ブログ

空家対策と地域力

  • 鋪田博紀
空き家の種類別の空き家数の推移(出典:国土交通省)
空き家の種類別の空き家数の推移(出典:国土交通省)

先日、地域の健康まちづくりマイスター(健康づくりと介護予防推進に取り組む地域の組織)の皆さんから空家問題について講演してほしいと依頼を受け、昨年施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」や富山市における取組についてお話をさせていただきました。

また、空き家の発生を抑制するために、譲渡所得税にかかる特例措置の創設が平成28年度税制改正要望に盛り込まれたところです。

前述の税制改革要望書にも書かれている通り、空き家となる原因のひとつが相続です。

単純化した例で申し上げると、

近所のおじいちゃんが亡くなられ、相続人のAさんは仕事のために長らく県外にお住まいで、老後も故郷に戻るかどうかは未定。貸家にする事も検討したが、修理などで経費がかかるし面倒だな〜。

と言うことで、最初のうちはごお隣で仲良しだったBさんに「毎年お盆には帰りますが、家の管理が行き届かずご迷惑をかけることがあれば、遠慮なくご連絡下さい」と言い残し、 葬儀を終えて故郷を後に。

暫くして、同じ町内のCさんが、息子夫婦が住むためにこの空き家を売ってもらえないかと、Bさんに連絡を取ってもらったが、Aさんは既に急な転勤のため既に以前の電話連絡先では連絡が取れず(まぁ、今は携帯電話の方が主流なのでレアケースかもしれませんが)。

もしかしたら、登記情報を調べればと法務局へ足を運んでみましたが、相続時は相続登記したものの、転勤時に登記情報の住所変更まではするあるはずもなく。

そうして何時しかこの空き家は、管理もされないまま放置されていく・・・

こうしたことを未然に防ぐための手段のひとつが自宅を相続し譲渡する場合の譲渡所得税の特例措置なのですが、昨年5月26日に完全施行された空家対策特例措置法なども、課税情報の空き家対策のための利用が認められたり、特定空家等に指定されると、固定資産税の軽減特例措置が無くなるなど、画期的なものではありましたが、万能薬・特効薬と言うわけではなく、最終的には地域力によるところが大きいのではないかと考える次第です。

もし、先ほどのAさんが転勤後もお隣のBさんと交流を続けていたならば。

10年後の空き家の増加率は、地域によって大きく差が出るにではないか。これは、空き家問題だけではなく、福祉や教育などにも当てはまるのではないかと考える次第です。

ダウンロード

先頭へ