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富山高専本郷キャンパスの同窓会誌に寄稿しました

ほんごうvol25表紙
ほんごうvol25表紙

富山高等専門学校本郷キャンパスの同窓会「ほんごう会」の会報誌『ほんごうVOL.25(2022年2月発行)』に寄稿しました。

卒業生だよりというコーナーに「もしかしたら高専祭で人生が決まったかもしれない」というタイトルで駄文を掲載させていただきました。せっかくですのでこちらにも転載いたします。

富山高等専門学校本郷キャンパス同窓会「ほんごう会」では、会報誌の発行のほかゴルフコンペの開催やクラス会への補助など、同窓生の交流の場を提供するとともに、卒業生のネットワークを活用した母校・学生・卒業生の支援を行っています。

高専祭で人生が決まったかもしれない話

K11 鋪田博紀

自由闊達すぎる校風に馴染めず退学を考えていた1年生の秋。最初で最後だからと高専祭だけでも楽しんで学校を去ろうかと体育館のステージを見に出かけたことが運命を変える。
入学時、体験入部した時にお世話になった野球部のマネージャーを務める先輩が、実験用白衣を着て中島みゆきやイルカの曲を軽やかに弾き語りされている。彼女の歌とギターに魅入られ自分も音楽をやってみたくなった。すぐさまバイトで貯めたお金を握りしめ楽器屋さんに走った。モーリスのギターを持ち帰っていた。結果的に、卒業する彼女の後釜として3年の終わりからマネージャーとして野球部に入部することになるので、不思議な縁だ。
2年生になって、高専祭の運営に関わるため自ら学生会に飛び込んだ。
それから月日が流れ、自ら進んで高専祭実行委員長となっていた。それはキャンパス中に音楽を響かせたかったから。
しかしそんな計画も、学生によるバイク死亡事故の発生により、内容の自粛を求められた。美術部の仲間が作成したポスターは事故を連想させるから作り直せ、ライブハウスやディスコは不謹慎だから禁止する、等々。
OBが経営する印刷会社に発注済のパンフレットは、広告主からお金をいただいている以上印刷を取りやめることはできない。退学さえ考えていた自分を学校に戻してくれた高専祭を淋しいものにしたくない。
学校側から、自粛した内容のプログラムを早く提出するよう迫られたが、印刷が間に合わず、提出できるのは当日と噓をつき通した。当日は思いっきり叱られたが、今考えるとそんな見え透いた嘘がまかり通ったのは、僕らの思いを遂げさせてやりたいと陰で支えてくださった先生がいらしたからに違いない。
高専祭は大盛況。仲間に助けられ、というより彼らの悪知恵に乗っかるかたちで自主財源も確保し、今だから言えるが、スタッフにバイト代も支払えた。
結果、これに味を占めて、エンターテイメントと舞台音響の世界に飛び込むことになる。分野違いとは言え、高専で学んだ工学全般は、音響の世界ではなくてはならないものだった。そして今や音楽や舞台芸術は僕の人生にとって大きなウエイトを占めることになる。
結びに、高専祭・学生会に関わったことが仲間と一緒に困難を乗り切る力を養ってくれた事は間違いない。今の高専も技術・知識は勿論、社会を生き抜く基礎的素養を学べる場所であって欲しい。

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