学童保育、介護保険制度の課題など - 3月定例会代表質問から
平成30年富山市議会3月定例会の代表質問が終わりました。
副議長という立場上質問を行うことはできませんが、政調会のメンバーとして高齢者福祉と子ども・子育て支援、教育行政などの質問作成に関わった経緯を踏まえ、新聞などでは取り上げられなかった質問について、所感を書き記します。
児童健全育成事業について
児童健全育成事業について、本来子どもの居場所づくりであった地域児童健全育成事業(子ども会)に学童保育の機能を担わせることの課題について尋ねたところ、子ども会を学童保育として位置付けるという認識が示されましたが、市長がここまで明言したのは恐らく初めてだと思います。
これは、国の示す子ども・子育てプランの方向性に基づき、合併後の制度統一化が図られた際にも一応は示されていたと思いますが、長らく子どもの居場所づくりとして発展してきた旧富山市の地域児童健全育成事業の運営を担う子ども会に本格的に転換を迫ることになる答弁かもしれません。
国の示す制度が厳格になってきていることや、学童保育関係者からも示されている「子供の居場所づくりと保育は異なるものだ」という認識は、子ども会が地域のボランティア活動のひとつとして発展し、社会ニーズの変化に対して今日まで弾力的な制度運用で対処してきた自治体にとっては、厳しい環境です。
女性の社会進出などから高まる保育ニーズに応えるためには、やむを得ない決断だと思いますが、運営される地域の皆さんが学童保育として事業を行っていくのだと認識していただくためには、相当の移行期間とエネルギーが必要になると思います。
そのためには、業主体となる市の役割を明確にしたうえで、利用者だけではなく、指導に当たっている現場の声に耳を傾け、利用者と現場が同じテーブルについて進めていかなければ、子ども会の担い手そのものが消滅するといった事態を招きかねませんし、最近議会で質問されるようになった「開設日数を増やすべき、開設時間を拡大すべき、指導員の処遇改善をすべき」といったこと提言だけでは何も解決しません。
事業名 | 地域児童健全育成事業(子ども会) | 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ) | 地域ミニ放課後児童クラブ事業 |
役割 | 放課後の小学校の余裕教室などを利用して、放課後に子どもたちが自主的に参加できる健全な遊びの場を提供しています。地域の方たちが楽しく安全に遊べるよう指導します。 | 留守家庭の子どもたちに、保護者が帰宅するまでの間、家庭に代わる生活の場を提供しています。保育士などの有資格指導員がお子さんを安全にお預かりします。 | 町内会やボランティア団体などが利用人数5人から10人程度の子どもたちに安心して活動できる場所を提供しています。 |
実施主体 | 富山市(各校区運営協議会に委託) | 社会福祉法人、NPO法人、任意団体など | |
対象児童 | 保護者が昼間家庭にいない小学1年生から3年生の児童 ※別のページでは保護者が仕事で昼間家庭にいない小学生(留守家庭児童) |
保護者が仕事の都合により昼間家庭にいない、小学校1~3年生の児童(留守家庭児童) | 小学生 |
開設時間 | 放課後から概ね3時間以上、学校休業日は1日8時間以上 (子ども会によって異なります) |
放課後から午後7時または午後8時 学校休業日は午前8時から午後7時または午後8時 (開設時間を拡大して開設しているクラブもあります) |
放課後から午後6時または午後7時 学校休業日は1日8時間以上 (開設時間を拡大して開設しているクラブもあります。) |
開設日数 | 250日程度 ※子ども会によって異なります。 |
年間250日以上 | 年間250日以上 |
利用料 | 無料 (ただし、おやつ代・材料代などの実費相当額を徴収する場合があります) |
有料 (各クラブによって金額が異なります) |
有料 (各クラブによって金額が異なります) |
高齢者福祉について
高齢者福祉のうち、「第7期介護保険事業計画」の策定について、介護保険制度の抱える構造的な課題について尋ねたところ、国の制度見直しにより高所得者などの負担割合が増えたものの、公費割合を増やさなければ保険料を値上げせざるを得ず、本質的には保険制度では介護の仕組みを維持出来ず、2050年へ向けたロードマップを示すべきとの認識を示しました。
「第7期介護保険事業計画」においては、基金の取り崩しなどにより保険料を据え置いたものの、本市だけではなく全国の自治体が抱える課題であることから、全国市議会議長会などを通じ引き続き国へ要望するとのことでした。
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