總さんとは対照的で、狂言回しのルキーニの台詞を借りれば「自由が無いと生きて行けない」最期まで真っ直ぐなシシィでした。
歌に課題はあったものの、「私だけに」やルドルフの葬儀の場面の歌などは感情をストレートに出した歌い方で、涙を誘いました。
他にも書きたい役者さんは沢山いらっしゃるのですが、長くなりそうなので今回はここまで。
本当に素敵な舞台をありがとうございました。
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