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道路特定財源その2

  • 鋪田博紀

以前にも書いた道路特定税源についての続きです。

道路特定財源のしくみについてそのスキームを把握しておかないといけないと思いますので、今回は道路特定財源がどのように分配されていくのかを解説します。

国では道路整備特別会計という財布を一般会計とは別に持っていて、一般会計からの繰入金として揮発油税(揮発油税収見込み額の4分の1を除く)と石油ガス税の2分の1、揮発油税の4分の1相当額、地方公共団体の直轄事業負担金が、この財布に入ってきます。

この財布から、直轄事業、補助事業、有料道路事業そして地方にとって重要な道路事業の原資の一つである"地方道路交付金事業"に支出されます。この地方道路交付金が7.099億円あり、富山市にあっては5億円余り。

道路特定財源の暫定税率の期限切れと同時に、この地方道路交付金というしくみも廃止されます。

さらには、その他の補助金も暫定税率が本則税率に戻ることにより約19億円が9億円程度になることでその減少額は実に約10億円。先ほどの交付金約5億円の削減とあわせると15億円程度、歳入に穴があくと見込まれます。少なめに見積もっても12億円程度の歳入不足が生じます。

以前に書いたように、暫定税率の廃止による富山市が受け取る道路特定財源の減収額はおおよそ12億円。これらを合計すると多めに見積もって約27億円、少なくとも約24億円程度の歳入不足となります。

民主党が指摘するような、暫定税率を廃止して一般財源化し、「真に必要な道路は必要とする地方が、自前で確保できる財源の範囲内で造ればいい」というのはやはり無理があります。

乱暴な仮定ですが、現在の暫定税率分の半分が真に必要な道路の整備だとしましょう。富山市の例では少なく見積もって約12億円は不足します。これらをカバーするとすればどこからその分を手当てするのか?他の予算を切り詰めるのか?あるいは補助金を増やしてもらう?地方交付税を増やしてもらう?ますます国の関与が強まるばかりです。地方がやせ細ってしまいます。

無駄な道路というのはあるのだろうか?優先順位が後でもいい道路や、必要以上の規格の道路などはあるかもしれません。あるいはコストカットが可能な道路もあるかもしれません。舗装の全面やり変えではなく部分補修ですむ道路補修もあるかもしれません。そういった無駄を排することは重要ですから、当局に対しても道路整備にあたっては、費用対効果、便益性などの数値で議会や納税者が比較検討し納得できるしくみ作りを求めて行きたいと思います。

しかし、税体系全般の見直し、特に国と地方の税収配分のしくみについてしっかり論議しないままに、道路特定財源だけを象徴的にアピールしようとする姿勢は疑問ですし、先ほど述べたように場合によっては国のコントロールを強めるだけ、あるいは他の減税措置の廃止などとあいまって、税目の看板の架け替えに終ってしまう可能性もあるのではないでしょうか?

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