まさに妖精。龍真咲主演『PUCK/CRYSTAL TAKARAZUKA』 - 宝塚歌劇団月組公演
龍真咲、愛希れいか主演、宝塚歌劇団月組公演『PUCK/CRYSTAL TAKARAZUKA』を急遽、観劇してきました。
ミュージカル『PUCK』は、シェイクスピア作「真夏の夜の夢」を下敷きに小池 修一郎が作・演出を手掛けた、妖精パック(龍真咲)と妖精の存在を感じることが出来る能力(というより純粋な心)セカンド・サイトを持つ少女ハーミア(愛希れいか)の恋を描いたファンタジー。1992年に涼風真世の主演で人気を博した傑作ミュージカルの再演です。
毎年ミッドサマー・イヴに貴族のグレイヴィル家が主催するコンサート会場は、一族が所有する森の中のストーン・ステージ。
コンサートの夜にそこで主人公パックが生まれる場面から始まるのですが、これがまさに妖精。あまりの可愛さに涙腺が緩んでしまいました。
龍さんの特徴であるやや大げさな台詞回しや歌唱は抑え目にしての役作りで、しかも、姿が見えるのは人間界ではハーミヤただ一人。人間の世界に落とされるという後半に入るまでは、他の登場人物とは会話らしい会話もほとんどないという設定でも、しっかりと存在感を発揮していました。
また、ハーミア役の愛希さんも、貴族でありながらも誰にでも優しく公平に接することが出来る庶民的な面を持つ役は、とてもはまり役でした。
龍真咲・愛希れいかコンビは、親しみやすく宝塚を身近な存在にしてくれるスターです。
「真夏の夜の夢」といえば、妖精の王オベロン役の星条海斗、妖精の女王タイテーニア役の憧花ゆりのコンビも、月組の名物。たまに、やり過ぎて主役を食ってしまうことがある存在感抜群のお二人ですが、今回は妖精ということでいつもより抑え気味。
ハーミアのいとこで意地悪な少女ヘレン役の沙央くらまさんは、本来は男役ですが、独特な抑揚を抑えた台詞のコメディアンぶりが会場の笑いを一手に引き受けます。
大人も子供も楽しめる、とてもよい作品でした。
第2部にあたるショーは、中村暁作・演出の『CRYSTAL TAKARAZUKA-イメージの結晶-』です。
かつて作・演出されたショー作品『ミロワール』(雪組・2008年)と、『Dance Romanesque(ダンス ロマネスク)』(月組・2011年)は私も大好きな中村作品です。
愛希さんが最初から最後まで踊りまくります。名ダンサーとして人気の高かった前任者の蒼乃夕妃さん顔負けの踊りっぷりは、蘭乃はなさんなど、ダンスが上手い娘役が大好きな私にとっては最高の内容です。
ドールオペラの自動仕掛けの人形のダンスや、ギプシーキングスの曲をバックにスパニッシュダンス、フィナーレでの娘役を引き連れてのダンス等々。
また、富山県出身の海乃美月さんも、シンデレラも王子も実は魔法にかけられた使用人だったというMr.シンデレラという場面で、美弥るりかさん扮するMr.シンデレラの相手役のシンデレラ、さらにはエトワールと大活躍。新人公演でもヒロインを務めます。
その他の場面では、総踊りの統制のとれたダンスと、黒燕尾のダンスの振付とその統一感がとても印象的で、失礼ながら、月組ってこんなにダンス上手かったかな?という位に決まっていました。
それから、珠城りょうさんを全面的に押してる感が強かったですが、ここで存在感を発揮していよいよ正二番手を射止めるか?男役度がどんどん増している凪七瑠海さんや、美弥るりかさんとの二番手競争は如何?
主役級の皆さんの舞台も見ものですが、まだ役名が付いていない若手の成長を見つめるのも宝塚の楽しみ方の一つです。
今回は、優ひかるさんという若手男役さん経由でチケットを入手したのですが、ご覧のようなメッセージカードと、ご本人の登場場面を描いた紙をいただきました。有望株ひしめく95期生ですが、応援していきたいと思います。
95期といえば残念なことが一つ。
富山市出身の星組男役、凰津りささんが宝塚歌劇団を卒業されました。
舞台ごとに、男役度が上がっていて、これからが楽しみだったのですが...
第二の人生も素敵なものになりますようにお祈りしています。
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