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社会の不満のはけ口が教育現場へ向かっているのだろうか?

  • 鋪田博紀

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記事とは関係ありません

6月議会で教育施策について取り上げました。

矢継ぎ早に行われる教育改革に対して、現場の体制がついていけていないことを危惧しての質問でした。あわせて、今年度から授業時間を使って行われる自転車教室や、モデル事業としてはじまった土曜日の学習活動の課題についても指摘しました。

バブル経済崩壊後の十数年は、経済的にも失われた十年などといわれましたが、政治的な意味合いにおいても日本は誇りも自信も失った十年いわれております。

そんな中、この十数年で矢継ぎ早に教育改革が行われていて、例えば、グローバル化に対応するためと小学生からの英語学習、学力評価のある一面に過ぎないOECDによる学習到達度調査 (PISA) への過敏な反応、今の日本はおかしくなっているとした道徳の教科化等々。

確かに、我が国にとって大きな課題であることは認めつつも、そういった社会の問題解決策がどうも教育界へ向けられているような気がしてなりません。

土曜休業の完全実施にしても、もともとは働き過ぎと言われた労働条件の解決が原因で、土曜日は家庭や地域に帰そうと言うもっともらしい理由によって、学校を軸にして、私たち地域社会に関わるPTAや児童クラブを中心に、その受け皿づくりを担ってきました。

英語に触れる機会が増えることは良いことですが、果たして小学校の授業として行う必要がどの程度あり、その効果はどのようであったか?

今の日本はおかしくなっているというのは本当か?

仮に本当だとすれば、将来を担う子供たちに対し、命の大切さを教え道徳的な心を養い、おかしくなったといわれる(誰が言っているのかよくわかりませんが)今の日本の大人のようにならない教育をする必要は認めるとして、肝心の大人たちの道徳心の後退をどう改善するのか?

大人社会を変えることはたやすいことではないので、早い段階から子供への教育を通じて将来の日本の問題を少しでも解決するという予防的措置は間違ってはいないと思いますが、ならば、それに見合った人材の確保をはじめとした教育環境整備も同時に行われなければなりませんが、少子化を理由に、とうとう教員の人員削減さえ行われ始めました。

国は、「第8次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」案を棚上げにしたまま、様々な教育改革を次々と実行しています。正確に言えば、文部科学省は子どもと正面から向き合うための新たな教職員定数改善計画案として、予算要求したのですが、ゼロ査定に終わりました。

将来の日本を担う教育がこのままでよいのでしょうか?

政治の世界で教育はあまり人気のない施策なのかもしれません。介護や医療、年金問題があれほど人々の関心を集め、時には政権を倒す原動力にさえなる。もちろん子ども手当のような、子どもに関する施策が注目されましたが福祉分野の施策で、高校の授業料無償化もどちらといえば福祉分野であり、福祉施策そのものは将来への投資ではありません。

将来への投資でもある、目に見える公共事業が社会を支えるインフラ・プラットフォームづくりだとすれば、教育も人に対するインフラ・プラットフォームづくりだと思います。もっともっと大切にされるべきではないでしょうか?

【2014-07-24 追記】
子どもと正面から向き合うための新たな教職員定数改善計画案の中で、財源措置として
  • 今後5年間の児童生徒数の減少による教職員定数の減(自然減)や教職員の若返りによる給与費の減等を活用し、可能な限り追加的な財政負担を伴わないよう実施。
  • 教職員定数の自然減:▲420億円(▲19,100人)
  • 教職員の若返りによる給与減:▲196億円(人数換算で▲9,000人※)
  • ※ただし、60才定年後の再任用義務化の導入状況によっては、相当の変動が見込まれる。
  • としているのは、文部科学省の弱気でしょうか?

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