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龍真咲退団公演 宝塚歌劇団月組『NOBUNAGA<信長> -下天の夢-』

劇場内のパネル
劇場内のパネル

宝塚歌劇月組トップスター、龍真咲さんの退団公演『NOBUNAGA<信長> -下天の夢-/Forever LOVE!!』がいよいよ始まりました。100周年トップスター最後の退団です。

退団公演のショーで本人が歌う曲の歌詞中にあるように、バレエは苦手。でも独特の台詞まわしと、パワフルな歌唱。加えてチャーミングなルックスと、それとは真逆な、とことん男役を突き詰める熱い舞台での立ち姿。本当に個性的なトップスターです。

初めて龍さんを観たのは『アルジェの男』(2011年月組)。トップスター霧矢大夢演じる、主人公ジュリアン・クレールの幼馴染でライバル、そしてどうしようもないくらいの小悪党ジャック。今まで苦手とした、どちらかといえば正統派男役とは言えないタイプ。

ところが、癖のある台詞回しと芝居、独特のこぶし回しの歌唱(これをファンはまさお節といいますが)に、いつしか取りつかれておりました(笑)

『NOBUNAGA<信長> -下天の夢-』

信長公演パネル
信長公演パネル

ロックミュージカル『NOBUNAGA<信長> -下天の夢-』(作・演出/大野 拓史)は、話の展開がバタバタしているのと、本能寺の変へ至るストーリーが史実と大幅に異なるので、ちょっと戸惑いも有りましたが、足利義昭(沙央くらま)や、秀吉(美弥るりか)、光秀(凪七瑠海)ら家臣たちに取り囲まれて窮地に陥った場面の信長(龍真咲)の、「儂に代わり、人々の望みを、恨みを受け止める覚悟がある者だけがいるならば...」といった台詞によって、まさしく退団公演らしい仕掛けと、ストンと腑に落ちてきました。

印象的だったのは、秀吉、光秀ら武将たちのダンスシーン。宝塚ならではの和物のダンスですが、美弥さん、凪七さんを中心とした統制のとれたダンスは必見。

一方、トップ娘役の愛希れいかさんは、信長の妻である帰蝶(斎藤道三の娘で、ドラマなどでは濃姫や於濃と称されることが多いのですが、実は記録がほとんど残っていない謎の多い人物です)を演じました。

薙刀を振るう登場シーンは実にかっこいい。残念なのは、ヒロインでありながら、冒頭の登場場面から、信長に討たれその腕に抱かれて死ぬ場面まで、トップ同士の絡みがほとんどなかったこと。トップの退団公演なのでやや残念でした。

また、優ひかるさんも、義昭の重臣(史実上も義昭が最も信頼しそれに応えた家臣であったそうです)である三淵藤英としての通し役があり、コミカルで表情豊かな演技が印象的でした。バタバタしながらも、結果的には数多い出演者にそれなりの場面を用意しまとめ上げた、大野さんの手腕は大したものでした。

『Forever LOVE!!』

第二部のショー『Forever LOVE!!』(作・演出/藤井 大介)は、本当に賑やかで楽しいショーでした。このところ引っ張りだこでややネタ切れかと思われた大介先生でしたが、現在の月組の魅力、そして、龍真咲さんの魅力を余すことなく伝えることに成功していたのではないでしょうか?客席から出る歓声の多さがそれを物語っています。

冒頭触れたように、ダンスが得意でない龍さんですが、パワフルで独特の歌唱と、持って生まれた華やかさはまさにショースター!愛希さんも、ダンサーとしての魅力を存分に発揮。優ひかるさんは、ショーでも愛希さんのバックで、しなやかなダンスをいきいきと踊っていました。

ちなみに、富山市出身で、元星組男役スター麻尋しゅんさんの妹で、夢羽美友(双子の妹である夢花らんも元花組娘役)さんさん退団が決まり、加藤弥三郎の妻役で最後の舞台を務めていらっしゃいます。

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