TANINO CRISCI(タニノクリスチー)の FLASOTTO(フラソット)
以前紹介した、フラテッリ・ジャコメッティのジョッパーブーツの基になったと言われる、TANINO CRISCI(タニノクリスチー)の FLASOTTO(フラソット)。
タニノクリスチーは元々イタリア貴族向けの乗馬用ブーツを作るところからはじまったそうで、ジョッパーブーツも色々なタイプを製作していたようです。
そのうち658という型番がついたものをFLASOTTO(フラソット)というようですが、既に廃業しているブランドなので詳細は不明です。
タニノクリスチーの他のモデルには、踵部分に補強革があるものや、マッケイ製法で、土踏まずの部分に縫い目があるタイプもありますが、FLASOTTO(フラソット)は、ふせ縫いされていて縫い目が見えないヒドゥンチャネル仕上げとなっていて、ブレイクラピド製法(ブラックラピッド製法とも)かもしれません。
写真のフラソットは、前所有者によれば、ネイビー(というよりナス紺のような色)の別注品らしく、アッパーは、フラテッリ・ジャコメッティのジョッパーブーツに使われている、仏デュプイ社のボックスカーフの中でも最高級とされる、シャトーブリアン(CHATEAUBRIAND)よりもさらに薄くしなやかです。
値段も倍くらい違いますが、作られた時代の背景もあって、より上質なカーフが手に入ったのかもしれません。
最後に、フラテッリ・ジャコメッティのジョッパーブーツとの比較を。
トウの厚み、全体のフォルムがタニノクリスチーのほうがシャープな印象。
フラテッリ・ジャコメッティにはない、ストラップを固定するパーツもついています。
根本的には、フラテッリ・ジャコメッティはハンドソーンウェルテッド製法、タニノクリスチーはブレイクラピド製法ないしはマッケイ製法という違いがあり、金具も丸みを帯びた小ぶりな金メッキとなっていて、タニノクリスチーのほうが実用よりもファッション性を重視しているという、方向性の違いということでしょうか。
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