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道路特定財源その5

  • 鋪田博紀

立て続けですが、次に道路整備特別会計のしくみについて。

道路整備特別会計のしくみ

各特別会計のしくみ(財務省)を参考に作成しました。道路特定財源がどのように使われていくかをあらわしたものですが、真ん中の道路整備特別会計がカギでしょうか。

道路公団の民営化にあたっても、この部分はほとんど手付かずのままでした。最近指摘されている国土交通省の宿舎はこの会計から支出されていることが問題になったものです。

特定財源の使い道に外れているとか無駄遣いということよりも、会計処理の仕組みが不適切といったほうがいいのではないかと考えます。

国の財布の入り口と出口が複雑であり、また同じ省庁内でも担当課が細分化されて、担当ごとに予算が細かく分かれ、納税者から見てわかりにくくなっている(それは補助金を受ける地方自治体側から見ても)ことがあるのではないかと考えます。この点は改善すべきであり、細かな無駄遣いが積もって大きな無駄遣いにつながる可能性は否定できません。

公共工事は毎年3パーセント削減されているというが、本体から分かれていった補助金を積み上げるとあまり削減されていないのではないかという専門家の指摘もあります。地方分権が叫ばれるなか、地方に対する国のコントロールが変わらず、結果としてしわ寄せが地方(納税者)にくることになりかねません。この点については省庁はしっかり情報開示をすべきです。

一方で、公務員宿舎については必ずしも不要のものとは思えません。民間企業でも社宅を有するところはいくらでもあります。また、家賃についても、貸家やアパート・マンションを借り上げて廉価で社員に提供するというのは民間企業ではあたりまえに行われいます(給与と福利厚生というインセンティブのバランスについては考慮する余地はあるが)。ただし、一般のアパート・マンションに比べ豪華なものを建てることは理解が得られません。また、新たに建設するよりも民間の貸家やアパート・マンションを借り上げて提供することでコストを削減するという選択肢も必要です。

次に道路特定財源の支出割合についてです。

道路整備特別会計の支出割合

道路特定財源のうち国に入った分がどのように出て行くのかをあらわしています。すべてが道路特別会計に入ってから支出されているわけではありません(ただし、一般会計に入るということと一般財源化されるということは意味が異なりますが)。一般会計に組み込まれた分は、まちづくり交付金など、まちづくりに関する事業に充てられています。

さて、政府の税制改正案でもう少し議論をしたほうがよいと考えるのは、本四公団の債務返済完了にともなって余ってくるお金を高速道路料金の値下げに使うというものです。

高速道路の利用が増えて生活道路の渋滞緩和や交通安全につながることや、物流コストの削減につながることで納税者にとってメリットが生じる可能性はありますが、まちづくりに使われている分とあわせてい一般財源化、もっといえば暫定税率分を二酸化炭素税として一般財源化して(その場合は、他の二酸化炭素を排出する燃料を使用する電気・ガス料金に対する課税のバランスも考慮しなければいけないのはもちろんですが)、総合的・抜本的税制改革の柱としていくことを打ち出していけばいいのではないかと考えます。

長々書きましたが、結論は、これをきっかけにして本格的な税再改革の議論をスタートさせるべきで、人気取りの短絡的な暫定税率の廃止で国民生活を混乱させることはやめるべきです。以前にも書きましたがそんなことをしていると、官僚が漁夫の利をさらっていくだけです。

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