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道路特定財源その4

  • 鋪田博紀

ここ数日新聞紙上で暫定税率についての記事が一面を飾っていますね。今回は、道路予算の出口の部分である道路中期計画について書きます。

政府が提出した税制改正案で、ここ10年の道路整備についての資料が入手できました。出典は「地方行政」という行政マン向けの雑誌です。

道路中期計画の事業量
政策課題 個所数など 事業量
1、国際競争力の確保(24兆円) (1)基幹ネットワークの整備 基幹ネット 22.7兆円
処点空港・港湾からインターチェンジヘのアクセス改善・国際標準コンテナ車の通行支障区間解消 1.1兆円
2、地域の自立と活力の強化(33兆円) (2)生活幹線道路ネットワークの形成 約2300区間※ 7.0兆円
(3)渋滞対策 約3000個所 21.6兆円
(4)開かずの踏切対策 約1400個所 4.1兆円
3、安全・安心の確保(19兆円) (5)耐震対策 約1万橋 1.5兆円
(6)防災・防震対策 約6000区間 1.6兆円
(7)安心な市街地形成 約150平方キロ 1.9兆円
(8)交通事故対策 約4万区間 3.4兆円
(9)通学路の歩道整備 約2万5000キロ※ 2.8兆円
(10)踏切の安全対策 約1900個所 0.5兆円
(11)橋梁(りょう)の修繕・維持管理 約10万橋※ 7.2兆円
4、環境の保全と豊かな生活環境の創造(31兆円) (12)地球温暖化対策 (3)、(4)と重複 25.7兆円(再掲)
(13)大気質対策 約30個所 0.2兆円
(14)騒音対策 約2700キロ 1.7兆円
(15)バリアフリー化 約6400キロ 1.5兆円
(16)無電柱化 約3700キロ 1.5兆円

(注)※は地方単独分を除く。事業量は政策課題ごとに重複している部分もあるため、合計は事業量の65兆円と合致しない。出典:「地方行政」2007年(平成19年)12月3日(月)号

新聞報道にもあるように、この合計額約65兆円と高速道路料金値下げのための約3兆円が、むこう10年間の道路整備に必要だとするお金です。

ごらんの様に、道路予算のほとんどが大型の道路建設プロジェクトに使われているわけではありません。道路族の肩を持つわけではありませんが、議論していただくための材料として掲載しておきます。

次に、財布の出口にしめる入口の財源の内訳として、国・地方の道路予算の内訳も掲載します。出典は国土交通省です。

平成19年度予算(案)における財源構成

特定財源については納税者と受益者の問題が生じますが、これを見ると、地方においては一般財源も4割程度投入されていて、富山市においては約120億円のうち特定財源は約50億円で一般財源も約70億円使われおり、少なくとも地方においては道路関連には広く納税者から負担されていることがわかります。

僕は高速道路の値下げに10年間で約3兆円(年間約3千億円)をつぎ込むことにはいささか疑問がないわけではありませんが、この分を減税にまわしたとして得られるリターン(生活の改善や消費に向かうことでの景気回復循環に寄与するか?)やたとえば物流コストの軽減により物価の上昇(デフレにあっては可処分所得が増えるか?)などを見極めなくてはいけません。

【追記】

記事を書いてから表に誤りがあったので訂正ついでにもうひとつ。

道路中期計画の策定にあっては、地方公共団体(少なくとも富山市)においては、ヒアリングなどはなかった模様です。つまり地方の予算を積み上げたものではないことに注意しておかなければなりません。

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