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全国市議会議長会研究フォーラムin宇都宮 - 議会と住民の関係について

山田一仁会長(札幌市議会議長)
山田一仁会長(札幌市議会議長)

平成30年11月14日から15日にかけて宇都宮市で開催された『全国市議会議長会研究フォーラムin宇都宮』に参加してまいりました。議会と住民の関係について着目し、議会のあり方や議会改革などについて研修するものです。

冒頭、山田一仁会長(札幌市議会議長)の開会挨拶。消費税率10%に関連して自動車業界から要望のある自動車税減税議論に触れて、地方にとって重要な財源であり代替財源がない限り認めてはいけない。自動車離れはコストの問題とは別の観点から考えるべきである旨のご挨拶がありました。

以下、報告します。

1.基調講演『「地域共生社会」をどうつくるか 2040年を超える自治体のかたち』講師:宮本太郎(中央大法学部教授)・・・11月14日

基調講演
基調講演

人口減少・高齢社会の進展をふまえた現役世代と高齢世代の負担と東京一極集中という課題をチャンスととらえた社会構造の変革の必要性を説かれ、特に「社会的弱者を保護する福祉から皆を元気にする包括支援と活躍の場づくり、新しいつながりづくり」を提唱さました。

以下、内容について記します

  1. 地域共生社会では、包括支援における第二階層(小中学校区単位)で、制度・分野ごとの「支え手」「受け手」という関係を超えた社会参画の仕組みづくりが必要であるとし、富士市・香取市・弘前市のユニバーサル就労、豊中市のくらしかん事業などを紹介されました。
  2. 生涯出番のあるまちづくりを提唱され、年金兼業就労や必要縁(家族縁、地縁、仕事縁)を活かした支え合い・子育て・介護の事例として、鹿児島市の「ナガヤタワー」、金沢市の「シェア金沢」、京都市の「すまい生活支援事業」を紹介されました。

発表された事例については、小学校区単位での地区センターを中心とした自治振興会活動が活発な本市においても参考になる事例がありました。

2.パネルディスカッション「議会と住民の関係について」・・・11月14日

パネルディスカッション
パネルディスカッション

江藤俊昭(山梨学院大大学院教授)をコーディネーターに、今井照(地方自治総合研究所上席研究員)、本田節(ひまわり亭代表取締役)、神田誠司(朝日新聞記者)、小林紀夫(宇都宮市議会議長)の4氏がパネリストとして登壇されました。

  1. 今井照氏からは、規模に関わらず同じ制度で運用される地方自治の課題(無投票、投票率など)と、様々な基本計画の策定義務(義務規定・努力義務規定)により中央集権的になっているのではないかという指摘がありました。
  2. 本田節氏からは、食を通じた地域づくりについて興味深い事例紹介があったが直接テーマに絡むものではなく、少々残念でした。ぜひ別の機会に、もっと詳しいお話を伺いたいです。

条例改正により選挙区の見直しを行うことで、住民との距離を縮めることや定員減を見直すことの是非についても議論が行われましたが、根本的な問題として考えなおす必要を感じました。

3.課題討議「議会と住民の関係について」・・・11月15日

課題討議
課題討議

二日目は、各議会の事例紹介をもとに討議がされました。

報告者は、桑田鉄男(久慈市議会議長)、伊藤健太郎(新潟市議会議員)、ビアンキ アンソニー(犬山市議会議長)、道法知江(竹原市議会議長)の皆さんです。

  1. 久慈市議会の事例として「かだって会議」という、議会報告会や公聴会の枠を超えたワークショップ形式による対話集会の開催により、住民と議会の距離を縮める工夫が行われています。
  2. 新潟市議会は、主権者教育プロジェクトを企画され中学・高校での主権者教育を議会として行っており、プログラムでは課題を設定し、ロールプレイングを通じて合意形成を図る議会プロセスを学んでいます。
  3. 犬山市議会では、女性議会や定例会で市民に発言してもらう「市民フリースピーチ」を実施。また、全員協議会で議案や一般質問について議員間討議を行っています。

以上のことから、

  1. 議会報告会や公聴会については各会派に委ねられていますが、その成功体験を積み重ねつつ、最終的には議会の機能として行われることが望ましいと考えます。その際には事例紹介を参考にしつつ報告会や公聴会が目的ではなく手段であることを忘れてはなりません。
  2. 議員間討議については、条例制定の際に特別委員会や常任委員会で実施済みですが、議会や会派に対する陳情・要望を最終的には議会で取り上げて議論するための仕組みづくりが必要と考えます。

簡単ですが、参加レポートとします。

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