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生活扶助基準額の引き下げは悪しき平等感・正義感のせい?

  • 鋪田博紀

産経新聞によれば、生活扶助基準額の引き下げ見送りが決まったようです。

これについては偶然にも昨日、自民党役員の方と歓談している際に話題となっていたので、ここで言及しておきます。

厚労省案では、「働いている人よりも、何もせずに生活保護を受けている人のほうが楽な暮らしをしているのは不平等だ」という理屈だったと思いますが、これはおかしいと思います。

社会的に扶助を受けなければいけない人に対する支援というのは相対的なものではなく、最低限の絶対的レベルの維持が必要だと思います。

政治がしなければいけないのは、国民(勤労者と言い換えてもよい)の所得水準の底上げであって、様々な理由で生活保護を受けなければならなくなった人々に対する社会的扶助と、経済社会の所得水準の変動をリンクするのは誤りだと思います。

このところ、妙なところで平等とか正義が出て、それがもっともらしい理由になる風潮が蔓延しているような気がします。

なお、今回の見送りが、国民に不人気だからということでの決定ならば、それはそれで問題なのですが・・・

生活扶助基準額の引き下げ見送り 生活保護で政府方針 - MSN産経ニュース(2007.12.9 22:10)

政府・与党は9日、平成20年度から引き下げを検討していた、生活保護費のうち食費や光熱費など基礎的な生活費となる生活扶助の基準額について、見送る方針を固めた。ただ地域間の基準額の差を実態に合わせ縮小するなどの微修正は行う。生活保護費全体の総額は維持される見通しだ。
生活扶助基準額をめぐっては、厚生労働省の有識者検討会の報告書に基づき、20年度から引き下げが有力視されていたが、格差問題がクローズアップされる中、野党の反対は根強く、与党内からも「引き下げでは国民の理解が得られず、次期総選挙を戦えない」との声が広がっていた。
検討会の報告書によると、基準額が、単身世帯を中心に、生活保護を受けていない低所得世帯の生活費を上回った。また、地域間の物価差などをもとに定められている基準額の地域差も、実態より大きいことが分かった。
厚労省は「勤労意欲を減退させかねない」として、実態に合わせて来年度から基準額を引き下げる方針だったが、最低賃金の底上げに逆行するなど影響が大きく、野党だけでなく与党内からも疑問の声が続出。福田康夫首相も「政府部内や政党での議論を見て判断する」と述べ、引き下げを慎重に判断する考えを示していた

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