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まちなか診療所と富山逓信病院を視察 - 厚生委員会

往診に使用する小型電気自動車
往診に使用する小型電気自動車

平成31年2月7日に富山市議会厚生委員会の視察で、富山市まちなかケアセンター内に開設されている「まちなか診療所」と、富山市が譲渡を受ける富山逓信病院を視察してきました。ブログにアップする時間がなかったので遅くなりましたが報告します。

視察先(まちなか診療所)

まちなか診療所では、在宅診療以外にも、在宅医療推進のため学生・研修医の受け入れや他の医療機関の看護師体験など、様々な取り組みが行われていた。

在宅医療の推進にあたっては、本診療所単体で行えるはずはなく、在宅医療を担う医師の高齢化や、まだまだ少ない専門医の確保などの課題について、病院や医師会もまじえて医療圏全体で議論する必要があると考える。

視察先(富山逓信病院)

富山逓信病院の建物そのものの老朽化は進んでいるものの、定期的な補修や、潤沢な資金を活かして手術室や医療機器は最新のものになっているとの説明があった。

一方でそれらのことから、富山市民病院との関係で見たときに、ややオーバースペックな機器の導入もみられるが、逓信病院を本市が経営することにより病院機能の分担が明確化することで、これらの課題は整理されていくものと考える。

報告書は以上です。

在宅医療の課題についての補足

在宅医療については看取りと密接な関係があるわけですが、富山県特有の現象として、平成29年厚生労働省データでは死亡に占める自宅死の割合が、全国平均の13.0%に対して10.6%(富山市は19.5%)となっており、同じく率の低い鹿児島県や熊本県などと共通する要因として病床数の多さが見て取れます。

国の方針としては、2040年までに亡くなる方が増えていくにもかかわらず2025年までに病床数を削減する方針で、富山県では4844、率にすると33.6%の削減が必要とされていて、終末期における在宅医療の重要性が増していきます。

このトレンドを踏まえて在宅医療の課題を、診療所、病院、その他の三つに分けて整理されたのが次の表です。

診療所
  1. 在宅医の高齢化
  2. 在宅参入医師の減
  3. 在宅医療を担う医師が疲弊
  4. 在院日数の短縮により、重度者の受け入れは負担大
  5. 外来があり、定期的、頻回な訪問が難しい
  6. 主治医不在時のサポートが欲しい
  7. 病院からの退院に戻るタイミングが遅い
病院
  1. 在宅医療でどこまで対応できるのか分からない
  2. ターミナル期を診る医師は地域によって異なり、患者・家族の意向に添えない
  3. 地域の医療資源がわからない
その他
  1. 本人や家族の意向に沿わない救急搬送
  2. 在宅医療や終末期について、サービス提供だけでなく市民への啓発が必要

これまでの医師間の支え合いによる『点』の支援に加えまちなか診療所による『面』の支援で在宅医療を推進する必要があり、在宅を支える医師はじめ様々な職種を支え、活性化するというコンセプトで設置されたのが、公設公営の在宅専門診療所機能強化型在宅療養支援診療所である「まちなか診療所」ということです。

今の体制のままで在宅医療をに急に舵を切っても、現場が受け入れられる状況にないのは明らかです。このためにも急いで準備を進めなければいけないのはもちろんのこと、予防医療や健康寿命の延伸に向けた取り組みを進めることも必要です。

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