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PFIで整備された斎場の視察 - 市議会自民党厚生部会

2月14日(水)に一宮斎場(愛知県一宮市)、15日(木)に越谷市斎場(埼玉県越谷市)を自由民主党会派の政調会厚生部会で視察してきました。

富山市では、富山、富山北、大沢野、婦中の4斎場の老朽化に伴う再整備について検討するため、「富山市内斎場再整備事業基本構想」の策定を進めており、PFIによる整備手法を軸とした案についてパブリックコメントも行われたところです。

今後議会において議論を行うにあたり、自民党厚生部会として、PFIで整備された斎場の中で特徴的な2か所を選定し、整備手法と施設について調査してまいりました。

一宮斎場

見送りホール(一宮斎場)
見送りホール(一宮斎場)

昭和38年に整備された築50年経過した斎場を、PFIを用いて平成23年同一敷地内において改築したもので、特徴としては火葬のみの施設であることがあげられます。

これは尾張地区の葬送習慣も関係してきますが、葬儀などは民間で行うことが広く定着しており、施設も市内に20以上と大変多いことによるものです。

旧斎場では式場もありましたが、利用件数は平成3年度から平成20年度の18年間で5件にとどまり(平成13年度以降は利用者が0件となり、平成20年度から供用を停止していたほどです。

お別れ室(一宮斎場)
お別れ室(一宮斎場)

ただし、整備当初は施設を持っていない事業者もいることなどから、施設2階に火葬中の待合室も整備されましたが、利用は年間278件と少なく、将来的には、大災害への対応や、個人葬や家族葬あるいは葬儀ではなくお別れの儀式などに対応するために、待合室の利用形態を見直すことも必要との認識を示されましたが、エレベーターが遺体を運ぶ規格ではないため、エレベーターの改修が必要であるとのことでした。

なお、見送りホールの手前にプライバシーに配慮したお別れ室があり、葬儀を行わない火葬のみの直葬での告別の儀式についても対応していました。

ペットの火葬にも対応していますが、一日1回ないし2回まとめて火葬するため、個別に火葬することを希望する方は、民間施設を利用するそうです。

PFIによる縮減効果をあらわすVFM(バリューフォーマネー)については、導入可能性調査時には16.7%、契約後の再算定で24.6%となり、財政的な平準化とあわせて、PFIの効果が表れたものと考えます。

越谷市斎場

火葬場側正面(越谷市斎場)
火葬場側正面(越谷市斎場)

越谷市斎場は、越谷市・吉川市・松伏町の2市1町がPFIのより整備した広域斎場で、吉川市・松伏町から事務委託を受けて越谷市が運営しています。当初は、4市2町で協議をしていたそうですが、民間の斎場を利用しているなどの理由から、現在の構成となりました。

移転改築となったため、近隣住民の理解を得ることに苦労されたようで、斎場に見えない美術館のような外観デザインであったり、周辺は公園施設をあらたに整備したり、宮型霊柩車の乗り入れを禁止するなど、施設、運営の両面で苦労されたことが伺えます。

炉前の告別室(越谷市斎場)
炉前の告別室(越谷市斎場)

特徴としては、祭壇、清め室、司式控室、遺族控室などを備えた葬祭場式場も整備され、これらの利用料は15万円に設定されていますが、事業費23億2,766万2千円、20年間の利用件数を24,000件と想定した原価97,000円をベースに、他の公営斎場や民間事業者の運営する斎場の料金などを参考に設定されました。

式場の整備については、「火葬場だけでは運営経費を賄えない。式場の貸し出しによる事業収入は大事ではないか?」との指摘もいただいたことから、整備コストとのバランスや市場ニーズなどを十分に検討していく必要があります。

式場の整備に当たっては事前に民間事業者の意見は聞いていないそうですが、定員80名の部屋が4室しかないことや、整備後も民間の式場の整備が進んでいることから、民業圧迫とはなっていないとのことです。将来的には、家族葬の増加などから現在の定員80名では大きすぎるのですが、大規模な改修や増築が必要となるとのことで、すでに民間事業者の家族葬向けの施設整備が進んでいることから、その必要性は薄いのではと感じました。

PFIによる縮減効果をあらわすVFM(バリューフォーマネー)については、特定事業選定時には7.1%、提案後の再算定で21%となり、こちらも財政的な平準化とあわせて、PFIの効果が表れたものと考えます。

PFIについては、VFMの数値のみに着目するのではなく、市民に対してどのようなサービス水準を提供すればよいのかという視点は重要だと感じました。

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